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あゝ、80’s! 「REM」と8㍉映画の時代
2005年12月05日 (月) | 編集 |
rem

板張りの床にパイプ椅子、無造作に並べられた座布団・・・・そして、熱気ムンムン妙に濃いアングラ顔の観客たち
いや~久々に8㍉映画の上映会に行ったら、80年代にタイムスリップしたのかと思っちゃったよ。
1984年に作られた「REM」という自主映画があるんだけど、そのほぼ二十年ぶりという上映会があったのだ。
当時8㍉映画を撮り始めたばかりの自主映画小僧だった私は、今は無き文芸座ル・ピリエで「REM」を観て、心臓を鷲掴みされたようなショックを受けた。

改造機械人間(サイボーグ)の少女たちがセリにかけられる市場を舞台に、記憶を探すアンドロイドの少女「過子」の物語。
サイボーグですらない完全機械人間の過子は、人間の男の愛を得る事で、自らの生の証を得ようとする。


監督は太田達也。アンドロイド少女の過子を演じるのは、当時「聖ミカエラ学園漂流記」などで小劇場シーンのトップアクトレスだった(今もだけど)美加理
上映時間1時間40分、凝った美術と美しい映像、やたらレベルの高い演技陣による「REM」は正しく「8㍉を超えた8㍉映画」だった。
「ス、スンゲエ~!8㍉でもここまで出来るんか!」
あの頃、ル・ピリエの暗闇で私同様に刺激を受け、そのまんま映像で飯を喰うようになってしまった人間は決して少なくないと思う。

1980年代は日本におけるフィルムの自主制作映画が、ある種のサブカルとしてピークを迎えた時代だった。
まあ日本に限らない事だけど、60年代の終わり頃からテレビに押されて映画の観客動員は減少の一途をたどり、メジャーのスタジオが担ってきた映画人の育成システムが破綻してしまう。
「入社→助監督→監督デビュー」という社員映画人の時代が突然終わってしまった。
そこで社員経験を持たない、自主映画出身者が脚光を浴びる時代が来る。
その第一世代は自主映画から産声を上げたばかりのTVCMの世界で活躍し、映画監督になった大林宣彦らで、彼らに50年代生まれの大森一樹や森田義光、石井聰亙、黒沢清といった人材が続く。
80年代を迎える頃には、手塚眞、今関あきよし、小中和哉、松岡錠司、犬童一心といった60年代生まれの俊英たちが続々と作品を発表し、上映会には長蛇の列が出来た。
難解な芸術作品からおバカSFまで何でもあり。
当時は小劇団のブームもあって、アングラ系サブカルが一気に表舞台を喰おうとしていた。
考えられますか?学生の8㍉映画で小規模ながらビジネスが成立してたんだよ。
同じ頃関西では、日本SF大会のDAICON FILMで大阪芸大の山賀博之、庵野秀明たちが徹底的にエンターテイメント志向の「アニメ、特撮」という大きな流れを作り、やがてそれはガイナックスの設立に繋がってゆく。

まあ、ざっと名前を見ただけでも現在の日本映画の中心にいる人たちがこの頃の自主映画から輩出されてるのが判る。
現代の日本映画が良くも悪くもアングラの流れを汲んでいるのも、このあたりに源流がある。
その後90年代に入って、8㍉は製造から撤退するメーカーが相次ぎ衰退。
ビデオ機材とデジタル技術の進歩に伴い、フィルムに拘って16㍉を使ってきた自主映画作家たちもビデオ撮影、フィルムプリントに乗り換える人続出。
ついにはパソコンでCG作品を作ってネットで配信する時代を迎えるにいたって、自主映画も本当に様変わりしたね。

で、20年ぶりに見た「REM」がどうだったかというと、思い出の中の初恋の人に20年ぶりに再会した気分(笑
灯りが落ちて、カタカタと映写機が回りだし、画面に画が映し出されると・・・

く、暗っ!
8㍉ってこんなに暗かったっけ?(映写機が10年前に壊れてから、自分の作品もずっと観てなかった)
ああ、音割れてるし、カメラの不調が原因だと思うがピンもボケてる・・・
シナリオももっと練り込めるよなあ・・・
編集もっと上手くやったらいいのに・・・


でも、でもだよ。
「REM」に関して言えばやっぱり美加理は素晴らしいし、演出的にもラスト15分の情感と美しさは圧倒的な物があった。(これをイマジナリーラインもモンタージュも知らないアマチュアが作ったのだから凄い)
20年前8㍉小僧で、あれから何百本もの映画を観て、今は一応プロとして映像やってる目から観ても、この部分に関しては全く脱帽するしかない。
思い出の中の「REM」は多少美化されてはいたけども、やっぱり本質的な部分では今見ても古びない物を持っていた。

しかし、日本のサブカル系自主映画も、例えば大林宣彦の「いつか見たドラキュラ」あたりから数えればもう40年くらいの歴史があるわけで(もちろんそれ以前にも存在してるし)、何かこう図書館みたいに保存して、観たい時に観られる様に出来ないものかね。
ネガを持たない8㍉フィルムの場合、作者の所有するオリジナルに何かあれば永遠に失われてしまう訳で、デュープして保存する意味は大きいと思うんだけど。
最近やたらと出来てる映像関係の大学とか、作りませんかね?「自主映画資料館」なんて。
いや、最近一緒に仕事をしたCM関係の若い子に、生まれてこの方「フィルムを扱ったことが無い」と言われて、軽いカルチャーショックを感じた訳で。
まあ映画学校がフィルムを教えない時代だし、ビデオ中心のプロダクションなら、もっともな事ではあるんだけど、「フィルムの自主映画ってどんなのがあったんですかねえ?全然知らないです」とか言われちゃうと、見せてあげたくなっちゃうし、あとはこれだけの作品が二十年間も人目に触れないというのも、何とももったいない話だと思うんだけれど。

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