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マイ・インターン・・・・・評価額1650円
2015年10月20日 (火) | 編集 |
人生の輝きに“老い”は無い。

時代の先端を突っ走る人気アパレルサイトの若き女性CEOの元に、ひょんなことから70歳のインターンがやってくる。
ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイ、オスカー俳優同士の歳の差コンビネーションが絶妙。
年齢も性別も、社会的な立場も違う二人は、最初こそ壁があるが、少しずつ惹かれあい、強い絆を育んでゆく。
監督・脚本を手掛けるのは「恋愛適齢期」や「恋するベーカリー」で知られるベテラン、ナンシー・マイヤーズ。
一見オシャレなガールズムービーの様な装いだが、同時に高齢化社会の理想をも描き出し、軽妙でありながら、なかなかに深みのある秀作である。

ジュールズ(アン・ハサウェイ)は、アパレル通販サイトを起業し、わずか一年半で数百人を雇用するまでに成長させたeコマース界の風雲児。
はた目には夢と家庭を両立させ、誰もが憧れる成功者だ。
しかし激務ゆえに、一人娘の世話は家庭に入った夫にまかせっきりで、会社も急成長に体制が追いつかず、投資家からはCEO交代の圧力をかけられている。
そんな苦悩する彼女の元に、会社の福祉事業としてはじめたシニア・インターン制度に応募してきたベン(ロバート・デ・ニーロ)が現れる。
出会ってすぐには年齢の壁があった二人だが、人生の大ベテランの“アドバイス”は、様々なシチュエーションでジュールズを救い、いつしか30歳のCEOと70歳のインターンは心を通わせていく。
ところがある日、車でジュールズの娘を送っていたベンは、街角で衝撃的なシーンを目撃してしまい、やがてそれはジュールズに人生最大の選択を迫る事になる・・・・


アン・ハサウェイ演じるジュールズの初登場シーン。
彼女はCEOでありながら、コールセンターで顧客からのクレームを直接受けている。
もうすぐ結婚式を迎える“レイチェル”に送った、ブライズメイズのコスチュームの色が間違っていたというクレームに対し、彼女は結婚式までに確実に届けなおす事を約束。
このキャラクター名はもちろん、ハサウェイが初めてオスカーにノミネートされ、演技派として認知された出世作、「レイチェルの結婚」へのオマージュだろう。
ともあれ、数百人のスタッフを擁する彼女が徹底した現場主義者であり、仕事に対して真摯に取り組んでいる事を端的に理解させる秀逸な描写。
だが、ジュールズの仕事への情熱とは裏腹に、現実は問題だらけ。
急成長した事業に、会社の組織作りが追いつかず、クレームが多発しスタッフも疲弊。
問題視した投資家からは、CEOを外部から招へいし経営を任せる事を提案されている。
経営負担が無くなれば、会社の運営が円滑になるだけでなく、ギクシャクしている夫との仲も修復できるし、さびしい思いをさせている一人娘との時間も増やせる。
でもそれは自分の夢の重要な一部を諦める事で、新CEOとの相性によっては会社でのポジションも失いかねない。
実際、外部からCEOとしてジョン・スカリーを招へいし、結果的にAppleを追い出された若き日のスティーブ・ジョブズの例もある。

そんな時に、彼女前に現れるのが、シニア・インターとして雇われた男やもめのベン。
彼は電話帳会社の元部長として、40年に及ぶ実務経験を持つ。
eコマースで成功したジュールズが体現する現代と、ネット社会によって歴史の遺物となった電話帳という過去の存在のコントラスト。
ベンは、ある意味熟年男性の理想形として描かれる。
彼は良い意味で人生を達観していて、誰に対しても自然体で、自分の子や孫ほどの年齢のジュールズや社員たちに対しても、社会の先輩としてプライドをひけらかす事なく、常にオープンで謙虚。
それでいて観察眼には優れ、ジュールズの運転手の飲酒癖を見抜き、仕事を認められていないという女性社員の悩みには、さりげなくサポートする。
最初はシニア・インターンの存在そのものに興味を持っていなかったジュールズも、ベンと接するうちに彼の人間としての包容力に魅了され、誰にも言えなかった葛藤を打ち明けるようになるのだ。
観客が男性なら、彼のような魅力的な爺さんになりたいと願い、女性ならこんな上司や同僚がいたらと思うだろう。
「私の中にはまだ音楽がある」「ハンカチを持つ理由は、女性の涙のため」
長い人生の経験から紡がれる、ベンの言葉一つ一つが、格言のように心に沁みる。

本作の邦題はジュールズ視点の「マイ・インターン」だが、原題は「The Intern」である。
面白い事に予告編も日本版はジュールズがメイン、本国版ではどちらかと言えばベンをフィーチャーと全く逆の構成になっている。
要するにアメリカでは中高年の男性を含めた幅広い層に訴求する作品なのに対して、日本では完全に女性向けという宣伝戦略になっている訳だ。
実際、日本の中高年男性が、この種の映画に押し寄せるというのは想像し難い。
しかし本作は若い女性にだけ独占させるにはもったいない、幅も広ければ深みもある非常に間口の広い映画である。
上手いのは、二人の主要登場人物が、どちらも感情移入キャラクターであるという事。
あらゆるシチュエーションで自然体で洒落っ気のあるベンはもちろん、一見キツメのジュールズも、物語が進むにつれてどんどんと人間味を増してくる。
この二人のどちらにも感情移入できないという人は、ほとんどいないのではないだろうか。

まあ、基本良い人しか出て来ない出来過ぎた話しだが、観た人皆が幸せな気分になれるまことに正しい娯楽映画であり、どこかクラッシック作品を観ている様な品格を感じられる。


ところで最近のハリウッド映画は、テーマを体現する本来の主人公は女性、物語を牽引する動力となるのは男性という作品が多い。

本作もそうだし、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」も同様だ。
物語映画の本質は主人公がストーリーの中で徐々に変化(成長)し、葛藤を克服することでテーマを提示する事だが、上記した三本の作品はどれも深刻な葛藤を抱えているのは女性であり、男性は基本的に変化しない。
「マッドマックス」と「ミッション・インポッシブル」は、それぞれ心に傷を持つフュリオサとイルサのエクソダスの物語である。
彼女らは独裁者の暴力や、スパイ組織の非情といった男性優位の要因によって囚われ、抑圧されているが、マックスやイーサン・ハントら“まともな男”の共感と助けを借りて闘いながら、人生を変えてゆく。
観客を映画の世界に誘う見た目の面白さ、つまりアクションを主導するのはあくまでも男性キャラクターだが、彼らは実質的には狂言回しであって、物語の真の主役は女性たちなのである。

本作においても、生き方に関する大きな葛藤に直面しているのは、仕事の夢と家庭の両立に苦しみ、投資家からCEOの交代を迫られているジュールズの方であり、ベンの方は生きがいが欲しいという以外に大した問題は抱えておらず、最初から最後まで本質的には変わらない。
ジュールズは比較的リアルに、ベンがある程度理想化されたキャラクターに造形されているのも、キャラクターの役割ゆえの必然と言える。
もちろんこうした構造を持つ作品は古くからあるが、最近は特にハリウッドのメインストリームに目立つ。
全般に女性が主役の作品は男性が主役の作品と比べて興行収入が低くなりがちで、特に男性客を呼びたいアクション超大作の主役を女性にするのは及び腰なスタジオも多い。
だが、ハリウッドに徐々に浸透しつつあるフェミニズムの視点は、興行性とバランスをとりながら、着実に映画を変えているのかも知れない。

今回は、嘗てディズニーのプリンセス女優だったアン・ハサウェイ繋がりで、カクテルの「プリンセス」をチョイス。
小さめのリキュールグラスにアプリコット・ブランデー30mlを注ぎ、10mlの生クリームをそっと浮かせる。
この時に混ぜてはいけない。
アプリコット・ブランデーの豊かな風味と生クリームのソフトな舌触りが作り出す、まったりリッチな味わいはアペリティフやナイトキャップにいい。
もっとも、まんま強いリキュールなので、飲みすぎると映画の中のジュールズみたいになっちゃうかも。

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コメント
この記事へのコメント
シニアの活用法
どこの国でも抱えている社会問題をハートウオーミングなオブラートに包んでまとめているのはさすがです。
シニアは十分使える!
阿部総理が見たら喜びそうなストーリーだけど、ベンみたいな人材はそういないのでは?
2015/10/25(日) 18:34:18 | URL | karinn #NCwpgG6A[ 編集]
あらゆる差別をしない(年齢、ジェンダー、妊娠中絶の議論など)試みをずっと続けている米国の最近の成果?を示した例だと思いながら鑑賞しました。創業者であり今の会社代表であってもCEOを外から、という話が進んでしまうぐらいシビアな世界でもありますが、それはベンとジュールズという良好な関係が続けられるということと裏表であって、同じ考え方が別の形で現れるということなのかな、と。その構成に感心しました。
アナと雪の女王、マレフィセント、などともつながるテーマの作品を観ることができたようで楽しかったです。
2015/10/27(火) 05:54:24 | URL | #mQop/nM.[ 編集]
こんばんは
>karinnさん
ベンはちょっとレベル高すぎです。
あんなシニアになれればいいですけど、全く自信なし。
まあしかし高齢化社会の理想ですよね。
こんな風に世代の違いが力になれば良いなと思います。


そうですね。
ハリウッド映画は特にそうですが、時代の風にとても敏感です。
ここ何十年かの社会の変化を、巧みに脚本に取り込んでますね。
この映画もジェンダー、高齢化社会など幾つものイッシューを全く自然に描いているのはさすがです。
2015/10/27(火) 22:49:04 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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2015/10/26(月) 08:16:31 | 京の昼寝〜♪
アン・ハサウェイが、ファッションの人気サイトを立ち上げた CEOを演じるコメディ。 その役柄からして「プラダを着た悪魔」の彼女の「その後」を臭わせてしまうところが面白い! (そこは 狙い、かな?) そして コメディとくれば大事なのは、相方。 これが何と、ロ...
2015/10/28(水) 01:48:55 | 日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜
亀の甲より年の功 公式サイト http://wwws.warnerbros.co.jp/myintern 製作・監督・脚本: ナンシー・マイヤーズ  「花嫁のパパ」 「ホリデイ」 「恋するベーカリー」
2015/10/29(木) 20:18:56 | 風に吹かれて
70歳になってもおしゃれに気を使い、色々なことにチャレンジしていたから最先端の会社に入っても戦力になれたのだと思う。クローゼットに何本ものネクタイを持っている70歳なんてなかなかいないのだ。若者にも中高年にも自信を持ってお勧めできる。
2015/11/02(月) 20:40:25 | とらちゃんのゴロゴロ日記-Blog.ver
映画「マイ・インターン」★★★☆ ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ 出演 ナンシー・マイヤーズ監督、 121分、2015年10月10日公開 2015,アメリカ,東宝東和 (原題/原作:THE INTERN)
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2015/12/13(日) 21:43:13 | C’est joli ここちいい毎日を♪
【THE INTERN】 公開 アメリカ 分監督:ナンシー・マイヤーズ出演:ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ、レネ・ルッソ すべてを手に入れたはずの彼女に訪れた試練。そこにやってきたのは、70歳の新人(インターン)だった――。 STORY:ファッション通販サイトを起業...
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「マイ・インターン」(原題:TheIntern)は、2015年公開のアメリカのコメディ映画です。ナンシー・マイヤーズ監督・脚本、ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ主演で、ニューヨーク...
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