2008年01月06日 (日) | 編集 |
「ルイスと未来泥棒」は新生ディズニー発、ホリディーシーズンの正統派子供アニメ。
「ロボッツ」のウィリアム・ジョイスの原作を、スティーブン・アンダーソン監督が映像化している。
雰囲気はなかなか楽しそうで、演出もスピーディーなのだが、作劇に少々難ありだ。
赤ん坊のときに母に捨てられたルイスは、孤児院で天才発明少年に育つが、そのとっぴな行動と奇妙な発明品のおかげで養子縁組は断られてばかり。
ある時、母に対する思いを募らせたルイスは自分の記憶をスキャンして、潜在意識中の母の顔を映像化する機械を発明するのだが、発表会場の科学フェアには山高帽の怪しい男と、奇妙な少年が潜入していた。
実は彼らは未来人で、ルイスの機械は山高帽の男に盗まれてしまう。
ルイスは未来人の少年ウィルバーと共に未来へ向かうのだが・・・・
とにかく前半物語が進まない。
ルイスが発明して、未来人がやって来て、未来へ行ってという個別の展開はあるのだが、それらがなかなか有機的に結びつかないので、お話が進んだ感じがしないのだ。
ワンシチュエーションのコントを連続して見せられている様で、しかもその一つ一つがやたらと長いので正直言って退屈。
周囲のお子様たちも欠伸を連発していたので、これは私だけの印象ではないだろう。
未来世界は楽しそうだし、登場人物はエキセントリックだけど、それだけで話は持たない。
この作品の場合、「山高帽の男の正体」という一点の謎に、物語全体が引きずられてしまった。
彼の正体を隠すことに気を使いすぎて、決定的に説明不足なのだ。
もちろん、謎を引きずってその間は状況の面白さで持たせ、後半一気に物語を動かすと言う考えは分からなくも無いが、盗まれました、未来に来ました、変な人たちと会いました、という一つ一つのシチュエーションが物語上どんな意味を持つのかが一向に説明されないままどんどん進んで行くので、観客は置いていかれてしまう。
本来時間物の面白さは単なる謎解きではなくて、絡み合った過去と未来の状況をどう解決するかという部分にあるのではないか。
これほどまでに謎を謎のまま引っ張る必然性は無く、実際後半に入って登場人物の相互関係が明らかになると、話は俄然面白くなるのだから、この作劇は明らかに失敗だっただろう。
後半の入り組んだ因縁を解決する過程は、あまりタイムパラドックスなどのSF的なことは考えられておらず大らかで単純なのだが、展開がスピーディーでなかなかに楽しい。
帽子型ロボットなんてドラえもんチックなメカとの戦いが、一瞬マトリックスのパロディになったり、ビジュアルイメージもここへ来て生き生きしてくるのだが、どうせならこのノリで全体を作れば、お子様CGアニメ版の「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」になったのに。
この作品は、2006年5月にピクサーがディズニー傘下に入り、実質的にディズニーのアニメ部門がピクサーの仕切りになってから制作された第一作にあたり、エグゼクティブ・プロデューサーとしてジョン・ラセターがクレジットされている。
もっとも制作期間を考えると、物語作りに二年を費やすと言うピクサー流が十分に反映されているとは思えず、3Dオブジェクト同士の食い込みがそのままになっている部分があるなど、映像的にもピクサー作品と比べると明らかにラフで、技術的にも特に見るべきところは無い。
ラセターのディズニー改革はまだ漸くその途についたところなのかもしれないが、この作品を観る限り、ディズニーブランドでのCGアニメは明確にお子様向け、もう少し年齢層の高い観客にはピクサーブランドという住み分けをしてゆくのかもしれない。
どちらかと言うとラセターには、ディズニーのアニメ部門トップに就任したときに明言した2Dアニメ部門の再生をより期待したいところだ。
さて、キッズアニメでお酒というのもなんだが、付き添いのお父さんたちのために正月に喜ばれる酒の代表として「越乃寒梅」の純米酒をチョイス。
すっきり辛口の新潟を代表する酒で、正月の定番だ。
冷かぬる燗で飲むのが美味しい。
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「ロボッツ」のウィリアム・ジョイスの原作を、スティーブン・アンダーソン監督が映像化している。
雰囲気はなかなか楽しそうで、演出もスピーディーなのだが、作劇に少々難ありだ。
赤ん坊のときに母に捨てられたルイスは、孤児院で天才発明少年に育つが、そのとっぴな行動と奇妙な発明品のおかげで養子縁組は断られてばかり。
ある時、母に対する思いを募らせたルイスは自分の記憶をスキャンして、潜在意識中の母の顔を映像化する機械を発明するのだが、発表会場の科学フェアには山高帽の怪しい男と、奇妙な少年が潜入していた。
実は彼らは未来人で、ルイスの機械は山高帽の男に盗まれてしまう。
ルイスは未来人の少年ウィルバーと共に未来へ向かうのだが・・・・
とにかく前半物語が進まない。
ルイスが発明して、未来人がやって来て、未来へ行ってという個別の展開はあるのだが、それらがなかなか有機的に結びつかないので、お話が進んだ感じがしないのだ。
ワンシチュエーションのコントを連続して見せられている様で、しかもその一つ一つがやたらと長いので正直言って退屈。
周囲のお子様たちも欠伸を連発していたので、これは私だけの印象ではないだろう。
未来世界は楽しそうだし、登場人物はエキセントリックだけど、それだけで話は持たない。
この作品の場合、「山高帽の男の正体」という一点の謎に、物語全体が引きずられてしまった。
彼の正体を隠すことに気を使いすぎて、決定的に説明不足なのだ。
もちろん、謎を引きずってその間は状況の面白さで持たせ、後半一気に物語を動かすと言う考えは分からなくも無いが、盗まれました、未来に来ました、変な人たちと会いました、という一つ一つのシチュエーションが物語上どんな意味を持つのかが一向に説明されないままどんどん進んで行くので、観客は置いていかれてしまう。
本来時間物の面白さは単なる謎解きではなくて、絡み合った過去と未来の状況をどう解決するかという部分にあるのではないか。
これほどまでに謎を謎のまま引っ張る必然性は無く、実際後半に入って登場人物の相互関係が明らかになると、話は俄然面白くなるのだから、この作劇は明らかに失敗だっただろう。
後半の入り組んだ因縁を解決する過程は、あまりタイムパラドックスなどのSF的なことは考えられておらず大らかで単純なのだが、展開がスピーディーでなかなかに楽しい。
帽子型ロボットなんてドラえもんチックなメカとの戦いが、一瞬マトリックスのパロディになったり、ビジュアルイメージもここへ来て生き生きしてくるのだが、どうせならこのノリで全体を作れば、お子様CGアニメ版の「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」になったのに。
この作品は、2006年5月にピクサーがディズニー傘下に入り、実質的にディズニーのアニメ部門がピクサーの仕切りになってから制作された第一作にあたり、エグゼクティブ・プロデューサーとしてジョン・ラセターがクレジットされている。
もっとも制作期間を考えると、物語作りに二年を費やすと言うピクサー流が十分に反映されているとは思えず、3Dオブジェクト同士の食い込みがそのままになっている部分があるなど、映像的にもピクサー作品と比べると明らかにラフで、技術的にも特に見るべきところは無い。
ラセターのディズニー改革はまだ漸くその途についたところなのかもしれないが、この作品を観る限り、ディズニーブランドでのCGアニメは明確にお子様向け、もう少し年齢層の高い観客にはピクサーブランドという住み分けをしてゆくのかもしれない。
どちらかと言うとラセターには、ディズニーのアニメ部門トップに就任したときに明言した2Dアニメ部門の再生をより期待したいところだ。
さて、キッズアニメでお酒というのもなんだが、付き添いのお父さんたちのために正月に喜ばれる酒の代表として「越乃寒梅」の純米酒をチョイス。
すっきり辛口の新潟を代表する酒で、正月の定番だ。
冷かぬる燗で飲むのが美味しい。

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この記事へのコメント
オオブタさんはベタすぎるということで評価は微妙でしたが、私はこのねんとも前向きで健全な思考が帰庫地よくて好きでした。
比較的早めに未来に出会った人たちやとか山高帽の男の正体が分かってしまったのですが、それでも楽しめました。
またラストルイスが過去よりも未来を選んだ行動も好感をもちました。
もう少し細かい所上手くつくってくれたらもっと面白くなったのにというのは残念ですよね~
比較的早めに未来に出会った人たちやとか山高帽の男の正体が分かってしまったのですが、それでも楽しめました。
またラストルイスが過去よりも未来を選んだ行動も好感をもちました。
もう少し細かい所上手くつくってくれたらもっと面白くなったのにというのは残念ですよね~
2008/01/11(金) 11:21:35 | URL | コブタです #-[ 編集]
>コブタさん
話はなんとなくドラえもんにありそうな一遍だなあと思いました。
ただ、その場その場のシチュエーションだけで見せようとしている前半が辛かったです。
ウィルバーはアメリカ映画にありがちな、「説明しない登場人物」の典型で、彼の家族紹介の部分は正直ハイテンション過ぎて引きました(笑
後半話が動き始めると、俄然面白くなったのですが、トータルだと前半の印象で低評価になってしまいました。
話はなんとなくドラえもんにありそうな一遍だなあと思いました。
ただ、その場その場のシチュエーションだけで見せようとしている前半が辛かったです。
ウィルバーはアメリカ映画にありがちな、「説明しない登場人物」の典型で、彼の家族紹介の部分は正直ハイテンション過ぎて引きました(笑
後半話が動き始めると、俄然面白くなったのですが、トータルだと前半の印象で低評価になってしまいました。
2008/01/12(土) 18:09:08 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
今回はピクサーはまったく関ってないと思ってたのですが、一応ラセター氏がスタッフに名を連ねてるんですね
これまでの本家ディズニーアニメよりも、ストーリー面で冒険しているように思えるのはそのせいでしょうか
ピクサーの名作に比べるとアンバランスというか荒削りな点は否めませんけど、それがかえって作品の個性になっているような気もします
ポップな未来社会のビジュアルは、星新一の作品で挿絵をよく描いておられた真鍋博氏のそれに近いと感じました
シャボン玉が弾けるように飛んでいくタイムトラベルの描写は、なかなか独特でした
これまでの本家ディズニーアニメよりも、ストーリー面で冒険しているように思えるのはそのせいでしょうか
ピクサーの名作に比べるとアンバランスというか荒削りな点は否めませんけど、それがかえって作品の個性になっているような気もします
ポップな未来社会のビジュアルは、星新一の作品で挿絵をよく描いておられた真鍋博氏のそれに近いと感じました
シャボン玉が弾けるように飛んでいくタイムトラベルの描写は、なかなか独特でした
>SGA屋伍一さん
クレジットはされていますが、制作時期を考えると実作業にはあまり関わってないでしょうね。
少なくともプリプロダクション段階は無関係でしょう。
ラセター色が出てくるとしたら、この次の作品からという気がします。
オリジナルにこだわるラセターの事だから、必ずしも原作物にはこだわらない気がしますし、どんな作品が出てくるか楽しみです。
もうすぐ公開の「魔法にかけられて」もよく考えれば、久々のディズニー2D+3Dアニメ+実写なわけで、こんな作品が出てくるのもスタジオの体制が変わったからかもしれませんね。
クレジットはされていますが、制作時期を考えると実作業にはあまり関わってないでしょうね。
少なくともプリプロダクション段階は無関係でしょう。
ラセター色が出てくるとしたら、この次の作品からという気がします。
オリジナルにこだわるラセターの事だから、必ずしも原作物にはこだわらない気がしますし、どんな作品が出てくるか楽しみです。
もうすぐ公開の「魔法にかけられて」もよく考えれば、久々のディズニー2D+3Dアニメ+実写なわけで、こんな作品が出てくるのもスタジオの体制が変わったからかもしれませんね。
2008/01/13(日) 17:17:16 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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パーフェクトに練られた物語にほれぼれした。孤児院育ちのルイスはまだ見ぬママに会うため、メモリー・スキャナーを発明するが、未来泥棒に機械を盗まれる。未来へ、そして現在へと戻る時間旅行の間に、意外にして絶妙な人間関係を盛り込んだ脚本が見事。ピタリと合う辻褄...
2008/01/07(月) 09:38:31 | 映画通信シネマッシモ☆プロの映画ライターが贈る映画評
意外にも,めっちゃええ話。
2008/01/07(月) 10:21:51 | Akira\'s VOICE
監督:スティーヴン・J・アンダーソン
「赤ちゃんの頃孤児院の前に置いていかれたルイスは独りぼっち。科学の好きなちょっと変わっている彼にはなかなか里親が現われない。そんなある日、ルイスの作った記憶をスキャンする機械を狙った山高帽の男が現われた。それを教え
2008/01/10(木) 11:40:00 | 日々のつぶやき
一ヶ月間フリーパス券で映画観まくるぞキャンペーン第2弾はコチラのウィリアム・ジョイスの絵本原作の「ルイスと未来泥棒」
コブタが大好き...
2008/01/11(金) 11:16:07 | コブタの視線
花泥棒、恋泥棒、牛泥棒、馬泥棒・・・・ 「世に盗人の種は尽きまじ」とは申しますが
2008/01/12(土) 14:43:40 | SGA屋物語紹介所
今年初の邦題VS原題対決!かな…。
2008/01/12(土) 19:57:44 | My Favorite Things
今年最後(?)かな^^;『ルイスと未来泥棒』・・・アニメで締めるかぁ~(笑)タイムトラベラーもので、バックトゥザフューチャーぽい家族のないルイス少年は、発明が大好きでルームメイトの野球少年の睡眠時間は彼の為に削られる日々・・・でも結構失敗続きでめり込んで
2008/01/13(日) 00:15:17 | 黒猫のうたた寝
監督:スティーヴン・J・アンダーソン
声の出演:ダニエル・ハンセン、ウェズリー・シンガーマン、ニコール・サリヴァン、ハーランド・ウィリアムズ、アンジェラ・バセット、スティーヴン・J・アンダーソン
評価:80点
公式サイト
ひたすらに前向きなメッセ....
2008/01/19(土) 20:58:11 | デコ親父はいつも減量中
空飛ぶ車にカラフルな色使いの未来の建物、カエルのバンドやタコ執事さん、変わり者ばかりだけど気の良いウィルバーの家族達など、いつもならそれだけで心が躍るはずなのに…。
観る私がその体制になかったのか、気持ちが全然入っていかなかった
2008/01/22(火) 06:49:48 | honu☆のつぶやき ~映画に恋して~
平日休みなので、年初の映画鑑賞は二本立て。
1本目はホラーだったので、2本目はディズニーのファンタジーアニメ。
2008/02/02(土) 03:12:28 | ひらりん的映画ブログ
去年の年末年始は、映画館でやってる映画を、好き嫌いなく全部観よう!とかやっちゃいましたが、今年はどうもそんなに観たい映画が無い。まあ、観たいのは帰省前に、ほぼ観ちゃったというのもあるんですけどね。
そんな中、先日、ワーナー・マイカル・シネマズ名取エア...
2008/02/15(金) 19:48:00 | 欧風
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レンタルで鑑賞―【story】発明家を夢見るルイスは、幼い頃に母と生き別れて養護施設で育った。彼は一目母親に会いたいという一心で、忘れてしまった記憶を呼び戻すマシーンの開発に熱中し見事成功。科学フェアでの発表の当日、彼の前に未来からやって来たという少年ウィ?...
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≪ストーリー≫
養護施設で育ったルイスは、発明好きの12歳。だが発明が失敗し、大爆発を起こすことも…。問題児と見なされ、なかなか里親が決まらない彼は、ある日「ボクがママの顔を思い出せれば、ママを探せるかもしれない」と思いつく。連日連夜の奮闘の末、忘れてし...
2008/12/29(月) 22:04:19 | ナマケモノの穴
作品情報
タイトル:ルイスと未来泥棒
制作:2007年・アメリカ
監督:スティーヴン・J・アンダーソン
出演:ジョーダン・フライ(白石涼子)、ウェズリー・シンガーマン(吉野裕行)、スティーブン・J・アンダーソン(屋良有作)、スティーブン・J・アンダーソン(納谷六朗)?...
2010/08/05(木) 01:20:04 | ★★むらの映画鑑賞メモ★★
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