酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ショートレビュー「タイピスト!・・・・・評価額1600円」
2013年09月07日 (土) | 編集 |
タイプバーが綴る恋。

1950年代のフランスを舞台に、タイプライターの早打ちコンテストに挑むヒロインの恋と挑戦を描いた、オシャレで軽妙なロマンチック・コメディ。
てっきり完全なフィクションだと思ってたけど、一部実話ベースとは驚いた。
漢字、ひらなが、カタカナと三種類も文字のある日本では、タイプライターはそれほど普及しなかったが、世界ではこんな大会が開催されていたのね。
一分間に500文字以上を入力し続けるために、基礎体力作りに勤しむヒロインとか、ほとんど昭和スポ根物のノリなのが可笑しい。
もっとも、本国でもクリーン・ヒットを飛ばしたというこの映画、単にレトロでキュートなだけの作品ではない。
物語の背景となっているのは、第二次世界大戦の記憶と、女性の社会進出に伴うジェンダーの葛藤である。

デボラ・フランソワ演じる主人公のローズは、ノルマンディの片田舎の出身だ。
昔気質の父親に、無理やり結婚させられそうになり、人生を自ら切り開くために、花の都パリへとやってくる。
唯一の得意技であるタイピングで、街の保険会社の秘書の職を得るものの、おっちょこちょいの田舎娘は失敗ばかり。
そこで雇い主のルイから突きつけられるのが、タイピングの全国大会で優勝する事、さもなくばクビという無理難題だ。
男たちの人手を軍隊に取られた第二次世界大戦は、多くの国々で女性の社会進出のターニングポイントであった。
戦後、フランスでも職業を持つ女性が増える一方で、ローズの父親の様に古き価値観からなかなか逃れられない人々もまだ多くいる時代。
そんな中で、女性のたちの憧れの職業の一つが“秘書”であり、その仕事のツールであるタイプライターのチャンピオンは、いわばウーマンリブの時代の寵児だったのだろう。

一方、ローズをタイピング女王に育て上げる雇い主のルイは、嘗てのドイツ軍との戦いでただ一人生き残り、仲間を助けられなかったトラウマから逃れられない男だ。
自分を許せない気持ちから、本気で恋に向き合う事も出来なくなり、今は親友の妻となった幼馴染の女性にも心を残したまま、先に進めないでいる。
ローズに対しても、雇う段階から既に男として口説きたい気分と、良き人間として助けなければという気分が葛藤し、あえて鬼コーチを装う事で恋心を抑え込む。
そして、実際にローズの才能が開花すると、彼女がアプローチを待っているのを知りながら、自分の役割は終わったとばかりに、身を引こうとしてしまうのだ。
惹かれ合いながらも素直になれない二人の仲を、ずっと見守ってきた周囲の人々が後押しし、タイピング世界大会決勝戦という、ものすごくわかりやすいクライマックスで、全てが結実する展開も鮮やか。
ローズとルイは、今風に言えば戦後フランス版の肉食女子と草食男子の様な物かもしれない。
これは男たちが自信を失い、女たちが自立した生き方を見つけようとする時代の、新しいロマンスの形を描いた物語。
ソール・バス風のレトロなオープニングタイトルから、粋なセリフで締めるラストまで、エスプリの効いた実に楽しい佳作である。

この映画にピッタリなのは、華やかなスパークリング・ロゼ。
フランスのモエ・エ・シャンドンが、オーストラリアのヴィクトリア州で生産している「シャンドン・ロゼ」をチョイス。
果実のフレッシュな味わいと、立ち昇る泡の絹の様に柔らかくクリーミーな喉ごしが、映画の爽やかな後味を強調して、残暑の蒸し暑さも軽減してくれるだろう。

ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね

こちらもお願い



スポンサーサイト

コメント
この記事へのコメント
こんばんは
ルイみたいな人って居ますよね。人を教育したり育ててよりよい方向へといくのを見るのが好きな人。
自分に厳しい人ほどこういう傾向ってあるのかな。
もちろん、カップルで居ると、お互いに成長していけるなら理想的なんだけど、等身大ではいけないの?なんて思ったりしてしまう。

ところで、これってなかなか素敵なラブコメでした。このテンポの良さ、センスの良さにやられてしまった感じ。
2013/09/09(月) 21:30:34 | URL | とらねこ #.zrSBkLk[ 編集]
こんばんは
>とらねこさん
奥手な鬼コーチと選手っていう、恋愛物の王道パターンの一つですねえ。
なんか昭和のスポコン物を思い出しましたが、レトロでお洒落な世界観も楽しくて、タイピングの心地良いリズムに浸っていたらあっという間に終わったという感じです。
センスの良い娯楽映画の秀作ですね。
2013/09/12(木) 22:54:58 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
 「『麗しのサブリナ』、『昼下がりの情事』、『パリの恋人』、『マイ・フェア・レディ』を見て参考にするように。」  『タイピスト!』の公式サイトによれば、レジス・ロワンサ
2013/09/07(土) 23:20:43 | 映画のブログ
タイピスト!@ヤクルトホール
2013/09/08(日) 10:27:05 | あーうぃ だにぇっと
      ☆先日の自衛隊の総合火力演習は、美少女アニメ『ガールズ&パンツァー』ファンの観覧応募が多く、プラチナチケットになったようだ。  その『ガールズ&パンツァー』
2013/09/08(日) 11:08:24 | 『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭
2012年・フランス 配給:ギャガ 原題:Populaire 監督:レジス・ロワンサル脚本:レジス・ロワンサル、ダニエル・プレスリー、 ロマン・コンパン撮影:ギョーム・シフマン製作:アラン・
2013/09/08(日) 16:29:51 | お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法
1950年代末を舞台にタイプ早打ち世界大会優勝を目指して奮闘する(スポ根テイストを加味した)ラブコメディーの傑作『タイピスト!』監督は長編作の初メガホンとなるレジス・ロワンサル...
2013/09/08(日) 21:31:06 | 映画雑記・COLOR of CINEMA
1950年代、フランス。 都会暮らしに憧れて田舎から出て来た若い女性ローズは、保険会社の経営者ルイの秘書(兼、たった一人の従業員)に採用される。 しかし一週間の試用雇用中に
2013/09/10(火) 00:04:08 | 象のロケット
1950年代末を舞台にタイプ早打ち世界大会優勝を目指して奮闘する(スポ根テイストを加味した)ラブコメディーの傑作『タイピスト!』監督は長編作の初メガホンとなるレジス・ロワンサル...
2013/09/12(木) 23:33:34 | 映画雑記・COLOR of CINEMA
さて、こちらはフランス映画で評判が高かった作品 系統としては一人の女性の成功物語ですね フランス映画ですが話のすじとしては王道スポ根ラブコメで安心してみることが出来る作
2013/09/16(月) 23:48:29 | にきログ
映画『タイピスト!』は、目の付けどころが面白いですね。タイプライター速打ち競技大
2013/09/23(月) 23:04:49 | 大江戸時夫の東京温度
 POPULAIRE  1959年、ノルマンディー地方の田舎町。雑貨店の娘、ローズ・バンフィル (デボラ・フランソワ)は憧れの 「秘書」 になるべく、保険会社の面接に臨 む。オーナーのルイ・エシャール(ロマン・デュリス)はローズの持つタイピン グの才能を見抜き、採用するのだが・・・。  「古き良き時代」、50’Sの雰囲気を再現、マドモワゼルの恋と...
2013/10/24(木) 07:35:41 | 真紅のthinkingdays
とてもチャーミングな映画でした。田舎者の天然娘がレディへと成長していくスポ根映画でもあります。 ヒロインはデボラ・フランソワさん、キュートなファッションやオシャレなインテリアや髪型でとっても可愛い。ロマン・デュリスさんは「ハートブレイカー」での嘘泣きの演技(笑える!)とは違う印象を残しますね。なんか痩せた? タイプの才能を見抜いた保険屋のルイは秘書としてローズを雇う代わりにタイプ大会の優...
2014/03/23(日) 08:38:20 | いやいやえん
ラブリーでカラフルモードの「フランス映画」!
2014/11/09(日) 08:22:58 | 或る日の出来事