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琉神マブヤー THE MOVIE 七つのマブイ・・・・・評価額1550円
2012年01月24日 (火) | 編集 |
ウチナーがあぶない~♪

沖縄生まれのローカルヒーロー、「琉神マブヤー」まさかの映画化である。
テレビシリーズの続編ではなく、1stシーズンのリメイク的なオリジナルストーリーなので、これが初マブヤーの人でも安心して楽しめる。
全国公開の映画になっても、独特のゆるゆるなムードは相変わらずで、ビジュアルも「仮面ライダー」や「戦隊シリーズ」の映画版と比べてもかなりチープだが、本作の世界観ではそれがマイナスにはなっていない。
監督と脚本は佐野智樹と福原充則と本土の人材に代わっているものの、沖縄のマブイ(魂)はしっかりと受け継がれている様だ。
*ネタばれ注意。

ヒーローショーに出演しているウルマ(山田新太郎)は、いつかヒーロー役を演じたいと思っているが、バック転も出来ない運動音痴で、おまけに意思も弱いというダメ男。
主役のサイオン(ISSA)のやられ役すら満足にこなせず、仲間にも足手纏い扱いされ、密かに想いを寄せるアイリ(福本ジュディ幸子)に慰められる惨めな日々。
ところが、ひょんな事からウルマの中に、琉球王国の昔から沖縄の人々を悪の軍団マジムンから守ってきた守護戦士、琉神マブヤーのマブイが宿ってしまう。
復活したマジムンのボス、ハブデービル(ゴリ)はマブヤーを倒して沖縄にマジムン王国を作ろうとするのだが・・・


「琉神マブヤー」は、本作のエグゼクティブ・プロデューサーでもあり、沖縄でお土産物を扱う南西産業社長の畠中敏成が、「男の子向けのご当地キャラクターグッズを」と発案した事から生まれたという。
当初は早朝放送のテレビドラマと、本作で描かれた様なヒーローショーの二本立てで認知度をあげ、やがて沖縄での大ブームと共に徐々に本土でも知られる様になった。
そして2009年のディレクターズカット版DVDによって、漸く沖縄以外でもマブヤーが観られる様になると、一部でカルト的な人気を博す様になるのである。

実際、初めてドラマ版のマブヤーを観た時の驚きは忘れられない。
本作のヴィランであるマジムンたちは、沖縄の地霊というか、荒ぶる神々の様な存在だ。
彼らの目的は自然を破壊する人間から沖縄を取り戻すことで、人間を自滅させる為に沖縄の人々が大切にしてきたマブイを奪おうとする。
マブイは勾玉の様な秘宝、マブイストーンに宿り、これを奪われるたびに、方言であるとか、旅人を思いやる心とか、沖縄が大切にして来た価値観や文化を忘れてしまう。
沖縄の守護戦士であるマブヤーは、奪われたマブイを取り戻し、沖縄の人々のために平和を守ろうとする。

つまりマジムンもマブヤーも世界の見方が違うだけで、どちらも郷土LOVEは変わらない。
マジムンたちにマブイを奪われる事によって、普段当たり前と思っている沖縄の魂の美しさを教えられたマブヤーは、最終回において遂にマジムンのボス、ハブデービルに向かって「ありがとう」と言うのである。
単純な勧善懲悪がもはや成立しない時代、なぜ戦うのかという理由付け、そしてヴィランとの決着をどうつけるのかという落とし方が、ヒーロー物にとって極めて重要なのは言うまでもないが、敵を許すどころか感謝するヒーローというのは前代未聞だ。
一方の正義は他方からすれば悪かも知れないし、敵を倒すことで新たな憎しみが生まれ、それはいつかお互いを滅ぼすかもしれない。
だが、憎み奪おうとしている相手から「ありがとう」と言われれば、もはやどちらも戦う意味を見出す事が出来ない。
歴史上幾度となく、日本、中国、アメリカといった大国の角逐に巻き込まれてきた、小さな島国が培った文化の懐の深さ。
私はテレビシリーズの見事なオチに、大げさで無く「ダークナイト」に匹敵する衝撃を感じたのである。

映画は、ドラマ版のマブイストーンを、マブイを司る七つ星の星座、マブイスターに置き換え、全体をコンパクトに再構成しつつ、ドラマ版のテーマを別の切り口で見せてくれる。
今回はマブヤーに変身するウルマを、戦いを嫌がるヘタレのダメ男に設定し、彼の成長物語が物語のバックボーンとなるが、ライバル的キャラクターとしてISSA演じる“龍神ガナシー”が登場し、対照的な性格のダブルヒーロー物となっているのも見もの。
マジムン軍団にもジンベエーダーなる新キャラクターが登場し、彼が強烈な吸引力でマブイスターを吸い寄せ、飲み込んでしまう事で、人々のマブイが奪われる。
しかし、その吸引力が巨大隕石というマジムンたちも予期せぬ大きな災厄を引き寄せてしまい、沖縄そのものが消滅の瀬戸際に晒されてしまう。
沖縄の危機に対して、ヒーローとヴィランが、お互いに守りたいと思っている物が実は同じであるという事に気付き、力を合わせて“ゆいまーる”(沖縄古来の相互補助)を組むクライマックスは緊迫感もあり、映像のチープさを物語のテーマ性が補って余りある。

ただ、本作を単体の映画として観れば、幾つか残念な部分も感じた。
例えば、主人公のウルマをダメ男に設定するのはまあ良いとしても、いくらなんでもヘタレっぷりの度が過ぎている。
「こ、こわいんです」「ぼくには戦えません」などという碇シンジ的セリフは、巨大な使徒ならともかく、半分ユルキャラのマジムン相手に言ってもあんまり説得力がない。
彼のウジウジした葛藤を描くのにこれ程時間を使うなら、もう少しマジムンが奪おうとする七つのマブイ「勉、健、食、勇、忠、忍、情」の意味をきっちりと描いて欲しかった。
沖縄の人々には言葉だけでわかるにしても、ドラマ版を知らない本土の人には今ひとつピンと来ないだろう。

まあ、一般的な映画評価の基準で言えば珍品には違いないし、やはりテレビの1stシーズンほどのインパクトは無いものの、この作品の持つ深い精神性と娯楽性の融合は見事だ。
マブヤー誕生に大きな影響を与えたという、秋田のヒーロー“超神ネイガー”とのローカルヒーロー同士の共演や、沖縄神話の最高神、キンマムンさま役で友情出演の仲間由紀恵ら、何気に細かい所まで豪華な沖縄ゆかりの出演者たちを観るのも楽しい。
子供たちはもちろん、付き添いのお父さん、お母さんも思わず夢中になってしまうだろう。

今回はマジムンも大好きな沖縄のビール、「オリオン ドラフト生」をチョイス。
アサヒビールとの提携後、本土でもオリオン銘柄のビールは売られるようになってきたが、実は本土で買えるオリオンは殆どアサヒビールのOEM。
そして、明らかに沖縄の名護工場産のホンモノとは味が異なるので、本土のオリオンしか知らない人は、是非ホンモノを飲んでみて欲しい。
勿論ビールも地のものだから、沖縄で飲むのが格別なのだが、これだけでも南国気分は味わえる。
ラフテーや海ぶどうでも摘みながら、オリオンを飲んでいれば、確かに争い事などバカらしくなってしまうだろう。

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コメント
この記事へのコメント
こんにちは!
初めまして、くくる・ゆぅと申します。
今回、琉神マブヤーの記事をトラックバックさせて頂きました!
とても詳しく書かれていて凄いですよね。
そして、やはりマブヤーには、オリオンビールですね♪
他の映画の記事も、お酒のチョイスと共に書かれる視点が凄く興味深いです~(*´ω`)/
2012/02/21(火) 20:43:19 | URL | くくる・ゆぅ #Mrg33ZbI[ 編集]
こんばんは
>くくる・ゆぅさん
ありがとうございます。
まああんまりシネフィルさんたちに評価されるタイプの映画じゃないのですが、あんまり観てる人も多くないので、好きな人が反応してくれると嬉しいです。
ハワイ版マブヤーの計画も動き出してる様で、まだまだ注目していきたいです。
2012/02/23(木) 21:01:21 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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