酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
EX MACHINA -エクスマキナ-・・・・・評価額1350円
2007年10月29日 (月) | 編集 |
「EX MACHINA -エクスマキナ-」というヘンテコなタイトルだが、英語タイトルに「Apple seed」が入っている事からも判るように、2004年に公開された士郎正宗原作のSFアニメ「アップルシード」の続編的な作品。
前作同様に荒牧伸志が監督を務め、主人公のデュナンを演じる声優も共通で、今回はプロデュースにジョン・ウー、音楽監修に細野晴臣が参加している。

西暦2138年。
世界に壊滅的な打撃を与えた非核大戦後に、世界の平和を維持するために築かれた理想都市オリュンポス。
ここは人間とサイボーグ、そして人間のDNAを元に感情を抑制し、クローン技術で作られたバイオロイドが共存する街。
特殊部隊ES.W.A.T.の隊員デュナン(小林愛)と彼女のパートナーでサイボーグのブリアレオス(山寺宏一)はある作戦に参加するが、そこでデュナンをかばったブリアレオスが瀕死の重傷を負ってしまう。
戦線離脱となった彼の代わりに、デュナンの新たなパートナーとしてテレウスが配属されるが、彼はブリアレオスのDNAによって作られたバイオロイドで、肉体を失う前の彼の顔を持っていた・・・・


これは間違いなく「アップルシード」なのだが、公開が近かったせいか、どうしても「ベクシル 2077日本鎖国」とイメージがかぶる。
元々「ベクシル」自体、「アップルシード」をプロデュースした曽利文彦が監督しているし、キャラクターや美術などは同一の作品と思えるほどによく似ていて、いわば異母兄弟のような関係にある作品だ。

だが、あちらが「日本人絶滅」という超豪快なホラ話とサプライズな世界観で、派手に見せるSFにもって行ったのに対して、こちらの話は本質的にはずっと小さい。
もちろん、派手なドンパチの見せ場も盛りだくさんではあるのだが、本作で中心となるのは、主人公デュナンと機械の肉体を持つパートナー、ブリアレオス、そして人間だった頃のブリアレオスの顔を持つテレウスの間の三角関係だ。
彼らは人間、サイボーグ、バイオロイドを象徴するキャラクターで、そこには異なる存在間での寛容性というテーマも持っているのだが、本質的にはこの三人の関係だけで完結する物語であり、それをマッドサイエンティストによるクーデター計画という大仕掛けが外側から揺さぶる構造になっている。
ある意味で、近年の日本のSFらしいのは「ベクシル」よりもこちらだろうし、テーマ的にも興味深いのだが、話が小さくて繊細な分だけ、細かい脚本のアラが目に付くのが残念。

奇妙な全体主義思想に凝り固まったマッドサイエンティスト集団が、携帯端末を利用して人々をコントロールしようとするのに、ES.W.A.T.がなかなか気がつかなかったりするのはかなりマヌケ。
怪電波が発信されて、人々が狂うのだから、真っ先に電波の受信装置を疑うだろうよ・・・普通は。
そもそもマッドサイエンティストたちの主張する、一つの意識っていうのは、例えば「インベージョン」で提示された全体意識みたいな概念だが、映画を観る限りではどう考えても単なる暴力的ヒステリー状態にしか見えないのが辛い。
この映画の最も大きな仕掛けの部分で、結局マッドサイエンティストたちは何がやりたかったの?という印象になってしまう。
また肝心のクライマックスが「天空の城ラピュタ」の中で「マトリックス・レボリューションズ」をやったようなオリジナリティの無い物だったのも少々がっかり。
過去の作品にオマージュを捧げ、引用するのは決して悪いことではないが、上手くやらないと単なるパクリに見えてしまう。

またこれも「ベクシル」とかぶるのだが、この手の3DCGのキャラクター造形は、どうもマネキン人形が喋っているようで不気味さが拭えない。
ブリアレオスみたいに完全にメカフェイスだとあまり違和感が無いのだが、80年代の日本アニメから抜け出してきたようなアニメ顔で、でかい黒目を持つヒトミ政務次官などは特に気持ち悪かった。
この方向性のCGアニメはハリウッドのものとは一線を画すスタイルだし、日本の2Dアニメの延長線上にある物としてポテンシャルは感じるのだが、キャラクターをどう描くかに関しては一考の余地ありだ。

「EX MACHINA -エクスマキナ-」は、デュナンを挟んで、機械の肉体を持った人間ブリアレオスと、感情を抑制されたもう一人のブリアレオスであるテレウスが対峙するという構造は興味深いし、心理劇としてはまずまず面白いのだが、アクションSFとしての作りの荒っぽさが、本質の部分の邪魔をしてしまっているように思う。
それなりに楽しめる作品なのは確かだが、繊細なテーマにあわせて物語ももう少し丁寧に作れば、もっと奥行きのある作品になったと思う。
同じようなスタイルの作品で比較すれば、まるで70年代のSFの様な豪快さで、細部の破綻を吹き飛ばしてしまうパワーを持った「ベクシル」に軍配を挙げたくなる。

それにしても、この商売っ気の全く感じられないタイトルは何とかならなかったのか。
一体どれだけの日本人が「エクスマキナ」のラテン語の意味を解るのだろう。
演劇用語である「deus ex machina」=「機械仕掛けの神」から採ったのだろうけど、これでは大半の観客には全くイメージが伝わらないだろう。
同じ事は「ベクシル 2077日本鎖国」の時にも思ったのだが、どうも日本のSF物はタイトルのつけ方が妙に内向きで、センスが感じられない作品が多い。
タイトルって、単に内容を表すだけじゃなくて、それを的確に観客にイメージさせる役割があると思うのだけどな。

今回はギリシャ神話をモチーフにした作品だけに、ギリシャのワイン「アヴァンテス シラー」をチョイス。
ギリシャは元々神話時代からのワインの歴史を持つ国だが、こちらは複雑で繊細な香りと、豊かなボディを持つ赤。
バランス、という点では映画にもこのくらいのレベルを期待したかったところだが、力強い味わいが補ってくれそうだ。

ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね
人気ブログ検索 <br />- ブログフリーク
こちらもクリック!

も一回お願い!







スポンサーサイト

コメント
この記事へのコメント
ホラ話の方が好き。
こんにちは。

ぼくはあまり難しいSFが理解できず、
『ベクシル』のような昔ながらの
ホラ話の方がとっつきやすいです。
隣の科学好きなオジさんがブリキで作った宇宙船で
星空へ旅立つ-----
みたいなSFがいいな。
こりゃ、やはり年とったかな(笑)。
2007/10/30(火) 08:28:41 | URL | えい #yO3oTUJs[ 編集]
ベクシルは観なかったのだけど
こんにちは。
もう少し丁寧な脚本で、ドラマももう一歩踏み込んで描かれていたらなーという感想でした。

3Dキャラ画も頑張ってはいましたが、未だに「不気味の谷」は越えられませんね。ほかが素晴らしいだけに勿体無いことですが、アニメでやる必要がなくなってしまうほどの技術の進歩もつまらないし・・・と、アニメはアニメらしくても良いのではないかと思うこの頃です。
2007/10/30(火) 15:20:21 | URL | たいむ #-[ 編集]
こんにちは
久しぶりのジョン・ウー・アクションをフルCGで体感できたというのが一番の印象ですね。露骨に各種のキーワードを提示してくれたもの好印象でした。
ただ、ストーリーは印象が薄くて、『エクスマキナ』=「機械仕掛けの神」というタイトルに負けている感じがしました。タイトル通り、テクノロジーの暴走をもっと深く描いて欲しかったですね。
2007/10/30(火) 22:52:25 | URL | えめきん #-[ 編集]
こんばんは
>えいさん
私は屁理屈をこね回すようなSFも好きなんですけど、それならそれで徹底的に話を構築してほしいです。
これはちょっとどっちつかずで、全体が荒っぽい印象になってしまいました。
「ベクシル」も細部の荒さは変わらないのですけど、あっちはビジュアルの説得力で見せきってましたね。

>たいむさん
技術的には不気味の谷を克服することはもう出来ると思うのですが、問題は日本の伝統的なアニメキャラをどう表現するかなんだと思います。
どうにもこの手のデザインは3Dとの相性が余りよくない様な気がします。
アメリカのテレビアニメあたりは、あえて3DCGっぽくなく作るのが流行りなので、ここらでちょっと別の方向性も考えてみても良いんじゃないかと思います。

>えめきんさん
物語の弱さがネックでしたね。
大枠は良いから、細かいところをもっと練れば良いのにと思いました。
なんか勢いで書いてしまって、そのまま検証せずに作ってしまったような強引さがありました。
2007/10/31(水) 01:36:02 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
なぜ代わったんでしょうね~?
ノラネコさんこんばんわ♪TB有難うございました♪

べクシルが公開されてからあまり間が開かずの公開だったので、どうしても比較してしまいますね。ストーリー云々やら表情のリアルさ云々etcetc。
でも続編的な作品なのになんでブリの声だけ変わってるのかが不思議。デュナンの小林愛は変わっていないのにブリだけ前の小杉十郎太じゃなく山ちゃんに代わってたので、最初はやっぱり違和感があったかも?

ひょっとして小杉十郎太・・・・今ビリー隊長の吹き替えで忙しいから山ちゃんに代わってもらったんでしょうか?(笑
2007/10/31(水) 23:04:50 | URL | メビウス #mQop/nM.[ 編集]
こばんは
>メビウスさん
まあ色々とあった作品の様なので、キャスティングにも何かと影響しているのかも。
個人的にはやはり前作の方が好きですね。
今回はちょっと無理やりな部分が多かったです。
2007/11/04(日) 01:12:13 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
こんばんは
ノラネコさん、こんばんは!
昨日はお疲れさまでした。
また新年会でもやりましょう。

「アップルシード」から続く3Dキャラ、難しいですねえ。
「ベクシル」よりはまだアニメっぽかったので、気持ち悪さ加減は少なかったですが。
お話的にはいままでのSF映画で出てきたテーマが因り合わさっている感じで新鮮味少なかったですね。
2007/11/18(日) 17:52:46 | URL | はらやん #-[ 編集]
こんばんは
>はらやんさん
いや、こちらこそオバカな話ばかりで申し訳なかったです(笑
この映画、一昔前の「アリス」あたりと比べると遥かに洗練されてきてるんですが、やはりキャラの表現はこの路線のネックだなあと改めて思いました。
方向性としては間違ってないと思うんですけどねえ。
まあこれは話もあんまり新味は無かったですね。
2007/11/19(月) 00:40:12 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
アップルシードのエクスマキナって、字面を見ているとスタバのメニューにありそうな感じしません?私だけ?(焦)以前はこういうゲームCGみたいな絵柄は苦手だったんだけど最近は慣れてきたみたいで抵抗感はなくなりました。世の中的にも今やこれが主流なのかな?出演....
2007/10/30(火) 00:28:55 | カノンな日々
----この映画、ジョン・ウーがプロデュースしたんだって?「うん。なにせ人気の『アップルシード』だからね」----えっ、これって『エクスマキナ』でしょ?「うん。邦題はね。でも、英語のタイトルは『APPLESEED EXMACHINA』。つまりこの2作は同じ世界観の中で成り立っている
2007/10/30(火) 08:29:03 | ラムの大通り
「デウス・エクス・マキナ」とは、「機械仕掛けの神」だそうだ。それだけでネタバレである・・・と言ってしまってはマズイか?(意味わかんないよね?w)ゲームなのか、3DCGアニメーションなのか、実写なのか
2007/10/30(火) 15:18:37 | たいむのひとりごと
つい先日、映画『APPLESEED』とよく似た絵作りなCGアニメ映画『ベクシル』が公開されたばかりなのに、また?と、思っていたら、こちらは言わずと知れた士郎正宗原作の『APPLESEED』から、新たな構想で作られた正統な続編。タイトルにはサーガと付いているので、もう一本全く
2007/10/30(火) 16:16:48 | そーれりぽーと
ジョン・ウーといえば白い鳩・・・
2007/10/30(火) 21:12:22 | ネタバレ映画館
予定通りアップルシードの続編「エクスマキナ」 (APPLESEED SAGA E
2007/10/30(火) 21:58:15 | Wilderlandwandar
西暦2138年。中立都市オリュンポスで、謎のアンドロイド暴走事件が発生する。特殊部隊ES.W.A.T.が調査に当たるが、戦闘でサイボーグ戦士ブリアレオスが負傷してしまう。そしてパートナーであるデュナンの前に、過去のブリアレオスと瓜二つの男テレウスが現れる。日本...
2007/10/30(火) 22:47:01 | 5125年映画の旅
「EX MACHINA -エクスマキナ-」は3年前に公開された「アップルシード」の続編で世界非核戦争後に建設されたオリュンポスを舞台に何ものかに世界の衛星コンピューターを乗っ取り、人、バイオロイド、サイボーグを操って反乱を起こすが、特殊部隊ES.W.A.T.のデュナンらが反
2007/10/31(水) 08:24:19 | オールマイティにコメンテート
★☆★ベクシルのお勧めアイテム!★☆★ベクシルは観なかったのだけどバイオハザード 裏技《無双orochi》〔バイオハザードワハハハハ、マジで???いつも谷原章介 で黒木メイサ大好き!〔エクスマキナ〕ポーション飲んでスザンヌが好きなようです。「仮面ライダー THE NEXT」
2007/10/31(水) 20:13:39 | ブログ検索結果BLOG
【監督】荒牧伸志【声の出演】小林愛/山寺宏一/岸祐二/沢城みゆき/五十嵐麗/高島雅羅【公開日】2007/10.20【製作】日本【ストーリー】2138年。非核大戦によって、人類はその半数が死滅。負傷した多く
2007/10/31(水) 22:58:14 | シネマをぶった斬りっ!!
「不気味の谷」という言葉がある。 これはロボット工学で言われている概念で、ロボッ
2007/11/11(日) 07:23:15 | はらやんの映画徒然草
現在、全国ロードショー中です。&quot;EXMACHINA&quot;&quot;APPLESEEDSAGA:EXMACHINA&quot;監督・・・荒牧伸志プロデュース・・・ジョン・ウー原作・・・士郎正宗『アップルシード』音楽・・・細野晴臣、HASYMO、テイ・トウワ、コーネリアス、reiharakami、m-flo、他。出演
2007/11/13(火) 17:11:17 | MY HIDEOUT~私の隠れ家~
肉体はただのいれものに過ぎないのだよ ・・な~んてこと言われると その世界感はまるでエヴァじゃないですか。 ひとが争わない世界を作るためには 存在をひとつにとか、同じ価値観しか認めないとか、 ・・・要は思いをぶつけるべき相手すらいない そこまでいかないとダメ
2007/11/18(日) 00:36:40 | ペパーミントの魔術師
レビューを更新しました。レビューを見てみたい方は当HP↓からどうぞ。Review→映画レビュー、から見れます
2007/11/24(土) 10:42:43 | 20XX年問題
『EX MACHINA -エクスマキナ-』公式HPはこちら ←クリック●あらすじ西暦2138年、人類は非核大戦によって半数が死滅。停戦と共に誕生した中立都市(オリュンポス)には、人間とサイボーグ、そして人間の遺伝子でつくられ怒りや憎しみを制御された種族“バイオ
2007/11/24(土) 19:21:12 | 映画と秋葉原と日記
 評価/★★☆☆☆ (シネ・アミューズにて鑑賞)  監督:荒牧伸志  この作品のせいでベスト10を見直さざるをえなくなった。  ベクシルであきらめかけた3Dライブアニメの未来を、この作品のおか げでまだまだ未来を期待していいと思った。  この『EX MACHI...
2007/12/26(水) 12:21:08 | シネマ・ダグアウト -cinema dugout-
総理辞任表明しましたねぇ{/cat_5/} …と、そんなことはさておき、 9月です…9月といえば当ブログの誕生月{/cake_2/} もうすぐ3周年です。 9月といえば…もう9月ですか…「スターウォーズ/クローン・ウォーズ」を観に行けていない{/cat_3/}私ですが、あれっていつまで上...
2008/09/02(火) 21:39:22 | ピロEK脱オタ宣言!…ただし長期計画
あらすじ大戦後の2138年、中立都市オリュンポスの特殊部隊所属の戦士デュナンとブリアレオスは固いきずなで結ばれた戦友であり私生活では恋人同士でもあった。ある日、ブリアレオスは戦闘中にデュナンをかばい重傷を負い一命はとりとめたものの昏睡状態になってしまう。そ...
2008/11/02(日) 20:08:23 | 虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映画 ブログ