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モンスターズ・ユニバーシティ・・・・・評価額1650円
2013年07月08日 (月) | 編集 |
ゴールへの道は、一つだけじゃない。

2001年に公開されたピクサー・アニメーション・スタジオの長編第四作、「モンスターズ・インク」の前日譚。
人間の子供の悲鳴をエネルギー源とするモンスターの世界で、“怖がらせ屋”として活躍するマイクとサリーがいかにして出会い、無二の親友にして最高のチームとなったのか、彼らの波乱万丈の大学生活が描かれる。
「カーズ」のスピンオフ短編、「メーターと恐怖の火の玉」ダン・スキャロン監督が、初のアニメーション・フィーチャーのメガホンを取り、上々のデビューを飾った。

モンスターズ・インクの怖がらせ屋に憧れる少年マイク(ビリー・クリスタル)は、努力の結果難関を突破し、遂に最強の怖がらせ屋養成機関であるモンスターズ・ユニバーシティに入学する。
しかし、小柄でかわいらしいマイクは、見た目がどうしても怖くないという根本的な欠点に悩み、何とか怖さを出そうと必死に勉強する日々を送る。
そんな時に出会った同級生のサリー(ジョン・グッドマン)は、巨体を誇る名家出身のサラブレッド。
マイクはサリーをライバル視するが、サリーは全く相手にしない。
しかし生まれながらの才能に欠けるマイクも、プライドだけに頼って努力を怠ったサリーも、共にハードスクラブル学長(ヘレン・ミレン)に怖がらせ屋失格の烙印を押されてしまう。
だが、夢をあきらめ切れないマイクは、サリーたちとチームを組んで大学伝統の怖がらせ大会にチャレンジする事になるが・・・


日本では一般に“社交クラブ”と訳されるが、アメリカの大学にはフラタニティ(女性のみの場合はソロリティ)と呼ばれる組織があって、学園物の映画などに良く出てくる。
フラタニティには様々な形態があり、だいたいにおいて「オメガ」とか「カッパ」などギリシャ文字で表される名を持ち、大学近くの宿舎に共同生活をしている事が多い。
大学にもよるが、これらフラタニティには明確なスクールカーストが存在していて、一流校の一流フラタニティのメンバーになるには学業スポーツなどで一定の成績を修める必要がある。
そのため、新入生は先ずドームと呼ばれる一般の寮で生活し、憧れのフラタニティへ加入するチャンスを待つのだ。
またフラタニティには秘密結社的な役割もあり、メンバーには生涯に渡る絆が生まれる。
人気のあるフラタニティの主催するフラット・パーティには、それこそ数百人単位の客が集まる事もあり、正に学園の重要な社交場なのである。

本作の主人公であるマイクとサリーも、大学生活をドームで始める。
てっきりマイクのルームメイトがサリーなのかと思ったら、意外な人物、もといキャラクターが現れたのにはビックリ。
アイツが、最初はこんな良い奴だったと思うと、人生は切ない。
大学のデザインのモデルになっているのはハーバードだろうか。
キャンパスの前を流れる川にかかる橋のデザインや、レンガ造りの校舎のイメージなどは良く似ている。
最恐の怖がらせ屋になる夢を叶えるために、モンスターズ・ユニバーシティにやって来たマイクだが、社会に出る前段階である大学生活とは、自分自身が何者なのか、現実を知ってゆくプロセスでもある。
まん丸で小さな身体に愛らしいモノアイと、どこから見てもキュートなマイクは、決定的に怖くないという致命的な欠点を抱えている。
それはどんなに勉強しても、努力しても補うことの出来ない生まれ持った資質だ。
一方のサリーは、恵まれた体躯と怖がらせ屋の名門の出身という、親の七光に胡坐をかいて、まったく努力をしない。
努力だけで夢が叶わないのと同じくらい、才能だけで叶う夢も無いのだ。

だが、対照的な二人が同じ挫折を味わった時、思いもよらない化学反応が起こる。
六人制で競われる怖がらせ大会に、弱小フラタニティのウーズマ・カッパのチームとして挑んだマイクは、次第に豊富な知識と行動力でリーダーとしての持ち味を発揮する様になり、傲慢で協調性の欠片も無かったサリーもまた、チームとして輝く喜びを知る。
足りない部分があれば、お互い補い合い、最後にすばらしい結果を出せば良いのである。
そして本作が秀逸なのは、スクールカーストを打破する決勝戦と、その後の真のクライマックスとなる大騒動の顛末の結果を、安易なハッピーエンドとしなかった事だろう。
大人になるという事は、自分の行動の責任をとるという事でもある。
その結果として、落ちてゆくかそれとも這い上がるかは人それぞれ。

ピクサー・アニメーション・スタジオが大ディズニーの傘下に入ってから7年。
最近では「カーズ」のスピンオフである「プレーンズ」が何故かピクサーではなくディズニー作品として公開されたり、ここへ来てアイデンティティが微妙にぶれている感もあるが、これはやや大人気ない大きなお友達向けの正真正銘のピクサーブランド。
もちろん、子供が観ても楽しめるだろうが、嘗ての学園生活を実体験として振り返れる大人の方が、より楽しめるのは間違いないだろう。
既に未来のパートである「モンスターズ・インク」が存在しており、過去を振り返る視点を持つ事から言っても、本作はある意味CGアニメ版の「横道世之介」であり「きっと、うまくいく」なのである。

私は、本作のエンディングを観ていて、スティーブ・ジョブズが亡くなる数年前に、スタンフォード大学の名誉学位を贈られた時の伝説的なスピーチを思い出した。
彼は大学をドロップアウトし、きちんとした学位を持っていない。
スピーチの中でジョブズは、全ての“点”は後から見たら“線”として繋がっているという例えで、人生のそれぞれの一瞬一瞬の重要性を説いている。
これは穿ち過ぎな観方かもしれないが、怖がらせ屋という夢に向かって、回り道をしながらも、それぞれのステージで輝きを放ってゆくマイクとサリーのキャラクターには、もしかしたらジョブズと盟友のスティーブ・ウォズニアックのイメージが投影されているのではなかろうか。
まあ、彼らはさすがに郵便係はやらなかっただろうけど(笑

本作には、サシュカ・ウンゼルト監督のこれまたセンスの良い短編「ブルー・アンブレラ」が同時上映となる。
大都会の雑踏の中、偶然隣り合わせた赤い傘に恋してしまった青い傘の物語。
キャラクターが人間か無生物かの違いはあれど、ちょっと「シュガー・ラッシュ」の同時上映作の「紙ひこうき」と似たムードがある。
命無き存在に魂を与え、動かすのはアニメーションの原点。
傘だけでなく、ポストや雨どい、更には道路の側溝の蓋など、街中の様々なモノたちに“顔”が見出され、キャラクターとして表現されているのが面白かった。

今回はハーバード大学のあるボストンを代表するビール、「サミュエル・アダムズ ボストン ラガー」をチョイス。
フラット・パーティーにはビールサーバーがお約束だけど、ビールにしては妙に酔いが早い事がある。
そんな時はだいたいサーバーの中に大量のマリワナが突っ込まれていたりするのだ。
まあ今にして大学時代を思うと、そんなアブナイ部分も含めて、大い社会勉強をさせてもらった様な気がする。
懐かしの学園生活に乾杯!

ちなみに、本作はエンドクレジット後に意外な(?)複線の回収があるので、あわてて席を立たないよ~に。
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コメント
この記事へのコメント
こんばんは、ノラネコさんコメありがとです。
ランドールがルームメイトだったのはほんとびっくり。
しかもあんな最初いいヤツで。
私は前作でのブーのキャラがあまり好きじゃないので^^:今回のマイクとサリーの友情のはじまり
や怖がらせやになるための大会などこちらのほうが楽しめました〜☆
とはいってもモンスターズインクシリーズ好き。
まだいつか続くのかなぁ?
2013/07/08(月) 23:19:27 | URL | mig #JTxNwRAU[ 編集]
ゴール
そうそう。
正統派エリートコースだけが人生じゃないっていうことを体現したマイクとサリー。
現実でもそうなるといろいろ面白いですね。
2013/07/12(金) 07:31:25 | URL | rose_chocolat #ZBcm6ONk[ 編集]
こんばんは
>migさん
てっきりサリーとマイクがルームメイトだと思ったんですけどね。
予告編にうまくミスリードされました。
ランドールがイイ奴だという事だけを見ても、前作との歳月を感じて、なんだか人生の悲哀があるのがこの映画の特徴かな。
当面ピクサーは続編はやらないみたいですけど、モンスターズインク入社後のサクセスとか作れそうですね。

>rose_chocolatさん
コレはやはり前作あっての前日譚という事ですね。
若い頃は一つの挫折が人生の終わりに感じるけど、実はドロップアウトしても、道は沢山あるというのは、その後の彼らを知ってるからこそ説得力を持つ。
その意味でやはり見事な続編でもあるという事でしょう。
2013/07/13(土) 22:39:39 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
吹替え版も良かったです!
普段、映画は字幕で観るのですが、上映館のスクリーンの関係で吹替えで観ました(吹替え・2Dが人気なようで大きなスクリーンで上映されていました)。 若干の不安に覚悟も決めてスクリーンに臨んだのですが、良い意味で予想を大きく外されました。 田中裕二(マイク役)や石塚英彦(サリー役)の名演技振りは本職以上で正直驚きましたし、挿入歌の吹替えや文字画像の日本語化など、思いもよらないほど手間も掛けられていて、最後まで 「吹替え」 的な違和感を感じることもありませんでした。 それは、イメージしていた「吹替え版」 の次元を遥かに超えていて、限りなく 「日本語版」 作品とでも呼ぶべき内容。。  他の吹替えと比較できないですが、これぞディズニーの本領という事でしょうか、心配に反して 「さすが」 と唸らされたのは嬉しい誤算でした。
2013/07/23(火) 08:57:12 | URL | ぐーすく #q7EjBrqg[ 編集]
こんばんは
>ぐーすくさん
もともと「モンスターズ・インク」の時も田中・石塚コンビの吹き替えは良く出来ていましたから、今度も良いんでしょうね。
私は可能な限りオリジナルの状態で観ることを心がけているので、吹き替えは選択にありませんが、ソフト化する時に観てみたいと思います。
文字要素の入れ替えが可能なのはCGアニメならでは。
まあ各国の言語ごとにあれやってると思うと大変だと思いますが。
2013/07/24(水) 21:10:18 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
ブルー・アンブレラ
そうそう!私も『紙ひこうき』思い出しました。『風立ちぬ』でも思い出しましたけど…
信号機やゴミ箱やら、みんなが少しづつ力を合わせて応援してくれて、彼らに顔がついてるところがすごく良かったなあ。思わず泣きそうになってしまいました。

>フラタニティには秘密結社的な役割もあり、メンバーには生涯に渡る絆が生まれる。

本当!秘密結社みたい!って初めて学園モノ見た時に思いましたw。
ファーストイニシエーション(笑)
ノラネコさんはやったことありますか?過激なやつとかw。
2013/07/24(水) 23:09:10 | URL | とらねこ #.zrSBkLk[ 編集]
こんばんは
>とらねこさん
「紙ひこうき」も「ブルーアンブレラ」も無生物に命を与えるというアニメーションの原点を鮮やかに感じさせてくれました。
そういえば「風立ちぬ」でも紙ひこうきは重要なモチーフでしたね。
秘密結社には入ってないけど、やっぱりアメリカの大学生のパーティーは凄まじくクレイジーでした(笑
2013/07/25(木) 23:17:18 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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