酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係なTBもお断りいたします。 また、関係があってもアフェリエイト、アダルトへの誘導など不適切と判断したTBは削除いたします。

■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ショートレビュー「ペーパーボーイ 真夏の引力・・・・・評価額1550円」
2013年08月09日 (金) | 編集 |
フロリダ発、青春残酷物語。

ある殺人事件を巡る、マザコン少年の最初で最後の究極の恋の物語。
キービジュアル以外の内容の予備知識無しで観たので、てっきり爽やかな青春成長ストーリーだと思っていた。
まさかこんな「スプリング・ブレイカーズ」「青い体験」「悪魔のいけにえ」が合体した様な映画とは思わなかったよ。

1969年の夏という設定が良い。
公民権運動は既に大きな成果を挙げている時期だが、いまだに差別は色濃く残り、本作でも人種間の微妙な関係が、いかにも何かが起こりそうな雰囲気を醸し出す。
物語の背景となるのは、警官を殺害したとして、沼地に住むヒラリーという粗野な男が死刑判決を受けた事件。
主人公のジャックは、フロリダの田舎町のローカル新聞社の息子で、両親の離婚で幼くして実母を失い、父の後妻に納まろうとしている女とはわだかまりを抱えている。
彼は、マイアミで新聞記者をしている兄のウォードと、同僚のヤードリーの取材活動を手伝う事になり、事件と関わってゆくのだ。
冤罪を疑うウォードは、ヒラリーと獄中結婚したシャーロットという軽薄な女に協力させて、彼と面会を重ねる作戦をとるが、やがてジャックは年上のシャーロットに恋心を抱いてしまうのである。

「プレシャス」で脚光を浴びたリー・ダニエルズ監督は、事件の謎解きはあくまでも背景に留め、むしろシャーロットを軸にした男女の複雑な因縁話にフォーカスしてゆく。
ここで、登場人物たちの心象を象徴するのが“水”のモチーフだ。
ジャックの住む街は、海沿いに広大な沼地が広がり、ヒラリーの一族はまるで世捨て人の様に、ボートでしか行けない人里離れた沼の奥に暮らしている。
ジリジリと照りつける真夏の太陽に、むせ返る様な湿気。
沼地は強烈な引力で事件に関わった人々を惹きつけ、迷路の様な水路に彷徨う彼らは、シャーロットを触媒として、まるで沼の毒気にあてられたかの様に次々と泥水へ落ち、隠していた内面を暴き出される。
有能な事件記者であるウォードは、現代よりも遥かにタブー視されていた同性愛者という一面を持ち、ヤードリーもまた白人社会でのし上がるため、目的のためなら手段を選ばない隠された顔を露呈する。
むろん彼らが救おうとしているヒラリーも、一筋縄では行かない多面性を秘めているのである。
そして人々の思惑が交錯し、遂にヒラリーが法の頚木を逃れた時、ジャックもまた愛する女のために自分をさらけ出し、腐臭漂う泥水の中を這い蹲る事となるのだ。
嘗て水泳の選手だったジャックは、いつもきれいなプールで泳いでいた。
だが、一夏で濃密極まりない一生分の経験をしたジャックは、純粋だった頃の透明な水には、もう二度と戻れないのである。

恋の妄想に耽る童貞ジャックを演じるザック・エフロンや、ジョン・キューザックのイカレキャラも良いが、やはり本作の白眉はニコール・キッドマンのビッチっぷりだだろう。
ミア・ワシコウスカの母親役を演じた「イノセント・ガーデン」でも、恋愛体質のキャラクターを好演して映画を引き締めていたが、本策では全ての男たちを虜にし、文字通り世界と共に朽ち果ててゆく。
46歳にして強烈な色香を放つこのファム・ファタールは、彼女にしか演じられまい。
えげつない話のえげつないキャラクターだが、本作のキッドマンには間違いなく目を離せない映画力があるのだ。

今回は暑苦しい映画なので、清涼なビールの代表「コロナ エクストラ」をチョイス。
バブルの頃、カットしたライムを突っ込んでラッパ飲みするのが流行したけど、これやるとリサイクルの時に面倒なので、最近は絞り汁だけ流し込むのが主流かな。
非常にライトな味わいで、特に熱帯夜の続くこの季節に飲みたくなる一本だ。

ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね

こちらもお願い



スポンサーサイト

コメント
この記事へのコメント
こんばんは
水のモチーフ、なるほどです。
キラキラした海辺、くらげに噛まれて掛けられるおしっこも水!w
そして、だからこそ鰐や、最後の苔むした泥沼が余計に印象深く感じるんですね。うん、納得の行く読みです!
twitterで別の方と話していたんですけど、『悪魔のいけにえ』よりも『悪魔の沼』の方に似ているんですよ。トビー・フーパー♪うひょー
2013/08/24(土) 02:17:34 | URL | とらねこ #.zrSBkLk[ 編集]
こんばんは
>とらねこさん
ああ、確かに「悪魔の沼」もあったねえ。
フーパーはこの種のアメリカ南部の秘部みたいなものをうまくホラー要素に取り込んだ人だから、この映画なんかとは殆ど表裏一体な気がします。

2013/08/29(木) 23:10:28 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
1969年、アメリカ・フロリダ州モート郡。 大学の水泳部を追放された青年ジャックは、父親が営む地元の小さな新聞社で配達の仕事をしている。 ある日、大手新聞社マイアミ・タイム
2013/08/13(火) 07:56:53 | 象のロケット
数々の映画賞を席巻した『プレシャス』のリー・ダニエルズ監督が、ピート・デクスターのベストセラー小説を映画化したクライム・サスペンス。ある殺人事件を調査する兄弟が、事件の...
2013/08/14(水) 20:51:06 | パピとママ映画のblog
1969年、真夏のフロリダ州モート郡。 大学を中退したジャック(ザック・エフロン)は、父親が経営するローカル新聞の会社で、配達を手伝うだけの退屈な日々を送っていた。 ある日
2013/08/15(木) 01:26:04 | 心のままに映画の風景
 『ペーパーボーイ―真夏の引力』を新宿武蔵野館で見ました。 (1)印象的だった『プレシャス』の監督リー・ダニエルズの作品でもあり、ニコール・キッドマンが出演するというので、
2013/08/21(水) 06:08:43 | 映画的・絵画的・音楽的
覗いてはいけない、禁断の闇 原題 THE PAPERBOY 原作 ピート・デクスター 製作年度 2012年 上映時間 107分 映倫 R15+ 脚本 ピート・デクスター 、リー・ダニエルズ 監督 リー・ダニエルズ 出演
2013/08/21(水) 11:29:48 | to Heart
1969年。場所はフロリダ州モート郡の田舎町。 そこで一癖も二癖もある面々が集合する。 殺人事件の死刑囚に冤罪の可能性があるとしてべく、新聞記者2人(マシュー・マコノヒー、デヴ...
2013/09/03(火) 02:25:33 | 日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜
 THE PAPERBOY  1969年の夏、フロリダ州モート郡。ジャック(ザック・エフロン)は水泳選手 としての将来を棒に振り、大学を中退して実家に戻っていた。父親(スコット・ グレン)の...
2013/09/12(木) 07:47:54 | 真紅のthinkingdays
13-62.ペーパーボーイ 真夏の引力■原題:The Paperboy■製作年、国:2012年、アメリカ■上映時間:101分■料金:1,000円■観賞日:8月1日、新宿武蔵野館(新宿) □監督・脚本・製作:リー・ダニエルズ□原作・脚本:ピート・デクスター◆ニコール・キッドマン◆...
2013/12/29(日) 18:18:45 | kintyre's Diary 新館
ニコール・キッドマンがけばい年増女を演じてます。そして彼女に恋するのが新聞配達のザック・エフロン。 ザック・エフロン、ニコール・キッドマン、マシュー・マコノヒー、ジョン・キューザック。 記者のウォード・ジャンセンは、黒人の同僚と、実家で新聞配達を手伝う弟のジャックとともに、白人保安官殺害事件の調査を開始する。3人は恋人の無罪を信じるシャーロットを伴い、容疑者ヒラリーと刑務所で接触を試みる...
2014/03/25(火) 09:34:34 | いやいやえん