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ラン・オールナイト・・・・・評価額1700円
2015年05月26日 (火) | 編集 |
譲れない、オヤジの流儀。

もはや何本あるのかすら分からない、リーアム・ニーソン主演のアクション映画だが、回を重ねるごとに劣化が進むベッソン系の「96時間」シリーズと違って、ジャウム・コレット=セラとのコンビ作はハズレがない。
サイコ・ホラーの秀作「エスター」で脚光をあびたコレット=セラは、その後2011年のスパイ・スリラー「アンノウン」以来三作連続でニーソンと組んでいるが、中でも本作はダントツの出来と言っていいだろう。
自分の息子を守るため、親友の息子を殺してしまったアウトローの物語は、既に古典の様な風格を備えた傑作である。
※核心に触れています。

ニューヨークに暮らす元殺し屋のジミー・コンロン(リーアム・ニーソン)は、命を狙われた息子のマイク(ジョエル・キナマン)を守るため、やむを得ず相手を射殺する。
ところがそれは、組織のボスにしてジミーの親友である、ショーン・マグワイア(エド・ハリス)の息子だった。
怒りに燃えるショーンは、ジミーとマイクに復讐を宣言し、組織の総力を挙げて二人を追い始める。
ジミーは、何とか包囲網を突破して、マイクを逃がそうとするのだが、組織の執拗な追跡はマイクの妻子にまで迫り、ジミーは遂に反撃を決意する・・・・・


本作でニーソンが演じるジミー・コンロンは、嘗ては組織に敵対する者たちを何十人も殺した凄腕のヒットマンだったが、時代の変化に取り残され、今はその日の生活にも困るほど、うらぶれた生活を送る初老の男だ。
裏社会を生き抜いてきたスキルはあるものの、「96時間」で演じた元スパイの様な無双の戦闘スペシャリストではないし、日常においてはむしろ不器用すぎるほど。
ところがある夜、ジミーは長年にわたって共に仕事をし、組織のトップにまで登り詰めた親友、ショーン・マグワイアの息子を殺し、組織からだけでなく、買収された警察にまで追われるハメになってしまうのである。

二代目のドラ息子は、薬の取引でヘマをして殺人を犯し、目撃者であるジミーの息子のマイクも消そうとして、居合わせたジミーによって返り討ちにあう。
悪いのは明らかにドラ息子の方なのだが、血には血を、殺られたら殺り返すという裏社会の掟によって、ジミーとマイクは逃亡者となってしまう。
NYを舞台とした一夜の追撃戦は、アクションとしてはもちろん、凝縮された人間ドラマとしても見応え充分だ。
マイクは長年家に寄りつかず、悪の限りを尽くしてきた父親に反発しており、自分の妻子にすら会わせていない。
彼にとってジミーの存在は、自分たちがまっとうに生きる障害に他ならず、本来なら決して関わりたくない存在なのだ。
ジミーも寂しさを感じつつも、刹那的な人生の自業自得の結果として、そんな関係を受け入れ、遠くから息子一家を見守っている。

一方のショーンもまた、ドラ息子との葛藤を抱えているものの、子を思う父としての気持ちは同じ。
だからこそ、本来似た者同士で、運命共同体であるはずの二人の父親のドラマとして、本作は物凄く切ない。
リーアム・ニーソンとエド・ハリスという、渋い大人の男の色気たっぷり、名優たちの火花散る演技合戦。
「一線を越える時は、一緒だ」
まだ事が起こる前に、ジミーがショーンに告げるこの一言が、物語の帰結する先はもう一つしかない事を示唆している。

アウトローの父親を拒絶するカタギの息子、そして裏社会の父親同士の愛と意地が激突する物語は、古典的なノワールと西部劇の話型を、分解した上で再構築し、現代のNYに移し替えたものだ。
脚本を担当しているブラッド・イングルスビーは、昨年映画ファンの間で評判を呼んだ異色作、「ファーナス/訣別の朝」の人である。
あの作品は、ただ明日を夢見て無法者に惨殺された弟の復讐のため、自らも心に消せない傷を抱えた兄が立ち上がる、男臭い情念のドラマだった。

舞台となる鉄鋼の街、鹿狩り、賭け、イラク戦争、そして二度と帰らない穏やかな日常といったモチーフは、ベトナム戦争に出征した若者たちの悲劇を描いた、マイケル・チミノの傑作「ディアハンター」にオマージュを捧げたものだろう。
同時に、これも現代劇ではあるが、仮に時代設定を150年前にすれば、そのまま西部劇として成立してしまう物語である。

例えば日本で、時代劇のプロットをそのまま現代劇に当てはめるのは、社会の構造があまりに変わりすぎていて、なかなか難しいだろうが、アメリカは違う。
もちろん人種問題や社会の寛容さなど、大きく変わった部分もあるが、本質はずっと同じなのだと思う。
東海岸から先住民族や外国勢力と戦いながら、400年に渡って西へ西へとテリトリーを広げ続けた歴史は、人々のアイデンティティに深く刻まれている。
力によって国が生まれ、力はすなわち秩序であり、アメリカを支配する血と鉄と銃の掟は今なお生きているのだ。

イングルスビーは、共に西部劇の話型を巧みに本歌取りした「ファーナス」と「ラン・オールナイト」に、兄と弟、父と息子、それぞれ対照的な生き方をし、反目する血族の男たちを配し、予期せぬ戦いを経験させることで、“アメリカ人”という一つの巨大な“民族”の魂を描き出す。
この優れた脚本を得て、コレット=セラもディテールに個性を見せつつ、奇をてらわない重量級の名演出で、古くて新しい男たちの燻し銀のドラマを構築している。
無法の荒野で、男が必ず守るべきは、今も昔もファミリー。
アウトローとして生きてきた男が、最後に父親として死んでゆく物語は、開拓時代から続くアメリカの神話として昇華されるのである。

今回はやはりバーボンを飲みたい。
オヤジに似合うアメリカを代表する老舗のスピリット、「ワイルドターキー 8年 50.5度」をチョイス。
8年熟成の琥珀色のバーボンは、ふわりと立つ柔らかな香りに、甘みとコクが繊細に絡み合うパワフルなボディを持つ。
プレミアムバーボンならではの、深い余韻も印象的だ。
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コメント
この記事へのコメント
ワイルドターキー
「ワイルドターキー 8年 50.5度」が飲みたくなる名解説ですね(笑)
2015/05/27(水) 10:51:55 | URL | まっつぁんこ #L1vigvx6[ 編集]
本作も当たり♪
ノラネコさんこんばんわ♪

リーアム・ニーソン三部作・・・と呼べばいいのかは分かりませんが(汗)、自分もコレット=セラ監督とリーアム・ニーソンのタッグ作は三作とも面白くて、本作に関してもアクションだけじゃなく父子の関係やジミーとショーンの確執といったドラマ部分も見応えを感じたので一番良い作品かなと思いましたね。
ジミーとショーン両者の決着の付け方もかなり渋くて、抱きかかえながら最後を迎えるシーンも強く印象に残りました。
2015/05/29(金) 21:14:54 | URL | メビウス #mQop/nM.[ 編集]
こんばんは
>まっつぁんこさん
プレミアムバーボンが似合う渋いおっさんに、いつかはなりたいものです(笑

>メビウスさん
前の2本も相当に面白かったんですけどね、これは頭一つ抜けているように思います。
マイクとショーンの、ロートルBLギリギリの濃すぎる絆も泣けました。
2015/06/01(月) 22:53:07 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
ごぶさたしています。
こんにちは。

とんでもない亀レスとなりました。
気に入った作品はTwitterで連投しているうちに、
それで済んでしまったような気になって…。
パソコンに向かう習慣から遠のいてしまいました。

でも、Twitterは流れていくもの。
どうにかしてこちらに戻ってこようとしているのですが、
なかなか根気が続かなくって…。

ずっとブログを続けられているノラネコさんを見ていると
自己反省させられます。

と、この映画からは遠く離れたご挨拶となりましたが、
今後ともよろしくお願いします。

2015/10/12(月) 11:17:45 | URL | えい #yO3oTUJs[ 編集]
こんばんは
>えいさん
ツイッターはコンビニエンスだから、ブログやめちゃう人も多いですからね。
でもあれは結局TLと共に流れてしまうので、基本的に独り言で、記録するメディアとしては向かないと思ってます。
ツイッターの書き込みを記録として保管するにはFilmarksなどが便利ですよ。
2015/10/12(月) 21:55:53 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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