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ローン・レンジャー・・・・・評価額1650円
2013年08月11日 (日) | 編集 |
大西部の光と影のクロニクル。

1933年にラジオドラマとして始まり、以来80年の歴史を持つ往年の人気シリーズ「ローン・レンジャー」のリメイク。
基本的なキャラクターや設定は嘗てのテレビシリーズを踏襲しているが、ゴア・ヴァービンスキー監督とジョニー・デップが再び組んだ本作は、言わば西部劇版の「パイレーツ・オブ・カリビアン」でもある。
ジャック・スパロー船長がそのまま悪霊ハンターのトントとなり、オーランド・ブルームが演じたウィルは、アーミー・ハマーのローン・レンジャーとなる。
さすがに世にもハチャメチャな大珍作となっていた「ワールド・エンド」ほどではないが、第二作の「デッドマンズ・チェスト」以上のパワーは維持しており、監督が変わった「生命の泉」の普通っぷりに不満を覚えたであろう、多くの(?)パイレーツファンにとっては、溜飲を下げる快作となっている。
※ラストに触れています。

鉄道網が急速に発展する、開拓時代の西部。
無法者ブッチ・キャヴェンディッシュ(ウィリアム・フィクトナー)一味にテキサス・レンジャーの兄を殺され、自らも瀕死の重傷を負った郡検事のジョン・リード(アーミー・ハマー)は、コマンチの悪霊ハンター、トント(ジョニー・デップ)に助けられ死の淵から蘇る。
トントは幼い頃に悪霊に取り付かれた白人たちに部族を皆殺しにされ、それ以来敵を討つために荒野を彷徨っている。
正体を隠し、黒マスクのヒーロー、ローン・レンジャーとなったジョンは、ブッチに攫われた兄嫁のレベッカ(ルース・ウィルソン)母子を救出するために、トントとコンビを組んで一味を追跡する。
ところが、ブッチの背後にはコマンチの居留地に眠る莫大な銀を狙う、鉄道会社の重役レイサム・コール(トム・ウィルキンソン)の巨大な陰謀が隠されていた。
ジョンとトントは、鉄道開通の日の式典を狙い、銀とレベッカ母子を奪還しようとするのだが・・・


いやあ、なんとも痛快な映画だ。
例によってやってる事はかなりムチャクチャだが、その自由さが心地良い。
近年のメジャー系ハリウッド映画のプロットは、物語構造の科学的な研究が進み、基本的に全て三幕構成を細分化した構成にテンプレ化しているので、物語の展開はどれも似通っている。
本作もそれは変わらないのだが、「パイレーツ」シリーズ同様に人物関係や描写が無駄に複雑で、幾人もの登場人物の行動が同時進行で描かれるので、良くも悪くもテンプレ構造を逸脱気味なのである。
更に全体を年老いたトント(の蝋人形?)を語り部とした“昔話”へ落とし込む事で、結果的に「ローン・レンジャー」だけでなく、過去の西部劇の要素をごった煮的にぶち込んだ、実にフリーダムな雰囲気のエンターテイメント大作が出来上がった。

「パイレーツ」の時は、本来脇役であったジャック・スパローの存在がシリーズが進むにつれてどんどん大きくなり、キャラクター間のバランスを保つのに苦労していたが、今回は基本の目線をジョン・リードに置きつつも、物語全体を語り部であるトントに俯瞰させる構造とした事で、うまく二人を対等に扱いバディ物として成立させている。
ローン・レンジャーことジョンを演じるアーミー・ハマーはなかなかの存在感だし、トントを演じるジョニー・デップも白塗りのルックスはインパクト絶大なれど、心に影を抱えたキャラクター故に演技そのものは案外と抑え気味。
ご都合主義ギリギリのスーパーな活躍を見せる馬のシルバーや、ヘレナ・ボナム=カーター演じる義足に銃を仕込んだ女将レッドも、良い具合にアクセントとして機能している。
モニュメントバレーをはじめ、西部劇で御馴染みのロケーションで矢継ぎ早に展開する危機また危機の連続は、正しく連続活劇だ。

もちろん、圧巻は宣伝でも強調されているクライマックスの怒涛の鉄道チェイスである。
1903年に公開された西部劇の元祖といわれる「大列車強盗」以来、鉄道はハリウッド映画における重要なアクションモチーフだった。
これを大いに活用したのが、喜劇王バスター・キートンの代表作にしてアクションコメディのマスターピース「大列車追跡」であり、以降作られる多くの作品に影響を与えている。
そして1984年にはスティーブン・スピルバーグが、「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」で蒸気機関車を小さなトロッコに置き換え、スピードとスリル満点の驚きの追撃戦を見せる。
本作にもキートン、スピルバーグの影響は明らかで、トロッコを再び汽車に戻した重量感たっぷりの追いかけっこは、これら鉄道アクションの正当な進化系だ。
「ローン・レンジャー」の代名詞でもある「ウィリアム・テル序曲」が鳴り響く中、巨大な蒸気機関車同士が追いつ追われつ、列車を飛び移りながらの敵味方の工夫を凝らした攻防戦は、一瞬たりとも目を離せない。
あと「パイレーツ・オブ・カリビアン」が、ディズニーランドの同名アトラクションを原作としているのは良く知られているが、本作も同じくディズニーランドにある“ウェスタンリバー鉄道”“ビッグサンダーマウンテン”という二つの鉄道アトラクションを思わせるのは、もちろん偶然ではないだろう。
このクライマックスの鉄道チェイスだけでも、本作を観る価値は十分あると断言できる。

だが、本作は単にアクション映画として良く出来ているだけではない。
広大な北米大陸に、蜘蛛の巣の様に広がり続ける鉄道網は、合衆国の輝かしい未来を約束するものであるのと同時に、この土地に住む先住民族にとっては侵略と収奪の歴史の象徴だ。
また鉄道工事や銀山で働かされてるのは、清朝中国からの移民労働者たちであり、実際に西部の鉄道の多くが彼らの多大な犠牲の上に築かれたのは、アメリカの黒歴史の一つである。
ヴァービンスキーは、コロンブス以来の西部開拓400年の影を、物語を構成するレイヤーの背面へと配置し、年老いたトントによって語られる物語全体を、失われた時に対するレクイエムとする事で昇華しているのである。

それを象徴するのが、物語の中で繰り返し登場する懐中時計というモチーフだ。
少年時代のトントは、銀を産出する川の源流の場所を若き日のコールである白人のプロスペクターに問われ、安物の時計と引き換えに源流への道を教える。
だが、プロスペクターたちはその秘密を守るために、トントの部族を皆殺しにするのである。
少年は、資本主義という“悪霊”の手に落ち、時の彼方に愛する者を全て失ってしまうのだ。
懐中時計はまた、鉄道会社が功労者に対して与える記念品としても設定されている。
物語の最後で、悪事を防いだとして時計を贈られたローン・レンジャーは、受け取りを拒否して大西部の荒野へと戻って行く。
そして、映画はまるで過ぎ去りし者たちの幻影を追うかの様に、年老いたトントがヨロヨロと荒野を歩く、長く物悲しいラストショットで幕を閉じるのである。
娯楽映画として大いに楽しませながら、米国が資本主義の帝国となった二十世紀から、古き良き正義が説得力を持った、ある種の理想郷としての大西部を俯瞰する。
なかなかに良く出来た作品で、正直なぜこの映画がアメリカの批評家に不評だったのか理解に苦しむ。
ジョンとトントの冒険はこれからが良い所で、是非続きが観たいのだが、どうやらその願いは叶いそうにないというのが残念だ。

今回は意外としみじみとした後味を残す作品なので、バーボンをチビチビと。
ケンタッキー州クラーモント産の、コストパフォーマンス抜群の庶民のバーボン「ジム・ビーム ホワイト」をチョイス。
創業は1795年まで遡るので、この映画の時代には既に70年の歴史を持っていた事になる。
マイルドなテイストで飲みやすく、ロックやストレートだけでなく、コーラ割りなど気軽にいろいろな飲み方がアレンジ出来るのが嬉しい。
高級品ももちろん良いけど、やはり普段の家飲みにはこういう安くて、それでも美味しい酒が良い。

そう言えば唐突に登場する“ウォビット”は一体何だったんだろう?(笑

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コメント
この記事へのコメント
不思議に忘れられない映画となりました。西部劇でもあり悲しみや公開を背負った人たちが強く生きていく話でもあるような。
ローラーコースターライドを陸に置き換えても健在なのはうれしい限りです。この監督さんの強みですね。
2013/08/12(月) 08:10:18 | URL | さゆりん #mQop/nM.[ 編集]
よかったー
ノラネコさん☆
アメリカだけでなく、いまひとつ評価が低いので残念に思っていましたけど、列車アクションのド派手さといい、アメリカの黒歴史をきちんと見据えているところといい、なかなかいい作品でしたよね。
ただ、最初のほうはもたついたかんじがして、テンポが悪く感じてしまいました。
2013/08/12(月) 13:58:06 | URL | ノルウェーまだ~む #gVQMq6Z2[ 編集]
こんにちは
>さゆりんさん
単に派手なアクション映画ではなく、未来から過去を俯瞰するという視点を持った事がこの映画の面白いところでしょうね。
不思議と切ない情感が後を引く。
今この時代を描こうとすると政治的に難しい点が多々ある。
それをこういう風に描くのはなるほどと思いました。

>ノルウェーまだ~むさん
このパイレーツの脚本チームはいつも無駄に構造を複雑にするんで、前半は整理に追われてスロースターターなのは何時もの事です。
その分、全てが揃ったクライマックスでは大爆発してくれるんだけど。
今回もそのスタイルは健在でした。
2013/08/12(月) 14:24:17 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
たしかにいろいろ注文をつけたくなるところもありますけど、それを全て吹き飛ばしてしまうクライマックスの大運動会に拍手喝采です。昔ながらの娯楽映画の魅力があのシーンに凝縮されていたように思いました。
2013/08/13(火) 09:37:55 | URL | かのん #.2cgsHzE[ 編集]
こんばんは
>かのんさん
クライマックスはサービス精神大爆発という感じでしたね。
シチュエーション自体は既視感あるんだけど、それを観客の想像力を超えてスケールアップしてくる。
正にザッツ・ハリウッドでした。
2013/08/13(火) 23:54:42 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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