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カリコレ2015 つぶやきまとめ
2015年06月29日 (月) | 編集 |
今年のカリコレはなかなか面白いラインナップだった。
鑑賞出来た13本のなかで、もう一回観たい7作品のつぶやきをまとめておく。

「ネスト/トガリネズミの巣穴・・・・・評価額1650円」

50年代初頭のスペインを舞台にした、ウェルメイドなサイコホラー。
広場恐怖症で家から出られない姉は、歳の離れた妹を厳格に支配する。
ところが怪我をした男を家に迎え入れた事で、二人の関係に変化が生まれ、姉の心には押さえつけてきた暗いパッションが燃え上がる。
と、ここまでは西版「ミザリー」か山岸凉子の漫画的な趣きなのだが、特筆すべきは後半怒涛の勢いで明らかになる、強すぎる愛ゆえに血塗られた一家の秘密。
この濃密なる血族の情念と歴史が紡ぎ出す、凹まされる愛憎の恐怖と悲しみこそ、ザッツ・スパニッシュホラーだ。
私はとにかく、姉にどっぷり感情移入して、余りに悲惨な彼女のために泣いた。
全然違うジャンルだが、スペイン内戦を描いた傑作「スリーピング・ボイス」にも、ダウナー系パワーは決して負けてない。
登場人物も観客も、とことん追い詰めるのはさすが欧州の韓国映画だ。
ホラー映画に涙したのは「エスター」以来である。

「最後まで行く・・・・・評価額1650円」

すんごく面白い。
韓国映画で警察が無能なのはお約束なれど、この映画は主要キャラ全員悪人、全員警官w
悪徳刑事が、交通死亡事故を隠蔽しようとした事から始まる、恐怖の日々を描くクライムスリラー。
主人公は、失敗を取り繕おうと更なる失敗を重ね、やがてより邪悪な存在により追い込まれて行く。
ぶっちゃけ敵の変な行動とか、瞬間移動の謎とか、銃の安全装置は?とか、大小様々な突っ込みどころ満載。
だが二転三転、週刊漫画並みの“面白さ”のプレッシャーによる怒涛の展開で、観てる間は気にならない。
悪人とはいえ、常に泣きっ面に蜂状態の主人公が可哀想になるほどだ。
たった一つのミスによって、人生がどんどん暗転して行く話は多いが、本作の場合キャラも展開も御都合主義ギリギリ、狙ってやってるビミョーなやり過ぎ感が、シニカルな笑いを生み出しているのがユニーク。
こういうのは、家のちっちゃいTVで観るより、絶対映画館の方が楽しめる。

「パロアルト・ストーリー・・・・・評価額1550円」

これ原作がジェームズ・フランコ作の連作短編なのね。
パロアルトは、スタンフォード大学がある事で知られるカリフォルニアの街。
この街で暮らす高校生たちを描く、切なく瑞々しい群像劇だ。
子どもから大人へ青春のイニシエーションを通して、それぞれの葛藤が渦巻く。
大人たちは本音と建て前を使い分け、人生よろしくやってるけど、十代の彼らにそんな術はない。
本音を言うのは怖くて、真逆の行動で紛らわせる。
自分がどこに向かっているのか、未来が見えないからこその閉塞の中に、僅かに見える光に救われる。
決して上手い映画ではないけど、むき出しの魂をダイレクトに感じる、注目すべき佳作。
これがデビュー作のジア・コッポラ監督は、作品スタイルも似ているけど、ルックスもおばさんのソフィアそっくり。
色んな意味でこのファミリーの血は濃いんだなあ。
何気に劇中で「enter the ninja」てヘンテコな曲が使われてるのだけど、これ「チャッピー」に出てるニンジャとヨーランディのユニットの曲だったw

「ライフ・アフター・ベス・・・・・評価額1550円」

主人公ザックのもとに、死んだはずの彼女・ベスがゾンビになって帰ってくる。
人間とゾンビのラブストーリーは、「ウォーム・ボディーズ」が記憶に新しいけど、アレとはまた切り口がだいぶ違う。
ベスは最初はちょっと言動が変だけど、見た目は普通で、少しずつゾンビ化するから、生死をこえた再会の喜びは、次第に苦悩に変わる。
シチュエーション的にはシュールで可笑しいんだけど、主人公に感情移入するとかなり切ない。
突然の彼女の死を受け入れられなかったザックは、二度目の、しかもジワジワと進む死を経てようやく喪失を認め、「ライフ・アフター・ベス」、ベスのいない人生を歩みだす。
後半急激にカオス化する世界観が、そのままザックの心象として機能しているのが面白い。
ディーン・デハーンは、こういう神経質そうな悩める若者を演じるとハマる。
しかしゾンビ映画って、本当にバリエーションが尽きないな。

「イグジスツ 遭遇・・・・・評価額1500円」

POVブームの元祖「ブレアウィッチ・プロジェクト」のエドアルド・ サンチェスが森に侵入した若者たちとビッグフットとの遭遇を描く。
やってる事は昔と変わらないが、違うのはGoProをはじめとした小型カメラの普及で、マルチカメラが普通になった事。
結果的に、POVでありながらカットのバリエーションや自由度は、普通の映画と殆ど変わらない。
サンチェスは「V/H/Sネクストレベル」でも、ゾンビに追われるマウンテンバイカーの話で、GoProを上手く使っていた。
本作も新味は無いが、低予算のUMAホラーとして、なかなか楽しめる作品になっている。
でもビッグフットは、もうちょっとデカくして欲しかったな。

「モンスター 変身する美女・・・・・評価額1500円」

両親を喪い、イタリアへ傷心旅行へ出かけた主人公が出会った美女は、実は2000年の時を生きつづけるモンスター。
という設定は伊藤潤二の「富江」シリーズみたいだけど、基本的にコレはラブストーリーであって全くホラーではないんだな。
主人公も不死の美女も本当の愛を知らず、探しつづける漂流者。
古代ポンペイの夫婦から現代の農場の爺さんまで、幾つもの理想の愛の形が二人の前に現れる。
果たして愛は、永遠の命を捨てるほど価値あるものか?二人は有限と無限の壁を越えられるのか?
独特のムードのあるユニークな視点の作品だが、もうちょい刈り込んでも良かったかな。
空撮ショットとか無駄に多い。
美女の不死の秘密が明らかになってからは良いテンポだけど、前半やや冗長に感じた。

「MR.タスク・・・・・評価額1450円」

人気ポッドキャスターがネタを探してて、なぜか人間をセイウチに改造したがるマッドサイエンティストというか、変人の手に落ちる。
私は同じ人体改造系「ムカデ人間」が生理的に苦手。
似たようなホラ(ー)話しでも、こっちは糞尿を想像させないから普通に楽しめた。
この映画、分かりやすいB級だけど、不思議な詩情と品格があるんだな。
それはマッドサイエンティストがセイウチに拘る理由が、それなりに筋が通ってるのと、伝統的なモンスターホラーに通じる異形の哀しみがあるから。
まあ最終的にはそれすらネタにしちゃうんだけどw

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