酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係なTBもお断りいたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ショートレビュー「福福荘の福ちゃん・・・・・評価額1650円」
2014年11月18日 (火) | 編集 |
これは二十一世紀の「寅さん」だ!

森三中の大島美幸が“おっさん”を演じるのが話題だが、てっきり粗製乱造の吉本映画かと勘違いしてスルーするつもりだった。
しかし私が映画眼を信頼する何人かの人から、かなりの高評価を聞き方針転換。
ごめんなさい、やっぱ映画は観なければ分からない。
これは色物扱いしては全く失礼な、素晴らしい作品だった。

主人公は、今どき珍しい内廊下の昭和なアパート、というか下宿屋の福福荘に住む塗装工の福ちゃんこと福田辰男、32歳。
ぽっちゃり体型に丸刈り頭、面倒見が良く、男気もある人気者だが、恋愛には奥手で、同僚が世話を焼いて紹介してくれた女性ともまともに話ができず、上手くいかない。
一見天真爛漫だが、実は心に深い傷を抱える福ちゃんを大島美幸が好演。
女性が男性役を演じると聞くと、一瞬えっと思ってしまうが、俳優が自分とは別の性を演じる事は映画でも過去にもいくつも例があるし、そもそも日本には歌舞伎や宝塚の伝統があるのだから、それほど身構える必要もない。
福ちゃんも、30代のおっさんにしてはお肌がツルツル過ぎだけど、演技がキャラクターにぴったりはまっているので、女性であるという事はすぐに気にならなくなる。
むしろ良い意味で過去に演じた役柄などの“色”がついていない分、福ちゃんという究極の良い人キャラに説得力が生まれていると思う。

物語の前半は、福ちゃんと福福荘の愉快な仲間たちの日常と、水川あさみが演じる写真家志望の杉浦千穂の物語が平行に描かれる。
ぶっ飛んだキャラのカリスマ写真家に見出されて、会社を辞めて写真の世界に飛び込んだものの、師匠にセクハラされて仕事なし、つてなし、モチベーションなしの状況で後戻りできなくなってしまった千穂の状況はかなり悲惨。
一見関係なさそうな二つのストーリーラインがどう交わるのだろうと思っていたら、映画はかなりの力技を使って、後半一気に二人の抱える意外な過去との対決を描き出すのである。
実は千穂は福ちゃんの中学時代の同級生で、初恋の人。
千穂は、彼の気持ちを盛り上げるだけ盛り上げておいて、どん底に突き落とすという残酷なイジメを働いた事があるのだ。
福ちゃんが女性恐怖症なのも、初恋のトラウマがあるから。

とある理由から、当時のことを謝罪するために福ちゃんを訪ねた千穂は、大人になった彼の“顔”に魅せられ、彼の写真を撮ることを決意。
モデルになる事を頼まれた福ちゃんも、最初は戸惑うものの、やがて彼女への恋心を再び募らせてゆく。
贖罪と許しによって過去のトラウマが克服されると、新たに「美女と野獣」もとい「寅さん」的な葛藤が生まれるという訳だ。
ルックスも何もかもが全く対照的な二人の恋というメインプロットに、ユニークなサブキャラたちのエピソードも有機的に絡み合い、非常に上手い。
特に終盤の伏線にもなっているエキセントリックなカレー屋での一件は、大島美幸と古舘寛治のかけ合いが絶妙で、本編屈指の名シーンになっている。
このまま終われば大傑作だったのだけど、惜しむらくは映画のオチが現代の日本映画にありがちな描写過剰に陥ってしまった事だ。
あそこはもう観客は分かっているんだから、直接見せずに文字通りカレーのスパイスを匂わせる程度の方が余韻が残って良かったのになあ。
説明を尽くすより、観客の想像力を信じる勇気が欲しかった。

ところで本作の大島美幸や「小野寺の弟・小野寺の姉」の片桐はいりとか、超個性的なキャラクターの持ち主を、ダイレクトに生かす映画はもっとあって良いと思う。
バラエティ的にいじるだけの企画(本作もそんな映画かと観る前は思っていた)は多々あるが、真面目に映画に取り込んで生かした作品は少なすぎる。
まさに存在自体が言葉の要らない映像言語なのに!

今回は、東京23区内に唯一残る日本酒蔵、小川酒造「丸眞正宗  純米吟醸」をチョイス。
明治11年創業の蔵元は、都内の酒蔵が次々と閉鎖されてゆく時代の流れに抗い、今日まで赤羽岩淵の良質な水を用いて酒造りを続けてきた。
軽やかな吟醸香と柔らかな口当たりは、強い個性は無いものの、飽きの来ない味わいは季節や料理を選ばない。
福ちゃんの様に、日常の傍に存在を感じてホッとする、そんな酒だ。
ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね



東京都内唯一の地酒。丸眞正宗 純米吟醸

東京都内唯一の地酒。丸眞正宗 純米吟醸
価格:1,600円(税込、送料別)

スポンサーサイト


コメント
この記事へのコメント
寅さん
なるほど。
その発想はありませんでしたが
言われてみると確かにそうですね。
自分の恋には臆病…。
全体を通して気持ちよく観られたのですが、
あの説明過多のラストが、
観客を信用していないなと…。
余韻こそが、
さらに映画を長く印象づけるのにと、
少し残念です。
2014/11/22(土) 20:02:14 | URL | えい #yO3oTUJs[ 編集]
こんばんは
>えいさん
おススメしてもらって本当に良かった。
正直イロモノだと思っていたので、危うく見逃すところでした。
なんか同じように考えてパスしちゃってる人多そうで勿体無いですね。
ラストはちょい過剰でしたが、本当に良い映画でした。
2014/12/02(火) 22:15:55 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
----あらら。まさかこれを選ぶとは思わなかったニャあ。 「そうだね。 自分でも意外なんだけど、 とても魅せられて…。 今年のマイベストを選ぶとしたら、 おそらく10本のうちには入るだろうね。 ただ、あらかじめ言っておかなくてはいけないのは、 主演の大島美幸という人...
2014/11/20(木) 13:07:51 | ラムの大通り
おんぼろアパート福福荘で暮らす福田辰男(通称:福ちゃん)は、32歳の塗装工。 お人好しだが女性が苦手で、まともな会話すら出来ない始末。 そんなある日、初恋の女性・千穂が福福荘へやって来る。 中学時代に辰男を傷つけたことをあやまった彼女は、現在カメラマンの修行中。 千穂からいい表情をしていると褒められ、写真のモデルを引き受けた辰男は、舞い上がってしまう…。 コメディ。 ≪福田辰男。 32歳。 ...
2014/11/23(日) 12:01:14 | 象のロケット
□作品オフィシャルサイト 「福福荘の福ちゃん」 □監督・脚本 藤田容介□キャスト 大島美幸、水川あさみ、荒川良々、芹澤興人、飯田あさと、平岩 紙、        黒川芽以、山田真歩、山本剛史、徳永ゆうき、北見敏之■鑑賞日 11月8日(日)■劇場 109CI...
2014/11/25(火) 17:34:46 | 京の昼寝〜♪
 錆びた外階段を昇り、入口を開けると共用廊下にはピンクの公衆電話がある。 そんな古びたアパート 「福福荘」 に一人暮らす塗装職人の福田辰男(大島美 幸)は、32歳の気のいい独身男。職場の同僚にして親友のシマッチ(荒川良々) から合コンをセッティングされるも、どうも乗り気でない。そんな彼の元に、中学 時代のクラスメイト・杉浦千穂(水川あさみ)が現れる。  森三中の大島美幸ちゃ...
2014/11/29(土) 21:44:48 | 真紅のthinkingdays
福福荘の福ちゃん '14:日本・イギリス・台湾・イタリア・ドイツ合作 ◆監督:藤田容介「全然大丈夫」「サビ男サビ女」 ◆出演:大島美幸、水川あさみ、荒川良々、芹澤興人、飯田あさと、平岩紙、黒川芽以、山田真歩、徳永ゆうき、真行寺君枝、古館寛治、北見敏之 ◆S...
2015/02/02(月) 22:31:33 | C’est joli〜ここちいい毎日を♪〜
女性お笑いトリオ「森三中」の大島美幸が、頭を丸刈りにし、体重を10キロ増量して、人のよい塗装職人の中年男性に扮し、映画初主演を務めたコメディドラマ。監督・脚本は「全然大丈夫」の藤田容介。共演に水川あさみ、荒川良々。はみだし者たちが集まるおんぼろアパート「...
2015/02/17(火) 19:42:28 | パピとママ映画のblog
イタリアでは絶賛されたって言うてたんだけどね〜。 日本語のニュアンスがどこまでわかってるのか随分細かいとこで笑いが起きてたって 監督は言うてはったんですけどね〜・・・。 予告の編集うま。ヾ(・∀・;)オイオイ どう説明したらいいのかな〜。 ワンシーン、ワン...
2015/08/24(月) 10:38:49 | ペパーミントの魔術師