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ショートレビュー「キャプテン・ハーロック・・・・・評価額1500円」
2013年09月12日 (木) | 編集 |
自由の旗を掲げよ!

過去にも「銀河鉄道999」への客演や、若き日のハーロックを描く「わが青春のアルカディア」などスピンオフ的な作品はあったが、意外にも「キャプテン・ハーロック」のタイトルで劇場用長編映画化されるのはこれが最初である。
もっとも、過去の漫画やテレビアニメに慣れ親しんだ世代は、本作にはいささか戸惑うかもしれない。
これは、漫画やアニメのリメイクというよりも、異なる時間軸の中での「キャプテン・ハーロック・ビギンズ」的な物語であり、キャラクターや世界観もかなり異なっている。
邦画では異例の18ヶ月もかけたというプリプロのおかげで、ビジュアルの充実、特にスチームパンク風の美術は素晴らしい。
アニメ版とは趣が異なるが、映像的には十分世界レベルの力作であると言って良いだろう。

※ここより完全ネタバレ。
本作を特徴付けるのが、帰るべき地球を失った人類というコンセプトだ。
全宇宙に広がった人類が、種の老年期を迎えて地球へといっせいに戻ってくるというのは藤子・F・不二雄の傑作短編「老年期の終わり」と共通する。
ところが増えすぎた人類の間で地球の争奪戦争が起こり、結果的にガイアサンクションという統治機構によって、地球は不可侵の聖地として管理され、人類は永遠に帰ることの出来ない心のよりどころとして地球を眺めている。
だが、実は本物の地球は最終戦争によってダークマターに汚染され、見るも無残な姿に変わり果てており、ガイアサンクションは人々にホログラムで作られた偽りの地球を見せて、自らの権威を守っているのである。

一方、ハーロック暗殺を命じられて、アルカディア号に乗り込む本作の事実上の主人公であるヤマは、実はガイアサンクション軍のイソラ司令官の弟だ。
彼らはヤマの起こした不幸な事故によってお互いの心と身体に傷を負い、愛憎半ばする奇妙な関係にある。
二人の絆を結び付けているのは、イソラの妻であり、ヤマの初恋の人であるナミなのだが、彼女は事故によって肉体の自由を失った意識のホログラム、言わばゴーストの様な存在なのだ。
ホログラムの地球とナミという二つの“フェイク”は、マクロとミクロの相似形であり、本作のテーマを象徴する。

パイロット版を含めた本作のプリ・プロダクションは2009年、プロダクションは2011年春にスタートしており、時期を考えると偶然なのだろうが、汚染で失われた故郷、過酷な現実から逃れて幻影を信じたがる人々とか、妙にリアルな日本を感じさせるのは面白い。
しかし、本作においてもっとも驚くべき幻影は、実はキャプテン・ハーロックその人なのである。
実は、ガイアサンクションの偽善を許す事が出来ず、地球をダークマターで汚染させてしまったのは、ハーロック自身なのだ。
ダークマターの呪いによって不死の身体を与えられたハーロックは、宇宙のあちこちに次元振動弾を設置し、時間をゼロに戻すビッグバンを再現しようとしている。
過去の作品に描写された、威風堂々とした男の中の男、男が惚れる男のハーロック像はここには無い。
ハーロックは、自らの犯した過ちの重さに耐えられず、全宇宙を巻き添えに集団自殺を図ろうとするパラノイアなのだ。

この人物造形に戸惑っていると、映画はさらに思いも寄らない方向へと舵を切る。
物語の終盤で“キャプテン・ハーロック”とは、一人の人物の固有名詞というよりも、自由を求めるスピリットの象徴として定義されるのだ。
見たくない現実に真摯に向き合い、生きるために必死に抗う時、人ははじめて心の自由を得る。
物語を通じてパラノイアのハーロックもそうして自由を手に入れるのだが、結局二人のハーロックが並び立つラストとか、どうにも物語の収束点としては収まりが悪い。
SFの装いながら、例えばダークマターの地球に落ちたアルカディア号が、突然あの形になって蘇った訳や、ハーロックが不死となった理由は強引にスルーし、ほとんどファンタジーの魔法の様に処理してしまっているのも如何なものか。
プロットの構成やキャラクター造形を含めて、正直脚本力にはかなり疑問が残るが、全体のテーマの明確さとテンポ感のある見せ場の連続に救われた印象だ。
もちろんスコープサイズで展開するスペクタクルな宇宙戦の映像は、それだけでも大スクリーンで鑑賞する価値がある。

ハーロックというと、赤ワインの印象があるが、本作でもやっぱりミーメと飲んでいた。
という訳で、今回はカリフォルニアからその名も「アルカディアン ピノノワール スリーピーホローヴィンヤード」の2007年をチョイス。
1996年創業の比較的若い銘柄だが、複雑なフルーツのフレーバーが絡み合う、フルボディの重厚な味わいはなかなかのものだ。

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コメント
この記事へのコメント
納得しなかった事に納得
ノラネコさん☆
やはりさすがノラネコさん、私の疑問を拭い去ってくれました。
私は実は「ハーロック」初体験だったので、余計にフラットな気持ちで観たのですが、CGでよりリアルさを追求していながら、どこかつかみどころの無いファンタジーなかんじが気になって、物語に集中できなかったのでした。
それもこれも、自分で汚染させた地球をめぐって戦い、さらに集団自殺をしようとしている姿が、いったいヒーローなのか何なのか・・・?と思ってしまったからなのですね。
ただ、これが自由を求める象徴としての存在ならなんとなく納得です。
2013/09/18(水) 16:34:47 | URL | ノルウェーまだ~む #gVQMq6Z2[ 編集]
こんばんは
>ノルウェーまだ~むさん
昔のハーロックは文句なしにカッコよかったんですよ。
男の子はメーテル、女の子はハーロックが初恋って人も沢山いました。
今回のはアニメのハーロックとは概念からして別物ですね。
これはこれで言わんとする事は良く分かりますけど。
2013/09/19(木) 20:17:50 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
こんばんは。
>汚染で失われた故郷、過酷な現実から逃れて幻影を信じたがる人々

ここに<現代日本>を感じずにはいられませんでした。
でも、偶然なんですね。
もし、そうだとしたら、製作者たちはずっと前から
そのようなことを問題意識として持っていたのかも…。
あの空中戦には『スターシップ・トゥルーパーズ』を思い出しました。
2013/09/23(月) 23:07:06 | URL | えい #yO3oTUJs[ 編集]
こんばんは
>えいさん
たとえば是枝監督の「奇跡」とか、震災前に作られていたのに、まるで予言の様に時代にフィットした作品て結構ありました。
これもそんな一本ですけど、震災で噴出したもろもろの問題って、突然そこに出てきた訳ではなく、構造的なものですよね。だから現代日本への問題を表現すればそれは必然的に時代に呼ばれた作品になるという事だと思います。
2013/09/27(金) 23:36:06 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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