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V/H/S ネクストレベル・・・・・評価額1600円
2014年02月14日 (金) | 編集 |
ウェルメイドなホラー幕の内弁当。

昨年公開されたオムニバス映画、「V/H/Sシンドローム」の第二段。
ビデオテープに録画された恐怖のエピソードが後から発見されるという、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」以来ブームとなった所謂ファウンド・フッテージ物のバリエーションだ。
POVのモキュメンタリースタイルで描かれているのは前作同様だが、なるほど「V/H/Sネクストレベル」という邦題通り、そのクオリティは前作を遥かに上回る。
俎上にあげられるのは、幽霊、ゾンビ、オカルト、そしてSF。
まさにホラー全部入り、一本で四度、いや五度美味しいお得な一本である。

「サプライズ」のアダム・ウィンガードや「キャビン・フィーバー2」のタイ・ウェストら、新進気鋭のホラーヲタクたちが結集した前作では、とあるビデオテープを盗み出して欲しいと依頼された不良四人組が、忍び込んだ家にあったおびただしい数のVHSテープを見つける。
目的のビデオを探すために、片っ端から再生してゆくと、そこには恐ろしい映像が収録されており、更に再生するたびに仲間が一人ずつ消えてゆく、という仕掛けだった。
今回は、連絡の取れない大学生の息子を探しだす事を依頼された男女の探偵コンビが、荒れ果てた息子の家でやはり膨大なVHSテープの山に遭遇する。

計六話で構成されていた前作は、似通ったエピソードが多い上にブツギリ感が強く、ほとんどの話が途中で放り出されたような雑さで、正直なところ面白いとは言い難い作品だ。
しかし、今回は良い意味で期待を裏切られた。
狂言回し的な探偵コンビの話を除けば、劇中エピソードは四話。
前回よりも話数が減った分、一話あたりの尺が増え、結果きちんと三幕構造の物語として構成され、それぞれに弱いながらも一応のオチがついている。
特にオムニバス映画の場合、これは意外と大きな要素だ。
エピソードが次から次へと進んでゆくので、全くオチていない作品があると、モヤモヤを次のエピソードまで引き摺ってしまい、最終的に中途半端なものを観たという印象になってしまう。
だからオムニバス物では、エピソードにオチをつけて観客を次の話に送り出してあげる事が、単体の短編作品よりも重要なのである。

前作から続投のアダム・ウィンガードをはじめ、恐怖を愛するストーリーテラーたちは、ホラーの各ジャンルをユニークな視点で切り取り、ロメロからスピルバーグ、果てはウィリアム・ガードラーまで、過去の名作・珍作へ愛情たっぷりにオマージュを捧げた禍々しい小品が並んでいる。
ウィンガードが担当した最初のエピソード、「Phase I Clinical Trial(第I相臨床試験)」は、人口眼球を装着した結果、なぜか幽霊が見えるようになってしまった男の悲劇。
これはもちろん角膜移植の結果、霊能力を持ってしまった女性を描く、タイ製ホラー映画のマスターピース「The EYE 【アイ】」が元ネタだろう。
このジャンルでは反則技の、ボディーコンタクトありの幽霊の凶悪っぷりが怖い。

二本目の「A Ride in the Park(公園で自転車)」は、エドゥアルド・サンチェス監督。
森でバイクライド中にゾンビに襲われて感染してしまう男の話なのだが、終始男がヘルメットにつけているGoPro映像の設定なのがユニーク。
社会風刺からラブストーリーまで、いい加減やりつくされた感のあるこのジャンルも、ゾンビ側の視線で見ると新鮮に見えるから不思議だ。

三本目のティモ・ジャイアント、ギャレス・エヴァンス共同監督の「Safe Haven(聖域)」は、とあるカルト教団に取材に訪れたテレビクルーを襲う恐怖。
人里はなれた教団の建物では、死後の世界をこの世に現出させ、永遠の命を得るための恐るべき儀式の準備が進んでいるが、そのためにはある人物が必要で、実はそれは・・・という話。
懐かしの70年代オカルトスペクタクル、「マニトウ」を思わせるB級テイストが嬉しい。
ラストのあるキャラクターの一言には、思わずコーラ噴いた(笑

そして最終話「Slumber Party Alien Abduction(パジャマパーティのエイリアン事件)」は、ジェイソン・アイズナー監督作品。
両親の留守中に若者たちがバカ騒ぎをしている湖畔の家に、謎の怪光が出現。
光の中に現れた異形のモノたちは、圧倒的な力で彼らを連れ去ろうとする。
スピルバーグの「未知との遭遇」にシャマランの「サイン」をミックスした様な、シンプルだが良くできたプチ侵略SFで、これもGoProの使い方が面白い作品だ。
超小型アクションカメラの登場は、POVの新たな可能性を広げたといえるかもしれない。

これら四本を、サイモン・バレット監督の探偵のエピソード「Tape 49」が纏め上げている。
それぞれのエピソードは良くできているだけでなく、良い意味で猥雑なジャンル映画の趣があり、作り手が心底楽しんで作っているのが滲み出る悪意と共に伝わってくるのだ。
普通に観ても十分面白いが、ホラー映画好きならより突っ込んで楽しめる。
冬の夜長にコタツで一杯飲みながら見るのにぴったりの、ホラーヲタの稚気愛すべき快作オムニバスである。
出来ればVHSの荒い画質で観た方が恐怖感倍増な気がするが、もはや出ないだろうなあ。

今回は、この映画にぴったりな「ミラードラフト」をチョイス。
ポップコーンを肴に水のように薄いアメリカンビールで、ほろ酔い気分で楽しむのがこのジャンルの古き良き楽しみ方である。
そういえばホラージャンルの中でも、今回は伝統的なモンスターが出てこなかったけど、ネタ的にはいくらでも続けられそうな作品なので、「V/H/S 3」(邦題は「サードレベル」かな?)も期待しておこう。
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V/H/S 2 2013年 アメリカ 96分 ホラー R18+ 劇場公開(2014/01/24) 監督: サイモン・バレット「TAPE49」 アダム・ウィンガード「PHASE I CLINICAL TRIALS」 エドゥアルド・サンチェス「A RIDE IN THE PARK」 グレッグ・ヘイル「A RIDE IN THE PARK」 ティモ・...
2014/03/30(日) 12:44:42 | 銀幕大帝α
心霊、ゾンビ、カルト、エイリアンと4本の映像を納めたビデオテープ。そして最後はスラッシャー。 「V/H/Sシンドローム」の続編です。前作よりかはわかりやすくなっててこちらのほうが楽しめますね。 視点カメラに工夫があって、1本目の幽霊のやつは主人公の「眼」が録画機能が付いているという事になっていて、2本目はヘルメットカメラでゾンビになった視点で人間を襲う気分が味わえる、3本目はいたるところ...
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