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最初の韓流 Unforgettable Movies
2006年01月20日 (金) | 編集 |
新しい年になったので、何か新しい事を書きたいと思い、「自分史の中の映画」というカテゴリを作った。
子供の頃、映画という物に出会ってから早や30年。
多分劇場だけで1000本は観てると思うけど、その中で私的に重要なウェイトを占めている映画を取り上げてみたい。

このブログでも何度か韓国映画やドラマを取り上げてきたが、実は私は結構年季の入った韓国映画ウォッチャーだったりする。
今でこそ、毎月の様に新作を劇場やDVDで観る事が出来るが、日本で最初に韓国映画がロードショーされたのが何時かご存知だろうか。
私の知る限りでは、映画祭などの限定的な上映を除けば、1988年にイ・ギュヒョン監督の「青春スケッチ」とぺ・チャンホ監督の「鯨とり~コレサニャン~」の2本立てが、殆んど単館扱いの小さな規模でロードショーされたのが最初だ。
公開したのは、朴炳陽氏のアジア映画社。
当時の韓国は軍事独裁が終わり民主化宣言が出された直後。
オリンピック開催などで徐々にその社会が世界に知られるようになって来た頃だ。
映画学科の学生だった私は、激動の国から来た映画にいたく興味をそそられた。

「青春スケッチ」(原題:ミミとチョルスの青春スケッチ)は、当時韓国を代表するスターとなりつつあったカン・スヨン主演の、まあ所謂アイドル映画だ。

ジャーナリスト志望の学生チョルスが、英文科の女子学生のミミに恋をする。
チョルスの友人の「宝島」という変人も加わって、若者たちの恋と将来への葛藤が描かれる明るく楽しい青春映画。


カン・スヨンは確かにとても可愛くて演技も上手かったが、後に「シバジ」(製作はこの前年)を観た時の衝撃はまだ感じなかった。
物語自体はわりとありふれてるし、脚本や技術面ではむしろ稚拙さが目立ったというのが当時の正直な印象。
もっとも民主化宣言の頃の韓国社会の前向きな明るさというか、時代の空気の様なものは感じられるんだけどね。

驚いたのは「鯨とり~コレサニャン~」だ。
当時韓国の俊英と言われたペ・チャンホ監督によるロードムービー。
正真正銘の傑作だった。
私が以降ずっと韓国映画を観続けているのは、この作品の好印象によると言ってもいい。

主人公は内気な大学生ピョンテ(キム・スチョル)と、ひょんな事から彼と友達になったホームレスの「親分」(アン・ソンギ)。
そして口のきけない娼婦のチュンジャ(イ・ミスク)。
ピョンテと「親分」は悪徳売春宿からチュンジャを救い出し、一路彼女の故郷であるトンヘ(日本海)の村を目指すのだ。


「青春スケッチ」同様に、脚本のディテールや、編集、撮影技術などは、当時の日本映画と比べても稚拙さが目立つ。
しかしこの作品には、それらを補って余りある品格と人間愛、そして何よりも作り手が語りたい「物語」があるのだ。
タイトルの「鯨とり」とは、私は聴いた事が無いが、放送禁止となった唄のタイトルから来ているそうだ。
大学生ピョンテにとっては「鯨」とは何か大きな物、掴み取りたい物。
しかし長い旅の終わりに、最終的にたどり着く彼の「鯨」は無償の愛である。
「鯨とり」の製作された1984年は、民主化闘争が大きな盛り上がりを見せる少し前の時代だ。
映画の内容は一見時代性とは関係ない様だが、無気力に生きるピョンテが、チュンジャの自由を取り戻し、自分自身の心に確固たる自我を築く物語が、同時代の人々に無感動に受け取られる訳は無い。
私はここに、長い長い独裁と言論封殺下に生きる映画人たちの気骨を観た。
キム・スチョルとイ・ミスクも好演してるが、二人を精神的に導く「親分」アン・ソンギが素晴らしい。
この希代の名優は以来ずっと私のフェイバリットコリアンアクターなのだ。

80年代の民主化以降、急速に世界に開かれた韓国映画は、まるで砂漠に水か沁み込むかの様に、急激に映像技術を吸収し、表現技法を洗練させた。
私は海外映画祭などで毎年の様に多くの韓国映画を観てきたが、ここ15年間の技術的な洗練と表現の多様化はまさに爆発的だった。
日本での韓流ブームはある日突然やってきたような印象があるが、その背景には80年代から、地道に韓国映画を紹介してきた朴炳陽氏やシネカノンの李鳳宇氏の様なディストリビューターの努力、そして何よりも韓国映画自体の多様化がある。
産業化が急速に進み、製作本数公開本数共に増えた結果、玉石混合になりつつあるが、それはやむを得ないだろう。

日本における韓流の元祖ともいうべきこの二本は、残念ながらビデオ、DVD共に絶版になってしまっているが、一部のレンタルビデオ店にはまだ当時のビデオが残っている所もある様なので、機会があれば是非ご覧あれ。
特に「鯨とり」ね。
「鯨とり」以降、韓流以前、いくつもの傑作を観てきたが、それはまた別の機会に紹介したい。

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