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ザ・クリエイター 創造者・・・・・評価額1700円
2023年10月23日 (月) | 編集 |
AIに愛はあるのか。

2060年代の近未来を舞台に、人類と進化したAIの戦争を描くSF大作。
「GODZILLA ゴジラ」「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」のギャレス・エドワーズが監督・原案・脚本・製作を兼務して作り上げた作家映画だ。
ジョン・デヴィッド・ワシントン演じる元軍人のジョシュアは、戦争の勝敗を決すると言われるAI側の最終兵器を探し当てるが、それはなんと幼い少女の姿をしたAIだった。
例えAIだとしても、あどけない子供を殺すことができるのか?
そしてそれは、本当に正しいことなのか?
ジョシュアと恋仲になる、AIを助ける女性マヤを「エターナルズ」のジェンマ・チェンが演じ、AIのレジスタンスのリーダー、ハルンに渡辺謙。
AIと人類との戦争という既視感のある設定に、西洋文明と東洋文明の対比や、アメリカの過去の戦争の記憶なども盛り込み、未見性を創出した意欲作だ。
※核心部分に触れています。

高度な思考能力を持ち、人間に似た容姿のAIが普及した近未来。
ロサンゼルスで核爆発を引き起こしたとして、アメリカはAIを人類の敵と認定し、西側諸国と共に戦争を開始。
しかし“ニューアジア”では人類とAIが共存の道を選んでいて、西側諸国を追われたAIがレジスタンス組織を作って潜伏していた。
陸軍のジョシュア・テイラー軍曹(ジョン・デヴィット・ワシントン)は、AIの進化を支える謎の人物“ニルマータ”の正体を探るべく、レジスタンス組織に潜入し、ニルマータの娘だとされるマヤ(ジェンマ・チェン)という女性と恋仲になる。
彼女が妊娠した頃、ジョシュアの報告を無視して米軍が組織の拠点を襲撃、NOMADと呼ばれる巨大な宇宙ステーションからの攻撃で拠点は破壊され、マヤも行方不明となってしまう。
5年後、退役したジョシュアは、ロサンゼルスの爆心地で、清掃作業員として働いているが、ハウエル大佐(アリソン・ジャニー)から新たな作戦に参加してほしいという打診を受ける。
ニルマータが開発した、NOMADを無力化する新兵器「アルファオー」を奪取するというのだ。
ハウエルから死んだはずのマヤが生きている映像を魅せられたジョシュアは、一抹の望みをかけて再びニューアジアに足を踏み入れるのだが、そこで彼を待っていたのは、兵器ではなく一人のAIの少女(マデリン・ユナ・ボイルズ)だった・・・・

久々にフランチャイズでもなく、シリーズ物でもないオリジナル脚本のSF大作
このジャンルは巨額の予算がかかるために、要求されるリターンもなかなか厳しい。
過去10年でも、オリジナル作品でスタジオを満足させる額を稼ぎ出したのは、ジェームズ・キャメロンとクリストファー・ノーラン、あとはジョーダン・ピールの「NOPE/ノープ」位ではないか。
本作も本国興業ではかなり苦戦しているいらしいが、SFマインド溢れる素晴らしい仕上がりだ。
AIと人間の戦争というハードなモチーフで描くのが、ウェットな「真実の愛」と言うのが、実にギャレス・エドワーズらしい。
バジェットは、この種の映画としては比較的安めの8000万ドル程度なので、なんとか回収してまた新たなオリジナルSFに挑んでほしいものだ。

映画の世界観はちょっと複雑だ。
アメリカと西側諸国はAIとの戦争を遂行中だが、それ以外の国々では普通にAIが人間と共存している
AIにはメカメカしい者もいれば、人間のような外皮をまとった者もいて、思考能力もまちまちの様だ。
アメリカは、AIのレジスタンスの拠点を見つけると戦闘部隊を送り込み、最後は衛星軌道にある巨大ステーション、NOMADからミサイル攻撃で片付ける。
舞台となるのは、現在のタイやベトナムあたりにあるニューアジアという国なのだが、冒頭で映し出される世界地図では、日本とニューアジアが同じようにハイライトされていたので、もしかすると同じ領域に属しているのかもしれない。
実際ニューアジアの街では、やたらと日本語が目に付くし、日本語を話すハルンもいる。

ハリウッド映画での日本かぶれは、今に始まったものではないが、本作の場合東洋と西洋の世界観の違いを描いているので、単なる賑やかしの日本趣味とはちょっと違う。
この映画で提示されるAIに対する価値観は、基本的にヒューマノイドは人間の友であるという「鉄腕アトム」以来の日本的なものだ。
近年では「her/世界でひとつの彼女」「アフター・ヤン」の様に、ハリウッド映画の考え方にも多様性が生まれているが、本作と同じく未来のAIとの戦争を描いた「ターミネーター」シリーズに代表されるように、ハリウッドは伝統的に人間のように見えるヒューマノイドを「敵」として描いてきた。
ところが本作では、物語の前提からして違うのである。
戦争のきっかけになった核爆発も、実は人類側のエラーによって引き起こされていて、政府は事実を隠蔽し責任をAIに押し付けて排斥している。
結果的に世界にはAIの難民が溢れかえり、各国では戦争に対しプロテストする動きも出ている。

妙に既視感のある設定だが、これは従来のアメリカの戦争、外交政策に対する不信感が影響しているのだろう。
存在しない大量破壊兵器を口実に、イラク戦争を開始して以来、対テロ戦争という泥沼に引き込まれ、世界中に難民を溢れさせた事実を、存在しない脅威を口実に、AIとの戦争を始めた映画の設定に置き換える。
劇中で米軍は、ニルマータを殺害することを目的に、他国に好き勝手に戦闘部隊を送り込んでいるが、これもビンラディン殺害作戦などで実際に米軍がやっていたこと。
舞台が南アジアなのも、かつての大義なき戦争であるベトナム戦争を思わせる。
人間の姿のAIが、ほとんど有色人種なのもこの文脈だろう。
AIと戦争した結果、米軍はAIを使えなくなったので、自立思考できない自爆ロボットなどを使ってAIを攻撃しているのは、現実の逆転ですごくシニカルだ。
ハリウッドの大作でここまで明確に、アメリカそのものを「悪」と認定した映画は珍しい。

もちろんギャレス・エドワーズはオタクだから、日本文化が影響を与えているのはテーマ性だけでなく、ビジュアル的にも「AKIRA」や「風の谷のナウシカ」などからの引用多数。
ある程度の既視感はつきまとうが、一つのビジョンの中でトンマナは統一されたており、デザイン的にもなかなかに見応えがある。
プロットは子供を守るアウトローの逃避行という古典的なものだが、主人公の行動原理が「真実の愛」だというのがロマンチストなこの作家らしいところ。
ジョシュアは任務とは別に、心からマヤのことを愛してしまい、死んだはずの彼女に一目会うことが彼のファーストプライオリティになっているのだ。
やがてアルファオーの本当の正体が明らかになり、もはや任務そっちのけで「敵を愛する」彼のジレンマは頂点に達するのである。
そして「敵」としてのアメリカの、ラスボスであるNOMADを巡るクライマックスは、映像的にも未見性があって素晴らしい仕上がり。
全ての伏線が回収される、一番テンションがアガるシーンは、完全に「ローグ・ワン」の名シーンの再現だ。
この人滅びの美学が大好きで、そんなところも東洋的。
AI渡辺謙もかなり美味しい役で、久しぶりにスケールの大きなSF世界を堪能した。

ところで私が観たのはシネスコサイズのスクリーンだったのだが、上下が結構余ってるなと思ってたら、これアスペクト比が2.76:1というほとんどシネラマに近い超横長サイズ。
IMAXサイズは用意されてないらしく、本作に関してはIMAX鑑賞はおすすめ出来ない。

今回は、映画を観た人なら分かる「スリーピング・ビューティー」をチョイス。
トロピカルフルーツとウォッカ、コニャックをブレンドして作られるリキュール、ヒプノティック90mlを氷と共にシェイクし、グラスに注ぐ。
次にキンキーピンク・リキュール60ml、ウォッカ60ml、レモンライム・ソーダ30mlを氷と共にシェイクし、青いヒプノテックの層を壊さないように、静かに注ぎ入れる。
キンキーピンクが入手できない時は、類似のピンク系リキュールでも可。
グラデーションカラーが美しい、甘酸っぱいカクテルだ。

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コメント
この記事へのコメント
AI側が本気で戦争しようとしたら、資源さえあれば無尽蔵にAI兵士を量産できてしまいそう。それってキャシャーンのアンドロ軍団、いや、単純にターミネイターか。でも「新造人間ジョン・デヴィッド・ワシントン」ってのもちょっとそそる。銃を使わず、キック、アタック、電光パンチだ。
AIがどこまで意図的に人を殺せるか、殺したいかは不明瞭だったけど、自衛はしたいが強く踏み込みたくないみたいな感覚なのかな。
2023/11/23(木) 09:47:39 | URL | fjk78dead #-[ 編集]
こんばんは
>ふじきさん
AIは戦争したくないでしょう。あれはアメリカ軍が自分のミスを隠すためにAIに濡れ衣を着せたので、完全なとばっちりですよ。
2023/12/03(日) 20:45:00 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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