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リボルバー・・・・・800円
2008年06月02日 (月) | 編集 |
姉さん女房に才能を吸い取られてしまったのか、マドンナとの結婚後いまいちパッとしないガイ・リッチー監督の新作・・・と言っても、本国イギリスでの公開は3年も前。
昨年のアメリカ公開時に再編集したバージョンが、ようやく日本公開の運びとなった。

ギャンブラーのジェイク(ジェイソン・ステイサム)は、カジノ経営者のマカ(レイ・リオッタ)の罠にはめられ7年の監獄生活を送る。
服役中、独房の両隣にいたチェスの天才と詐欺の天才から、「勝利の方程式」を学んだジェイクは、出所後無敵のギャンブラーとして巨万の富を築き、遂に復讐のためにマカのカジノに乗り込み、直接勝負で圧勝する。
マカは凄腕の殺し屋ソーター(マーク・ストロング)を雇い、ジェイクを暗殺しようとするが、ジェイクは間一髪のところで突然現れた謎の二人組みザック(ビンセント・パストーレ)とアヴィ(アンドレ・ベンジャミン)に救われるのだが・・・・


観てなぜ本国での公開から二年間もアメリカ公開が遅れたのか、そして再編集までして公開したアメリカで興行収入僅か8万ドルという惨敗に終わったのかが、よ~く理解できた。
ガイ・リッチーはもう一度映画作りの基本に立ち返ったほうが良い。
そうでなければ彼は終わってしまうだろう。
「リボルバー」は一言で言って全く意味不明。
一体何がやりたいのかさっぱりわからない、典型的なマスターベーション映画である。

前半はまあいい。
悪徳カジノ王に嵌められたギャンブラーが、刑務所でチェスと詐欺の天才から知恵を授かり、復讐を開始するが、彼の復讐に恐れをなしたカジノ王は殺し屋を雇い、襲われたギャンブラーは謎の高利貸二人組みに救われる。
二人組みはギャンブラーが病気でもう直ぐ死ぬという証拠を見せ、死ぬまで彼を守る代わりに今まで稼いだ金を貢がせる。
高利貸の正体は何者なのか?不治の病は本当なのか?金は一体どの様に使われているのか?
謎が謎を呼び、入り組んだ人間関係は、迷宮での出口探しに頭を使うコン・ムービーを予感させて、まずは面白く見ることが出来る。

しかし、後半になると現実と幻想が混濁する展開となり、登場人物の心の声が現実を浸食し、スクリーンで一体何が起こっているのか全く解らなくなってしまう。
画面のカットが現実のストーリーライン上の物なのか、主人公の幻想なのか、殆どデタラメに入り乱れる時系列も手伝って、物語は全く収束しないま唐突に空中分解して幕を閉じる。

演出の類似一つとっても、要するに「ファイトクラブ」みたいな事がやりたかったのだろうと推測するが、残念ながらフィンチャーのような計算は全く映画から感じることは出来ない。
もちろん、観客を混乱させて、物語の迷宮を彷徨わせる作品も無くは無い。
作り手と受けての騙しあいでもあるコン・ムービーならなお更だが、この作品の場合は映画の落しどころがどこにも無く、観客は後半一時間に渡って訳のわからない映像の羅列を見せられた挙句、突然放り出されてしまうのだ。

観終わって、これ一応監督の頭の中には何らかの明確なイメージがあるのかどうか疑問になり、ネットで探したところ、リッチーはアメリカ版公開時にこんな事を言っている。
「この映画は、僕自身50回くらい観てようやく理解できた」
ネタか?・・・・つーか、そんな物を金とって人様に見せるな(笑
ジョークだと思いたいが、実際の映画を観ると本気かもと思わざるを得ない。
なんというか、とりあえず謎だけを撒き散らして、結局矛盾だらけで収拾がつかなくなって話をまとめることを放棄したように見えてしまう。
本作はプロデューサーをリュック・ベッソンが担当し、脚本も一部手を入れている様だが、ベッソンは監督自身が理解してない物語を何故に作ろうと思ったのだろうか(笑
本国公開のバージョンを観ていないので何とも言えないが、仮にこれでも再編集で纏まっているとしたら、最初のバージョンはどれほど混乱していたのか、むしろそっちの方が気になる。

「リボルバー」は前半だけならそこそこ楽しめるし、後半もアパートでの銃撃戦などビジュアル的には秀逸なシーンもあるだけに、映画全体としてのビジョンの欠落が勿体無い。
ティザー広告の例を見るまでも無く、人間は本来謎を好む。
だから謎の風呂敷をどんどん広げていけば、どんな物語でもある程度までは観客の興味を繋ぎとめる事はそれほど難しくない。
問題は、広げきった風呂敷をどのようにして畳むかであり、そこにこそ作り手のセンスと技が求められるのである。
残念ながら、ガイ・リッチーは肝心要な部分を無視したまま、風呂敷を広げっぱなしでどこかへ行ってしまった。
置き去りにされた観客は、呆然とするばかりである。

今回は、物語の基点となる「カジノ」をチョイス。
ドライジン40ml、マラスキーノ10ml、レモンジュース10ml、オレンジビターズを適量。
それぞれをシェイクして最後にマラスキーノ・チェリーをドロップして完成。
チェリーの甘みと香りを楽しめる見た目はファンシーなカクテルだが、ジンベースなのでそれなりに強い。
勝負相手に飲ませてひっくり返らせたりしないように(笑
映画もカジノでの出発点は良かったのだけど。

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コメント
この記事へのコメント
リッチーめ!!
ノラネコさん、こんにちは。

>典型的なマスターベーション映画
全くそのとおりですね。
いい表現です(笑)

この作品、劇場でフライヤーを目にして楽しそうだなぁ~と
結構楽しみにしていたんです。
まさか・・・こんな作品とは・・・(苦笑)

>「この映画は、僕自身50回くらい観てようやく理解できた」
オイオイ!ふざけるな!!って感じですよ~(涙)
2008/06/13(金) 13:25:30 | URL | swallow tail #BkkPsjC.[ 編集]
こんばんは
>swallow tailさん
途中まで何とか理解しようとしたのですが、もうマカのところへ行く前あたりで諦めました。
ガイ・リッチーはこのままだと映画を撮れなくなってしまうのではないかと思います。
この人はデビット・リンチにはなれないと思うのですけどね。
2008/06/15(日) 00:56:55 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
こんばんは
>「この映画は、僕自身50回くらい観てようやく理解できた」

そういうことは思っていても決して口にしてはいかんと思います(笑)
「すべて計算した演出で、深い意味が込められてるんだ!」と言ってくれれば、それなりにこじつけようもあるんですがねえ

思えば『エヴァ』にも似たようなところはありましたが、『エヴァ』やその他の不可解映画の傑作群と比べると、気迫というか「突き抜け感」が足らない気がしました
2008/06/18(水) 22:34:27 | URL | SGA屋伍一 #TyXokUWg[ 編集]
こんばんは
>SGA屋伍一さん
その通りだと思います。
なんか途中まではきちんと構成しようとしたのが伝わってくる分、後半の壊れっぷり痛々しい。
相変わらず迷走してるなあという感じです。
この調子だと、私の中では映画館スルーの監督になってしまいそうです。
2008/06/19(木) 23:14:57 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
別の意味でのマドンナの能力が発揮されたのかしら、、
これって、、部分部分は面白いのですが、全体としてみて うーん(--;ですよね~

どう評価するのか、どうとればいいのか悩んでしまいました。

ガイ・リッチーも、観客が何を求めているのかをある程度察知して作ってほしかったですよね~。
2008/06/20(金) 20:29:16 | URL | コブタです #-[ 編集]
こんばんは
>コブタさん
う~む、観客以前に彼自身が何を撮りたかったのかわかってなかったような混乱を感じました。
前半だけならそれなりに面白く観られたんですが・・・・
途中からはひどく退屈でした。
2008/06/22(日) 00:13:40 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
こんばんわ
≫典型的なマスターベーション映画

人から金をとっておいて、オナニー見せるな!!

本日、マドンナとの離婚の話題が
飛び出していたガイ・リッチー。

クリエイターとしてもこんなんで、
そのうえマドンナとも別れたら・・・・

彼はこの先・・・・一体、どうなっていくのでしょうか?
なんとなく気の毒っす(涙)
2008/06/26(木) 23:11:28 | URL | 睦月 #-[ 編集]
こんばんは
>睦月さん
え~離婚話なんて出てるんですか。
マドンナと別れたらますます存在感希薄になりそうですね・・・
なんというか、この人には話題になった「スナッチ」とかからもあんまり才気を感じないんですよね。
実力より名声先行という感じで。
最近はその名声もかげりが出て、なんかこのまま消えてしまいそうな・・・
2008/06/27(金) 00:20:10 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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2008/06/29(日) 23:38:28 | カリスマ映画論
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■邦題:リボルバー ■原題:REVOLVER ■上映時間:115分 ■製作国:イギリス、フランス ■ジャンル:サスペンス、犯罪 ■配給:アステア+アスミック・エース ■提供:アスミック・エース エンタテインメント、住友商事、角川エンタテインメント ■制作:ヨーロッ...
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