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ホビット 決戦のゆくえ・・・・・評価額1800円
2014年12月24日 (水) | 編集 |
時の輪が、遂に閉じる。

2001年の「ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間」以来、J・R・R・トールキンが創造した“中つ国”を舞台に、13年に渡って繰り広げられた壮大な冒険譚がいよいよ完結。
本来、「ホビットの冒険」「指輪物語」の順に書かれた原作は、映画化にあたっては順序が逆となったが、ピーター・ジャクソンは、「ホビット」の中に未来の話である「ロード~」を組み込む事で、作品自体が指輪の様な構造を持つ、連環する6部作を作り上げた。
原作同様、ハイファンタジーの最高峰として、映画史に永遠に記録されるであろうシリーズの最終章は、ビルボたち旅の仲間に敵味方が入り乱れる、144分間の怒涛の“五軍の合戦”である。
※ラストに触れています。

エレボールを飛び立ったスマウグ(ベネディクト・カンバーバッチ)の襲撃で、湖の町は壊滅。
バルド(ルーク・エヴァンズ)の放った黒い矢によって、スマウグは倒されるものの、住処を失った人間たちは、町の再建費用としてトーリン(リチャード・アーミティッジ )たちに“分け前”を要求。
同時に、竜が死んだ事を知った闇の森のエルフたちも、エレボールの財宝を目当てに進軍し、人間たちと合流する。
だが、オーケン石に取り憑かれたトーリンの猜疑心はますます高まり、彼の心を案じたビルボ(マーティン・フリーマン)は、戦いを避ける取引の材料として、密かにオーケン石をエルフと人間に渡す。
信頼していたビルボの裏切りを知ったトーリンは激高し、遂に交渉は決裂する。
鉄の足ダイン(ビリー・コノリー)率いる、くろがね山のドワーフ軍がトーリンの加勢に駆けつけ、人間・エルフの連合軍とドワーフたちの一触即発のにらみ合いが続く。
しかしその頃、オーク、ワーグ、ゴブリンの大軍が、エレボールとデイルの廃墟を包囲しつつあった・・・


ラストで、年老いたビルボの家を、懐かしいガンダルフが訪ねた時「ああ、もう終わっちゃうんだなあ・・・」と、深い感慨を覚えた。
つごう13年間、劇場公開版だけでも17時間12分に及んだ中つ国での冒険、全然観たりないし、もっと、ずっと浸っていたかったよ。
しかし、実現までに紆余曲折あったこの「ホビット」シリーズ、結果的に「ロード~」から全6作をピーター・ジャクソンが監督してくれて良かった。
「ロード~」3部作が彼流のトールキンの再解釈だったし、当初予定だったギレルモ・デル・トロが監督したとしたら、それはそれで面白かっただろうが、「ホビット」は独自色の強い作品となり、こんなにも美しく、一編の叙事詩として時の輪は閉じなかっただろう。

元々「ホビットの冒険」は、ドワーフが竜に奪われた故郷の山を取り返す話で、世界の命運をかけた光と闇の戦いを描く「指輪物語」に比べれば、ずっとシンプルかつスモールな序章に過ぎない。
前2作では、レゴラスやガラドリエルなど「ロード~」のキャラクターの再登場や、この時代には既に死んでいるはずのオークのボス、アゾグを復活させたり、原作では名前程度しか出てこない茶色のラダガストを重要キャラに定義するなど、オリジナル要素を比較的単純な原作のプロットに組み込んで、「ロード~」に伍する重層さと世界観のスケールを付与しようとしていた。
だが、今回は冒頭いきなりスマウグによる湖の町襲撃という、パワフルな大怪獣映画で幕が開き、激闘の末にバルドが黄金竜を打ち倒すと、後はもう原題通りのザ・クライマックス、五軍の合戦に向けて盛り上げるのみ。
この五軍に関しては、原作では人間・エルフ・ドワーフvsゴブリン・ワーグとされているが、映画では前記した敵側の設定変更があるので、明確な説明はないものの人間・エルフ・ドワーフvsアゾグ率いるドル・グルドゥアの軍・息子のボルグ率いるグンダバドの軍という分け方になっている様だ。

徐々に心を蝕まれ、自分を失ってゆくトーリンと、彼び正気を取り戻させたいビルボの葛藤と友情を軸に、復活しつつあるサウロンから、貞子モードのガラドリエル様がガンダルフを奪還するエピソードや、レゴラスとタウリエルがグンダバドを偵察し、オークが南北から挟み撃ちしてくる事を察知するエピソードなどが絡み合い、幾つもの不確定要素が決戦への不安を作り出す。
話の流れは小説通りでも、脚色の工夫がドラマチックさを高めており、「思いがけない冒険」以来、コツコツと加えられた様々なオリジナルのディテールは、ここへ来て伏線として有機的に機能している。

そして、遂にオークの襲撃が始まり、共通の敵を前にお互いに矛を収めたドワーフ・人間・エルフとの間で合戦が始まるともはや映画はノンストップ
数で勝るオークに対し絶対不利な三軍の奮戦と、トーリンの復活、フィーリとキーリにレゴラスとタウリエルも加わったボルグとの対決、そして長年の因縁によって導かれたトーリンとアゾグの一騎打ち。
それぞれのキャラクターと、舞台の構造を生かしたアクションも見応え十分で、原作では殆ど気絶したままだったビルボにも、それなりに見せ場が用意され、それがトーリンとの友情を強化するために、上手く生かされている。
例によって大鷲軍団とビョルンの参戦で、一気に形勢逆転しちゃうのは相変わらずズルイ気もするが、これはまあ原作通りだからいたし方あるまい。
激闘の果てに、苦楽を共にした友との永遠の別れに泣き、種族を超える禁断の愛の悲劇に泣く。
そして、かすかに匂わされる本作と「ロード~」への橋渡しのワクワク。
今までの5作は本国公開よりだいぶ待たされたが、最後の最後で先行公開が実現した事も含めて文句無しの満福感だ。

ビルボのシャイアへの帰還によって、J・R・R・トールキン原作、ピーター・ジャクソン監督による“ウサギ穴の神話”は見事に完結。
だがここまで素晴らしい作品を観てしまうと、ジャクソンには、ライフワークとして「シルマリル」「終わらざりし物語」、さらにはトールキンの短編なども映像化して欲しくなる。
もっとも、「ホビットの冒険」や「指輪物語」とちがって、長編小説ではないこれらの作品を映画として作るのは難しいだろう。
いっそ、“英語で語られるイギリスの神話”というトールキン世界のコンセプトを生かして、BBCあたりと組んで架空の神話シリーズとして作っても面白そうな気がするのだけど。とりあえず、正月休みに過去の5作品を見直して、それからもう一回本作を観に行こう。

今回は丁度クリスマスという事で、オーストリアから季節限定の長期熟成ビール「サミクラウス」をチョイス。
サミクラウスとはサンタクロースの事で、毎年クリスマス前に販売され、ワインの様に何年も熟成できるのが特徴。
ベストな飲み頃は大体5年目くらい。
独特のクリーミーさと熟成された蒸留酒の様な濃厚さは、一般的なビールという概念と一線を画しているが、あまり体が冷えないので寒い冬の季節に飲むにはピッタリ。
長年楽しませてくれた、P・Jと旅の仲間たちに感謝!乾杯!
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コメント
この記事へのコメント
2回も劇場で見てしまいました。世の中の善悪や良心と邪心、親子の気持ちにさりげなく触れながら、各登場人物の生き様が展開していき、ファンタジーなのに観ているこちらの心も揺り動かされてしまう。それだけに心に残ります。見事な終わり方。想像していた以上に楽しませてもらいました。これでもう終わりなんですねえ、寂しい思いがします。
2014/12/25(木) 13:59:47 | URL | さゆりん #mQop/nM.[ 編集]
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