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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース・・・・・評価額1750円
2023年06月22日 (木) | 編集 |
宿命を乗り越えろ!

ピーター・パーカーの遺志を継ぎ、街の平和を守るご近所ヒーロー、スパイダーマンとなったマイルズ・モラレスの活躍を描くアニメーション映画シリーズ第二弾。
前作から16ヶ月後、マイルズはピーター・パーカーにかわる“親愛なる隣人“として、すっかり街に定着しているが、両親とは葛藤を抱えたまま。
そんなある日、突然マイルズの前にポータルが開き、二度と会えないと思っていたグウェン・ステイシーが現れ、マルチバースを巡る冒険がはじまる。
プロデューサーでもあるフィル・ロードとクリストファー・ミラーが脚本を担当し(デイブ・キャラハムと共同)、監督はホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソンにバトンタッチ。
主人公マイルズにシャメイク・ムーアー、グウェンにヘイリー・スタインフェルド、マイルズの前に立ちはだかるスパイダーソサエティのリーダー、ミゲル・オハラをオスカー・アイザックが演じる。
※核心部分に触れています。

アース1610のニューヨークに住むマイルズ・モラレス(シャメイク・ムーアー)は、この街唯一のスパイダーマンとして活躍中だが、自分の正体を両親には明かせないでいる。
ある日モラレスは、身体中に穴が空いたヴィラン、スポット(ジェイソン・シュワルツマン)と遭遇し、小競り合いを繰り広げるが取り逃してしまう。
元アルケマックスの技術者だったというスポットは、自分がアース42から運んだクモによってマイルズがスパイダーマンになり、そしてマイルズがアルケマックスの加速器破壊したことで自分がヴィランになったという因果を教える。
そんな時、マイルズの実家の部屋にポータルが開き、アース65のスパイダーウーマンであるグウェン・ステイシー(ヘイリー・スタインフェルド)が現れる。
マイルズとグウェンは束の間の再会を喜び合うが、実はグウェンはスポットを捕獲するために、アース1610に派遣されていた。
二人はスポットを追って、アース50101のムンバッタンへ向かい、スポットから街の人々を救うが、ここでマイルズがある行動をとったことで、ムンバッタンの世界は崩壊しはじめる。
マイルズはマルチバースのスパイダーマンたちが集うスパイダーソサエティの本部があるアース928に召喚され、リーダーのミゲル・オハラ(オスカー・アイザック)から、全てのスパイダーマンに共通する悲しい宿命を告げられる・・・・


冒頭のグウェンのエピソードから、ヒーローの孤独を徹底的にフィーチャー。
リザードとなってしまった親友のピーター・パーカーを、彼と知らずに殺してしまったグウェンは、以降友だちを作ることが出来ず、警察官の父はパーカーの殺人犯として娘と知らずにスパイダーウーマンを追っている。
映画は、ここからシリーズを通してのテーマである「大いなる力と責任」から、「大切な一人を助けるか、世界全体を救うか」というトロッコ問題へと進行する。
しかし本作は、過去のスパイダーマンが散々やり尽くしてきた、このテーマに対して疑念を突きつけるのだ。

スパイダーソサエティに召喚されたマイルズに、リーダーのミゲルがマルチバースのスパイダーマンたちの絡まり合った人生の糸を見せる。
ミゲルは、全てのスパイダーマンの人生には、避けることの出来ない“カノン(基準)イベント”が存在するという。
それは、“大切な誰か”の喪失と引き換えに、世界を救う選択をすることで、その時に大切な誰かの方を救ってしまうと、世界は崩壊に向かうという。
マイルズもすでにピーター・パーカーとアーロン叔父さんを喪う形でカノンイベントを経験しているのだが、まもなく訪れるもう一つのカノンイベントとして父の死を予告される。
だが、他のスパイダーマンたちがカノンイベントを宿命として受け入れる中、マイルズは「なぜどちらかを選ばなけれならないのか?」と抗うのである。

この構造からも分かるように、本作はマルチバースの枠組みを使い、メタ的な視点でコミックヒーロー論、ストーリー論をやった作品だ。
カノンイベントは、いわばスパイダーマン話型とも言うべきお約束。
物語の中の人たちにとっては無意識に行なっていることで、誰も疑問に思わない。
しかし、マイルズは自分の属するアース1610ではなく、アース42のクモに噛まれたことで力を得た、本来ならスパイダーマンになるはずのなかったイレギュラーな新参者。
彼はスパイダーマンの世界でずっと繰り返されてきた、“当たり前の犠牲”は本当に必要なことなのか?と言う疑念を投げかける。
実写版を含む過去作でも見てきたカノンイベントをずらっと並べられ、それをマイルズ以外があっさり受け入れちゃってるのは、なるほど確かに不気味な光景である。

この疑念は実は受け手にも向けられていて、本作で頑なに「常識」を守ろうとするスパイダーマンたちは、「スパイダーマンはこうあるべきだ」という現実世界のファンと重なり合う。
そしてそれは、黒人のスパイダーマン誕生に反発した、ピーター・パーカー原理主義者も当てはまるのである。
要するにこれは、保守的なコミックファン、スパイダーマンファンに対する作り手からの挑戦状
俺たちはいい加減新しいスパイダーマンやりたいけど、いいよな?と言う話。
そう捉えると、グウェンの怒れるロックンローラー設定や、彼女を助けるジミヘンみたいな反骨のスパイダーマン、スパイダーパンクの存在にも意味を持たせてある。

本作は来年公開予定の第三部「ビヨンド・ザ・スパイダーバース」へのブリッジ作品で、単体では完結していないのだけど、誰もが当たり前だと思っているその世界のお約束を俎上に上げ、虚構の外と内をクロスさせた視点を持った作品は、アメコミ映画のジャンルでは過去には無かったのではないか。
この構造は、脚本を担当したフィル・ロードとクリストファー・ミラーの代表作である「LEGO ムービー」に近い物だ(そういえば本作のマルチバースにはLEGO世界もあった)。
MCUがジャンル標準にしてしまった、エンドクレジット後のおまけ映像をあえてなくしているのも、同じ文脈だろう。

ユニークなストーリーに加えて「スパイダーマン:スパイダーバース」で衝撃的だった、コミックがそのまま動き出したかのようなビジュアルは、さらにブラッシュアップされ二作目でも未見性の塊。
前作の段階では違う世界からやって来たスパイダーマンたちが、コミック調だったり、マンガ調だったり、白黒だったりテイストの差が面白かったが、今回はマルチバースを巡る話なので、世界観にまでタッチの差が広げられているのが凄い。
コンピューターアニメーションは世界初の長編作品である「トイストーリー」のスタイルが、長らく絶対的な基準になっていたが、ここに来てこのシリーズの2Dコミック調のルックが大きな影響を与えはじめている。
本作に比べたらやや控え目ではあるが、例えばドリームワークス・アニメーションの「バッドガイズ」「長ぐつをはいたネコと9つの命」は、「スパイダーバース」がなければ異なるルックになっていただろう。
フレームレートをあえて落としたポップな絵が、とにかく気持ちのいいリズムでグリグリと動きまくる。
アニメーションは、最終的にはビジュアルデザインとキャラクターのアクションだという、表現技法の根源的な魅力を突き詰めた作りだ。

またミゲルがマイルズに過去のカノンイベントを見せるシーンで、アンドリュー・ガーフィールドとトビー・マグワイアが登場したり、スポットが「ヴェノム」の友達でコンビニ店主のチェンのところに顔を出したり、「スパイダーマン:ホームカミング」のアーロン・デイヴィスがプラウラーとしてスパイダーソサエティに捕まっていたり、実写版とのリンクも増えているのも今後双方をクロスさせる布石か。
そういえば「ホームカミング」の時に、デイヴィスは「近所に住む甥」に言及していたので、これが実写世界のマイルズなのかも知れない。
はたして、スパイダーソサエティに反旗を翻したチーム・マイルズの冒険はどこに行き着くのか、「ビヨンド・ザ・スパイダーバース」が待ちきれない。
一年後と言わず、もうちょっと早く公開してくれないものか。

前回は「ホワイト・スパイダー」をチョイスしたので、今回もクモ繋がりで「スパイダー・キッス」を。
ブランデー25ml、コーヒー・リキュール25ml、生クリーム25mlを氷と共にシェイクし、グラスに注ぐ。
コニャックの深いコクと、コーヒー・リキュールの甘味と渋みを、生クリームが優しくまろやかにまとめ上げる。
アルコール度はそれなり高いが、甘口で飲みやすい人気のデザートカクテルだ。

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コメント
この記事へのコメント
こんばんは
こりゃ面白かった。
無茶苦茶面白かったんだけど、「ここで終わるのかよ!?」ってとこで切りましたね。次に続く作りだとは聞いていたけど、ここまでとは思わなかった。邦画だったら一月後には続編上映してるタイプだな。

ザ・フラッシュも直前に見ていたんですが、比べてみるとマーベル系の革新性が目立ちました。マジで殺しにかかるアイアンマンにビビった「シビルウォー」と「BvS」の時を彷彿とさせるような。

マイルズはゲームでしか知らんのですが、思春期の過渡期っぽさが凄く魅力的に表現できていましたね。お母さんの「私たちの代わりに、あなた自身を守ってね」って言い方にもグッときましたが、ここで感じ入っちゃうのは私がいい年だからで、リアル思春期の子には通じないんだろうな、と寂しく思ったり。少なくとも、当時の俺には通じなかったよな。
2023/06/30(金) 02:58:27 | URL | 焼き鳥 #9L.cY0cg[ 編集]
こんばんは
>焼き鳥さん
>邦画だったら一月後には続編上映してるタイプ

確かにそうですねー
一年待つのは長い。
おっしゃるように本作と「ザ・フラッシュ」はモチーフ的にかなり重なるのですけど、視点の大胆さ、革新性はこちらですね。
青春の葛藤が描かれてるのはトムホの実写と同じだけど、同級生とではなく家族関係が濃厚なのもいい特徴になってました。
2023/07/01(土) 21:42:53 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
本当に面白かった
ノラネコさん☆
皆さんがベストに入れていた今作を長い事見ずにスルーしてきたのを反省しているところです。
これはオモシロイ!
そして開始10分で私泣いてました・・・
映像の面白さもスケールアップしていて、何もかも素晴らしかったです。
2024/02/13(火) 15:11:50 | URL | ノルウェーまだ~む #gVQMq6Z2[ 編集]
こんばんは
>ノルウェーまだ~むさん
ドラマ性もしっかり高いんですよねー
スパイディたちの葛藤は普遍的ゆえに、受け手も当然と思ってるところがありますが、切り口が見事でした。
まさにコミックワールドのスクラッチ&ビルト。
後編も期待です。
2024/02/16(金) 21:15:19 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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スパイダーマンを継承した高校生マイルスは共に戦ったグウェンと再会し、様々なバースから選び抜かれたスパイダーマンたちが集うマルチバースの中心へと辿り着く。 そこで目にした未来は、愛する人と世界を同時には救えないという<哀しき定め>。 それでも両方を守り抜くと誓ったマイルスの決断が、マルチバース全体を揺るがす最大の危機を引き起こしてしまう…。 CGアニメーション第2弾。
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