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ショートレビュー「クロニクル・・・・・評価額1600円」
2013年10月05日 (土) | 編集 |
ワンダーランドの少年たち。

製作費1200万ドルの低予算映画ながら、2012年2月に米国で公開されるやランキングトップに躍り出て、全世界で製作費の十倍以上の興行収入を叩き出したヒット作。
にも関わらず日本公開がなかなか決まらなかったので、私は痺れを切らして海外版Blu-rayを買ってしまった。
今回ようやく劇場公開されたので、改めて鑑賞。
結果的に日の目を見た事は良かったが、ある意味日本の映画市場のガラパゴス化を象徴する作品であり、外国映画興行の先行きを不安視せざるを得ない。

監督のジョシュ・トランクと脚本のマックス・ランディスが作り上げたのは、三人の多感な思春期の少年たちを巡る兎穴の寓話だ。
同時にこれは、巨大な力を持ってしまった人間の悲劇を描いた、もう一つの「AKIRA」であり、男子版の「キャリー」でもある。
トランク監督もこれら作品の影響を受けたと語っているが、モキュメンタリー的な手法を取り込んだり、図らずも超能力を持ってしまった三者三様の反応を対比させる事で、単なる模倣に留まらないフレッシュなSi-Fi青春映画の佳作として昇華させている。

奇妙な洞窟に入った事によって超人となるのは、天真爛漫な学園の人気者スティーブ、複雑な家庭に育った孤独な少年アンドリュー、そして彼の従兄弟でもある平凡な高校生マットだ。
最初は念力でスカートめくりしたり、子供のオモチャを動かして驚かせたり、馬鹿馬鹿しい悪戯を楽しんでいたものの、彼らの能力は急激に成長し、危険なほど強大なものになってゆく。
もしかしたら自分たちの能力を使って何か偉大な事が出来るかもしれない、しかしその力を晒せば、おそらく人々から恐れられ拒絶されるだろうという、スーパーマンはじめあまたのスーパーヒーローがぶつかった超人のジレンマに、彼らも陥ってしまうのである。

無邪気な悪戯からはじまって、三人が遊び方を見つける感覚でどんどんと力を“開発”してゆくプロセスは、モキュメンタリー手法のおかげで観客も彼らの仲間になった様な臨場感を味わえる。
通常この種の映画は、劇中の登場人物の手持ちカメラや街中の監視カメラの映像を使っているという縛りがあるので、どうしてもカメラワークに制約が出るが、何しろ彼らは超能力者だ。
カメラポジションだって空中に浮かせて自分撮りも出来るし、移動撮影も思いのまま。
映画の設定と手法をうまく組み合わせて、新しい感覚の映像を見せてくれる。

そして、不治の病に苦しむ母と飲んだくれの父の元で育ち、この世界の不条理に複雑な思いを抱くアンドリューは、本気で望めば何でも出来るという超人としての自分と、無力な十代の若者としての自分との間で葛藤し、次第に自らの心の均衡を失ってゆく。
アンドリューが内面の怒りに支配され、暴走してゆくプロセスは心理ドラマとしてもなかなかの出来栄え。
遂に自分を人類に対する“捕食者”と位置付けたアンドリューと、彼を阻止しようとするマットという二人の超人による、シアトルのダウンタウンを舞台とした都市破壊と空中戦は、低予算を感じさせないスペクタクルだ。
改めて観ると、このシークエンスは似たシチュエーションの「マン・オブ・スティール」のクライマックスに明らかな影響を与えている事が分かる。
何しろアンドリューの暴走を止めるために、マットが直面する苦渋の決断すらほぼ同じ流れなのだから。

ところでタイトルの「クロニクル」とは単純に“記録する”という意味もあるが、本来は“年代記”の事である。
ジョシュ・トランク監督は本作のヒットを受けて抜擢され、マーベルの「ファンタスティック・フォー」を制作中だが、「クロニクル2」にも前向きだという。
果たしてバットマンよろしくある土地へと消えた登場人物がこれからどうなるのか、新たなる“超人年代記”の実現を期待したい。

こちらには、学生のパーティにはつきもののアメリカン・ビールの代表「ミラー ドラフト」をチョイス。
バドワイザーなどと同様、水の様に薄いのでガバガバ飲めてしまうが、私はどちらかと言えばミラー派。
念力で空を飛びながら飲んだら気持ち良いだろうな。
酔っ払って意識を失ったら落ちて死ぬだろうけど(笑
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コメント
この記事へのコメント
そうそう、そうなんです。最近映画館へ行くと『キャリー』の予告をよく目にするのですが、どことなくこの『クロニクル』と重なってくるんですよね。どちらもイジメられっ子が超能力を手にしてそして惨劇へ。青春ストーリーとしても繊細な心に機微をとらえた作品でした。
2013/10/05(土) 23:30:33 | URL | かのん #.2cgsHzE[ 編集]
こんばんは♪
>「クロニクル2」にも前向きだという
ほんとでしょうか?!
期待値が低かっただけではない、思いがけず「アタリ」籤をひいたような(笑)中盤からラストまで。
「マン・オブ・スティール」ではやりすぎだわよ、だった私が、
この作品では二人とともに泣いていました。
ぜひとも、少しばかり成長したあの少年の「2」を描いて欲しいものです。
2013/10/06(日) 01:15:41 | URL | kira #klq26XPE[ 編集]
あっという間に引き込まれました。羽目をはずしつつ抑制もある、そんなぶつかりあいがティーンという人たちを素材に上手に描かれていることに感心しました。
普段飛行機に乗ってもリアルタイムで進行方向の空模様を見せてはもらえませんし、宇宙飛行士ではないため地上を俯瞰することもまたかないませんが、その両方を同時に経験した気分になれたのでとっても得をした感じです。
どんどん教祖になって暴走していくアンドリューにも彼に対峙する従兄弟のマットにも、それぞれの理由が見える観客としてははらはらして涙が出てしまいます。
苦渋の決断はそれでも救いなのか、いまでもわかりませんし、背負うものが大きすぎる、というのはこういう身近な若者を描いた時によりよくわかるような気がします。
2013/10/07(月) 20:08:07 | URL | さゆりん #mQop/nM.[ 編集]
こんばんは
>かのんさん
両作に共通するのは、SFやホラーというジャンル以外にも、優れた青春映画であって、心理ドラマだという事でしょうね。
クロエちゃん版の「キャリー」ももうすぐ公開。
楽しみです。

>kiraさん
去年だったかな、監督が続編は考えていると言ってましたよ。
まあ今は「ファンタスティック・フォー」を制作中だし、その後も別の作品のオファー受けてるらしいので、実際に作るのはもう少し先になるんでしょうけど。

>さゆりんさん
ジャンルとしては決して新しいものではないのですが、見せ方は実に新鮮でしたよね。
飛行シーンだって、あんなのは見たことがない。
だんだんと壊れてゆくアンドリューと、日常に留めようとするマットのドラマも見応えがありました。
2013/10/08(火) 23:04:28 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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