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ショートレビュー「真夜中の五分前・・・・・評価額1650円」
2015年01月10日 (土) | 編集 |
私、は何者か。

行定勲監督の最新作は、幽玄の魔都・上海を舞台としたミステリアスなラブストーリー
プールで出会った謎めいた美女ルオランと、心に傷を抱えた日本人時計職人のリョウ。
ルオランには、他人には全く見わけのつかない双子の妹ルーメイがいる。
やがて姉妹は事故に遭い、ルーメイは生き残り、ルオランは帰らぬ人となる。
しかし、やがて人々は感じはじめる。
何かがおかしい。あれは本当にルーメイなのだろうか?と。
掴んだ、と思ったらフワリとすり抜ける、行定演出の独特の肌触りが心地よい。
「円卓 こっこ、ひと夏のイマジン」からはガラリと変わった内容ながら、語りたい事、撮りたい物に対して、じっくりと向き合っているのが伝わってくる。

一体目の前にいるのは姉なのか、それとも妹か。
もしも事故で入れ替わったとしたら、それはなぜ?
前半一時間にわたって丁寧に張り巡らした伏線が、後半ことごとくミスリードとして機能する。
一卵性双子の混じり合う記憶。
ブランコから落ちたのは誰?ガラスを割ったのは誰?
そして、記憶を修復する時計職人のメタファー
彼は嘗て恋人を亡くし、彼女の記憶を止めるために部屋の時計を全て五分遅らせている。
五分前の世界に生きる男は、時が取り持つ不思議な縁によってルオランと出会い、いつしか愛し合い、二度目の別離を迎える。

視覚は主体に影響を与える。
同じ見た目を持つ双子の片方が、もう片方を同一視し、アイデンティティの揺らぎを感じるのは、例えば萩尾望都の傑作短編漫画「半神」などにもみられるお馴染みのモチーフ。
本作で言えば、奔放な性格で芸能界に生きるルーメイに対して、ルオランは自分の人生がいつの間にか妹に奪われている様な感覚を覚えている。
自分は、本当は何者なのか?
ポルトガルの詩人、フェルナンド・ペソアの詩が、実に効果的に観客のイマジネーションを刺激して秀逸な引用。

それぞれの登場人物が生きているのは今なのか、五分前の世界なのか。
急速に発展するSFチックな上海中心部の風景と、レトロな時計店に象徴される情景の美学のコントラストが、心理劇のムードをジワジワと盛り上げ、曖昧さが生み出す読解の楽しみに浸る。
テレビドラマみたいなかっちりした謎解きは、初めから用意されていない。
双子の片方の死によって生まれる、いったい生き残ったのはどちらなのか?というミステリ要素はあくまでフック。
これは半身を失った一人と、時に迷った一人が、自分が何者なのかを受け入れて、五分前でも五分後でもない、同じ時空に生き直すまでの物語だと思う。
時間と愛と記憶に纏わる、美しい寓話だった。

今回は舞台となる街、「シャンハイ」の名を冠したカクテルを。
ダークラム30ml、アニゼット10ml、レモンジュース20ml、クレナデンシロップ2tspをシェイクしてグラスに注ぐ。
美しいオレンジが目を楽しませ、アニゼットのエキゾチックな香草の風味が広がる。
ミステリアスな街の夜に相応しい、ミステリアスなカクテルだ。
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