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2013年07月28日 (日) | 編集 |
フランス猫の危険な冒険。
昼は孤独な少女ゾエの従順な飼猫、夜はパリを荒らしまわる怪盗ニコのパートナー。
二つの顔を持つ猫のディノが、ひょんな事から卑劣な悪漢の手に落ちたゾエを救うために、ニコと共に大活躍するスタイリッシュなフレンチ・アニメーションだ。
監督・脚本はこれが長編劇場用映画デビュー作となるアラン・ガニョル、共同監督をジャン=ルー・フェリシオリが務める。
先日急逝したベルナデット・ラフォンやドミニク・ブランら実写の名優たちがキャラクターに声を与え、第84回アカデミー賞の長編アニメーション賞へノミネートされた他、各国の映画祭で高い評価を得た軽妙な佳作である。
※ラストに触れてます。
パリ警察の警視ジャンヌ(ドミニク・ブラン)は、娘のゾエ(オリアンヌ・ザニ)と猫のディノと暮らしている。
やはり刑事だった夫がギャングのコスタ(ジャン・ベンギーギ)に殺されて以来、ゾエはショックで言葉を失ったまま。
ジャンヌはもっとも娘と触れ合いたいと思いながらも、頻発する事件に追われて忙しく、乳母のクロディーヌ(ベルナデット・ラフォン)に任せっきりにしてしまっている。
そんなある日、夜な夜などこかへ出かけて行くディノが、ダイヤモンドの埋め込まれた魚の形をしたアクセサリーを持ってくる。
一体、これをどこで手にいれたのか?
ある夜ディノの後をつけてパリの屋根の上に歩み出したゾエは、ディノにもう一人の飼い主がいる事を知ってしまう。
何とディノは神出鬼没の怪盗ニコ(ブルーノ・サロモネ)のパートナーだったのだ・・・
飼い主が見ていない時、猫は何をしているのだろう?
猫飼いなら、誰でも一度は疑問に思った事があるのではないか。
特に出入り自由な家の猫は、半分外猫の様な物だから、自由気ままに歩き回り、他人の家でもご飯をもらっているちゃっかりさんも珍しくない。
表の顔と裏の顔どころか、立ち寄り先の数だけ、名前を三つも四つも持っている猫だっているだろう。
本作のディノもそんな半外猫。
昼間は父を失ったショックで失語症になってしまったゾエを優しく見守るナイトとして暮らし、夜になると怪盗ニコの相棒として泥棒稼業に精をだす。
本作の上映時間は僅かに70分。
話は無駄なくサクサク進むが、構造は結構凝っており、人間関係は入り組んでいる。
物語の中心軸にいるのは、孤独な少女ゾエと愛猫のディノだ。
ゾエの母親はパリ警察の敏腕警視ジャンヌで、二つの事件を追っている。
一つは夫を殺したギャングのボス、コスタが秘宝“ナイロビの巨像”の強奪を狙っている事件で、もう一つはパリ市内のあちこちで発生しているニコによる連続盗難事件だ。
ある夜、ゾエは夜な夜な出かけて行くディノをつけているうちに、偶然にコスタ一味の密談を立ち聞きし、しかも乳母のクロディーヌが彼らの仲間だという事を知ってしまい、一味に追われる事になる。
そんな彼女を助けるのが怪盗ニコとディノという訳だが、コスタvsニコのゾエ争奪戦にジャンヌら警察も割って入る。
ここで、ゾエが声を失っている設定が生きる。
コスタたちの事を伝えられないゾエを、ジャンヌはあろうことかクロディーヌに預けてしまうのである。
ようやく騙された事にジャンヌが気づくと、いよいよニコとディノのコンビに彼女も加わってのゾエ救出作戦が始まるという訳だ。
スパイダーマン並みの身体能力のニコとディノがパリの街を縦横無尽に駆け抜け、決戦の舞台、ノートルダム寺院に至る、疾走感のある追いかけっこは見応え十分。
そして、どう見ても身軽には見えないが、執拗にゾエを追うコスタの偏執狂的なキャラクターは、監督がオマージュを捧げたという「狩人の夜」のロバート・ミッチャムを思わせる所もあるし、手下のおバカ4人組のコードネームを巡るエピソードは、タランティーノの「レザボア・ドッグス」の様だ。
そして、「カリオストロの城」の様なアクションの果てに、コスタの妄想が炸裂し、あるモノがゴジラよろしく登場するクライマックスに至っては、監督が自らの映画愛を投影させ、一番愛おしく描いているのは、この悪漢の様な気さえしてくるのである。
純粋なアニメーション技術という点では、それほど特筆すべき所は無い本作だが、何よりもデザインとして優れている。
パースが歪んでキュビズムの様に摩訶不思議な風景となったパリの街の造形から、シンプルな中に性格を感じさせるキャラクター、そして日本のアニメでは絶対に出てこないであろう独特の色彩感覚。
停電のシーンの闇の中の表現や、香水の香りが夜空に広がるビジュアルのアイディアは、センス・オブ・ワンダーに溢れており、アニメーションである事以前に、一枚一枚の絵としてワクワクする楽しさがあるのだ。
あとはやはり猫のディノの描写が秀逸で、おそらくよほど猫を研究したのだろう、ゾエの腕の中にスルリと潜り込む動きは、全ての猫飼いを納得させる画力であった。
「パリ猫ディノの夜」は、70分というコンパクトな時間の中に、洒落た映像とムードのある音楽、フランスのエスプリを詰め込んだ小さな宝石箱の様な、愛すべき小品だ。
まあ、ラストでしれっとニコがジャンヌと良い感じになってたりするのは「オイオイそいつ泥棒だぞ、逮捕しないの??」と思ってしまったが、そこを突っ込むのは野暮というものなのだろう。
丁寧に描かれた美しい絵本を読んでいる様な、心地よい気分にさせてくれる一本である。
今回は、猫の映画ゆえに「キャッツ・アイ」をチョイス。
ドライジン20ml、コアントロー15ml、ドライベルモット15ml、レモンジュース10ml、キルシュ2dashをシェイクしてグラスに注ぐ。
レモンの酸味、コアントローの香り、ドライベルモットの風味をジンの清涼感がまとめ上げている。
酔いが進むと、体も猫の様に軽くなる?
蒸し暑い夏の夜に飲みたくなる一杯だ。
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昼は孤独な少女ゾエの従順な飼猫、夜はパリを荒らしまわる怪盗ニコのパートナー。
二つの顔を持つ猫のディノが、ひょんな事から卑劣な悪漢の手に落ちたゾエを救うために、ニコと共に大活躍するスタイリッシュなフレンチ・アニメーションだ。
監督・脚本はこれが長編劇場用映画デビュー作となるアラン・ガニョル、共同監督をジャン=ルー・フェリシオリが務める。
先日急逝したベルナデット・ラフォンやドミニク・ブランら実写の名優たちがキャラクターに声を与え、第84回アカデミー賞の長編アニメーション賞へノミネートされた他、各国の映画祭で高い評価を得た軽妙な佳作である。
※ラストに触れてます。
パリ警察の警視ジャンヌ(ドミニク・ブラン)は、娘のゾエ(オリアンヌ・ザニ)と猫のディノと暮らしている。
やはり刑事だった夫がギャングのコスタ(ジャン・ベンギーギ)に殺されて以来、ゾエはショックで言葉を失ったまま。
ジャンヌはもっとも娘と触れ合いたいと思いながらも、頻発する事件に追われて忙しく、乳母のクロディーヌ(ベルナデット・ラフォン)に任せっきりにしてしまっている。
そんなある日、夜な夜などこかへ出かけて行くディノが、ダイヤモンドの埋め込まれた魚の形をしたアクセサリーを持ってくる。
一体、これをどこで手にいれたのか?
ある夜ディノの後をつけてパリの屋根の上に歩み出したゾエは、ディノにもう一人の飼い主がいる事を知ってしまう。
何とディノは神出鬼没の怪盗ニコ(ブルーノ・サロモネ)のパートナーだったのだ・・・
飼い主が見ていない時、猫は何をしているのだろう?
猫飼いなら、誰でも一度は疑問に思った事があるのではないか。
特に出入り自由な家の猫は、半分外猫の様な物だから、自由気ままに歩き回り、他人の家でもご飯をもらっているちゃっかりさんも珍しくない。
表の顔と裏の顔どころか、立ち寄り先の数だけ、名前を三つも四つも持っている猫だっているだろう。
本作のディノもそんな半外猫。
昼間は父を失ったショックで失語症になってしまったゾエを優しく見守るナイトとして暮らし、夜になると怪盗ニコの相棒として泥棒稼業に精をだす。
本作の上映時間は僅かに70分。
話は無駄なくサクサク進むが、構造は結構凝っており、人間関係は入り組んでいる。
物語の中心軸にいるのは、孤独な少女ゾエと愛猫のディノだ。
ゾエの母親はパリ警察の敏腕警視ジャンヌで、二つの事件を追っている。
一つは夫を殺したギャングのボス、コスタが秘宝“ナイロビの巨像”の強奪を狙っている事件で、もう一つはパリ市内のあちこちで発生しているニコによる連続盗難事件だ。
ある夜、ゾエは夜な夜な出かけて行くディノをつけているうちに、偶然にコスタ一味の密談を立ち聞きし、しかも乳母のクロディーヌが彼らの仲間だという事を知ってしまい、一味に追われる事になる。
そんな彼女を助けるのが怪盗ニコとディノという訳だが、コスタvsニコのゾエ争奪戦にジャンヌら警察も割って入る。
ここで、ゾエが声を失っている設定が生きる。
コスタたちの事を伝えられないゾエを、ジャンヌはあろうことかクロディーヌに預けてしまうのである。
ようやく騙された事にジャンヌが気づくと、いよいよニコとディノのコンビに彼女も加わってのゾエ救出作戦が始まるという訳だ。
スパイダーマン並みの身体能力のニコとディノがパリの街を縦横無尽に駆け抜け、決戦の舞台、ノートルダム寺院に至る、疾走感のある追いかけっこは見応え十分。
そして、どう見ても身軽には見えないが、執拗にゾエを追うコスタの偏執狂的なキャラクターは、監督がオマージュを捧げたという「狩人の夜」のロバート・ミッチャムを思わせる所もあるし、手下のおバカ4人組のコードネームを巡るエピソードは、タランティーノの「レザボア・ドッグス」の様だ。
そして、「カリオストロの城」の様なアクションの果てに、コスタの妄想が炸裂し、あるモノがゴジラよろしく登場するクライマックスに至っては、監督が自らの映画愛を投影させ、一番愛おしく描いているのは、この悪漢の様な気さえしてくるのである。
純粋なアニメーション技術という点では、それほど特筆すべき所は無い本作だが、何よりもデザインとして優れている。
パースが歪んでキュビズムの様に摩訶不思議な風景となったパリの街の造形から、シンプルな中に性格を感じさせるキャラクター、そして日本のアニメでは絶対に出てこないであろう独特の色彩感覚。
停電のシーンの闇の中の表現や、香水の香りが夜空に広がるビジュアルのアイディアは、センス・オブ・ワンダーに溢れており、アニメーションである事以前に、一枚一枚の絵としてワクワクする楽しさがあるのだ。
あとはやはり猫のディノの描写が秀逸で、おそらくよほど猫を研究したのだろう、ゾエの腕の中にスルリと潜り込む動きは、全ての猫飼いを納得させる画力であった。
「パリ猫ディノの夜」は、70分というコンパクトな時間の中に、洒落た映像とムードのある音楽、フランスのエスプリを詰め込んだ小さな宝石箱の様な、愛すべき小品だ。
まあ、ラストでしれっとニコがジャンヌと良い感じになってたりするのは「オイオイそいつ泥棒だぞ、逮捕しないの??」と思ってしまったが、そこを突っ込むのは野暮というものなのだろう。
丁寧に描かれた美しい絵本を読んでいる様な、心地よい気分にさせてくれる一本である。
今回は、猫の映画ゆえに「キャッツ・アイ」をチョイス。
ドライジン20ml、コアントロー15ml、ドライベルモット15ml、レモンジュース10ml、キルシュ2dashをシェイクしてグラスに注ぐ。
レモンの酸味、コアントローの香り、ドライベルモットの風味をジンの清涼感がまとめ上げている。
酔いが進むと、体も猫の様に軽くなる?
蒸し暑い夏の夜に飲みたくなる一杯だ。

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この記事へのコメント
>猫のディノの描写が秀逸で、おそらくよほど猫を研究したのだろう、ゾエの腕の中にスルリと潜り込む動きは、全ての猫飼いを納得させる画力
ですよね♪あの身のこなし、素早くていかにも猫っぽくて、うんうん!と唸ってしまいました
アダ名合戦でレザボア・ドッグス思い出す辺り、さすがノラネコさん。
私も一瞬思ったけど、すっかり書く時には忘れてました。
ですよね♪あの身のこなし、素早くていかにも猫っぽくて、うんうん!と唸ってしまいました

アダ名合戦でレザボア・ドッグス思い出す辺り、さすがノラネコさん。
私も一瞬思ったけど、すっかり書く時には忘れてました。
>とらねこさん
猫派としては無条件でリスペクトしたくなる一本でしょう。
まあ小品だけどセンス良いし、ソフト出たら買って手元に置いときたくなる映画でした。
猫派としては無条件でリスペクトしたくなる一本でしょう。
まあ小品だけどセンス良いし、ソフト出たら買って手元に置いときたくなる映画でした。
2013/08/13(火) 23:52:18 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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