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ショートレビュー「あと1センチの恋・・・・・評価額1600円」
2015年01月15日 (木) | 編集 |
あと少しだけ、届かない。

昨年末にミニシアター系で公開されて以来、口コミで劇場に女性客が詰めかけ、予想外のクリーンヒットとなったヨーロッパ発のラブコメ映画。
カップルの観客は散在するも、9割くらいは若い女性客という、少々居心地の悪い劇場で観たが、いやーこれはおじさんでも気恥ずかしいなる位に胸キュンキュンですよ。

原作はヒラリー・スワンク主演の「P.S.アイラヴユー」でも知られるセシリア・アハーンの恋愛小説なのだけど、 どうも女性の好むラブストーリーというのは、世界的に普遍のパターンがあるらしい。
本作の場合・・・・
その1、主人公は幼なじみの男女。
その2、二人は美男美女である。
その3、子供の頃から、お互いの事を想っている。
その4、でも素直になれず、すれ違いを繰り返す。
その5、多くの苦難を乗り越え、最後には結ばれる。
話の流れをシンプルに表せばこんな感じだが、これは海外の小説のみならず、完全に少女漫画の王道パターンの一つでもある。
たぶん、同じパターンに当てはまる作品は、日本だけでも100を下らないのではないか。
大和撫子たちの、心の琴線に響きまくるのも分かる。

もっとも、ただ単に素材をテンプレ的プロットに突っ込んだだけで、良い映画は生まれない。
ジュリエット・トウィディの脚本は、リリー・コリンズが素晴らしい好演を見せるロージーの心の機微を、実に繊細に紡いでゆくのである。
イギリスの田舎町に暮らす彼女は、美しいけどダメダメなところも多くあり、その青春は結構エグい事件満載だ。
ずっと一緒に育ったアレックスの事を想いながらも煮え切らず、成り行きで好きでもない男に処女を奪われ(たぶん映画史上最速の5秒w)、しかもその一発が見事命中。
結果的に自分の夢よりも子を選んだ彼女は、アメリカに留学して順風満帆な彼とは離れ離れになってしまう。
観客は、この若きシングルマザーのコミカルで波乱万丈な青春にワクワクドキドキしながら感情移入し、なかなか報われない恋の切なさにホロリと泣くのである。

そして18歳での別離からも、お互いの事はずっと大切に想いながら、なおも運命の歯車は噛み合わず、何度もすれ違い続ける事、実に12年!
リチャード・リンクレイターの映画では、6才のボクが大人になっちゃった歳月である。
悪夢の初体験で生まれたロージーの娘も、まだ大人にはならないが、12才の思春期にまで成長し、彼女と幼なじみの男の子のカップルが、やがて嘗ての自分たちの鏡になるあたりも上手い。
無垢なる子ども時代から始まる物語は、高校時代から大人へ、シンプルだった人間関係も、次第に複雑に重層化してゆき、主人公たちの葛藤も深まってゆく。
もちろん、最後にはハッピーエンドが待っているのだけど、そこに至るまでにはただ恋のキラキラだけでは無く、人間ドラマとしての十分な説得力と、酸いも甘いも噛み分けるまでのキャラクターの成長がある。
ドイツ出身で、これが初の英語劇となるクリスティアン・ディッター監督は、そんな彼らの人生模様を丁寧な、それでいてテンポの良いストーリーテリングによって何ともチャーミングな小品に仕上げてみせた。
普遍性のある分かりやすい物語に、美しいくせに恋に不器用なキャラ、全編に仕込まれたオシャレなシャレード。
よく考えればあちこちに見られる都合主義も、この世界観ならまあアリ。
何よりも観終わってとても気持ちの良い映画で、人々から長く愛される作品になるだろう。

それにしても、「あと1センチの恋」とは誠に秀逸な邦題だ。
微妙な距離は単なる言葉のイメージではなく、ちゃんと劇中の核心的な描写に基づいて、作品テーマとも絡めて導き出されており、何よりも想像力を刺激する。
もしも原題の「Love, Rosie」の直訳だったなら、これほどの口コミの広がりは得られなかったのではないだろうか?
これも実に見事な、良き映画の仕事である。

本作の主演は、嘗てターセム版の白雪姫を演じたリリー・コリンズ。
今回はリアルな同世代の役ではあるものの、何気に御伽噺的要素も見え隠れする本作には「スノー・ホワイト」をチョイス。
アップル・ワイン30ml、ウオッカ15ml、グレナデン・シロップ1tspをシェイクし、クラッシュドアイスを入れたタンブラーに注ぐ。
スライスアップルを添えて供される、恋人同士の甘目のカクテルだ。
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