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ショートレビュー「ティル・・・・・評価額1650円」
2023年12月23日 (土) | 編集 |
それでも、世界は変わる。

1955年の夏、シカゴに住む14歳の黒人少年エメット・ティルが、親戚を訪ねた先のミシシッピ州マネーで白人たちに拉致され、リンチの末惨殺されてタラハシー川に捨てられた。
理由は、白人の商店主の妻キャロリン・ブライアントに向かって口笛を吹いたから。
遺体は全身を殴られ、片目を抉り取られた上で、頭部を銃撃されていた。
壮絶な暴行の痕跡が残る遺体を見た母のメイミーは、世界を変えるべく行動を起こす。
息子に何が起こったのかを知らせるために、無惨に損壊された顔が見えるよう、棺の蓋を開けたまま葬儀を行なったのだ。
多くの市民が葬儀に参列し、報道された事件の衝撃は、公民権運動の歴史に強い影響を与えることとなる。
監督と共同脚本をシノニエ・チュウクが務め、この事件を追ったドキュメンタリー作品の作者で、事件の再審に道を開いたことで知られるキース・ビーチャムが脚本に参加している。

映画の前半は事件の顛末で、後半が裁判劇。
非常に有名な事件だし、ジム・クロウ法時代の南部で起こったことなので、観る前から結論は分かっている。
もちろん差別はあるものの、命の危険のない北部で育ったエメットは、白人の機嫌を損ねることが、そのまま死に直結する南部の過酷な現実に対して、ほんの少しだけ実感を持っていなかったのかも知れない。
ともあれ、彼の悪意なき無邪気な行為に対して、結果はあまりにも残酷だ。
一応、容疑者として商店主のロイ・ブライアントと異母兄弟のJW・ミラムが起訴されたものの、法を執行するはずの保安官は露骨な差別主義者で、裁判の陪審員として入ってきたのが全員白人男性だった時の絶望感。
理不尽な出来事が次々と起こり、それが全く何も正されない状況に観客のストレス指数はMAXに跳ね上がる。
出来れば、精神状態が良好な時に鑑賞した方がいい。

母親のメイミーを演じるダニエル・デッドワイラーが、出ずっぱりの大熱演。
エメットを失った絶望から裁判での鬼気迫る証言、そして映画の最後に描かれる事件後に全米黒人地位向上協会(NAACP)の依頼を受けてのスピーチと、息子を殺された可哀想な母から世界を変える活動家となってゆく様を説得力たっぷりに演じ切る。
まさに母は強しである。
またプロデューサーでもあるウーピー・ゴールドバーグが、メイミーの母アルマの役で出演しているのだが、登場時間はごく短いながらも、エメットのミシシッピ行きを勧めたことを後悔する気持ちをメイミーに吐露するシーンで、強い印象を残す。

アメリカの歴史は、保守とリベラルの間を揺れ動く振り子だと言われる。
しかも地域によって、振り幅や振れるタイミングがズレる厄介な振り子だ。
2020年代にはこの時代の様な制度的な差別は減少したが、あの手この手で差別構造を固定化しようとする力は、今も働いている。
南部ジョージア州では、現在のジム・クロウ法と言われる黒人の投票を難しくする法律が成立したし、丸腰の高校生のトレイボン・マーティンを射殺した自警団の男が無罪となり、Black Lives Matter運動の切っ掛けとなった2012年の事件や、ジョージ・フロイドが警察官に殺された事件は記憶に新しい。
アフタートランプの現在から見ると、振り子を元に戻さない努力が必要なことがよく分かる。
リンチを厳罰となる連邦法のヘイトクライムに定義する、「エメット・ティル・リンチ防止法」は2022になってようやく成立したが、もしかすると今はビフォアートランプの時代かも知れないのだから。

今回は、全ての差別撤廃を訴えたキング牧師のスピーチから、「ドリーム」をチョイス。
ブランデー40ml、オレンジ・キュラソー20ml、ぺルノ1dashを、氷と共にシェイクしてグラスに注ぐ。
ブランデーのコクとオレンジのフレッシュな風味が組み合わさり、ぺルノの個性が両者を繋ぎ合わせる。
ちょっと甘めで、複雑な味わいを楽しめる一杯だ。

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コメント
この記事へのコメント
やるせない
ノラネコさん☆
リンク貼って下さりありがとうございます。
南部の野蛮な発想がここまで根強くはびこって居るなんて、想像力が追いついていない自分を反省しています。きっと少年も同じだったのでしょう。
それにしても白人に話しかけるだけで殺される時代があったなんて!
2024/04/11(木) 23:05:53 | URL | ノルウェーまだ~む #gVQMq6Z2[ 編集]
こんばんは
>ノルウェーまだ〜むさん
北部で育ったティルは、いくらなんでもこんなに簡単に命を取られるとは思ってなかったのでしょうね。
これは50年代の話ですけど、残念ながらいまだにあるんですよねえ。
一体何が人をレイシストにしてしまうのか。
2024/04/23(火) 21:11:33 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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1955年8月28日、アメリカ合衆国ミシシッピ州マネー。 14歳の黒人少年エメットが白人女性に対して「口笛を吹いた」という理由で拉致され、激しいリンチを受けて殺されたあげく、遺体は川に投げ捨てられた。 その「エメット・ティル殺害事件」は、やがてアメリカ社会に変革をもたらしてゆく…。 実話から生まれた社会派ドラマ。 PG-12
2024/01/01(月) 01:17:58 | 象のロケット