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ジム・ヘンソンのこと / ストーリーテラー
2005年10月31日 (月) | 編集 |
「コープス・ブライド」の丁寧に作りこまれたファンタジーワールドに浸りながら、一人の偉大な映像作家の事を思い出していた。
彼の名はジム・ヘンソン

今から15年ほど前だったろうか、当時留学生だった私は、アメリカ人の学友からショッキングなニュースを聞いた。
「ジム・ヘンソンが死んだ!」
「ええっ!いつ!?」
その日、アメリカ中がヘンソンの死を嘆き、悲しんだ。
ヘンソンは、日本では一般には「セサミストリートのカエルの声の人」という程度の認識でしかなく、むしろパートナーのフランク・オズの方がSWのヨーダ役などで知られているかもしれない。
だがジム・ヘンソンことジェームス・マーリィ・ヘンソンは、アメリカ人にとって偉大な文化的アイコンである。
彼の早すぎる死去の時、殆どあらゆる週刊誌は表紙で微笑む故人の写真と追悼記事で埋まった。
日本で手塚治虫が死去した時を思い浮かべていただければ判るだろうか。

勿論その中心的な功績はセサミストリートによる物なのだが、その認知度は日本の比ではなく、一言でいってある世代までのアメリカ人は、ほぼ全て「セサミストリートで育った」幼少期を持つ、といっても過言ではないのだ。
セサミストリートの成功によって、テレビ番組の添え物に過ぎなかったパペットという表現方法は、一つの独立したジャンルとなり、多くのフォローワーを世界中に生み出した。
また彼の元からは多くの優れクリエイターが巣立った。
だがヘンソンが凄いのは、セサミの成功で得た信用と経済力でパペットの新たな地平を切り開こうとした事だ。

そうして生まれたのが、登場人物全てがリアルなパペットで表現された「ダーククリスタル」であり、人間とパペットの共演による「ラビリンス/魔王の迷宮」だ。
ヘンソン自身がセサミストリートとそのパペット達を愛していたのは間違いの無いところだが、ヌイグルミショー然としたセサミを離れたこうした映画は、明るく楽しげなセサミストリートとは対照的に、かなり暗く、退廃的な芸術性の漂うファンタジー世界だった。
ある意味でマニアックかつストイックな作りのせいか、セサミ系以外のヘンソンのパペット映画は残念ながら興行的にはあまり成功しなかったが、技術的にも芸術的にも非常にアグレッシブな挑戦だった。

そんな彼の作品の中で、もっとも詩的な美しさに溢れている傑作が、1988年に放送されたテレビシリーズ「ストーリーテラー」だ。
欧州の民話を、「ラビリンス」で確立した人間の俳優とパペットの共演で表現した物で、いわば実写版の「まんが日本昔話」だ。
物語は良く知られた物が多く、「美女と野獣」や「シンデレラ」の様にディズニーアニメで映画化された物語も含まれている。
だが、無理やりハッピーエンドにするので「民話を殺す」と言われたディズニーと違い、「ストーリーテラー」はかなり民話の原型に近く、実際に観てみると「元々はこんな話だったのか」と驚くかもしれない。
(まあ、ディズニーの民話改変に関してはまたの機会に触れてみたい。)
「まんが日本昔話」が民話の世界を表現するのに、切り絵や影絵アニメーションなど様々な手法を駆使していたのと同じく、「ストーリーテラー」もまた影絵の手法や物語を絵画調の世界にに閉じ込めるなど工夫を凝らしており、それが不思議と物語に詩情を加える効果をはたしている。
「ストーリーテラー」の第一シーズンは全九話で、ヘンソンは「心のない巨人」「兵士と死に神」の二編を自身で監督している。
このうち特に「心のない巨人」は、ある意味で”ストーリーテラー”ヘンソンの真骨頂とも言うべき傑作。
ヘンソン自身は、何れ世界中の民話をこのシリーズで取り上げていきたいと語っており、日本の昔話も収集していたという。
彼の死後、プロデューサーとしてのみ参加した「ストーリーテラー/ギリシャ編」が放送されたが、残念ながら最初のシリーズほどのクオリティは持ち合わせておらず、シリーズはヘンソンの死と共に打ち止めとなってしまった。
何とも残念な話だが、セサミストリートでしかヘンソンを知らない人には、是非この「ストーリー・テラー」の美しさを知ってもらいたいものである。
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コメント
この記事へのコメント
ジム・ヘンソンが死去した時、私もちょうどアメリカに留学中で、このニュースが報じられたことを覚えています。ヘンソンに関しては、私もだいたいの日本人同様、カーメットの声をやっていた程度のことしか知りませんでした。この書き込みを読むまでは。しかし、この人がダーククリスタルのクリエーターだってことは全く知らなかった!昔映画館で見て、相当印象に残っている作品なんで。そのストーリーテラーという作品、観たことないですが興味深そうですね。
2005/11/02(水) 00:31:02 | URL | HebimetasanM #-[ 編集]
>HebimetasanMさん
今晩は。
ジム・ヘンソンは私がもっとも尊敬する映像作家の一人です。
日本ではセサミストリートの印象が強すぎるのか、他の作品に触れられる事が少ないように感じます。
ストーリーテラーは彼が本当にやりたかったジャンルだったようで、本当に美しく、パペット物というよりも映像史上のエポックと思っています。
私のブログで興味を持っていただけたらこれほど嬉しい事はありません。
是非ご覧ください。
面白さは保障いたします。
2005/11/02(水) 01:25:30 | URL | ノラネコ #-[ 編集]
はじめまして
こんばんは(^^)
TBありがとさんでした。
小さい頃から、セサミで楽しんでいた事もあって、ジム・ヘンソンは私にとっても大好きなクリエイーターです。
もちろんダーククリスタルは一度で好きになるほど素晴らしかったですよ~
そして、このストーリーテラーシリーズの彼の作品を語る上で重要な作品ですよね。本当に素晴らしいです。
私もTBさせてもらいますね(^^)
2005/11/03(木) 22:25:36 | URL | WIZARD #-[ 編集]
ありがとうございました
>WIZARDさん
ありがとうございます。
ダーククリスタルは劇場に観に行きましたよ。(ガラガラでしたけど)
オーグラが一番好きなキャラクターだったりします。(笑
2005/11/04(金) 01:44:04 | URL | ノラネコ #-[ 編集]
ノラネコさん、初めまして!
こちらからもTB置かせていただきますね。

ストーリー・テラーの「心のない巨人」の入っている巻は持ってます。
おっしゃるとおり、「元々はこんな話だったのか」な番組ですよね。
また、違う巻も買ってみたくなりました。
2005/11/06(日) 10:40:19 | URL | ひるで #-[ 編集]
こんにちは
>ひるでさん
ヘンソンの作品は、日本ではDVD化されてない物が多かったのですが、ここんところ段々充実してきました。
ストーリーテラーの第一シーズンはどれも面白いのでお勧めです。
2005/11/06(日) 13:16:35 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
ありがとうございます
ノラネコさんはじめまして。
TBありがとうございました。ジム・ヘンソンの話でつながるのはとてもうれしいです。最近私の周りでは、ジム・ヘンソンの名前を出しても反応が乏しいもので。
「ダーク・クリスタル」と「ストーリー・テラー」は本当に素晴らしかったですよね。彼の作品には何とも言えないあたたかみが感じられて、とても好きなんです。CGの味気ない表現が主流になる中、彼の優れた仕事が再び評価を高めていくことを願ってます。
私も TBつけさせていただきますね。
2005/11/06(日) 20:53:38 | URL | よこやま #Jb1gIh7Q[ 編集]
こちらこそ
>よこやまさん
こちらこそありがとうございます。
私も、ちょくちょくそちらを覗かせていただこうと思っています。
私はデジタル映像の仕事をやっているのですが、実はCGクリエイターたちにはジム・ヘンソンのファンがとても多いんです。
あのパペットならではの暖かさを、何とかCGでも感じさせられないかとトライ&エラーを繰り返しています。
今のところは、やはりあの味はなかなか出せなかったりするんですけど、案外観てる人がCGだと思ってる映像がパペットだったりするんですよ。
その逆もあったりして、面白いですよね。

2005/11/07(月) 00:55:00 | URL | ノラネコ #-[ 編集]
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2005/11/03(木) 22:14:47 | CINE MAG
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2005/11/06(日) 10:25:40 | ひるでのでるひ
   STUDIO VOICEの10月号に「ジム・ヘンソンの伝説」という特集記事...
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