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2013年08月04日 (日) | 編集 |
“真実”は、人の心が作り出す。
アニメーションから実写、インディーズからハリウッドまで、軽々とボーダーを踏み越えて作品を作り出す、異色の映画作家リチャード・リンクレイターが、実際の殺人事件の顛末を描いた作品だ。
もちろん彼が撮るのだから、ただの劇映画にはあらず、例によって作りは相当にユニーク。
本作のベースとなった事件は、1996年に、テキサスの田舎町カーセージで起った。
39歳の元葬儀業者バーニー・ティーディが、81歳の資産家の未亡人マージョリー・ニュージェントを殺害した容疑で逮捕されたのだ。
ところが、バーニーが起訴されると、町中の人が「あんな良い人が人殺しなんてする訳ない」「被害者が悪かったに決まっている」と、なぜか被害者を非難し、容疑者を擁護する声が街中で沸き起こるのである。
彼の人気が余りにも高かったために、これでは陪審員の公正さを疑われると、わざわざ遠く離れた別の地域で裁判を行う羽目となってしまう。
この事件は、“殺人犯が大人気!”と当時アメリカで結構な話題となり、日本のバラエティ番組でも過去に取り上げられた事がある。
私も先日その番組の再現ドラマを観ていたのだが、リンクレイターの映画まで再現ドラマの様な作りだったのには驚いた。
とは言っても、これはまんま再現ドラマという訳ではなく、更にモキュメンタリーとドキュメンタリーを合体させ、現実とフィクションが交じり合う不思議な作品だ。
主人公のバーニーを演じるジャック・ブラックや、被害者マージョリーのシャーリー・マクレーン、地方検事のマシュー・マコノヒーら、事件とその後の裁判の主だった関係者はプロの役者が演じ、役柄の人物という設定でインタビューを受けたりする。
一方、バーニーと直接的に関わらない一般の人々は、現実のカーセージの住人たちが “Townsperson” として出演し、実際にインタビューに答えているのである。
リンクレイターは、この事件を扱った多くの媒体が着目した「バーニーとは何者か?なぜ彼は殺人者となったのか」にはあまり興味が無い様だ。
もちろん、関係者の証言による事実関係は、記録通りに淡々と再現されているのだが、彼の人となりや事件の動機に関しては、既に知られている事と同じで、特に新しい解釈は提示されない。
本作の面白さは、やはりフィクションとノンフィクションの混在、特にフィクションの側が事実関係を冷静かつ多面的に捉えているのに対して、ノンフィクションの側、つまり現実のカーセージの人たちの言葉は、バーニー・ティーディという人物のごく一面的な印象論、事実の断片から彼らが自分たちの心の中に作り上げた人物像から出ていない事である。
彼らが信じているのは、バーニーが被害者である街一番の嫌われ者、マージョリーの資産を湯水の様に使い、町に寄付金をばら撒いて作り上げた、“愛すべきバーニー”という虚像のキャラクターだ。
それは陪審員裁判で、今度は検察官によって作り上げられる“悪魔の様なバーニー”の対となり、結局人間にとっての真実とは必ずしも客観的事実によるものではないという事が明確となるのである。
現実と虚構を同時に内包する、フェイクの再現ドラマという独特の構造とする事で、リンクレイターは、ここに様々な“演出”によって浮かび上がる劇場国家アメリカの、シニカルな縮図を作り上げようとしたのではないだろうか。
客観的な構造故にキャラクターとは距離感があるので、普通の映画の様に物語に没入は出来ないが、試みとしてはユニークでなかなか面白かった。
今回はテキサスはシャイナーの地ビール、「Shiner Bock(シャイナー・ボック)」 をチョイス。
味そのものはわりとあっさり目のアメリカンスタイルなのだが、このビールの特徴は炭酸の強さ。
シュワーッと爽やかに喉に広がる風味が熱く乾燥したテキサスの風土にピッタリだ。
残念ながら日本では正規輸入されていない様だが、テキサスへ行く機会があれば、現地の郷土料理と一緒に是非お試しあれ。
ビールはやはり地の物が一番美味いのである。
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アニメーションから実写、インディーズからハリウッドまで、軽々とボーダーを踏み越えて作品を作り出す、異色の映画作家リチャード・リンクレイターが、実際の殺人事件の顛末を描いた作品だ。
もちろん彼が撮るのだから、ただの劇映画にはあらず、例によって作りは相当にユニーク。
本作のベースとなった事件は、1996年に、テキサスの田舎町カーセージで起った。
39歳の元葬儀業者バーニー・ティーディが、81歳の資産家の未亡人マージョリー・ニュージェントを殺害した容疑で逮捕されたのだ。
ところが、バーニーが起訴されると、町中の人が「あんな良い人が人殺しなんてする訳ない」「被害者が悪かったに決まっている」と、なぜか被害者を非難し、容疑者を擁護する声が街中で沸き起こるのである。
彼の人気が余りにも高かったために、これでは陪審員の公正さを疑われると、わざわざ遠く離れた別の地域で裁判を行う羽目となってしまう。
この事件は、“殺人犯が大人気!”と当時アメリカで結構な話題となり、日本のバラエティ番組でも過去に取り上げられた事がある。
私も先日その番組の再現ドラマを観ていたのだが、リンクレイターの映画まで再現ドラマの様な作りだったのには驚いた。
とは言っても、これはまんま再現ドラマという訳ではなく、更にモキュメンタリーとドキュメンタリーを合体させ、現実とフィクションが交じり合う不思議な作品だ。
主人公のバーニーを演じるジャック・ブラックや、被害者マージョリーのシャーリー・マクレーン、地方検事のマシュー・マコノヒーら、事件とその後の裁判の主だった関係者はプロの役者が演じ、役柄の人物という設定でインタビューを受けたりする。
一方、バーニーと直接的に関わらない一般の人々は、現実のカーセージの住人たちが “Townsperson” として出演し、実際にインタビューに答えているのである。
リンクレイターは、この事件を扱った多くの媒体が着目した「バーニーとは何者か?なぜ彼は殺人者となったのか」にはあまり興味が無い様だ。
もちろん、関係者の証言による事実関係は、記録通りに淡々と再現されているのだが、彼の人となりや事件の動機に関しては、既に知られている事と同じで、特に新しい解釈は提示されない。
本作の面白さは、やはりフィクションとノンフィクションの混在、特にフィクションの側が事実関係を冷静かつ多面的に捉えているのに対して、ノンフィクションの側、つまり現実のカーセージの人たちの言葉は、バーニー・ティーディという人物のごく一面的な印象論、事実の断片から彼らが自分たちの心の中に作り上げた人物像から出ていない事である。
彼らが信じているのは、バーニーが被害者である街一番の嫌われ者、マージョリーの資産を湯水の様に使い、町に寄付金をばら撒いて作り上げた、“愛すべきバーニー”という虚像のキャラクターだ。
それは陪審員裁判で、今度は検察官によって作り上げられる“悪魔の様なバーニー”の対となり、結局人間にとっての真実とは必ずしも客観的事実によるものではないという事が明確となるのである。
現実と虚構を同時に内包する、フェイクの再現ドラマという独特の構造とする事で、リンクレイターは、ここに様々な“演出”によって浮かび上がる劇場国家アメリカの、シニカルな縮図を作り上げようとしたのではないだろうか。
客観的な構造故にキャラクターとは距離感があるので、普通の映画の様に物語に没入は出来ないが、試みとしてはユニークでなかなか面白かった。
今回はテキサスはシャイナーの地ビール、「Shiner Bock(シャイナー・ボック)」 をチョイス。
味そのものはわりとあっさり目のアメリカンスタイルなのだが、このビールの特徴は炭酸の強さ。
シュワーッと爽やかに喉に広がる風味が熱く乾燥したテキサスの風土にピッタリだ。
残念ながら日本では正規輸入されていない様だが、テキサスへ行く機会があれば、現地の郷土料理と一緒に是非お試しあれ。
ビールはやはり地の物が一番美味いのである。

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この記事へのコメント
なんか雷がすごいですが、PCやってて大丈夫かしら…
リンクレイターの地味であまり面白味のない作品でしたが、丁寧にレビュー書いてくださってて…、ノラネコさん相変わらず優しいな。ありがとうございますー。
ジャック・ブラックのキャラ自体の、いい人そうに見えるんだけどアクの強い感じ、アメリカ人には“良い人”っぽく思えるんですかね?
私からすると、彼が演じるとどうも胡散臭く思えちゃうんですよね…
リンクレイターの地味であまり面白味のない作品でしたが、丁寧にレビュー書いてくださってて…、ノラネコさん相変わらず優しいな。ありがとうございますー。
ジャック・ブラックのキャラ自体の、いい人そうに見えるんだけどアクの強い感じ、アメリカ人には“良い人”っぽく思えるんですかね?
私からすると、彼が演じるとどうも胡散臭く思えちゃうんですよね…
>とらねこさん
やりたい事はわかるけど、私の中でテレビの再現ドラマとバッティングしちゃったのが残念。
まあリンクレイターらしい意欲作で、面白い事は面白かったんですけどね。
ジャック・ブラックはやっぱり得体の知れないイメージを作ってたと思いますよ。
やりたい事はわかるけど、私の中でテレビの再現ドラマとバッティングしちゃったのが残念。
まあリンクレイターらしい意欲作で、面白い事は面白かったんですけどね。
ジャック・ブラックはやっぱり得体の知れないイメージを作ってたと思いますよ。
2013/08/13(火) 23:49:50 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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