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2014年10月13日 (月) | 編集 |
美しき捕食者の、欲しかったもの。
伝え聞いていた設定、そして如何にもな邦題サブタイトルから、「スピーシーズ 種の起源」的B級SFホラーを連想したが、全く違った。
いや低予算作品なのは間違いないが、これはもう強烈にアヴァンギャルドなブリティッシュ・サブカル映画だ。
台詞を含めて説明的な要素は最小限。
スコットランドの陰鬱な情景を舞台に、映像と音のイメージによって独創のシネマティックワールドが形作られる。
劇映画としてはニコール・キッドマン主演の「記憶の棘」以来10年ぶり、ジョナサン・グレイザー監督は、今回も観客の心に刺さる作品を作り上げた。
冒頭、いきなり奇妙な光と形が作り出す不思議な空間に引き込まれ、ミカチュー&ザ・シェイプスのミカチューことミカ・レヴィの秀逸な劇盤によってトリップ感が増幅。
やがて登場するのは、車で街を巡り男たちを狩ってゆくスカーレット・ヨハンソン演じる謎の美女と、証拠消しの後始末役と思しきバイク男。
美女は一枚一枚服を脱ぎ、男たちを暗闇に誘い込むと、哀れな獲物はいつの間にか“何か”の中に捕食され、肉と皮を分離されてしまう。
実は美女の姿は人間の皮をかぶっているだけで、中身はコールタールの様な真っ黒な生き物で性別も不明。
明確な説明は無いものの、たぶん宇宙人?もしかしたらアンドロイドなのかも知れない。
狙いは人間の皮もしくは肉の様だ。
美貌を武器にしているが、狩りの対象は必ずしもセックスを目的にした男だけとは限らない。
海で捕えた男は、溺れていた人を助けようとして力尽きた良い人だし、彼女の行為を性的なメタファーだけと捉えるのは無理がある。
では、この不思議なムードを持った暗喩劇の行き着く先はどこか。
淡々と任務を遂行する美女はしかし、ある夜偶然にもエレファントマンを思わせる奇形の男に声をかける。
今までの獲物とは明らかに異なる、特異な外見を持ち深い孤独に生きる男との接触が、美女の内的な変化の引き金となるのだ。
彼女は忽然と感情を知り、次に自分の仮の姿である“皮”、即ち人間の女という肉体にアイデンティティを求める。
本作の舞台となるのは、劇中でも言及される独立騒動にゆれたスコットランド。
のっぺらぼうの元の自分ではなく、外見が象徴する自己に目覚めた彼女は、スコットランドが英国からの独立を目指したように、自らが属する世界からの離脱を試みる。
しかしながら、あくまでも彼女の外見は作り物である。
人間の食べ物は体が受け付けず、セックスもおそらくはその体の構造上最後までは果たせない。
また彼女自身は「LUCY/ルーシー」の様に特殊能力がある訳でも、マーベル・シリーズのブラック・ウィドウの様な戦闘能力がある訳でもない。
エキセントリックな設定とは裏腹に、ただの人間の女同様、粗野な男によって容易に組み伏せられてしまうか弱き存在なのは、過去にヨハンソンが演じたキャラクターたちの裏返しの様だ。
外観からアイデンティティを欲した彼女の心は、所詮“アンダー・ザ・スキン”にしかなく、仮の姿を失った“それ”は、結局何者でもない何かとして消えるしかないのである。
存在の本質はどこにあるのかと言う、ある意味「ブレードランナー」であり「2001年宇宙の旅」であり「アトム」でもある正統派心理SF。
作り物の美女が男たちを虜にしてゆくのは、ラングの「メトロポリス」を思わせる。
いつの世も、男たちはどこまでも本質を見てないという事か。
観る側に読解を求める作品なので好みは明確に別れそうだが、個人的にこのトンがったセンスは大好物だ。
本作の舞台はスコットランドで、劇中で餌食になってしまう可愛そうな男たちの一人は、ウィスキーをモチーフとした「天使の分け前」で主人公を演じたポール・ブラニガン。
という訳であの映画と同じく「ラガヴーリン 16年」をチョイス。
塩の染み込んだピートの効いたアイラモルトの独特の香りは、人によっては薬みたいに感じる様だが、一度嵌ってしまえばクセになる。
この映画も、そんなスコッチウィスキー同様に独特の魅力のある一本だ。
記事が気に入ったらクリックしてね
伝え聞いていた設定、そして如何にもな邦題サブタイトルから、「スピーシーズ 種の起源」的B級SFホラーを連想したが、全く違った。
いや低予算作品なのは間違いないが、これはもう強烈にアヴァンギャルドなブリティッシュ・サブカル映画だ。
台詞を含めて説明的な要素は最小限。
スコットランドの陰鬱な情景を舞台に、映像と音のイメージによって独創のシネマティックワールドが形作られる。
劇映画としてはニコール・キッドマン主演の「記憶の棘」以来10年ぶり、ジョナサン・グレイザー監督は、今回も観客の心に刺さる作品を作り上げた。
冒頭、いきなり奇妙な光と形が作り出す不思議な空間に引き込まれ、ミカチュー&ザ・シェイプスのミカチューことミカ・レヴィの秀逸な劇盤によってトリップ感が増幅。
やがて登場するのは、車で街を巡り男たちを狩ってゆくスカーレット・ヨハンソン演じる謎の美女と、証拠消しの後始末役と思しきバイク男。
美女は一枚一枚服を脱ぎ、男たちを暗闇に誘い込むと、哀れな獲物はいつの間にか“何か”の中に捕食され、肉と皮を分離されてしまう。
実は美女の姿は人間の皮をかぶっているだけで、中身はコールタールの様な真っ黒な生き物で性別も不明。
明確な説明は無いものの、たぶん宇宙人?もしかしたらアンドロイドなのかも知れない。
狙いは人間の皮もしくは肉の様だ。
美貌を武器にしているが、狩りの対象は必ずしもセックスを目的にした男だけとは限らない。
海で捕えた男は、溺れていた人を助けようとして力尽きた良い人だし、彼女の行為を性的なメタファーだけと捉えるのは無理がある。
では、この不思議なムードを持った暗喩劇の行き着く先はどこか。
淡々と任務を遂行する美女はしかし、ある夜偶然にもエレファントマンを思わせる奇形の男に声をかける。
今までの獲物とは明らかに異なる、特異な外見を持ち深い孤独に生きる男との接触が、美女の内的な変化の引き金となるのだ。
彼女は忽然と感情を知り、次に自分の仮の姿である“皮”、即ち人間の女という肉体にアイデンティティを求める。
本作の舞台となるのは、劇中でも言及される独立騒動にゆれたスコットランド。
のっぺらぼうの元の自分ではなく、外見が象徴する自己に目覚めた彼女は、スコットランドが英国からの独立を目指したように、自らが属する世界からの離脱を試みる。
しかしながら、あくまでも彼女の外見は作り物である。
人間の食べ物は体が受け付けず、セックスもおそらくはその体の構造上最後までは果たせない。
また彼女自身は「LUCY/ルーシー」の様に特殊能力がある訳でも、マーベル・シリーズのブラック・ウィドウの様な戦闘能力がある訳でもない。
エキセントリックな設定とは裏腹に、ただの人間の女同様、粗野な男によって容易に組み伏せられてしまうか弱き存在なのは、過去にヨハンソンが演じたキャラクターたちの裏返しの様だ。
外観からアイデンティティを欲した彼女の心は、所詮“アンダー・ザ・スキン”にしかなく、仮の姿を失った“それ”は、結局何者でもない何かとして消えるしかないのである。
存在の本質はどこにあるのかと言う、ある意味「ブレードランナー」であり「2001年宇宙の旅」であり「アトム」でもある正統派心理SF。
作り物の美女が男たちを虜にしてゆくのは、ラングの「メトロポリス」を思わせる。
いつの世も、男たちはどこまでも本質を見てないという事か。
観る側に読解を求める作品なので好みは明確に別れそうだが、個人的にこのトンがったセンスは大好物だ。
本作の舞台はスコットランドで、劇中で餌食になってしまう可愛そうな男たちの一人は、ウィスキーをモチーフとした「天使の分け前」で主人公を演じたポール・ブラニガン。
という訳であの映画と同じく「ラガヴーリン 16年」をチョイス。
塩の染み込んだピートの効いたアイラモルトの独特の香りは、人によっては薬みたいに感じる様だが、一度嵌ってしまえばクセになる。
この映画も、そんなスコッチウィスキー同様に独特の魅力のある一本だ。

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この記事へのコメント
>仮の姿を失った“それ”は、結局何者でもない何かとして消えるしかない
ですねえ。最後の姿とか、スカちゃんも哀れだけど。
ですけどこれすんごくツボでした。SFって元々あんまり興味ないはずの私なんですが(笑)
実存的なテーマだからなのかなと思いました。
ですねえ。最後の姿とか、スカちゃんも哀れだけど。
ですけどこれすんごくツボでした。SFって元々あんまり興味ないはずの私なんですが(笑)
実存的なテーマだからなのかなと思いました。
こんばんは。
観る人によってはかわりますよねー
普通にみるとやっぱりつまらないとは思います。
意図してるところを好むかどうかですねー。
私的には、スカちゃんがもっと魅力的にとってもらえれば良かったなと。 笑
観る人によってはかわりますよねー
普通にみるとやっぱりつまらないとは思います。
意図してるところを好むかどうかですねー。
私的には、スカちゃんがもっと魅力的にとってもらえれば良かったなと。 笑
>rose_chocolatさん
いやいや「私ってなんだろう」ってテーマはSFが原初から追い求めてきたテーマですから、興味あると思いますよ(笑
その意味ではこれは非常に正統派のSF映画だと思います。
まあ語り口は独特だから、結構好みが分かれちゃうのは仕方ないですよね。
>migさん
つまらないですか・・・私的には大好物なんだけどなあ。
スカヨハはあえてだらしなく撮ってるんでしょうね。
この映画の場合あくまでもスキンの内が外を認識する事で葛藤が始まるので、外側はできるだけ普通の人でなければならないのだと思います。
これがマーベル映画の時みたいなスカヨハだと、そのまま漫画でリアリティ失っちゃうから。
いやいや「私ってなんだろう」ってテーマはSFが原初から追い求めてきたテーマですから、興味あると思いますよ(笑
その意味ではこれは非常に正統派のSF映画だと思います。
まあ語り口は独特だから、結構好みが分かれちゃうのは仕方ないですよね。
>migさん
つまらないですか・・・私的には大好物なんだけどなあ。
スカヨハはあえてだらしなく撮ってるんでしょうね。
この映画の場合あくまでもスキンの内が外を認識する事で葛藤が始まるので、外側はできるだけ普通の人でなければならないのだと思います。
これがマーベル映画の時みたいなスカヨハだと、そのまま漫画でリアリティ失っちゃうから。
2014/10/18(土) 23:19:18 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
> 「私ってなんだろう」
「タワシって何だろう」
「亀の子」
「え、神の子?」
あ、くだらない事を。説明しない事で、いろんな事を想起してしまっておもろいです。私、バイカーは最初から最後まで何だか分からなかった。いやまあ、スポンサーにバイク王が入ってるとか、そういう事ではないんだろうけど。
「タワシって何だろう」
「亀の子」
「え、神の子?」
あ、くだらない事を。説明しない事で、いろんな事を想起してしまっておもろいです。私、バイカーは最初から最後まで何だか分からなかった。いやまあ、スポンサーにバイク王が入ってるとか、そういう事ではないんだろうけど。
2014/12/28(日) 08:38:05 | URL | ふじき78 #rOBHfPzg[ 編集]
>ふじき78さん
バイカーは掃除人・・でしょうねえ。
なんとなく、彼らはアリみたいに真社会性を持ってるんじゃないかと。
自己を持つ事を許されてない感じでしょうか。
バイク王はいないと思いますがw
バイカーは掃除人・・でしょうねえ。
なんとなく、彼らはアリみたいに真社会性を持ってるんじゃないかと。
自己を持つ事を許されてない感じでしょうか。
バイク王はいないと思いますがw
2014/12/29(月) 23:12:32 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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原題: Under the Skin
監督: ジョナサン・グレイザー
出演: スカーレット・ヨハンソン 、ポール・ブラニガン
鑑賞劇場:横浜ブルク13
スコットランドの街で、とあるセクシーな黒髪美女に誘惑された男たちが次々と姿を消していた。彼女の正体は、地球外生命体で、...
2014/10/14(火) 11:08:32 | Nice One!! @goo
スコットランド。 真夜中の街で、大きな車を運転する美女が、道に迷ったフリをして男たちに声をかける。 親切に道を教えてくれた男を車に乗せた彼女は、目的地に到着すると、一枚ずつ服を脱ぎながら男を誘う。 男たちは彼女の正体に気づかないまま、闇に飲み込まれていく…。 SFスリラー。 ≪宇宙で最も美しく 最も危険な捕食者(エイリアン)≫ R-15
2014/10/17(金) 15:23:24 | 象のロケット
【概略】
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SF
スカーレット・ヨハンソンが地球外生命体の美女を演じています、雰囲気的には「スピーシーズ」かな?なんて思って観たんだけど、低予算の実験的映画でした。初のフルヌードらしい。
人類を食糧とする地球外生命体が、美女に擬態して色仕掛けで男たちを捕獲するという...
2014/12/23(火) 09:50:10 | いやいやえん
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2014/12/25(木) 16:35:59 | MOVIE BOYS
五つ星評価で【★★★スカヨハの裸が見れたのだから、もうそれで充分でしょ】
スカヨハの裸を見る映画。
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世間的にはそう言う位 ...
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妖艶な容姿を武器に誘惑した男たちを餌食にする美しきエイリアンの運命を描いたSFスリラー。『マッチポイント』などの人気女優スカーレット・ヨハンソンが、初めてフルヌードに挑む体当たり演技を見せる。共演は『天使の分け前』などのポール・プラニガンら。ジャミロクワ...
2015/01/07(水) 19:59:06 | パピとママ映画のblog
2013年/イギリス・アメリカ・スイス/108分
監督:ジョナサン・グレイザー
出演:スカーレット・ヨハンソン
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■概要
原題は『Under the Skin』。イギリス・アメリカ・スイス合作による2013年のSFサスペンスです。監督は『記憶の棘』のジョナサン・グレイザー。主演は『ゴーストワールド』のスカーレット・ヨハンソン。謎のバイクマン役で...
2015/01/10(土) 23:33:00 | 偏愛映画自由帳
UNDER THE SKIN
2013年
イギリス/アメリカ/スイス
108分
SF/サスペンス/ミステリー
R15+
劇場公開(2014/10/04)
監督:
ジョナサン・グレイザー
原作:
ミッシェル・フェイバー『アンダー・ザ・スキン』
脚本:
ジョナサン・グレイザー
出演:
スカーレ...
2015/05/01(金) 03:13:42 | 銀幕大帝α
はい、なんともしれん、不思議な映画でしたね。それでは、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。
2015/08/11(火) 23:23:36 | 或る日の出来事
☆☆☆☆- (10段階評価で 8)
6月18日(土) WOWOWシネマの放送を録画で鑑賞。
2016/06/25(土) 10:54:42 | みはいる・BのB
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