fc2ブログ
酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。ネット配信オンリーの作品は★5つが満点。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係なTBもお断りいたします。 また、関係があってもアフェリエイト、アダルトへの誘導など不適切と判断したTBは削除いたします。

■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ショートレビュー「パスト ライブス/再会・・・・・評価額1650円」
2024年04月09日 (火) | 編集 |
この人生には「縁」がある?

韓国ソウルに育ち、海外移住のために別れ別れになった幼馴染のナヨンとヘンソンが、24年後にニューヨークで再会する。
しかし今はノラという英語名で生活するナヨンには、7年前に結婚したアーサーという夫がいる。
24年ぶりの再会は、二人の今にどのような化学変化をもたらすのか。
韓国系カナダ人の劇作家、セリーヌ・ソンの半自伝的作品で、主人公のノラとヘソンをグレタ・リーとユ・テオが演じる。
アメリカ映画だが、劇中で話される言語のほとんどは韓国語。
それでも批評家、観客双方の支持を受けてクリーンヒットを記録し、96回アカデミー賞では、作品賞、脚本賞にノミネートを果たし、インディペンデント・スピリット賞では作品賞、監督賞に輝いた。

初監督作品とは思えない、非常に洗練された端正な映画である。
セリーヌ・ソン監督は、やはり劇作家で夫のジャスティン・クリツケスと、ニューヨークを訪れた韓国人の友人と三人で食事をしている時に本作のアイディアを着想した。
ソンは英語と韓国語を通訳しながら、自分自身の中の二つのアイデンティティの間を行き来していることに気づいたという。
この状況を、そのまま再現したファーストカットが面白い。
バーのカウンターで語り合う三人の男女を、第三者の“誰か”が見ていて、三人の関係を推測する。
親しげに語り合うアジア人の男女と、すこし手持ち無沙汰な白人男性。
アジア人女性と白人男性がは夫婦で、アジア人の男性は友人?それともアジア人の二人は旅行者の夫婦で、白人男性は観光ガイド?
どんな関係だか分からない三人の人生のドラマを、これから垣間見ることになることを予告する、秀逸なプロローグ。

本筋の物語はソウルからはじまる。
12歳のナヨンとヘソンは、大の仲良しでお互いが初恋の人。
だがナヨンは芸術家の両親と共に、カナダに移民してしまう。
長い歳月が流れ、ノラという英語名を名乗り、新進の劇作家となっていたナヨンは、ヘソンが自分を探していることを知る。
二人は12年ぶりにSNSで繋がるが、お互いに再会には踏み切れないまま時間だけが過ぎてゆく。
そして別れてから24年が過ぎた頃、結婚してNYに暮らすナヨンをヘソンが訪ねて来る。
36歳となったナヨンには同業者の夫がいて、ヘソンには別れたんだか別れてないんだか、微妙な関係の恋人がいる。
安いメロドラマなら、ここで焼け木杭に火がついて・・・となるところだが、本作はそうはならない。
激しい感情やリアリティのないドラマ性は削ぎ落とし、24年の歳月が相思相愛だった二人をどう変えていったのか、それを今どう認識しているのか、感情の機微を丁寧に描いてゆく。

劇中何度も出て来るのが「イニョン(因縁)」という言葉で、輪廻の中での「縁」とか「宿命」みたいな意味。
ナヨンとヘソンには、間違いなくイニョンがある。
でも無限に繰り返される輪廻の中では、ある人生では結ばれ、ある人生では結ばれない。
さて、この人生はどっち?という話。
タイトルが「Past Lives」と複数形なのも、このためだ。
思い出のシーンと再会のシーンを共に大きなオブジェの前にしてシンクロさせたり、再会の時のハグと別れの時のハグを逆の仕掛けにしたり、反復性のシンボリズムを生かした粋な演出が光る。
韓国で過ごした子供時代と、移民として生きている現在まで、どちらが欠けてもナヨンの今はない。
だから、同じ時間を過ごしていなかったとしても、ヘソンは彼女にとってかけがえのない大切な人なのだ。

初恋の幼馴染との再会という、シチュエーションそのものは普遍的だが、人生観の哲学は完全に東アジアの情緒で、日本人にとっては非常に感情移入しやすい。
逆にアメリカの観客にとっては、劇中でナヨン自身も言っている通り、理解できるけど違いもあるのが興味深いのだろう。
ナヨンの夫が、二人の話のハリウッド映画版みたいな、陳腐なバージョンの話を披露するのが可笑しい。
誰もが共感出来て余韻が長く尾を引く、素敵な大人のラブストーリーだ。

ニューヨークが舞台の本作には、「マンハッタン」をチョイス。
カナディアン・ウィスキー45ml、スウィート・ベルモット15ml、アンゴスチュラ・ビターズ1dashミキシンググラスでステアし、カクテルグラスに注いだ後ピンに刺したマラスキーノチェリーを沈めて完成。
この美しいカクテルの起源に関してはウィンストン・チャーチルの母、ジェロニー・ジェロームが発案者だという説もある。
1876年にマンハッタン・クラブで開かれた民主党大統領候補の応援パーティで、即興で作ったカクテルで、後に会場の名前からマンハッタンと呼ばれる様になったのだそうな。

ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね




[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ミナリ【Blu-ray】 [ ハン・イェリ ]
価格:1,650円(税込、送料無料) (2024/4/8時点)


スポンサーサイト




コメント
この記事へのコメント
アジア的
ノラネコさん☆
少し前に試写会で見ました。
非常にアジア的情緒でしたよね。それが欧米の人たちには新鮮に映ったのだなぁと感じました。
監督が実際に韓国からアメリカに移住してきたことで、両方の感覚を持ち合わせているからこそ生まれた話なのかもしれないですね。
そうでなければアジア的には余りにありふれた話でもあるし、欧米感覚からは思いつかない物語なのだと思います。
2024/04/10(水) 23:02:06 | URL | ノルウェーまだ~む #gVQMq6Z2[ 編集]
こんばんは
>ノルウェーまだ~むさん
アメリカ映画を観てるというよりも、韓国映画みたいでした。
でもそれを韓国系カナダ人が撮ってるという面白さ。
移民社会ならではの作品で、それが米国で受けているのだと思いましたね。
その意味で「ミナリ」などの系譜の作品なのでしょう。
2024/04/11(木) 20:56:54 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
韓国ソウル。 12歳の少女ノラと少年ヘソンは互いに恋心を抱いていたが、ノラの海外移住により離れ離れになってしまう。 …12年後、24歳になりニューヨークとソウルでそれぞれの人生を歩んでいたふたりはオンラインで再会を果たすが、想い合いながらもすれ違ってしまう。 …更に12年後の36歳、再会の機会が訪れるが…。 ラブストーリー。
2024/04/20(土) 22:38:58 | 象のロケット