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エンダーのゲーム・・・・・評価額1600円
2014年01月20日 (月) | 編集 |
彼らは、子供でなければならなかった。

未知のエイリアンとの宇宙戦争に挑む子供たちを描いた、オースン・スコット・カードの傑作SF小説「エンダーのゲーム」初めての映画化である。
監督・脚本は南アフリカ出身で、「ツォツィ」で脚光を浴びたギャヴィン・フッド。
タイトルロールを演じる「ヒューゴの不思議な冒険」のエイサ・バターフィールドをはじめ、ヘイリー・スタインフェルド、ハリソン・フォード、ビオラ・ディビス、ベン・キングスレーら若手もベテランも演技派がずらりとそろった。
SF的な世界観やビジュアルの面白さだけでなく、心理ドラマとしても見応えありだ。
※核心部分に触れています

謎の昆虫型エイリアンによる地球攻撃から半世紀。
何とか撃退に成功した人類は、敵の再侵攻に備えて、特別な能力を持った子供たちを宇宙艦隊の指揮官として養成するプログラムを進めている。
アンドリュー・“エンダー”・ウィッギン(エイサ・バターフィールド)は、教育を担当するグラフ大佐(ハリソン・フォード)によって選抜され、宇宙空間に浮かぶバトルスクールへと送り込まれる。
幾つものチームに分かれた生徒たちが競い合う中、はみ出し者たちを集めたチーム“ドラゴン”をまかされたエンダーは、急速に指揮官としての資質を開花させてゆく。
そして、訓練の最終段階に進んだエンダーとドラゴンの仲間たちは、エイリアンとの実戦を想定したシュミレーションゲームに挑む事になるのだが・・・・


同名の原作は日本語訳の文庫版で上下二巻になる長大な物で、114分という本作の上映時間を聞いた時は、正直この長さではまともな映画は期待出来ないだろうと失望した。
しかし、やはり映画は実際に観るまでわからない。
完成した作品は、ある程度薄まりながらもしっかりと原作のテーマに向き合い、ダイジェスト感はあるものの、かなり忠実に映像化することに成功しているのである。
ハリウッドのSF大作には珍しく、監督との兼務で単独脚本を書き上げたギャヴィン・フッドは、なかなかに良い仕事をしていると思う。

原作が出版された1985年は、82年末のゲーム業界崩壊、所謂アタリショックを乗り越え、ニンテンドー・エンターテイメント・システム(ファミコン)の登場によって、米国で家庭用ビデオゲーム機の新たなブームが起こった時代。
また84年には初代マッキントッシュが発売され、パソコンの急速な普及が始まり、いち早くこの新しいツールを使いこなした若者たちによるクラッキング事件が、相次いで世間を騒がせたのもこの頃だ。
83年に公開されたジョン・バダム監督の「ウォーゲーム」は、ペンタゴンのコンピューターに侵入したクラッカーの少年が、ゲームと勘違いして本物の核戦争プログラムを起動させてしまうという物語で、本作の原作発表時には幾つかの類似性が指摘されていた。
カードは、これら現実に相対するヴァーチャル世界の出現という静かな革命を巧みに物語に取り込み、子供たちによるゲーム感覚の宇宙戦争という、時代性を反映した独特のSF設定を作り上げたのだ。

アンドリュー・ウィッギンという名を持つ主人公がエンダー(Ender)と呼ばれるのは、彼が“戦争を終わらせる者”だから。
エイリアンによる二度目の侵略を防ぐため、宇宙艦隊を統べる司令官となるべく、生まれた時から運命付けられているエンダーは、チームの子供たちと共に、シュミレーションの戦争ゲームに明け暮れる。
最終試験となったエイリアンの母星への侵攻作戦で、あまりの難易度の高さに味方を犠牲に捨て身の作戦をとったエンダーは、遂に敵の母星を焼き尽くす事に成功する。
だが、実は彼がゲームだと思っていたのは、全て超高速通信を介した実戦
エンダーの指揮によって、本物の宇宙戦争は彼自身の知らないうちに終結していたのだ。
二つの種族の命運という重荷に耐え、常に冷静な判断を下せる人間はいない。
だからこそ絶滅作戦の指揮官は戦術を柔軟に使いこなし、強い共感能力によって敵を理解出来つつも、訓練のためのゲームであるという設定に疑問を抱かず、大人たちの期待に応えようとする子供でなければならなかったのである。

それは大人たちなりに、子供に重圧を背負わせないための優しさなのかもしれない。
だが、エンダーの持つ最大の特質は相手を理解する共感能力だ。
彼はエイリアンを顔のない絶対悪と考える大人たちと異なり、対話できる相手と認識している。
知らぬ間に人類を救った英雄となったエンダーはしかし、その共感能力と感受性故に、自分たちと同じように命ある種族を滅ぼした大虐殺者でもあるという事実から逃れられない。
米国のSFとしてはかなりの異色作である本作が生み出された80年代はまた、アニメーションや漫画などを中心に日本のSF作品が欧米市場になだれ込み、SF世界における東西の相互影響力が大きくなりつつあった時代でもある。
子供たちをリアルな未来の戦場に送り込んだのは、やはり富野由悠季あたりが元祖だろうか。
エンダーの設定には「ガンダム」のニュータイプに通じるものがあるし、彼が見せるどこかシンジ君的な戦う事への葛藤、戦い終わった後の彼なりの究極の決断は、おそらく日本人にはとても分かりやすい心理劇となっている。

「戦争の終わらせ方が問題なのだ」とエンダーは言う。
とにかく勝てば良い、敵を排除すれば良いという大人たちを支配しているのは、未知なる存在への不寛容と恐怖だ。
だが、その理屈で言えば、宇宙に人類以外の生命が存在する限り、それは基本的に敵であり、人類は永遠に宇宙の孤児という事になってしまう。
エンダーは相手を理解する事によって、大人たちの限界を超えてゆくのだが、彼の選択する孤独な先駆者としての旅路は、過去に幾多の戦争を経験したアメリカ社会への提言でもあるのだ。
原作者のカードは、1951年生まれのベビーブーマーで、多感な十代に公民権運動やベトナム反戦運動をリアルタイムで目にした世代であり、モルモン教の宣教師として活動した経歴もある。
20世紀の半ば、太平洋を越えてきた未知なる東洋の敵に対して、核兵器を持って排除する事を選択したのは、カードの世代にとっての“大人たち”なのである。

既に原作の発表から30年近く経った訳だが、80年代にはSFだった遠隔操作の兵器によるゲームライクな戦争は、21世紀の現在では実現してしまっている。
例えば世界中で展開するアメリカ軍の無人機は、全て戦場から遠く離れた本土の基地から操縦されており、オペレーターは自らの命を一切危険に晒す事無く、敵を攻撃する事が出来る。
こういった無人機やロボットによる新たな戦争は、相手を人間と認識し、命を奪うことへの躊躇する気持ちを薄れさせてしまうと批判され、規制の必要性が叫ばれているのは昨今の報道の通り。
原作の「司令官は、子供でなければならなかった」と言う台詞は、現在のほうがより恐ろしく響く気がする。
人類は、不寛容と恐怖による支配から、いつか脱却できるのだろうか。

しかし、予想外に良く出来ているからこそ、やはり短い尺によって切り捨てられた幾つものエピソードを勿体無く感じてしまうのも事実。
エンダーの背負った重荷の過酷さも、もう少し時間があればよりしっかりと描けたはずだし、それによって作品のテーマ性も深まった事だろう。
もしも前後編に分けて4時間、いや3時間少々の尺があれば、本作はSF映画史に残る傑作になっていたかもしれない。
ギャヴィン・フッドは巧みな取捨選択により賞賛に値する仕事をしているが、114分尺という条件下では、良作止まりとまってしまった事が残念。
本作の興業が失敗に終わった事によって、シリーズでの映画化はなかなか難しい状況になってしまったが、いつの日か「死者の代弁者」となったエンダーの次なる冒険もスクリーンで観たいものだ。

今回は、ドラゴンつながりで「グリーン・ドラゴン」をチョイス。
ドライ・ジン35ml、クレーム・ド・マント・グリーン15ml、キュンメル5ml、レモン・ジュース5mlをシェークして、カクテル・グラスに注ぐ。
透き通った緑が目に楽しく、穀物のスピリッツに香草などで香り付けしたキュンメルの風味が独特。
甘酸っぱく、スッキリとした後味のカクテルだ。
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