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アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち・・・・・評価額1550円
2012年11月26日 (月) | 編集 |
みんな、明日の幸せを探してる。

若きカップルの門出を祝福するために、結婚式に集まった人々。
ところが、この家族がちょっと特殊な事情を抱えていた事から、誰もがハッピーなはずの結婚式の準備は次第に愛憎渦巻くカオスの渦へと落ち込んでゆく。
愛情たっぷりにシニカルな人間模様を描き出したのは、「レインマン」などで知られる名匠バリー・レヴィンソンの息子、27歳の新鋭サム・レヴィンソン監督だ。
彼が若干24歳の時に執筆したオリジナル脚本に、本作の主演を務めたエレン・バーキンが惚れ込み、自らプロデュースを買って出たという。
ちなみに、彼女が映画で初めて大役を得たのは、父レヴィンソンの映画デビュー作でもある「ダイナー」だったのも不思議な縁。
物語の中心となる母親リン役をバーキンが演じ、子供たちには「少年は残酷な弓を射る」のサイコパス少年で注目されたエズラ・ミラー、「スーパーマン・リターンズ」でロイス・レインを演じたケイト・ボスワース、祖父役に名優ジョージ・ケネディ、リンの前夫の再婚相手にデミ・ムーアーら豪華なアンサンブルが揃った。
サンダンス映画祭や東京国際映画祭を始め、各国の映画祭で注目を集めた話題作だ。

別れた前夫ポール(トーマス・ヘイデン・チャーチ)との間に生まれた長男の結婚式のため、今の夫との子供たちを連れて実家に帰省したリン(エレン・バーキン)には大きな心配があった。
それはポールとのもう一人の子で、遅れてやってくる予定のアリス(ケイト・ボスワース)の事。
彼女は両親の離婚の経緯がトラウマとなって自傷行為を繰り返し、今も精神的に落ち着かない状況が続いている。
ポールとアリスを会わせたくないリンは、なんとか二人の接触を避けさせようとするのだが、彼女の行動は他の家族には身勝手と思われ、理解されない。
一方でドラッグ中毒の次男エリオット(エズラ・ミラー)は、ある事ない事を親戚一同に吹き込み、その事が元々仲の良くないリンとポールの再婚相手であるパティ(デミ・ムーアー)との間に更なる溝を作ってしまう。
一瞬即発の雰囲気の中アリスが到着し、いよいよ結婚式の準備は本番前日のリハーサルへと進むのだが・・・


おそらく、この映画を観た多くの観客はジョナサン・デミ監督の「レイチェルの結婚」を連想するだろう。
実際、どちらも結婚式準備の数日間を描く群像劇であり、物語の構造も作品のテーマもよく似ている。
ただ、家族が抱えている問題の困った度はこちらが上だ。
本作のレヴィンソン監督と同じく、巨匠シドニー・ルメットを父に持つジェニー・ルメットが脚本を執筆したあの映画では、アン・ハサウェイ演じる一家の問題児が一人で人間関係を引っ掻き回すが、こちらの映画では家族に誰一人として“普通の人”がいないのである。

リンの子供たちのうち、ポールとの娘であるアリスは精神的に不安定で、幼い頃から自傷行為を繰り返している。
次男のエリオットはドラッグ依存症のうえに虚言癖もあり、三男のベンは軽度のアスペルガー症候群と診断されていてコミュニケーションが不得意。
リン自身も、ポールとの間に未だ消えないわだかまりを抱えて相当に情緒不安定で、いざポール本人と彼の再婚相手のパティと会うと、心のコントロールを失ってしまうのだ。
また実家の父は重病を患い余命幾ばくも無く、母もまた連日発作を起こす夫の介護に疲れ果てている。
要するに、結婚式の主役である長男ディランを除いた家族全員が何らかの問題を抱えており、自らの精神をケアするのに精一杯。
そのため知らず知らずのうちに、それぞれが自分のルールを他者に押し付けてしまい、結果的に更なる軋轢を招いている状態だ。

彼らの問題のうちの多くが、リンとポールの離婚に端を発しており、これが「レイチェルの結婚」における“弟の死”と同じく、家族の心の深層に突き刺さったトゲとなっている。
離婚後ポールに引き取られ、継母のパティの下で育ったデュランは健やかに成長し、晴れの日を迎えようとしているのに、自分が引き取った娘アリスは、深刻な心の病を抱えたまま成長してしまった。
この事がリンにとっては、パティに対するコンプレックスの源となり、結婚式で誰がディランの母親としてヴァージンロードを歩くかで一悶着。
おそらく次男のエリオットと三男のベンの問題も、リンの精神状態が何らかの影響を与えているのは想像に難くない。
ところが、リン自身に全く余裕が無いから、自分を引いて見つめる事が出来ず、また再婚した夫が超楽天的であまり家族の心に立ち入らないタイプなものだから、誰も彼女に冷静かつ客観的な助言を与える事が出来ないのである。
結果、彼女は「一生懸命やっているのに何故?」と余計にドツボに嵌ってゆく。

ここでありがちなハリウッド映画なら、ぶっ壊れてゆく家族の前に大いなる難問を用意して、それを家族が一致団結して乗り越える事で「やっぱり家族の絆って大切だよね」という展開に持ってゆく事だろう。
だが、本作はそんなマーケットが望む方向へと転がりはしない。
結婚式を前に、エリオットがこんな事を言う。
「愛よりも死の方が皆を纏める。9.11だってそうだっただろう」 と。
そう、本作の家族は結婚式という愛の式典では、家族の絆を深める事はなく、表面的には滞りなく進む結婚式と披露宴の裏で、むしろ孤独と虚無感を募らせている様に見える。
そして、どんなに反発しようとも、壊れて見えようとも、彼らが「やはり自分たちは一つの家族なのだ」と実感する瞬間は、結婚式本番の後、意外な形でやって来るのである。
それは、愛する家族が崩壊してゆく様を見つめながら、人生を終えようとする者からの、最後のプレゼントだったのかもしれない。
果たして、リンとその家族の苦悩が救われる事があるのかどうか、映画は決して結論を見せようとはしない。
結婚も死も、延々と続いて生きた家族の歴史の一ページ。
仮に一つの章が終わっても、また次なる章が続いてゆき、一族の誰かが生きている限り、物語は永遠に結末を迎える事はないのである。

しかし、レヴィンソン監督はこの渋い人間ドラマを24歳という若さで書いたというのだから驚きだ。
もしかして、これはレヴィンソン家がモデルの実録物?と思ってしまうが、実際親子仲はあまりよろしくないらしいので、さもありなん。(余談だが、この映画の撮影後にレヴィンソンと主演のバーキンは31歳の歳の差カップルになったというから、これもまた“事実は映画よりも奇なり”というところか。)
思わず吹き出してしまいそうな意味深なタイトルが並ぶ楽曲のセンスも聴きどころで、父親とはまた違ったユニークな才気を感じさせる佳作である。

今回は何ともビターな人間ドラマ故に、反対にハッピーな結婚式の定番カクテル「ウェディングベル・スイート」をチョイス。
ドライ・ジン20 ml、トウニー・ポート20 ml、チェリー・ブランデー10 ml 、オレンジ・ジュース10 mlをシェイクしてグラスに注ぐ。
名前のとおり甘く華やかな味わいで、映画の後味を柔らかくほぐし、ほっと一息つかせてくれるだろう。
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コメント
この記事へのコメント
そうそう。
大団円じゃないんですよね。そこが私は好きです。
エズラ・ミラーくんの醸し出す不協和音感って、これから彼の売りになりそうです。
ノラネコさん的には1550円ってことはイマイチ??

バーキンと監督くっついたんですか。それは母と息子のようですねえ・・・。でも関係ないのかな。
2012/11/28(水) 10:13:35 | URL | rose_chocolat #ZBcm6ONk[ 編集]
こんばんは
>rose_chocolatさん
うーん、大絶賛はしないけど、なかなか面白い。
Bプラスという感じかな。
ビターテイストの群像劇で楽しめました。
まあ程度の差はあれどんな家族も困った部分を持ってますよね。年がら年中団結してる訳もないし。
2012/12/01(土) 19:05:19 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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