■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
※エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
※タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
※エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
※タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
※noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
※noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。


2023年08月29日 (火) | 編集 |
いつか散る時のために。
ボクシング映画にハズレ無しの法則発動。
まあ原作・沢木耕太郎、監督・瀬々敬久、主演・佐藤浩市と横浜流星という面子の段階で「盤石」という言葉しか思い浮かばないのだけど。
佐藤浩市が演じるのは、かつてアメリカにボクサーとして渡り、不公正な判定で挫折した男、広岡仁一。
ホテルマンに転身し、ビジネスで成功した仁一が40年ぶりに帰国する。
そこで彼が出会うのが、横浜流星演じるギラギラとした目をした黒木翔吾だ。
彼も日本タイトル戦で不公正な判定の結果敗れ、ボクサーを引退していた。
偶然にも仁一の技ありのパンチを見た翔吾は弟子入りを志願し、彼の熱気に押し切られる形で、仁一もボクシングの夢に再挑戦することを決める。
刹那的な一瞬に生きる、不器用なまでにストイックで泥臭く、目を離せない男たち。
これは若者の挑戦と成長の物語である一方、人生を燃え尽きさせてもいいと思える、終の居場所を探す老人たちの話でもある。
ボクサー時代の仁一のジム仲間、佐瀬健三役の片岡鶴太郎がいい。
まるで仙人のような風貌で、登場時はくたびれ切って見えるのだが、トレナーとしてリングに帰ってくると途端に輝き出す。
そう言えばこの人、実際にボクシングのプロライセンス持ってるんだった。
デビュー当時は小太りで脂ギッシュな芸人だったのが、ある時期から次第にシャープで筋肉質な体になり、プロライセンスを取ったと聞いて驚いた記憶がある。
その頃から俳優としても急速に評価を高めてきたから、やっぱり何事も挑戦する人は違う。
ともあれ、それぞれの理由で燻っていた老人たちと、若さ溢れる若者たちのボクシングに対する情熱が化学反応を起こし、お互いの人生を変えてゆく展開は、クリント・イーストウッドの作品を思わせる部分も。
立場は違えど、仁一と翔吾の擬似親子的な師弟関係には「グラン・トリノ」を、引退していた爺さんたちの復活劇は「スペース カウボーイ」を思い出した。
人間は幾つになっても、意欲さえあれば成長できるし変われる。
後悔を抱えたままの人生は、若者だろうが老人だろうが精神衛生上よくないのである。
仁一と翔吾は二人とも共感キャラクターに造形されていて、観客の年齢によってどちらにより深く感情移入するかは変わるだろう。
ちなみに横浜流星も、本作のトレーニングを通してプロライセンス取ったそうだ。
対戦相手の窪田正孝と坂東龍汰も、見事にボクサーの体を作ってるし、試合シーン以外の出番は僅かならがら、それぞれの人生で背負っているものの影を感じさせる。
毎度のことながら、こういう肉体と精神の説得力を見せられると役者ってすげーなと思う。
クライマックスのタイトル戦も、ボリュームたっぷり。
原作小説は未読なので、どっちが勝つのか分からず手に汗握った。
終盤にヒロインのポジションに収まる橋本環奈が、珍しく等身大のしっとりした役。
困難な人生を送ってきたであろうキャラクターを、味わい深く演じている。
元々演技力はある人なのだから、こういった系統の映画にももっと出たらいいのに。
エピソードの組み合わせに若干のダイジェスト感は残るものの、瀬々敬久監督はドラマチックに二つの世代が交錯する燻銀の群像劇を見せ切った。
ところでここ10年ばかりの日本映画では、数々のボクシング映画の名作が誕生した。
「100円の恋」「あゝ、荒野」「アンダードッグ」「BLUE ブルー」「ケイコ 目を澄ませて」そして本作。
これらの作品全てでボクシング指導を担当しているのが、本作の出演俳優でもありトレーナー経験の深い松浦慎一郎である。
リアリティたっぷり迫力満点のボクシングシークエンスは、彼がいなければ生まれなかったと考えると、日本映画界はこの人に足を向けては眠れない。
俳優としてはもちろんだが、ぜひ名前を知って欲しい、縁の下の力持ちだ。
桜が印象的な本作には、秋田県横手市の阿桜酒造株式会社の「阿櫻 亀の尾 生原酒」をチョイス。
一時は幻の酒米と呼ばれた「亀の尾」を60%精米し、秋田純米酵母で仕込んだ酒。
貴重な酒米を無駄にしないため、規格外の米を一部使用しているので「純米」と表記することが出来ないのだが、中身は丁寧に作られた「スペシャル普通酒」だ。
まろやかな酸味が特徴で、亀の尾の独特の旨味を堪能できる。
酒の個性が強いので、なるべくシンプルな味わいの肴といただきたい。
記事が気に入ったらクリックしてね
ボクシング映画にハズレ無しの法則発動。
まあ原作・沢木耕太郎、監督・瀬々敬久、主演・佐藤浩市と横浜流星という面子の段階で「盤石」という言葉しか思い浮かばないのだけど。
佐藤浩市が演じるのは、かつてアメリカにボクサーとして渡り、不公正な判定で挫折した男、広岡仁一。
ホテルマンに転身し、ビジネスで成功した仁一が40年ぶりに帰国する。
そこで彼が出会うのが、横浜流星演じるギラギラとした目をした黒木翔吾だ。
彼も日本タイトル戦で不公正な判定の結果敗れ、ボクサーを引退していた。
偶然にも仁一の技ありのパンチを見た翔吾は弟子入りを志願し、彼の熱気に押し切られる形で、仁一もボクシングの夢に再挑戦することを決める。
刹那的な一瞬に生きる、不器用なまでにストイックで泥臭く、目を離せない男たち。
これは若者の挑戦と成長の物語である一方、人生を燃え尽きさせてもいいと思える、終の居場所を探す老人たちの話でもある。
ボクサー時代の仁一のジム仲間、佐瀬健三役の片岡鶴太郎がいい。
まるで仙人のような風貌で、登場時はくたびれ切って見えるのだが、トレナーとしてリングに帰ってくると途端に輝き出す。
そう言えばこの人、実際にボクシングのプロライセンス持ってるんだった。
デビュー当時は小太りで脂ギッシュな芸人だったのが、ある時期から次第にシャープで筋肉質な体になり、プロライセンスを取ったと聞いて驚いた記憶がある。
その頃から俳優としても急速に評価を高めてきたから、やっぱり何事も挑戦する人は違う。
ともあれ、それぞれの理由で燻っていた老人たちと、若さ溢れる若者たちのボクシングに対する情熱が化学反応を起こし、お互いの人生を変えてゆく展開は、クリント・イーストウッドの作品を思わせる部分も。
立場は違えど、仁一と翔吾の擬似親子的な師弟関係には「グラン・トリノ」を、引退していた爺さんたちの復活劇は「スペース カウボーイ」を思い出した。
人間は幾つになっても、意欲さえあれば成長できるし変われる。
後悔を抱えたままの人生は、若者だろうが老人だろうが精神衛生上よくないのである。
仁一と翔吾は二人とも共感キャラクターに造形されていて、観客の年齢によってどちらにより深く感情移入するかは変わるだろう。
ちなみに横浜流星も、本作のトレーニングを通してプロライセンス取ったそうだ。
対戦相手の窪田正孝と坂東龍汰も、見事にボクサーの体を作ってるし、試合シーン以外の出番は僅かならがら、それぞれの人生で背負っているものの影を感じさせる。
毎度のことながら、こういう肉体と精神の説得力を見せられると役者ってすげーなと思う。
クライマックスのタイトル戦も、ボリュームたっぷり。
原作小説は未読なので、どっちが勝つのか分からず手に汗握った。
終盤にヒロインのポジションに収まる橋本環奈が、珍しく等身大のしっとりした役。
困難な人生を送ってきたであろうキャラクターを、味わい深く演じている。
元々演技力はある人なのだから、こういった系統の映画にももっと出たらいいのに。
エピソードの組み合わせに若干のダイジェスト感は残るものの、瀬々敬久監督はドラマチックに二つの世代が交錯する燻銀の群像劇を見せ切った。
ところでここ10年ばかりの日本映画では、数々のボクシング映画の名作が誕生した。
「100円の恋」「あゝ、荒野」「アンダードッグ」「BLUE ブルー」「ケイコ 目を澄ませて」そして本作。
これらの作品全てでボクシング指導を担当しているのが、本作の出演俳優でもありトレーナー経験の深い松浦慎一郎である。
リアリティたっぷり迫力満点のボクシングシークエンスは、彼がいなければ生まれなかったと考えると、日本映画界はこの人に足を向けては眠れない。
俳優としてはもちろんだが、ぜひ名前を知って欲しい、縁の下の力持ちだ。
桜が印象的な本作には、秋田県横手市の阿桜酒造株式会社の「阿櫻 亀の尾 生原酒」をチョイス。
一時は幻の酒米と呼ばれた「亀の尾」を60%精米し、秋田純米酵母で仕込んだ酒。
貴重な酒米を無駄にしないため、規格外の米を一部使用しているので「純米」と表記することが出来ないのだが、中身は丁寧に作られた「スペシャル普通酒」だ。
まろやかな酸味が特徴で、亀の尾の独特の旨味を堪能できる。
酒の個性が強いので、なるべくシンプルな味わいの肴といただきたい。

記事が気に入ったらクリックしてね
スポンサーサイト
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
アメリカで事業を興し成功した元ボクサー広岡仁一は、40年ぶりに故郷の地を踏んだ。 かつて所属したジムを訪れ、亡父から会長の座を継いだ令子や、かつての仲間と再会。 そんな彼の前に、一度はボクシングをやめた青年・黒木翔吾が現れ、広岡の指導を受けたいと懇願する。 広岡の姪・佳菜子も加わり、奇妙な共同生活が始まった…。 ヒューマンドラマ。
2023/08/30(水) 17:48:26 | 象のロケット
| ホーム |