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東京国際映画祭2014 鑑賞作品まとめのショートショートレビュー
2014年10月31日 (金) | 編集 |
本年度の東京国際映画祭で鑑賞した作品は例年になく粒ぞろいだったが、まだ本公開が決まってない作品も多いので、Twitterの呟きを元に忘備録的ショート・ショートレビューとしてまとめてみた。

「ベイマックス・・・・・評価額1800円」
本記事をアップ済み。こちら。


「共犯・・・・・評価額1550円」
台湾発の青春ミステリ。
女子高生の飛び降り自殺を目撃してしまった、3人の男子高生。
事件によって出会い、図らずも“友達”となった彼らは、女子高生の自殺の原因を探り、彼女を死に追いやった者に制裁を加えようとする。
しかし3人の中の1人の、秘められた承認欲求が事態を複雑にし、彼らを破滅へと追い込んでゆく。
学園を舞台にした思春期のサスペンスはなんとなく湊かなえ風で、同じ話を日本でも作れそう。
ドラマのキーアイテムとなるSNSの使い方が、如何にも今風。
台湾の高校生はFacebookとLINEなんだ
オープニングタイトルが、全体の縮図になっているのが面白い。


「ツーリスト・・・・・評価額1600円」
5日間のバカンスで、アルプスのスキー場にやって来たスウェーデン人一家。
楽しい旅行のはずが、2日目に偶然雪崩に遭遇。
幸いにも皆無事だったものの、この時夫がとったある行動によって、一家の関係は次第にギクシャクしだす。
信じていた世界は、ほんの小さなきっかけで崩壊してしまうのである。
妻の中に生まれた不信感は制御を失い、周りの人々を巻き込みながら加速し、何時しか家族は静かな吹雪の中に。
やがて夫も、認めたくない本当の自分に向き合わざるを得なくなる。
果たして家族はバカンスが終わるまでに感情の落とし所を見つけられるか、それとも終わってしまうのか。
スリリングな心理劇のスパイスとして、北欧流のブラックユーモアが効いている。


「実存を省みる枝の上の鳩・・・・・評価額1150円」
珍妙なタイトル通りユニークな映画
ワインの栓を抜こうとして死んだ男、天国まで愛用のバッグを持って行こうとする老婆、客船のカフェで突然死した男。
“三つの死との出会い”から始まるショートショート形式のシュールな人間観察。
イケメンに恋するダンス講師、面白グッズのセールスマンコンビ、なぜか現在のバーに現れる18世紀の王。
引き画のフィックスで統一され、シーンそのものが包括的にデザインされた寓話的世界は、時に可笑しく、時に切なく、時にゾッとする程不気味。
風刺漫画的な作風は、好きな人は好きかもしれない。
私にはあまり響いてこないが、映画は自由なものだから、こういうのもアリだろう。


「コーン・アイランド・・・・・評価額1700円」
既に古典の風格を持つ大力作だ。
舞台は、独立を巡りグルジアと戦争状態にある旧ソ連のアブハジア。
対立する両陣営の間を流れるエングリ川の中州に、一人の老人が孫娘と共に現れ、小屋を建てトウモロコシを植え、開拓を始める。
両軍が行き来し、しばしば銃声が響く危険な土地だが、老人は黙々と働き続ける。
冒頭20分は台詞無し。
以降も必要最低限しか喋らないが、その分映像が雄弁に物語る。
シネマスコープ一杯に広がる、大河が生み出す大自然の存在感は圧倒的だ。
この風景の中で老人と孫娘が見せる原初的な労働、“人間の暮らし”に目が離せず、対照的に愚かな争いは矮小化されるしかない。
そして孫娘が思春期で、素朴ながらかなりの美少女である事が、人間ドラマとして見応えある葛藤を作り出し、先の読めない心理劇としても一級の仕上がり。
更に驚くべきは、クライマックスのハリウッド映画も真っ青の一大スペクタクルである。
CGではなく、スタジオにロケと同じセットを組み直してるのだろうが、そこまでが地味なのでより効果的。
是非とももう一度観てみたいので、本公開を望みたい秀作である。


「マルセイユ・コネクション・・・・・評価額1650円」
ヘビー級の熱量を持つフィルムノワール。
70年代に隆盛を極めたマルセイユの麻薬組織、所謂“フレンチ・コネクション”と、彼らの深い闇に立ち向かった熱血判事の戦いを時代感たっぷりに描く。
ジャン・デュダルジャンの判事とジル・ルルーシュの組織のボスは、ルックスがちょい似てるだけでなく、共に良き父であったり、プレッシャーに弱かったり、被る要素がある様に造形されてるのが面白い。
人間ドラマとしても、なかなか良く練られてる。
この種の映画の常で、登場人物がやたら多く、殆どが似たようなファッションのおっさんなので覚えるのが大変だけど、男臭いドラマは見応えあり。
驚くべきはこれほど複雑な大作を、長編二作目の若手監督が撮ってる事。
こちらも本公開を望みたい秀作だ。


「ミッドナイト・アフター・・・・・評価額1300円」
深夜の香港で、人々が忽然と消滅。
残ったのは、たまたま小型バスに乗り合わせた17人。
無人の街に放り出された彼らは、謎を解いて元の世界に帰れるのか?という要するに「LOST」みたいな話。
謎が謎を呼ぶ前半は、バカバカしいギャグも良いスパイスとなって凄く面白い。
しかし2/3が過ぎる頃から嫌な予感が漂い始め、結局広げに広げた風呂敷は畳まれず、映画は全てを放りっぱなしのままグダグタかつ唐突に終わってしまう。
こんな所まで「LOST」の真似すんな!と思ったら、これ元々二部作構想で、とりあえず原作の前半だけ作ったとか。
いや、それならそれで良いけど、なぜその重要な情報を映画祭公式サイトに載せないんだよ。
まあ続きがある事を前提としても、最後の30分のグダグタ感は相当なものだけど・・・。


「シーズ・ファニー・ザット・ウェイ・・・・・評価額1700円」
ピーター・ボグダノヴィッチ13年ぶりの劇映画は、持ち味を最大限生かした実に彼らしいスクリューボールコメディの快作だ。
元NYのコールガールだった新進映画女優が、インタビューに答えて自分のキャリアの始まりに纏わる物語を赤裸々に語る。
ブロードウェイの舞台劇の制作を背景に、思いがけない出会いとウソが、まるでビリヤードの玉突きの様に、次なる出会いとウソを次々に作り出し、やがてそれぞれの恋の鞘当てが絡みあい、登場人物全てを巻き込む大騒動に発展してゆく。
人口800万の巨大都市NYで、誰も彼もが知り合いという御都合主義を全く感じさせない、スピーディーな展開とパワフルな演出力。
巨匠健在を感じさせる、あっと言うまの90分だった。
これ原題のままのカタカナのタイトルでは雰囲気伝わらないから、センス良い邦題付けて公開して欲しい。
間違っても、「恋のNY大騒動」とかはやめてちょうだい。
ボグダノヴィッチによると、本作の着想の元は78年にシンガポールの娼館を描いた「Saint Jack」を撮った時に、取材した娼婦が仕事を辞めたいと言うのでお金をあげた体験だとか。
またまた随分古い話だが、創作の種は何十年後に芽を出す事もあるという事か。


「メルボルン・・・・・評価額1650円」
イランの首都テヘラン。
留学の為にメルボルンへと旅立とうとする若い夫婦が、出発当日に予期せぬ事件に巻き込まれる。
更に事態を悪化させないためについたウソが次なるウソを呼び、何時しか最悪の状態に。
アスガー・ファルハディ以来、イラン映画の定番と化した「誰も悪くないけど、ウソで破滅」系の日常サスペンスだが、本作の場合主人公夫婦の直面する事態の深刻さはかなりのもの。
ぶっちゃけ、こんなウソ付くなんて馬鹿だと思うし、劇中でもそう指摘されるのだけど、人間気が動転するとあんなものかもしれない。
殆ど全編夫婦のアパート内だけで展開する演劇的な世界観で、低予算を逆手にとった空間設計。
狭い空間に秘密を抱え、落ち着いて考えたいのに、引越し当日なものだから、ひっきりなしに人が訪ねて来る。
更には鳴り続ける携帯電話の呼び出し音が、夫婦を心理的に追い込んで行くのも上手い。
これが長編デビューのニマ・ジャウィディ監督は、ファルファディ的でもあるが、観客として鑑賞していたアミール・ナデリがQ&Aで指摘していた様に、ちょいロマン・ポランスキーを思わせる演出センス。
普遍性は高く、世界中の誰にでも起こりうる晴天の霹靂に、観客はもしも自分ならどうする?と考える。
観ながら、これ納得いく話の収束の仕方は一つしかないよなあと思ってたので、ラストには唸らされた。
監督が3カ月かけて考えた会心のオチらしいが、お見事だった。

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コメント
この記事へのコメント
TIFF
今年も殆ど観られませんでした・
「チョコリエッタ」★★★★
「壊れた心」☆ 評価額50円
「本日ただいま誕生」★★☆
「紙の月」★★★★☆
以上です。
2014/11/05(水) 17:08:13 | URL | まっつぁんこ #L1vigvx6[ 編集]
こんばんは
>まっつさんこさん
「壊れた心」は期待してたのですが、いま一つの評判ですねえ。
今年はセレクターががんばったのか、たまたま私の選択がよかったのか分りませんが、期待以上の力作を観られました。
件のコピー騒動などでケチをつけたのが残念でしたが。
2014/11/08(土) 16:43:40 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
やっとTIFF感想を書いてるわたし
なんだか忙しくてどうしようもないです。
忘れる前にのそのそ書いてます。
『コーン・アイランド』は評判よかったから観たかったなあ。

『メルボルン』『シーズ・ファニー・・』 はよかったですね。
『ベイマックス』はフリパ最終日が公開日なんでそこで観る予定。
2014/12/14(日) 09:27:56 | URL | rose_chocolat #ZBcm6ONk[ 編集]
こんばんは
>rose_chocolatさん
今年のTIFFは「コーン」と「シーズ」が一番印象に残ってます。
特に「シーズ」は予想外の面白さで、監督&主演のトークも楽しく、大好きな映画になりました。
「恋のNY大騒動」にはなってほしくないですねw
2014/12/28(日) 23:00:59 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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原題: She's Funny That Way 監督/脚本 : ピーター・ボグダノヴィッチ 出演: オーウェン・ウィルソン 、キャスリン・ハーン 、イモージェン・プーツ 、ジェニファー・アニストン 、ウィル・フォーテ 、リス・エヴァンス 第27回東京国際映画祭『シーズ・...
2014/12/14(日) 09:28:55 | Nice One!! @goo
原題: Melbourne 監督/脚本 :  ニマ・ジャウィディ 出演: ペイマン・モアディ 、ネガル・ジャワヘリアン 、マニ・ハギギ 、シリーン・ヤズダンバクシュ 、ロウシャナク・ゲラミ 、エルハム・コルダ 第27回東京国際映画祭『メルボルン』ページはこちら。 ...
2014/12/14(日) 09:29:13 | Nice One!! @goo
31日のことですが、映画「メルボルン」を鑑賞しました。 TIFF 3本目 人生の飛躍となるであろう 数年間に及ぶ予定の海外留学行きの当日 若いカップルは支度をしながら 別れを惜しむ訪問客たちの相手をしている最中、ある事件は起きる・・・ ワンシチュエーションの室...
2015/03/20(金) 23:59:12 | 笑う社会人の生活