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2014年03月18日 (火) | 編集 |
壊れた輪、すれ違う世界。
本年度アカデミー外国語映画賞にノミネートされた、フェリックス・ヴァン・フルーニンゲン監督による、ベルギー発の異色の音楽ドラマ。
ぶっちゃけ物凄くヘビーな内容だが、深く心に響く傑作だ。
主人公はトレーラーハウス暮らしのミュージシャンのティディエと、ひょんな事から彼と出会ったタトゥーアーティストのエリーゼ。
やがて才能を開花させた彼女は、彼のバンドでボーカリストとして活躍しはじめる。
対照的な二人の間にはいつしか娘が生まれ、家族となってゆく。
しかしささやかながらも幸せな時間、祝福の季節は長くは続かない。
幼い娘は突然の病に倒れ、永遠に思えた絆は突然断ち切られてしまうのだ。
アメリカの民謡音楽、ヒルビリーから発展したカントリースタイルの一派、ブルーグラスの哀愁を帯びたメロディーが切ない。
本作は、娘の死をドラマ的な基点として、過去と現在、そして未来とが複雑に折り重なる構造を持ち、その中に幾つもの対立軸が綿密に配されている。
ティディエとエリーゼ、男と女の世界を見る視線はあまりにも違う。
違うからこそお互いを求め、愛し合うのだが、自分たちにとって一番大切な存在を失った時、相違は葛藤として一気に顕在化するのだ。
ロマンチストでありながら、非常にロジカルな思考をするティディエは、自らの信じる主義、思想によって大き過ぎる喪失に向かい合おうとする。
一方のエリーゼは、よりスピリチュアルな世界を通して、亡き娘の心を感じようとするのだ。
例えば、窓辺に舞い降りた一羽の鳥に娘の魂を感じたエリーゼは、鳥がぶつからない様に、家のテラスのガラス屋根に衝突防止のシールを張ろうとする。
だが、そんな彼女の行動は、ティディエにとっては娘の死を受け入れられず、虚構の世界へ逃避している様にしか見えない。
二人の間にあった美しい調和は崩壊し、衝突とすれ違いを繰り返す様になってしまう。
「オーバー・ザ・ブルースカイ」はいかにも日本的に優しく、良い邦題だと思うが、原題の「The Broken Circle Breakdown」の方が実際の作品のムードには相応しい。
ティディエはブルーグラスのバンドを組んで、カウボーイの様にトレーラーハウスで自給自足で暮らしているくらいだから、アメリカとその文化に憧れている。
ところがテレビニュースが伝えるアメリカでは、宗教的保守派が娘の様な病気を治す可能性を持つ肝細胞研究を禁止したと伝えているのである。(※この映画の時代設定はブッシュ政権の頃)
論理性を信奉するティディエには、その決定がエリーゼの行いと重なって見えてしまうのだ。
アメリカに憧れながらアメリカを呪い、死後の世界を否定しながら失われし者の魂に想いを巡らす。
不条理な世界で、幾つもの矛盾に引き裂かれた人間たちの切ない想い、言葉にならない内なる葛藤を、ブルーグラスの調べが繋いでゆく。
ハイクオリティな劇中曲が、全て出演俳優たちによる実演だという事にビックリ。
物語と映像と音楽が見事なハーモニーを形作り、運命に抗う悲しき魂の歌声に、涙を堪えられない。
本作はベルリン国際映画際で観客賞一位となったそうで、なるほどハードなヒューマンドラマとして見応え十分、そして音楽映画としても聞き応え十分だ。
物語に必ず救いを求めるという人は避けた方が良い作品かもしれないが、ある意味究極の愛の形を見る事になるラストまで、全く目が離せない。
エリーゼのタトゥーなど象徴性の使い方も絶妙で、思わず唸った。
はたして、壊れた輪は時空のどこかで再び繋がるのだろうか。
今回は日本でもおなじみのベルギーを代表するビールの銘柄「ヒューガルデン ホワイト」をチョイス。
柔らかい泡立ちはクリーミーで、コリアンダーシードとオレンジピールを加えて作られる味わいはとてもフルーティで、適度な酸味が爽やかさを演出する。
ライトな感覚で、ベルギービールはヘビーで苦手という人にもオススメできる。
しかし、この映画がアカデミー外国語映画賞を逃した理由は実際に観たらよく分かった。
確かにこりゃ、アメリカ人の票は割れるだろうな。
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本年度アカデミー外国語映画賞にノミネートされた、フェリックス・ヴァン・フルーニンゲン監督による、ベルギー発の異色の音楽ドラマ。
ぶっちゃけ物凄くヘビーな内容だが、深く心に響く傑作だ。
主人公はトレーラーハウス暮らしのミュージシャンのティディエと、ひょんな事から彼と出会ったタトゥーアーティストのエリーゼ。
やがて才能を開花させた彼女は、彼のバンドでボーカリストとして活躍しはじめる。
対照的な二人の間にはいつしか娘が生まれ、家族となってゆく。
しかしささやかながらも幸せな時間、祝福の季節は長くは続かない。
幼い娘は突然の病に倒れ、永遠に思えた絆は突然断ち切られてしまうのだ。
アメリカの民謡音楽、ヒルビリーから発展したカントリースタイルの一派、ブルーグラスの哀愁を帯びたメロディーが切ない。
本作は、娘の死をドラマ的な基点として、過去と現在、そして未来とが複雑に折り重なる構造を持ち、その中に幾つもの対立軸が綿密に配されている。
ティディエとエリーゼ、男と女の世界を見る視線はあまりにも違う。
違うからこそお互いを求め、愛し合うのだが、自分たちにとって一番大切な存在を失った時、相違は葛藤として一気に顕在化するのだ。
ロマンチストでありながら、非常にロジカルな思考をするティディエは、自らの信じる主義、思想によって大き過ぎる喪失に向かい合おうとする。
一方のエリーゼは、よりスピリチュアルな世界を通して、亡き娘の心を感じようとするのだ。
例えば、窓辺に舞い降りた一羽の鳥に娘の魂を感じたエリーゼは、鳥がぶつからない様に、家のテラスのガラス屋根に衝突防止のシールを張ろうとする。
だが、そんな彼女の行動は、ティディエにとっては娘の死を受け入れられず、虚構の世界へ逃避している様にしか見えない。
二人の間にあった美しい調和は崩壊し、衝突とすれ違いを繰り返す様になってしまう。
「オーバー・ザ・ブルースカイ」はいかにも日本的に優しく、良い邦題だと思うが、原題の「The Broken Circle Breakdown」の方が実際の作品のムードには相応しい。
ティディエはブルーグラスのバンドを組んで、カウボーイの様にトレーラーハウスで自給自足で暮らしているくらいだから、アメリカとその文化に憧れている。
ところがテレビニュースが伝えるアメリカでは、宗教的保守派が娘の様な病気を治す可能性を持つ肝細胞研究を禁止したと伝えているのである。(※この映画の時代設定はブッシュ政権の頃)
論理性を信奉するティディエには、その決定がエリーゼの行いと重なって見えてしまうのだ。
アメリカに憧れながらアメリカを呪い、死後の世界を否定しながら失われし者の魂に想いを巡らす。
不条理な世界で、幾つもの矛盾に引き裂かれた人間たちの切ない想い、言葉にならない内なる葛藤を、ブルーグラスの調べが繋いでゆく。
ハイクオリティな劇中曲が、全て出演俳優たちによる実演だという事にビックリ。
物語と映像と音楽が見事なハーモニーを形作り、運命に抗う悲しき魂の歌声に、涙を堪えられない。
本作はベルリン国際映画際で観客賞一位となったそうで、なるほどハードなヒューマンドラマとして見応え十分、そして音楽映画としても聞き応え十分だ。
物語に必ず救いを求めるという人は避けた方が良い作品かもしれないが、ある意味究極の愛の形を見る事になるラストまで、全く目が離せない。
エリーゼのタトゥーなど象徴性の使い方も絶妙で、思わず唸った。
はたして、壊れた輪は時空のどこかで再び繋がるのだろうか。
今回は日本でもおなじみのベルギーを代表するビールの銘柄「ヒューガルデン ホワイト」をチョイス。
柔らかい泡立ちはクリーミーで、コリアンダーシードとオレンジピールを加えて作られる味わいはとてもフルーティで、適度な酸味が爽やかさを演出する。
ライトな感覚で、ベルギービールはヘビーで苦手という人にもオススメできる。
しかし、この映画がアカデミー外国語映画賞を逃した理由は実際に観たらよく分かった。
確かにこりゃ、アメリカ人の票は割れるだろうな。

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