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ショートレビュー「ショート・ターム・・・・・評価額1700円」
2014年10月18日 (土) | 編集 |
誰かと寄り添えば、明日はきっと今日より明るい。

自身や家庭に様々な問題を抱えたティーンエイジャーを保護し、短期滞在させる施設“ショート・ターム12”の日常を描くハードなヒューマンドラマ。
実際に二年間ショート・タームで勤務した経験を持つ監督のデスティン・クレットンは、2008年に21分の同名短編「Short Term 12」を発表。
この作品がサンダンス映画祭で審査員賞を獲得した事で、長編化への道筋がつけられた。
本作はショート・タームに新人スタッフのネイトがやってきて、如何にここでの仕事が大変かを先輩たちが面白おかしく語っているシーンから幕を開けるが、このネイトは監督自身をモデルとしたキャラクターらしい。
※核心部分に触れています。

物語の主人公となるのは、施設のスタッフのリーダーであるケアマネージャーのグレイス。
同僚のメイソンとは長年恋愛関係にあり、過酷な仕事をこなしながらもそれなりに幸せな日々を送っている。
彼女らが毎日向き合わなければならない、ティーンたちの背景は様々だ。
まもなく18歳となるので施設を出なければならない黒人少年のマーカスは、母親にネグレクトされて育ち、将来に不安を感じている。
ヒスパニックのルイスは、明るい性格だが人にちょっかいを出さずにはいられず、揉め事を作ってばかり。
痩せっぽちのサミーは、常に人形を触っていないと情緒不安定となり、時に感情の暴走を抑えられない。
彼らはそれぞれに異なる問題を抱え、その繊細なガラスのハートはいつどんな切っ掛けで壊れてしまうか分らない。

しかし、内面の葛藤と直面しているのは多感なティーンだけでは無いのである。
グレイスは、メイソンとの子を妊娠しており、彼と結婚して幸せな家庭を築きたいという希望と、自分にはそんな事は無理だという諦めの気持ちに引き裂かれている。
それは何故か。
ずっと封印してきた過去の傷を、改めてグレイスに思い起こさせるのは、新たに施設にやって来たジェイデンという少女だ。
母親が亡くなってから荒れはじめ、あちこちの施設をたらいまわしにされて来た彼女に、グレイスは嘗ての自分を見るのである。
実はグレイスは、10代の頃父親に性的虐待を受け、赤ん坊を密かに堕した事があり、それは彼女にとって誰にも言えないトラウマとなっている。
パートナーのメイソンもまた複雑な背景を持ってはいるが、彼は一応里親の元で幸せに育っているので、自分の抱える傷を理解してもらえないと思っているのだ。

そんな彼女の前に現れたのが、自分そっくりの境遇にあるジェイデンという訳だ。
グレイスにとってジェイデンを救うのは、嘗ての自分の救済に他ならなず、それ故時には我を忘れて暴走してしまう。
この世界への不安と不信を刻み付けられたティーンの葛藤と、彼女に寄り添う事によって、封印してきた自らの傷に再び向き合う事になった主人公の葛藤が共鳴し、パワフルにドラマを盛り上げる。
やがて罪を犯してまでジェイデンを助けようとするグレイスは、自らの過去の秘密をジェイデンに打ち明けるのだ。
思いつめたグレイスに、少女がかける一言。
「あんた、良いお母さんになるよ」
同じ傷を持つ二人は、悲しみを共有し、勇気を分け合う事で、共に過去を振り切り未来へと歩み始める。


ショート・タームがいくつあっても、グレイスのような献身的なスタッフが何人いても、虐待を受ける子供がいなくなる事は無いし、誰かが救われて施設を出れば、また別の誰かが入ってくる堂々巡り。

しかし声なき痛みを知り、救い続ける人々がいれば、誰かの未来を変える事はきっと出来る。

とても厳しいエンドレスな葛藤の中に、小さな希望を見い出す物語のスパイスは、センスの良いユーモア。
観終わって、明日を生きるための爽やかな力を貰える、低予算だが丁寧に作られた力作である。

今回は、ショート・タームの気の良いスタッフたちと乾杯したい、「ミラー ドラフト」をチョイス。
現在は外国資本の傘下に入っているが、言わずと知れたアメリカを代表するビールのマスプロ銘柄。
「 ライト」を持ってくるまでもなく、このドラフトでも味わいはあくまでも軽いのだけど、ショート・タームの仕事してたら、疲れ過ぎてあまり深酒する気にはならないだろうな。
水の様なスッキリ感は、優しく疲労を癒してくれる。
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コメント
この記事へのコメント
こんばんわ
こういうミニシアターの良作を待っていたんですよ~。
無名の俳優と無名のスタッフばかりの作品ですけど、本当に大事なものをきちんと分かっている人が作っている映画はやっぱり素晴らしい!
特にラストでメイソンが話すマーカスの後日談。あれには感涙しましたよ~!
2014/12/19(金) 01:45:57 | URL | にゃむばなな #-[ 編集]
こんばんは
>にゃむばななさん
地味を絵に描いたような作品ですが、心にジワジワしみる良い映画でした。
何を描きたいのか、なぜ描きたいのかが非常にクリアだからこそ、ストレートに刺さる秀作になったのでしょうね。
マーカスの後日談はホッとしました。
2014/12/28(日) 23:16:12 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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