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ショートレビュー「ポンペイ・・・・・評価額1550円」
2014年06月13日 (金) | 編集 |
燃え尽きるまで、愛し抜く。

現役の映画監督にはなぜかアンダーソン姓が多い。
誰もが認める若き巨匠ポール・トーマス・アンダーソン、箱庭的な独特の世界観で熱烈なファンを持つウェス・アンダーソン、更にはスリラーものを得意とするブラッド・アンダーソンら。
そんなアンダーソンズの中にあって「ダメな方のアンダーソン」呼ばわりされているのが、ポール・W・S・アンダーソンだ。
しかし、この呼び方にはちょっと納得出来ない。
確かに本当にダメな作品もあるが、「バイオハザード」シリーズや「AVP」など沢山の娯楽映画で、他のアンダーソンの誰よりも面白がらせてくれているではないか。

せめて楽しい方のアンダーソンと呼びたい、ポール・W・Sの最新作は、西暦79年にヴェスヴィオ火山の大噴火によって滅亡した古代都市ポンペイを舞台に、無敵のグラディエーターと高貴な姫君との身分違いの恋を描いたスペクタクルなラブストーリー。
ポンペイの最後を題材にした作品と言うとエドワード・ブルワー=リットンの小説を映画化した「ポンペイ最後の日」が有名だが、これはリメイクではなくオリジナルストーリーだ。

前半は「グラディエーター」の様な筋肉ムキムキの男たちのアクション編、後半は「ダンテズピーク」の様な噴火パニック編
そして全編を貫くのがケルト騎馬民族の生き残りにして、ローマによってグラディエーターの身分に落とされたマイロと、ポンペイの有力者の娘、カッシアの恋と、彼女に横恋慕するローマ元老院議員のセクハラオヤジ、コルヴィスの「タイタニック」的な三角関係
更にマイロにとって、コルヴィスは家族を皆殺しにした仇であるという、キャラクター相関図は出来過ぎなほどの濃密さ。
エンターテイメント要素てんこ盛り、ぶっちゃけベッタベタではあるものの、この節操の無いサービス精神は個人的には大好き。
ポンペイのコロシアムの無敗のチャンピオン、アティカスとマイロとの友情ストーリーも効果的なサブプロットとして効いている。
いくらなんでも恋愛モード突入が早急過ぎるとか、コルヴィスの若い娘への執着心強過ぎとか、色々突っ込みどころはあるものの、まあ許せる範囲だ。

火山灰に深く埋れたポンペイでは、生き埋めになった人の体の形がそのまま地層の中に空洞として残り、そこに石膏を注入する事によって人々の最期の姿が復元されている。
ポンペイに行ったことはないが、画像検索するとこの映画の登場人物の死に姿を連想させる石膏像が何体か出てくる事に気づく。
おそらく、本作の作り手たちは2000年前の物言わぬ石膏像の姿から、もしかしたらこんなドラマがあったかもしれないと、想像力を使って物語を紡ぎあげていったのだろう。
忘れられた古代都市と、そこに残る多くの人生の痕跡。
歴史の彼方に滅び去ったものに対して人々が感じる浪漫が、本作にプラスαのエモーションを与えているのは間違いなかろう。
実際深い仲になる暇も無かった事もあるけど、主人公カップルが最後まで純潔を貫いているのも、お互いを想う気持ちのピュアさを感じさせて良かった。
105分という比較的コンパクトな上映時間に、これでもかという位にエンタメ要素を詰め込んだ、これぞ良い意味でのプログラムピクチャ
こっちのアンダーソンも、なかなか良い仕事してるではないか。

今回は古代ローマの人々も飲んでいた赤ワイン。
ポンペイを滅ぼしたヴェスヴィオ火山の麓に位置するカンパーニアを代表する銘柄、マストロベラルディーノの「タウラージ ラディーチ リゼルヴァ 1999」をチョイス。
この年のワインはちょうど飲み頃。
適度に熟成が進んで、チェリーを中心とした複雑な香りを楽しめる。
カンパーニアのワインは、イタリアの他の産地と比べて全体に品質に対するコストパフォーマンスが高い。
このクラスのワインが、日本でもそこそこの値段で飲めるのは嬉しい限りだ。

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