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フランケンウィニー・・・・・評価額1600円
2012年12月19日 (水) | 編集 |
創造に一番大切なものとは?

不慮の事故で愛犬を亡くしたギーグな少年が、雷の力を使って犬を蘇らせてしまった事から、小さな街に大騒動が巻き起こるファンタジー。
犬派のティム・バートン監督が、28年前に監督した同名の短編映画をセルフリメイクした作品で、CG全盛時代にあえて人形アニメーションという手法を用い、白黒の3Dで仕立てたユニークな映像は一見の価値がある。
全編に散りばめられたマニアックなディテールも楽しく、B級映画好きの琴線に触れる描写が盛り沢山。
主人公のヴィクター少年の声を「水曜日のエミリア」のチャーリー・ターハーンが演じ、「マーズ・アタック」のマーティン・ショート、「エド・ウッド」でベラ・ルゴシを演じたマーティン・ランドー、そして「シザーハンズ」以来22年ぶりにバートンと組むウィノナ・ライダーらベテラン勢が脇を固める。
映画作家ティム・バートンの原点が垣間見られる、愛すべき小品である。
※ラストに触れています。

郊外の街ニューホーランドに暮らすヴィクター・フランケンシュタイン(チャーリー・ターハーン)は、愛犬のスパーキーといつも一緒。
ところがある日、スパーキーは自動車に轢かれて死んでしまう。
失意のヴィクターだったが、新任の理科の教師・ジクルスキ先生(マーティン・ランドー)の授業で、電気によって死んだ筋肉が動くことを知り、スパーキーを雷で蘇生させる事を思いつく。
実験は成功し、ツギハギだらけながらスパーキーは復活。
だが、その秘密をクラスメイトに知られてしまった事から、子供たちが次々に自分のペットや動物の死体を蘇らせ、それはやがて大人たちを巻き込んで街をパニックに陥れるが・・・・


1984年に作られたオリジナルの「フランケンウィニー」は、当時ディズニーの若きアニメーターだったバートンが監督した上映時間30分の実写白黒短編で、「ネバー・エンディング・ストーリー」などで知られる人気子役のバレット・オリバーが主人公のヴィクター少年を演じた。
本来「ピノキオ」のリバイバルの同時上映作品となるはずだったが、ホラー色が強過ぎて試写を観た子供たちが怖がってしまい、公開中止の憂き目を見る事になり、バートンは責任を取らされてディズニーを解雇されてしまう。
だが、この作品を観た俳優のポール・ルーベンスによって、彼の主演作「ピーウィーの大冒険」の監督に抜擢され、ワーナーで長編デビューを飾る事になるのだから、バートンにとっては映画監督としての出発点となる作品だ。

そして、今やハリウッド有数のヒットメーカーとなったバートンが、人形アニメーションというアナログな手法でリメイクした本作は、実写とアニメと言う違いはあれど、驚く程オリジナルに忠実に作られている。
オープニングの劇中映画から、スパーキーの死と蘇生までが描かれる一連のシークエンスは、長編化に伴う多少の肉付けと新たな伏線が張られているものの、カット割りを含め細かな演出までほとんど同じと言って良い。

では、なぜ今バートンはこの作品をリメイクしたのか?
その答えは、大幅に膨らませられた中盤以降に明らかになる。
オリジナルでは、ヴィクターの蘇らせたスパーキーのツギハギだらけの姿に驚いた大人たちがパニックに陥り、スパーキーを殺そうとする。
ところが、逃げたスパーキーを追ってヴィクターが丘の上に立つ風車小屋に入った所、元ネタであるボリス・カーロフ版の「フランケンシュタイン」同様に火事になってしまう。
焼け落ちる小屋を大人たちがなすすべ無く見つめるなか、スパーキーが自らの身を犠牲にしてヴィクターを救い出すのだ。
ここでは子供の純粋な愛と、見た目の醜さだけで排除しようとする大人たちの不寛容がコントラストとして描かれ、後の「シザーハンズ」などに共通するバートンの異形愛の原型が見られる。

そして、上映時間が約三倍の87分となったリメイク版では、スパーキーの復活から風車小屋でのクライマックスに至るまでの、序破急の“破”の部分が相当に異なっている。
ヴィクターの実験を知ったクラスメイトの子供たちが、科学コンテストに勝つために実験の秘密を盗み出し、面白半分に墓場に眠るペットやら、死んだネズミやら、シーモンキーやらを復活させてしまうのだ。
けれども、スパーキー以外の蘇り動物はみな邪悪な怪物に変貌を遂げて、ちょうど祭りに集まっていた街の人々に襲いかかるのである。
ここからのモンスターパニックは、正にバートンのB級魂と映画的記憶の大爆発。
シーモンキーの集団のイタズラは明らかに「グレムリン」を意識しているし、日系人の少年が蘇らせてしまうカメが変異するのはもちろんあの大怪獣だ。
ちなみにスパーキーのデザインは、バートンがプロデュースとキャラクターデザインを担当したブラッド・バード監督のテレビアニメ、「ファミリー・ドッグ」のキャラクターとほぼ同じなので、デジャヴを感じる人も多いだろう。

しかし、スパーキーはちゃんと心を持って蘇生したのに、どうして他の動物たちは怪物化してしまったのか。
それは劇中、大人たちに危険人物と思われて学校を追放されるジクルスキ先生が、ヴィクターに贈る言葉が全てだ。
彼はスパーキーの実験を成功させた要因は、ヴィクターの“愛”だと言うのである。
科学そのものに善悪は無く、それを使う者の心次第でどちらの可能性も秘めている。
心からスパーキーを愛し、再会を願って行ったヴィクターの実験と、科学コンテストでの勝利という利己的な動機が行わせた他の子供たちの実験の違い。

愛ある創造は成功し、愛なき創造は失敗する。
これが、今回の物語の核心的なテーマであると同時に、ティム・バートン自身がなぜ今になってこの作品をリメイクしたかの理由と言って良いと思う。
バートンは長いキャリアを持つ職業映画監督として、創作のモチベーションを改めて見出す必要があったのではないだろうか。
正直、近年の彼の作品には、「本当にこれ撮りたくて撮ってるのかなあ」と疑問を抱かせる物もあった。
元々アニメーター出身のバートンにとっては、アニメーションこそが創作の原点。
アニメーションという言葉はラテン語で“霊魂”や“息”を意味する「ANIMA」が語源で、命なき存在に生命を与え動かす事を意味する。
スパーキーに対するヴィクター少年のピュアな想いと同様に、バートンは物言わぬ人形たちに一コマ一コマ愛情を注ぎ、スクリーンの中で躍動する新しい命を生み出す事で、「自分はなぜ映画を作るのか」という自らの内面の問いに答えたのではないか。
大傑作とか映画史に残る重要な一本という訳ではないが、良い意味でアマチュアの映画の様に純粋で、作家性が素直に感じられる佳作であり、個人的にはとても好きな作品になった。

今回は、犬のラベルが印象的なカリフォルニアのマクナブリッジ・ワイナリーから、赤ワインの「フレッド・レッド」をチョイス。
このワイナリーには、創業者の名を冠したオリジナルのマクナブ・ドッグという犬種がおり、実際にフレッドとクレイドという犬が番犬として働いてるそうだ。
お味の方はベリー系の華やかな香りとスッキリしつつも余韻も楽しめるミディアムボディ。
こってり系のクリスマスディナーなどとも相性は良いだろう。
ところで犬派のバートンは猫にはあんまり思い入れが無い様子で、猫キャラの扱いだけが猫派としてはちょっと(´・ω・)カワイソス。
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コメント
この記事へのコメント
そういえば
こんにちは。
本作を観て、大好きな『シザーハンズ』を思い出しました。
そういえばティム・バートンは好きな監督だったんだe-257
2012/12/19(水) 23:38:52 | URL | ナドレック #cxq3sgh.[ 編集]
こんばんは
>ナドレックさん
私はバートン作品では「シザーハンズ」と「ビッグ・フィッシュ」が一番好きです。
シザーハンズは旧作の「フランケンウィニー」のストレートな発展系でしたね。
最近のバートンはモチベーションの低さが作品からも感じられたので、まるでアマチュアの様に楽しそうな本作は良かったです。
2012/12/19(水) 23:46:12 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
こんにちは
ノラネコさん、こんにちは!

こちらの作品のティム・バートンが一貫して持っているテーマの原点ですよね。
確かにこの10年くらいのいくつかの作品は「らしくない」のもいくつかありましたが、おっしゃる通り、原点をもう一度確認するような意味合いがあったのかもしれません。
あとは駆け出しのころ、やりたくてもやれなかったことをもう一度やってみたいという気持ちもあったのかもしれませんね。
2012/12/21(金) 09:18:37 | URL | はらやん #-[ 編集]
とにかく、楽しめました。こんなに自然に楽しく笑うことができる映画は久しぶりです。再訪するかもです(ホビットも、ホビットはじんわり来ます)。
Toshiaki君だったか、英語の癖をだした日系または日本人キャラにも大笑いです。背の高い同級生のペットが変身する模様とその後の運命にも笑いが止まりませんでした。主要な住民一人一人に笑いが止まりません。ヴィクター一家と回りの人たちとの関係変化もなかなか見せてくれます。
サイエンスフェアへの暖かい視線と辛らつな視線(というよりシニカル程度かな)もなかなか、でした。去りゆく正義(化学の先生)と、そこを乗り越えて主人公が成長していく、というのはクリシェなのかもしれませんが、うまい仕掛けだとおもいます。元となった作品を存じ上げないのですが、構成がしっかり、脚本が良いのですね。
たくさん笑いましたが、見終わった後ぎゅっと誰かを抱きしめたくなる、そんな感じでした。
取り留めなく申し訳ありません。結構好きな映画となりました。くどくならない上映時間に仕上がっているのも好感持てます。
2012/12/22(土) 08:08:34 | URL | さゆりん #mQop/nM.[ 編集]
こんばんは
>はらやんさん
今年の「ダーク・シャドゥ」を観た時は、バートンはモチベーションを失っているんじゃないかと思ったので、やはりいったんリセットする必要があったのでしょうね。
彼の作品としては非常にパーソナルな作品ですし、まるで自主映画の様に楽しんで作っているのが伝わってきました。

>さゆりんさん
同級生たちや彼らの蘇らせる物はオリジナルには無い要素なのですが、ここをただ膨らせただけでなくちゃんとテーマと結び付けてくるあたり、バートンの28年の進化を見ました。
愛すべき小品というのはこういう作品なのでしょうね。
2012/12/29(土) 22:12:29 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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いかにも日本ではウケが悪そうなキャラクターデザインだけど、このタッチは欧米では受け入れられているのだろうか。 これまでのフランケン映画に対するオマージュも挟み込むなど
2012/12/24(月) 22:26:43 | センタのダイアリー
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