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ショートレビュー「イノセント・ガーデン・・・・・評価額1600円」
2013年06月09日 (日) | 編集 |
鏖殺の庭へ、ようこそ。

初のハリウッド映画にも、気負いなし。
怒涛のシャレードの嵐は、どこからどう観てもパク・チャヌク印の作家映画である。
西部劇マニアのキム・ジウンが、古き良き大西部にオマージュを捧げた「ラストスタンド」といい、韓国黄金世代は異国へ行っても良い具合に持ち味を発揮してる。
「復讐三部作」をはじめ、一貫して人間の心に潜む暗い情念に纏わる物語を描いてきたパク・チャヌクが、渡米第一作に選んだのは、事故死した父の葬儀の日に、突然現れた謎めいた“叔父さん”と不思議な超感覚を持つ少女を巡る、スタイリッシュなスリラーだ。

パク・チャヌクと言えば才気の塊の様な映像テクニックの人だが、本作でもそれは健在。
車から降り立つ少女が“何か”をしているオープニングから、凝りに凝った画面にグッと引き込まれる。
自由奔放、大気の波にたゆたう様な流麗なカメラは、韓国時代からの相棒チョン・ジョンフンだ。
しかし、しばしばテクニックに溺れて、物語が破綻しがちなのもパク・チャヌク映画の特徴であり、魅惑の映像と相対的に弱い構成力は彼の大きな欠点だった。
本作の場合、ウェントワース・ミラーによるオリジナル脚本である事も幸いしたと思う。
思春期の少女を巡る赤ずきんちゃん話型のバリエーションと言える物語は、クールかつロジカルに構成され、パク・チャヌクが自分で書いた時に陥りがちな、勢いがつきすぎてつんのめる様な破綻が無い。

本作の原題「Stoker」は、主人公一族のファミリーネームであるのと同時に、“火をくべる者”という意味の名詞でもある。
ミア・ワシコウスカ演じる異常に鋭い五感を持つ女子高生のインディアは、心の奥底に暗い炎を隠した赤ずきんちゃんだ。
ただし、この物語における狼=叔父さんは、赤ずきんを食べに来たのではない。
インディアと同じく超感覚を持つ彼は、一族の血に潜む獣性が彼女に受け継がれいる事を確信し、少女を自らのパートナーとして覚醒させるため現れたのだ。
スカートの下に入り込む蜘蛛、明らかに性行為をイメージさせるピアノの二重奏、そして突然の殺人。
温和な仮面の下に、恐るべき嗜虐性を秘めた叔父さんによって、少女は徐々に女に目覚め、同時に自分自身の正体に気づいていて行くのである。

彼女の内面に隠れていた本性を最初から知っていたのは、叔父さんだけではないだろう。
亡き父親は、燻る炎をコントロールさせようとインディアに狩猟を学ばせ、ニコール・キッドマン演じる母親もまた、女としての直感で彼女の中の獣を忌み恐れている。
年齢はだいぶ離れているが、黒髪ロングのミア・ワシコウスカは「親切なクムジャさん」のイ・ヨンエを思わせる。
処女性を感じさせる女の内面に、ダークに渦巻く情念というモチーフは、おそらくパク・チャヌク好みなのだろう。
オープニングとリンクする戦慄のラストカットで見せる、捕食者となったインディアの不気味な笑顔には、思わず背筋がゾクッ。
生まれ育った“無垢なる庭”に無数の墓標を残し、狼は赤ずきんちゃんの皮を被った美しきシリアルキラーとなって、スクリーンの幻影の向こうに去ってゆくのである。

今回はカクテルの「グリーン・スパイダー」をチョイス。
ウォッカ45mlとクレーム・ドミント・グリーン15mlを氷を入れたグラスに注ぎ、ステアする。
爽やかな緑が印象的な、フレッシュで甘口のカクテルだが、本作のインディアの様に見た目とは裏腹に相当に強い。
飲みすぎると、気付いた時には狩られている、多分。
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