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ショートレビュー「風切羽~かざきりば~・・・・・評価額1550円」
2013年07月06日 (土) | 編集 |
飛べない鳥は、どこへ行く。

鳥を飼った事のある人は知っているだろうが、タイトルの「風切羽~かざきりば~」とは鳥類の翼の後端に並ぶ、長い羽の事。
ここを切られると羽ばたいても十分な推進力を得られないので、僅かな距離しか飛ぶことは出来なくなる。
神経や血管が通っておらず痛みを感じないため、鳥を室内飼いするために風切羽を切る人は多い。

本作の主人公であるサヤコは、母親から虐待を受けて育ち、今では児童養護施設に暮らしている。
彼女は、幼い頃に飼っていた風切羽を切られたインコに、自分自身の姿を見ているのだ。
母親には虐待によって心を閉じ込められ、今は自由の無い施設に暮らす閉塞感。
そして、金にだらしのない父親によって、将来のために貯めていた貯金を盗まれてしまい、金を取り戻そうと走り回るうちに、奇妙な“自分探し”をする自転車の少年、ケンタと出会う。
彼は、少年時代に暮らしたこの街で、自分を知る人を探しているのだ。
孤独な二つの魂が出会った事で、切ない情感を持ったワンナイト・ロードムービーが始まる。

公式HPによると、本作は最初に完成した時には後半の48分間しかなかったという。
このバージョンを観ていないので正確にはわからないが、おそらくサヤコが施設を飛び出して、ケンタと出会う辺りから始まる物語だったのだろう。
たぶんそれだけでも、一本の物語として完結させられるだろうが、前半部分に彼女が抱える背景をしっかりと描きこんだことで、作品の間口は広がり、世界観は奥行きを持ったと思う。

殆ど出ずっぱりでサヤコを演じる秋月三佳の、伸びやかな肢体の持つ肉体感覚が良い。
単純にリアルというよりも、映画的リアリティのある彼女のキャラクターの強さによって、画面にグイグイ引き付けられるのである。
そして、殆ど後半しか登場しないケンタとは何者か。
飛べない鳥と、飛べない飛行機。
ケンタがなぜもう一人の自分を探すのか、いや探さねばならないのか、その理由が明らかとなる時、映画は思いもよらない方向に大きく舵を切り、さり気なく仕込まれた伏線は回収されて、メタファーとして結実する。
元々ヘビーな題材の映画だが、終盤の展開は更に切なく痛々しい。
物語の結末にも、はっきりした救いがある訳では無いし、彼らの苦しい人生は今後も続くのだろうけど、ほんの僅かに光を感じさせるラストの後味は、決してバッドエンドとは思いたくはない。

例えば、同時期に公開されている「真夏の方程式」が、大人たちの溢れんばかりの愛に守られた子供たちの物語だとしたら、「風切羽~かざきりば~」の子供たちは、愛し方を知らない大人たちに育てられ、必死に愛を求める子供たちの物語と言えるかも知れない。
あえて後者の様な辛い作品を観に来る人は少数派なのだろうけど、ずっしりとした問いを投げかけられる、観応えのある力作であった。

翼を失った彼らが、いつか再び飛べる様に、「エンジェル・ウィング」をチョイス。
クレーム・ド・カカオ・ブラウン20ml、プルネル・ブランデー20ml、生クリーム適量(他の材料と同じ厚み)を、静かにビルトしてゆく。
ブラウン、イエロー、ホワイトが三色の層となって、とても美しい。
生クリームの甘みが口当たりを優しくし、名前の通り天使の羽で唇を撫でられている様な不思議な感触のカクテルである。
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