■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
※エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係なTBもお断りいたします。 また、関係があってもアフェリエイト、アダルトへの誘導など不適切と判断したTBは削除いたします。
■TITLE INDEX
※タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
※エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係なTBもお断りいたします。 また、関係があってもアフェリエイト、アダルトへの誘導など不適切と判断したTBは削除いたします。
■TITLE INDEX
※タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
※noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
※noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
2015年01月31日 (土) | 編集 |
その瞳は、何を映す?
アンバランスなほど大きな目を持つ少女の絵は知っていたけど、その裏にこんな話があったとは。
才気にあふれ独創的な絵を描くが、商売っ気はない女と、絵の才能はゼロだが商才はある、野心満々の男が出会ってしまう。
すぐに二人は夫婦となり、妻が描いて夫が売るというコンビネーションで巨万の富を築く。
ただ一つの問題は、夫が絵の作者は自分だと偽っていた事。
※核心部分に触れています。
本作は1960年代にアメリカ美術界を揺るがせた、マーガレットとウォルターのキーン夫妻による一大スキャンダルを、ティム・バートン監督が映画化した作品だが、題材的に昨年世間を騒がせた佐村河内守氏のゴーストライター事件を思い出してしまった。
もしもスター芸術家とそのゴーストが夫婦だったとしたら?
あの事件と同じく、夫が妻の絵を売り込むプロデューサーに徹していれば、何の問題も無かったのだが、画家志望だった彼は、自らが作者として称えられたいという承認欲求に抗えない。
双方が利害関係でプロフェッショナルに徹することが出来ない夫婦だからこそ、一度拗れると葛藤は無限大に増幅する。
世の中には、息を吐くように嘘をつく、虚言壁のある人間がいるものだが、クリストフ・ヴァルツが好演するウォルター・キーンはまさにそんな感じ。
パリ留学経験もある彼は、風景画家として売れず、成り行きで思わず妻の絵を自分の作だと偽ってしまった・・・と最初は思えるのだけど、後になって、実はその風景画すら、他人の作品に自分のサインを入れていただけだという事が明らかになる。
パリ留学の話も、いつしか一週間のパリ旅行になり、最後にはそもそもヨーロッパに行った事すらあるのかどうか。
この種の人間の中では、嘘がいつの間にか真実にすり替わってしまうというが、彼もまた自分自身の嘘を信じていたのかもしれない。
マーガレット・キーンとバートンの絵は、巨大な目と退廃的なムードという共通点がある。
もっとも、暗い闇を湛えた瞳の中に吸い込まれそうなマーガレットの作と、小さな瞳が針の様に見る者を突き刺すバートンのタッチは対照的とも言えるのだが。
本作には、作品を奪われた創作者へのシンパシーが生んだ、作品は誰のもの?という芸術論の側面もあるが、バートンはそちらにはあまりフォーカスしない。
そもそもマーガレットが何者で、なぜ“ビッグ・アイズ”が生まれたのかは、僅かな独白以外は殆ど描かれないのである。
おそらくバートンは、マーガレットの描く大きな瞳の奥に、抑圧された彼女自身を見たのだろう。
この物語で作者が最もフィーチャーしているのは、芸術家と商人という、ある意味理想的な組み合わせでありながら、結局拗れに拗れまくって破局する奇妙なカップルを巡る夫婦論の部分だ。
ウォルターとマーガレットの込み入った関係の背景となっているのは、1950年代から60年代という時代の女性のポジション。
まだまだ専業主婦が主流で、女性が社会の前面に出る事の少なかった時代である。
前夫のDVに耐えかねてバツイチになるまで、一度も働いたことのなかったマーガレットは、いとも簡単に口八丁のウォルターに言いくるめられてしまう。
しかし、自らの分身である作品を奪われ、アイデンティティを否定された生活は、徐々に彼女を追い詰め、やがて彼女もウォルターの本当の姿に気づくと、敢然と反撃を開始する。
嘘に嘘を重ねて作られた虚飾の家族は、マーガレットの覚醒であっけなく崩壊してしまうのである。
そういえば、バートンは13年に渡って事実婚を続けていたヘレナ・ボナム=カーターと去年初めに破局したそうだ。
おそらく本作の制作期間は二人の別離の時期と重なっていたはずで、これは自らの体験の実感を込めた、バートン流の「ゴーン・ガール」なのかも知れない。
しかし「フランケンウィニー」もそうだが、バートンはパターン化した大作から、創作の原点回帰へのプロセスにあるのではないか。
前作では、職業映画監督としての処女作をリメイクしたが、今回は作品に愛など無く、金のために大衆の好む“製品”を量産する男と、彼に虐げられる芸術家の物語である。
はたして、この特異な映画作家はどこへ行こうとしているのか、次回作が今から楽しみだ。
今回はでっかい目というタイトルなので、「アイ・オープナー」をチョイス。
ホワイトラム30ml、ペルノ2dash、クレーム・ド・アプリコット1dash、フランジェリコ1dash、オレンジ・キュラソー2dash、砂糖1tsp、卵黄1個分をシェイクして、グラスに注ぐ。
このカクテルは元々はクレーム・ド・ノワヨーが使われていたのだけど、今は流通していないので、BARでもそれぞれ代用品を使っている模様。
目を開かせる、つまり飲んだ翌朝の迎え酒という訳だが、卵黄が入っているので結構コッテリ濃厚な味わいのカクテルだ。
確かに目は覚めそうだが、朝にこれはきついかも知れない(笑
記事が気に入ったらクリックしてね
アンバランスなほど大きな目を持つ少女の絵は知っていたけど、その裏にこんな話があったとは。
才気にあふれ独創的な絵を描くが、商売っ気はない女と、絵の才能はゼロだが商才はある、野心満々の男が出会ってしまう。
すぐに二人は夫婦となり、妻が描いて夫が売るというコンビネーションで巨万の富を築く。
ただ一つの問題は、夫が絵の作者は自分だと偽っていた事。
※核心部分に触れています。
本作は1960年代にアメリカ美術界を揺るがせた、マーガレットとウォルターのキーン夫妻による一大スキャンダルを、ティム・バートン監督が映画化した作品だが、題材的に昨年世間を騒がせた佐村河内守氏のゴーストライター事件を思い出してしまった。
もしもスター芸術家とそのゴーストが夫婦だったとしたら?
あの事件と同じく、夫が妻の絵を売り込むプロデューサーに徹していれば、何の問題も無かったのだが、画家志望だった彼は、自らが作者として称えられたいという承認欲求に抗えない。
双方が利害関係でプロフェッショナルに徹することが出来ない夫婦だからこそ、一度拗れると葛藤は無限大に増幅する。
世の中には、息を吐くように嘘をつく、虚言壁のある人間がいるものだが、クリストフ・ヴァルツが好演するウォルター・キーンはまさにそんな感じ。
パリ留学経験もある彼は、風景画家として売れず、成り行きで思わず妻の絵を自分の作だと偽ってしまった・・・と最初は思えるのだけど、後になって、実はその風景画すら、他人の作品に自分のサインを入れていただけだという事が明らかになる。
パリ留学の話も、いつしか一週間のパリ旅行になり、最後にはそもそもヨーロッパに行った事すらあるのかどうか。
この種の人間の中では、嘘がいつの間にか真実にすり替わってしまうというが、彼もまた自分自身の嘘を信じていたのかもしれない。
マーガレット・キーンとバートンの絵は、巨大な目と退廃的なムードという共通点がある。
もっとも、暗い闇を湛えた瞳の中に吸い込まれそうなマーガレットの作と、小さな瞳が針の様に見る者を突き刺すバートンのタッチは対照的とも言えるのだが。
本作には、作品を奪われた創作者へのシンパシーが生んだ、作品は誰のもの?という芸術論の側面もあるが、バートンはそちらにはあまりフォーカスしない。
そもそもマーガレットが何者で、なぜ“ビッグ・アイズ”が生まれたのかは、僅かな独白以外は殆ど描かれないのである。
おそらくバートンは、マーガレットの描く大きな瞳の奥に、抑圧された彼女自身を見たのだろう。
この物語で作者が最もフィーチャーしているのは、芸術家と商人という、ある意味理想的な組み合わせでありながら、結局拗れに拗れまくって破局する奇妙なカップルを巡る夫婦論の部分だ。
ウォルターとマーガレットの込み入った関係の背景となっているのは、1950年代から60年代という時代の女性のポジション。
まだまだ専業主婦が主流で、女性が社会の前面に出る事の少なかった時代である。
前夫のDVに耐えかねてバツイチになるまで、一度も働いたことのなかったマーガレットは、いとも簡単に口八丁のウォルターに言いくるめられてしまう。
しかし、自らの分身である作品を奪われ、アイデンティティを否定された生活は、徐々に彼女を追い詰め、やがて彼女もウォルターの本当の姿に気づくと、敢然と反撃を開始する。
嘘に嘘を重ねて作られた虚飾の家族は、マーガレットの覚醒であっけなく崩壊してしまうのである。
そういえば、バートンは13年に渡って事実婚を続けていたヘレナ・ボナム=カーターと去年初めに破局したそうだ。
おそらく本作の制作期間は二人の別離の時期と重なっていたはずで、これは自らの体験の実感を込めた、バートン流の「ゴーン・ガール」なのかも知れない。
しかし「フランケンウィニー」もそうだが、バートンはパターン化した大作から、創作の原点回帰へのプロセスにあるのではないか。
前作では、職業映画監督としての処女作をリメイクしたが、今回は作品に愛など無く、金のために大衆の好む“製品”を量産する男と、彼に虐げられる芸術家の物語である。
はたして、この特異な映画作家はどこへ行こうとしているのか、次回作が今から楽しみだ。
今回はでっかい目というタイトルなので、「アイ・オープナー」をチョイス。
ホワイトラム30ml、ペルノ2dash、クレーム・ド・アプリコット1dash、フランジェリコ1dash、オレンジ・キュラソー2dash、砂糖1tsp、卵黄1個分をシェイクして、グラスに注ぐ。
このカクテルは元々はクレーム・ド・ノワヨーが使われていたのだけど、今は流通していないので、BARでもそれぞれ代用品を使っている模様。
目を開かせる、つまり飲んだ翌朝の迎え酒という訳だが、卵黄が入っているので結構コッテリ濃厚な味わいのカクテルだ。
確かに目は覚めそうだが、朝にこれはきついかも知れない(笑

記事が気に入ったらクリックしてね
![]() 【ポイント15倍】開催決定!2月1日朝10時スタート!詳細は当ショップ迄フランジェリコ 20度 7... |
スポンサーサイト
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
1960年代に大きな目が特徴少女の絵が世界中で大人気となった。本作はその絵の作者マーガレット・キーンと、夫ウォルターが妻の絵を自分のものだと偽った事件の裏側を描いた伝記映画だ。主演は『ザ・ファイター』などのエイミー・アダムスと『イングロリアス・バスターズ』のクリストフ・ヴァルツ。監督は『アリス・イン・ワンダーランド』などのティム・バートンが務める。※1月23日よりTOHOシネマズ有楽座ほかで公開
2015/02/01(日) 00:07:12 | MOVIE BOYS
1958年、アメリカ。 娘を連れて離婚し、絵で生計を立てようとしていたマーガレットは、パリの美術学校に通っていたというウォルター・キーンと出会い結婚する。 マーガレットが描く大きな瞳の子供“ビッグ・アイズ”は世界中で大ブームを巻き起こすが、全てウォルターが描いた絵として販売されてしまう。 ウォルターがアートの寵児としてもてはやされる一方で、マーガレットはアトリエに籠り、ひたすら絵を描いていた...
2015/02/01(日) 02:09:01 | 象のロケット
このときにもっと食ってかかってたらここまでいかなかったろうか。
いやそもそも出会ったとっからして、マーガレットは騙されていたわけで。
私には娘と絵しかなかった。・・・それが
ウォルターという「共犯者」を得てマーガレットの書いた「ビッグアイズ」は売れた...
2015/02/01(日) 16:38:48 | ペパーミントの魔術師
ビッグ・アイズBIG EYES/監督:ティム・バートン/2014年/アメリカ
監督名を知らずに見たら、ティム・バートン作品だと気づかなかったと思います。
ユナイテッド・シネマとしまえん スクリーン5、F-13で鑑賞。事前情報はクリストフ・ヴァルツが出ていることと、ポスターくらいでした。
あらすじ:奥さんが描いた絵を旦那が売ってた。
バツイチ子持ちのマーガレット(エイミー・ア...
2015/02/02(月) 13:31:42 | 映画感想 * FRAGILE
2014年・アメリカ/ワインスタイン・カンパニー配給:ギャガ 原題:Big Eyes 監督:ティム・バートン脚本:スコット・アレクサンダー、ラリー・カラゼウスキー製作:リネット・ハウエル、スコット・ア
2015/02/08(日) 01:42:13 | お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法
原題は Big Eyes
実話に基づいた映画ということで、予告を観た時で大まかなストーリーも分かってはいた。
それをティム・バートン監督がどんな映画にするのかしらん?と思って観たんだけど、
んーーーーーー、フツー(苦笑)
クリストフ・ヴァルツの演技で最後までそれ...
2015/02/11(水) 15:41:34 | トレッドストーンblog
主人公のマーガレットが劇中で、自分が描いた絵は自分の子供のようなものと言う。 す
2015/02/28(土) 22:25:09 | はらやんの映画徒然草
28日のことですが、映画「ビッグ・アイズ」を鑑賞しました。
1960年代、哀愁漂う大きな目の子供を描いた絵画「BIG EYES」シリーズが世界中で人気を博す
作者のウォルター・キーンは一躍アート界で有名になるが何と実際に制作していたのは内気な性格の妻マーガレットで・...
2015/04/20(月) 07:11:08 | 笑う社会人の生活
実話の映画化、ということで、興味深く観ました。
あの、誰もが「見たことある」印象的な絵にまつわり、そんなエピソードがあったとは!
米国って、こちらで想像してる以上に保守的なお国なのかなぁ、とも感じてしまったのでした。
でも、ビッグ・アイズの作者でもある奥方、最初に離婚したパワーは持ってたけれど、2番目の夫のビッグ・マウスぶりがパワフルで営業手腕が凄すぎたのかな?
事情...
2016/05/17(火) 13:18:27 | のほほん便り
☆☆☆★- (10段階評価で 7)
2月13日(月) WOWOWシネマの放送を録画で鑑賞。 字幕版。
2017/02/19(日) 14:49:56 | みはいる・BのB
| ホーム |