酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係なTBもお断りいたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
キャビン・・・・・評価額1650円
2013年03月05日 (火) | 編集 |
この世界の秘密を知りたいか?

「クローバーフィールド/HAKAISHA」の脚本家、ドリュー・ゴダードの監督デビュー作は、山奥のキャビン(山小屋)を訪れた5人の若者に降りかかる恐怖を描いた、超異色のホラー映画。
プロデュースと共同脚本には「アベンジャーズ」ジョス・ウェドンが名を連ね、若者たちの一人を演じるクリス・“神”・ヘムズワースも同作繋がりだ。
当初は2010年に公開予定だったものの、配給のMGMの財政破綻などの余波により、本国公開まで2年以上もお蔵入りした不運の作品。
まあ、その間に関係者が次々と有名になった事を見ると、むしろ幸運の作品でもあるのかもしれないが。
過去のどんな映画にも似ておらず、何とも形容のしがたい大怪作で、本当に日の目を見て良かったと思う。
ホラー映画ファンほど騙され、楽しめる事は確実だ。
※核心部分に触れています。

真面目な女子大生のディナ(クリステン・コノリー)は、友達のジュールス(アンナ・ハッチソン)とその彼氏のカート(クリス・ヘムズワース)、彼のアメフト仲間のホールデン(ジェシー・ウィリアムズ)、変人のマーティ(フラン・クランツ)の5人で、カートのいとこが買ったという山奥のキャビンにバカンスへ出かける。
その夜、早速飲んで踊って楽しい時間を過ごしていると、突然地下室への扉が開く。
5人が恐るおそる入ってみると、そこには古びた絵画や人形、時代を感じさせる様々な宝飾品などが雑然と置かれていた。
ディナは、一冊の日記帳を見つけるが、それはずっと昔にこのキャビンで、家族同士が殺し合った惨劇の記録だった。
日記には、ラテン語で復活の呪文が書かれているのだが、何も知らないディナはそれを読んでしまう・・・


冒頭、この手の映画には似つかわしくない、リチャード・ジェンキンスとブラッドリー・ウィットフォード演じる、二人のおっさんの会話で始まることに面食らう。
近代的な研究所のようなところに勤めている彼らは、どうやら全世界規模のプロジェクトの一つを動かしているらしい。
本作の物語のベースになっているのは、H・P・ラブクラフトらによって創造された所謂「クトゥルー神話」だ。
嘗て強大な力で地上を支配した太古の邪神は、今なお地中や海中深くに眠って復活の時を待っているというアレである。
古き神々を目覚めさせないために、人類はグローバルな秘密組織を作り、人知れず人間の血を生贄として捧げる事で、この世界を維持しているというのが本作の世界観なのだ。
つまり冒頭のおっさんたちは、組織のアメリカ支部の担当者たち。
毎年用意周到に“淫売”“愚者”“学者”“競技者”そして“処女”の役割を与えられた5人の若者たちを、やはりラブクラフトの影響の強い「死霊のはらわた」に出てきたのとそっくり(どちらかと言えばゲーム版だが)な山奥のキャビンに送り込み、怪物に殺させるのが任務だ。

現れる怪物の種類は地下室にある数多くのホラーアイテムの中から、生贄たち自らによって“偶然”選ばれ、本作においては「死霊のはらわた」と同じく、復活の呪文によって死の引き鉄がひかれ、ゾンビ一家が蘇るという訳である。
面白いのは世界中で行われている死の儀式は、それぞれのお国柄が出ているらしい事で、例えば日本支部から送られている映像には、あの“貞子”の様な幽霊が映し出されている。
「リング」「呪怨」に代表されるJホラーは、80年代以降パターン化したアメリカンホラーの世界に、大きなインパクトと共に全く新しい恐怖のイメージを齎したエポックだったので、これはハリウッドからJホラーへの嬉しいオマージュだろう。
もっとも、生贄といっても殺される方も必死で抵抗するから、いつも首尾よくいくとは限らない。
各国の支部が行う儀式で、どこか一つだけでも成功すれば良いが、もしも全て失敗し生贄が手順どおりに捧げられなければ、古き神々が復活し世界は滅びてしまう。
劇中では他国の儀式が次々と失敗に終わり、人類最後の砦がアメリカ支部という事になり、組織はあの手この手でゾンビ一家をサポートし恐怖を演出する事になるのだ。

ドリュー・ゴダードは、まるでクリスタル・レイクの様な湖が近くにある山奥のキャビンという、典型的な80年代ホラーの舞台装置に、これまた典型的なアメリカの若者グループを配し、“ホラー映画あるある”的にこのカテゴリを戯画化してみせる。
死すべきキャラクターは死なず、本来ヒーローとなるべきキャラクターはあっさりと死んだり、お約束の意図的なハズシによって、ホラーを知る観客ほど笑えるという寸法だ。
だがここまでなら、例えばウェス・クレイブン監督が自作を含む低予算ホラーをセルフパロディ化した「スクリーム」シリーズや、ジョン・ギャラガー監督の「ザ・フィースト」シリーズなどが既にやっている。
世界を救う秘密組織が、人知れずホラー祭りをやっているという「トルーマン・ショー」的な構造は目新しいが、冒頭からいきなりネタ晴らししているので、これも世界観の仕掛け以上の衝撃は無い。

実は、本作が本当の意味で特異性を発揮するのは、上映時間の2/3が過ぎて普通の作品であれば生き残る者が大体決まり、物語の収束点へと向かって動き出す辺りからである。
ここからはもう何を書いてもネタバレになってしまうので出来るだけ自粛するが、ある人物の意外な行動を切っ掛けにして、物語は予想もしない方向へと進みだし、ブレーキの壊れた機関車のように、ありとあらゆる“ホラーの常識”を破壊しながら暴走するのだ。
この種の映画の熱烈なファンほどに嬉しくなってしまう怒涛の展開と、クライマックスの唐突な“あの人”の登場。
思うに“あの人”は、もはや西部劇におけるジョン・ウェインの様に、ジャンル映画のアイコン化しているのだろう。
そして、とてもじゃないけど物語の入り口からは想像すら出来ない、豪快かつ壮大なラストカットのインパクト。
これは、ある意味でラブクラフト以来のアメリカン・ホラーの系譜に現れた大カタストロフィであり、長年の間マンネリの手垢に塗れたこのジャンルの創造的な解体だ。
おそらく相当に観客を選ぶ作品だろうが、「我こそはホラーファン」と自認する人は、真っ先に劇場に駆けつけるべき作品であることは間違いない。

今回は、過去にも何度か付け合せたボトラーズ・ブランド、コンパスボックス社の「ピートモンスター」の新パッケージをチョイス。
ラベルのモンスターは、怖いというよりはどこかユーモラスで、昔ジム・ヘンソンが作った「ストーリー・テラー」の「恐怖を知らなかった少年」というエピソードに出てきた沼の主に似ている。
中身の方はスモーキー&スパイシー、適度なピート感とフルーティーさもあり、名前とは裏腹に比較的マイルドで美味しいお酒だ。
ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね

こちらもお願い



スポンサーサイト


コメント
この記事へのコメント
伝え方が難しい
ノラネコさん☆
ギリギリのネタバレで、この面白さを伝えるのって本当に難しいですよねぇ。
できるだけ予告編も見ないで挑んで欲しいところです(笑)
そして2度・3度観たくなります~~
2013/03/06(水) 00:00:23 | URL | ノルウェーまだ~む #gVQMq6Z2[ 編集]
こんばんは
これはホラーファン必見の最高級のB級映画でしたね。
終盤の大集合シーンもいいのですが、
トータルとしてあの2転3転する展開は最高でした。
2013/03/06(水) 23:53:10 | URL | dai #NkOZRVVI[ 編集]
こんばんは
>ノルウェーまだ~むさん
はい、そのとおりですね。
これは面白さを伝えようとするとどうしてもネタバレを含んじゃう。
私は去年映画祭で観て、米国版ブルーレイも買っちゃいました。
二度、三度みてもまだ面白いんだから大したものです。

>daiさん
ホラーあるある的な中盤までも十分面白かったのですが、さすがに、あの終盤の展開は読めませんでした。
まさかそっちに転がって、あの人が出てきて、そんな終わり方なんて!
良い意味で常識を打ち破ってくれた快作でした。
2013/03/09(土) 22:18:41 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
ラブクラフト
先日、お会いした時、
ラブクラフトの名前が出てきて
「なるほど」と思いました。
まだ、彼の映画化の決定版が出ていない(と思う)ので、
ぜひ、この監督で観てみたいです。
そういえば
クーンツをベン・アフレックで映画化した『ファントム』というのも
妙に引っ掛かっています。
2013/03/11(月) 18:57:29 | URL | えい #yO3oTUJs[ 編集]
こんばんわ
このカテゴリーに対する映画知識が豊富であればあるほど、この映画って楽しめるのではないかとも思えました。
いや~とにかく怖いというよりは楽しいホラー映画でした。
クライマックスの大集合には敬服しましたよ。よくあそこまでキャラクターを揃えたもんだと。
2013/03/13(水) 22:18:29 | URL | にゃむばなな #-[ 編集]
ゾンビだけじゃない!
予告を見たら、これは「悪魔のいけにえ」と「CUBE」を足したような、何者かに管理された恐怖映画かな、と思ったんですが・・・なんちゅうか、後半、まさに「怪獣総進撃」になっていたのでびっくりです(んー、これギリギリのネタばれになるのかなあ)。これで、ラストにゴジラ(みたいなもの・・・)が出てきてくれれば、もう完璧だったんだけどな(おっと、これもネタばれかな?)。ともかくも、ホラー映画ってこんなもんだよね、と思いながら見ると、逆に面食らっておもしろいかも。
2013/03/14(木) 14:16:00 | URL | じょにっぱ #GUmjeJp6[ 編集]
こんばんは
>えいさん
ラブクラフトは壮大過ぎるので、なかなか決定打といえる映画作品は無いですよね。
スチュアート・ゴードンの「死霊のしたたり」とか佳作は結構あるのですが。
まあ彼の世界観自体は世界中のホラー作家が受け継いでるし、私なんぞは「ライフ・オブ・パイ」もラブクラフトの子供と思ってるくらいです(笑
「ファントム」も結構好きです。

>にゃむばななさん
そうですね、最後に出てきた怪物の元ネタを考えるだけでも楽しい。
ハリウッド映画だけでなく、Jホラーやコミック、小説まで、正にホラースピリッツの詰まったおもちゃ箱みたいな映画でした。

>じょにっぱさん
確かに「怪獣総進撃」でした(笑
まま、最後のアレも意味合い的には怪獣みたいな物なんで。
たぶん、ホラーを見慣れている人ほど、予期せぬ展開にびっくりする映画だと思います。
2013/03/14(木) 22:11:13 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
ちょっと手入れして順番を変えながら妖精さんかなんかにも出てもらえば

XX(柴咲コウ)、愚者(安藤政信)、学者(山本太郎)、競技者(栗山千明)、XX(前田亜季)って、

『バトル・ロワイアル』もフォーマットに使えそうだ。

おおおおお、コメントはじかれる。あの単語がいかんのかな?
2013/09/06(金) 01:09:27 | URL | ふじき78 #rOBHfPzg[ 編集]
こんばんは
>ふじき78さん
スパム対策で禁止ワードはいくつか設定してますからね(笑
ビデオで流れてた日本パートのスピンオフ観たい気がします。
2013/09/08(日) 19:33:42 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
定番なのに、こんなにも斬新! ロンドン映画サイトでも、これほどB級っぽい映画が何故★4つなのかと、不思議に思って日本公開を心待ちにしていた1本。 お約束満載なのに新鮮な驚
2013/03/05(火) 23:53:40 | ノルウェー暮らし・イン・原宿
(原題:The Cabin in the Woods) ----この映画、 スゴく興奮していなかった。 「そうだね。 気が早いようだけど、 今年のトップ10には必ず入る… そんな気がするな」 ----それはまたまた気が早
2013/03/06(水) 00:22:59 | ラムの大通り
キャビンThe Cabin in the Woods/監督:ドリュー・ゴダード/2012年/アメリカ わたしたちは、ひとが死ぬのを待っている。 「映画の変態」という試写企画で鑑賞。変態。邦題がどうしてもな...
2013/03/06(水) 13:37:19 | 映画感想 * FRAGILE
ランキングクリックしてね ←please click 公開前から面白いとの評判聞いてたこの映画。Rotten Tomatoesでの支持率はなんと91%の「フレッシュ(新鮮)」で かなり満足度の高い作品 楽...
2013/03/06(水) 23:43:17 | 我想一個人映画美的女人blog
ホラー映画ファンに捧ぐ 【Story】 森の別荘へとやって来たデイナ(クリステン・コノリー)やカート(クリス・ヘムズワース)ら大学生の男女5人。彼らが身の毛もよだつような内容...
2013/03/06(水) 23:44:48 | Memoirs_of_dai
 THE CABIN IN THE WOODS  週末を人里離れた山小屋で過ごすために出かけた、若者5人。「いかにも」 な 風情のそこには地下室があり、彼らは古い日記を見つける。そして、そんな彼ら
2013/03/12(火) 08:02:27 | 真紅のthinkingdays
予告編で面白みが半減。
2013/03/12(火) 16:52:06 | だらだら無気力ブログ!
誰もこの結末を予想することは出来ない。なぜならホラー、モンスター、パニック、スプラッタ、カルト映画に対する映画愛がここまで大きいとは誰も思いもしないから。 これは見る ...
2013/03/13(水) 22:28:22 | こねたみっくす
 『キャビン』を新宿のシネマカリテで見ました。 (1)たまにはいつもと違った傾向のものを見ようと、評判のホラービ映画を見てきました。  シチュエーションは、元気溢れる大学生(...
2013/03/20(水) 17:25:16 | 映画的・絵画的・音楽的
若者たちが人里離れた山小屋で戦慄の恐怖に見舞われるという従来のホラー映画のお約束を踏まえた、巧妙かつ予測不能のストーリー展開が映画ファンから絶賛された異色のホラー・サス...
2013/04/25(木) 22:26:13 | パピとママ映画のblog
【THE CABIN IN THE WOODS】 2013/03/09公開 アメリカ R15+ 95分監督:ドリュー・ゴダード出演:クリステン・コノリー、クリス・ヘムズワース、アンナ・ハッチソン、フラン・クランツ、ジェシー・...
2013/09/05(木) 12:57:03 | ★yukarinの映画鑑賞ぷらす日記★
面白かった。単純なホラーではなく、オリジナルの神話のようなものが隠されている。 希代のクリエイター達が、誰の予想も裏切る展開になるよう仕掛けたものだが、きちんと練られ
2013/09/05(木) 13:08:20 | ここなつ映画レビュー
いろんなホラー映画のオマージュがそこかしこに…と思っていたらば怒涛の後半。 ホラー映画の定番、若者グループが襲われる…といったベタだと思われるような設定をあえて踏んだ上
2013/09/05(木) 23:51:21 | いやいやえん
五つ星評価で【★★★★評判の良さは伊達じゃない】 チーン、ズガガガガガ、ギャーが大好き。 冒頭、赤毛の女の子クリステン・コノリーが割とタイプな容貌で、 それでいて、 ...
2013/09/06(金) 00:59:49 | ふじき78の死屍累々映画日記
THE CABIN IN THE WOODS 2011年 アメリカ 95分 ホラー/SF R15+ 劇場公開(2013/03/09) 監督:ドリュー・ゴダード 脚本:ドリュー・ゴダード 出演: クリステン・コノリー:デイナ クリ
2013/09/08(日) 15:05:11 | 銀幕大帝α
キャビン 原題「The Cabin in the Woods」 2012年 アメリカ 監督 ドリュー・ゴダード 出演 クリステン・コノリー クリス・ヘムズワース フラン・クランツ 夏休みに山奥へとバ
2013/09/10(火) 12:34:25 | ポップコーンのある毎日
監督:ドリュー・ゴダード 出演:クリステン・コノリー、クリス・ヘムズワース、アンナ・ハッチソン、フラン・クランツ、ジェシー・ウィリアムズ、シガーニー・ウィーヴァー 【解説】 バカンスで大騒ぎする若者たちが恐怖に陥れられる定番の展開を、あえて覆すことに挑...
2013/10/28(月) 20:11:06 | タケヤと愉快な仲間達
監督 ドリュー・ゴダード 主演 クリステン・コノリー 2012年 アメリカ映画 95分 ホラー 採点★★★ 「ホラー映画と言えば?」って問われれば、私の世代なんかはスラッシャーとゾンビ(走らない方)なのかなぁと。前の世代だとたぶんオカルトで、後の世代になるとト…
2015/04/17(金) 10:52:59 | Subterranean サブタレイニアン