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ショートレビュー「12日の殺人・・・・・評価額1650円」
2024年03月20日 (水) | 編集 |
彼女はなぜ殺されたのか?

少し時間のズレた同じ時系列を、四つの別視点で描いてゆく「悪なき殺人」がユニークだったドミニク・モル監督の最新作は、未解決事件を扱ったポーリーヌ・ゲナのノンフィクション「18.3 - A year at the PJ」にインスパイアされた作品だ。
発想の元になったのは2013年にパリ近郊のラニー・シュル・マルヌ起こった「モード・マレシャル殺人事件」だ。
若い女性が何者かにガソリンをかけられ、焼殺されたこの事件は、発生から11年が経つ現在でも犯人逮捕には至っていない。
映画では舞台をフランス南部のグルノーブル近郊に移し、被害者となるクララ・ロワイエが殺される日時を2016年10月12日の深夜に設定。
事件を追う刑事たちのリーダー、ヨアンに「悪なき殺人」にも出演していたバスティアン・ブイヨン、彼のバディとなるベテラン刑事のマルソーを、ブーリ・ランネールが演じる。
※核心部分に触れています。

姿なき殺人犯と、その背を追い続ける刑事たち。
なるほど、これはフランス版の「殺人の追憶」だ。
被害者のクララは、美人な上にダメンズ好きで惚れっぽく、捜査線上には彼女と関係を持ったという怪しい男たちが次々に浮かび上がる。
当初は早期解決かと思われるも、決定的な容疑者は見つからない。
しかしこの作品の場合、最初から“未解決事件”と断っているので、犯人探しのミステリは全く核心ではないのである。
映画が描き出すのは、被害者に感情移入し時には何年も犯人の背中を追い続けることが、刑事たちの心に何をもたらすのか?ということ。
これも「殺人の追憶」と共通で、おそらくモルはこのカテゴリのマスターピースをベンチマークしているはずで、いつしか主人公のヨアンと同僚のマルソーもキム・サンギョンとソン・ガンホに見えてくる。

本作の最大の特徴は、若い女性が理不尽に焼き殺された事件を描くにあたり、根深い男性中心社会を掘り下げていることだ。
舞台となっているグルノーブルは、最近では「落下の解剖学」の舞台となったフレンチアルプスの玄関口。
一歩街を出れば、切り立った岩山が聳え立つ。
主人公のヨアンの趣味は自転車なのだが、映画の冒頭で彼はレース用のオーバルトラックをぐるぐると走り続けている。
そしてシーンが警察署に移ると、そこにいる刑事たちは男だけなのである。
ヨアンもマルソーも、この世界にどっぷりと使っていて、知らず知らずのうちに偏った視点になってしまっていることに気付いていないのだ。
彼らは最初から犯人は被害者の男関係だと信じ込んでいて、他の可能性は早々に排除してしまう。

難解な事件に挑む刑事たちは、どこにも行けない回し車を走り続けるハムスターのように、徐々に疲弊して事件の闇に取り込まれ、ある者は心を破壊される
それはまるで、自転車で同じ場所をぐるぐる回るヨアンの姿と重なる。
事件が発覚した後、ある刑事が「ジャンヌ・ダルクの昔から、男たちは女性を燃やしてきた。だから犯人は男だ」と発言する。
これは加害性の認識としては正しいのだが、ある意味単純過ぎる世界観だ。
映画は全体の3/4が2016年の捜査を描き、終盤の1/4が迷宮入りした後の2019年の再捜査を描く。
三年の間に、刑事課には優秀な女性捜査官が配属され、事件を掘り起こしヨアンに再捜査を命じる判事も女性。
実際の事件と同じく、それで犯人が検挙されるわけではないが、刑事たちはようやく同じ場所の堂々巡りを脱するのである。
閉じたオーバルトラックでなく、険しいが開かれたアルプスの山に挑むヨアンの姿に希望が見える。
優れた暗喩劇であり、犯人捕まえてスッキリという単純な映画ではないが、一見の価値はある作品だ。

今回は、刑事たちを惑わす月光をイメージし「ムーン・グロー」をチョイス。
クレーム・ド・カカオ・ホワイト60ml、ドランブイ60ml、生クリーム60mlをシェイクして、グラスに注ぐ。
クレーム・ド・カカオの風味にドランブイの深いコクが加わり、生クリームが全体をマイルドに纏め上げる。
甘めで飲みやすい、乳白色のカクテルだ。

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