酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ショートレビュー「天空の蜂・・・・・評価額1600円」
2015年09月30日 (水) | 編集 |
蜂の一刺しを恐れるのは誰か。

1995年のある日、無人飛行可能な自衛隊の新鋭大型ヘリがジャックされ、高速増殖炉の上空でホバリング。
このまま時間が経てば、ヘリは燃料切れで原子炉建屋に落下する。
姿無き犯人の要求は、日本全国の全ての原発を即時停止させ、再始動不可能な状態に破壊する事。
20年前に東野圭吾の原作を読んだ時、映像化想定で書いたのだろうな、と思ったのを覚えている。
まるでハリウッド映画の様な設定はもちろん、プロットの構成も極めて映画的で、腕の良い脚本家がいれば現実的な上映時間で十分脚色可能な内容だった。
それゆえ、映画化まで20年の歳月がかかったのは意外ともいえるが、むしろ2015年の今作られた事は必然だったのかもしれない。

冒頭、自衛隊への引渡し式直前、巨大なヘリが突如として動き出す瞬間から、物語はサスペンスフルに展開する。
高速増殖炉上空の“蜂”の燃料が尽きるまで、わずか8時間。
日本そのものを人質にとった犯人とその正体を追う当局の捜査劇と、ヘリの奪還と同時に高速増殖炉の安全確保をしなければならない現場の闘い。
また、ヘリには開発者の湯原の一人息子が取り残されており、上空にホバリングしているヘリからの決死の救出劇、さらには原発開発を担当する三島と湯原のエンジニア同士の葛藤と、幾つものプロットが重層的に進行し飽きさせない。
原作からはある程度改変された箇所はあるものの、基本的には忠実な作り。
もっとも、数多いキャラクターの背景は描き足りない部分が多く、132分の上映時間はやや窮屈な印象がある。
特にミッドポイントで取り残された少年の救出劇が描かれて以降は、展開がやや雑然とした印象になってしまった。
これ以上刈り込まないのであれば、上映時間は2時間半程度は欲しかったところで、結果的に説明的な描写・台詞が目立つのはちょっと残念だ。

大変な力作だと思うが、港で言われている様な反原発メッセージ映画とは違う
確かに原発が重要なモチーフになっているし、物語のキーではあるのだけど、これは原発の是非を描く作品では全くないのだ。

天空の蜂の一刺しを恐れるのは、ことなかれ主義でありながら冷徹な権力と、面倒なことに無関心でありながら白黒レッテル貼りに嬉々とする大衆。
問題を認識しながら、見たくないものには目を瞑る者たち。
異なる意見を持つ誰かを攻撃することが、正義だと勘違いする者たち。
「標的は原発」という刺激的なコピーを掲げた本作、娯楽映画として水準以上の作品だと思うが、興業的には苦戦しているという。
この事実もまた、劇中に描かれた日本と日本人のカタチの現われと言えるのかもしれない。

原作の出版から20年。
無人航空機技術は軍事だけでなくドローンとして一般化し、高速増殖炉は相変わらず金食い虫、そして何よりも劇中では“あり得ないこと”とされている原発ゼロの世界を、3.11の記憶と共に我々は経験してしまった。
あえて舞台を現在ではなく、原作の書かれた1995年のままとした事で、本作は未来から俯瞰した過去の未来予想図という不思議な味わいを持つ異色作となった。
ある種の“仮想の未来の悪夢”を描いたフィクションに、時代がぴったりフィットしてしまったのは、なんとも皮肉だ。


今回は天空の蜂だけに蜂蜜酒のミード。
国産蜂蜜を使った会津ミード「美禄の森」をチョイス。
まろやかな甘みと適度な酸味があり、フレッシュな森の恵みを味わえる。
キンキンに冷やしてそのまま食前酒にしても良いし、炭酸で割っても美味しい。
ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね




スポンサーサイト


コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
人気作家・東野圭吾が原子力発電所を題材に1995年に発表した傑作小説を、堤幸彦監督が映画化した社会派サスペンス。最新鋭の大型ヘリを手に入れたテロリストが、日本全国の原発の停止を求め稼働中の原発上空でホバリングさせるテロ事件を描く。困難な直面に立ち向かうヘリ...
2015/10/01(木) 12:38:30 | パピとママ映画のblog
この国に、守る価値はあるのか… 詳細レビューはφ(.. ) http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201509150000/ 【楽天ブックスならいつでも送料無料】【夏の文庫キャンペーン2015】天空の蜂 [ 東野圭吾 ]価格:918円(税込、送料込)
2015/10/01(木) 12:43:47 | 日々“是”精進! ver.F
 『天空の蜂』を新宿ピカデリーで見ました。 (1)東野圭吾氏の原作の映画化ということで映画館に行ってきました。  本作(注1)の冒頭は、1995年8月8日午前7時21分。  錦重工業小牧工場で開かれる「ビッグB」納入式典に参加するために、湯原(江口洋介)とその妻・篤...
2015/10/02(金) 06:38:38 | 映画的・絵画的・音楽的
20年前の原作が現実問題に 公式サイト http://tenkunohachi.jp9月12日公開 原作: 天空の蜂 (東野圭吾著/講談社文庫)監督: 堤幸彦 1995年8月8日。愛知県の錦重工業小牧
2015/10/03(土) 14:43:36 | 風に吹かれて
 素晴らしい!  あまりの面白さに度肝を抜かれた。原発、軍需産業、自衛隊の災害派遣等、タイムリーな題材の濃縮に驚かされる。  『天空の蜂』が公開されたのは2015年9月12日。前々日に栃木・茨城・宮城を襲った大雨と鬼怒川の堤防決壊に日本中が衝撃を受けたときだった。  タイムリーなだけに、ちゃちな作りの映画なら観客に見透かされてしまう。なにしろ観客は、映画公開の前日、前々日に自衛隊のヘリ...
2015/10/12(月) 22:32:50 | 映画のブログ
意外に見応えあって面白かった。
2015/11/04(水) 23:34:41 | だらだら無気力ブログ!
[天空の蜂] ブログ村キーワード ↓ワンクリックの応援お願いします↓ おみくじ評価:大吉 2015年31本目(30作品)です。 【あらすじ】 1995年8月8日。愛知県の錦重工業小牧工場から防衛庁へ納品する新型ヘリコプター、通称ビッグBが何者かに奪われ、やがて遠隔操作…
2015/11/06(金) 03:17:01 | 必見!ミスターシネマの最新映画ネタバレ・批評レビュー!
【概略】 最新鋭の超巨大ヘリ“ビッグB”を遠隔操作したテロが発生。犯人の要求は“日本全土の原発の破棄”。ヘリ設計士と原発設計士が、日本消失の危機を止めるべく奔走する。 アクションサスペンス 序盤から大人がビッグBと原子炉のことでワイワイやってるんですが、何言ってるかさっぱりわからない。。。。阿呆な私。小難しいんだもん。 息子がモールス信号でずっと話しかけていたというくだ...
2016/02/07(日) 09:19:43 | いやいやえん
東野圭吾さん原作のテクノロジー・サスペンスです。想像以上に面白い作品でした。サス
2016/07/13(水) 22:51:43 | はらやんの映画徒然草