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2015年10月27日 (火) | 編集 |
鑑賞予定作は全部観終わったので、第28回東京国際映画祭のつぶやきまとめ。
今年のハイライトはやはり息詰まる傑作「地雷と少年兵」で、日本公開が決まって本当によかった。
行き着くところまで行っちゃった巨匠たちの珍品と、若い作家のフレッシュな作品のコントラストが印象的。
何作かは後日ちゃんとしたレビューを書くと思います。
私の血に流れる血・・・・・評価額1300円
ベロッキオの新作はトリッキーな構造を持つ怪作。
司祭を誘惑し自殺に追い込んだことで、魔女の嫌疑をかけられ幽閉された修道女を巡る重厚な時代劇かと思いきや、中盤いきなり時代が同じ街の現代に飛ぶ。
一見時空を超えた因縁劇の様にも見える、現代のパートの位置付けがよく分からない。
現代パートでは、人間に混じってバンパイアとウワサされる一団が暮らしているのだけど、彼らが何のメタファーなのか、過去の出来事とどう繋がるのか不明瞭。
一応、過去と現代で俳優も多くは共通しているが、因縁話だとするとどの様に解釈しても二つの時代のキャラクター相関の整合性がとれない。
明らかに狙って観客を混乱させる作りには戸惑うばかり。
しかも、仮に現代パートを全部カットしても、過去パートだけでも話としては成立しちゃうしテーマらしきものも伝わるんだな。 現代パートの意図が不明のまま終わるので、全体解釈はお手上げ。
正直変な映画としか言いようがない。
地雷と少年兵・・・・・評価額1800円
戦争が終わっても、負の連鎖は止まらない。
第二次大戦後、デンマークはナチスが埋めた220万個もの地雷処理に、投降したドイツ軍人を徴用。
その多くが少年兵で、徴用された半数が死傷した。
この話は、デンマークでも殆ど知られてないという。
これは命懸けの任務につく少年兵部隊と、彼らの指揮官となるデンマーク軍人の物語。
濃密な時間を共有するうちに、彼らは次第に愛憎半ばする不思議な絆を育んでゆく。
モンスター=ナチスではない。
人は憎しみと言う燃料さえあれば、誰でも子供すら殺すモンスターに成り得る。
これも戦後70年の歴史再検証が生んだ作品だろうが、連合国側が自国のダークサイドを描く作品は珍しい。
真摯に作られた大変な力作だ。
実際にこの撮影準備中、現場の海岸で不発地雷が発見されたらしい。
「戦後」は永遠に終わらない。
コスモス・・・・・評価額1250円
ポルトガルの安宿屋を舞台に展開する、なんとも言葉では形容し難い作品。
これなんとなく天願大介監督の「なまず映画」に通じるものがある。
あの映画では登場人物が突然意味不明な言語を話し出し、コミュニケーションの断然がおこるが、こちらは喋っているのは普通の言語だけど、お互いが全然噛み合わない。
ここにあるのはタイトル通り、人間たちの織りなす混沌の宇宙。
全てが心象とも見えるし、あらゆる部分を暗喩と捉えることも出来る。
まあ形而上的な作品なので、何をどう解釈しても良いし、多分正解は無いのだろう。
とりあえず1時間くらいまでは、この訳の分からなさを結構楽しんだけど、さすがに終盤は飽きた。
ズラウスキはベロッキオより更にイカれてるわ。
レイジー・ヘイジー・クレイジー・・・・・評価額1650円
香港発、実話ベースの瑞々しい青春映画。
援交で稼ぎながら一人暮らしする女子高生のアリスと、活発な同級生クロエ、奥手のトレイシーが共同生活を始める。
新人女性監督の作品だけど、これは赤裸々過ぎて男には撮れる気がしない。
全くキャラクターの違う3人は、援交の是非や好きな人を巡って、反発したり共感したりしながら、青春の閉塞感に葛藤する。
制服がセーラー服だったり、やはりアジア映画のお隣感は、日本人にとって外国とは思えないリアリテイに通じるのだな。
主役の3人がびっくりする位に脱ぎまくるのだけど、監督の「女性が脱ぐのが濡れ場だけという映画界の慣習はおかしい。私たち女性がまず自分の体を受け入れなくては」という言葉に納得。
ちょっとだけエロい目で見てすみませんでした!( ;´Д`)
タンジェリン・・・・・評価額1600円
これは面白い。
LAのクリスマスイブ、トランスジェンダーの娼婦シンディが、恋人の浮気を知った事から物語が始まる。
シンディの親友、居場所不明の恋人、浮気相手の娼婦、タクシードライバーとその家族が次々にカオスな渦に巻き込まれ、最悪な1日を過ごすハメになる。
iPhone+アナモフィックレンズで撮影されたノイジーなシネスコ映像が、飛び交うお下品ワードと共に強烈なライブ感覚を作り出し、観客もまたシンディにLAの裏通りを引きずり回される感覚を味わう。
これは言わば、ラストでファンタジーに落とし込まないバージョンの「クラッシュ」と言えるかも知れない。
まあそれでも僅かな希望は感じさせるので、後味は悪くない。
ちなみに、タイトルはオレンジの品種であり暖色の種類。 甘くて強い、登場人物たちのメタファーになっている。
残穢 -住んではいけない部屋-・・・・・評価額1650円
誰もいない部屋に響く、奇妙な音から始まるミステリアスな怪奇譚。
これ面白いのは、竹内結子が好演する語り部のホラー作家が、心霊現象を全然信じていないこと。
彼女の超ローテンションの語りが、逆に作品世界にリアリテイを与えていて不気味。
ただコワイことはコワイが、ストーリーを進めるエネルギーはむしろある部屋の“穢れ”から時を遡り、その根源を探す謎解きへの興味。
「リング」などにも似た要素があったが、本作は竹内探偵と橋本愛演じる依頼人の久保さんの関連性も含め、ミステリ色が強い。
例えば「呪怨」の様に一軒の家の穢れに触れたら問答無用で死んじゃうのでは無く、一つの穢れが時間と人間を介して拡散して行くのは新しい。
恐怖心と好奇心の両方を満たしてくれる異色作で、自分の家の土地の過去を知りたくなる。
ガールズ・ハウス・・・・・評価額1600円
なるほどねえ「女の家」か。
結婚式直前に花嫁が死んだ。
幸せの絶頂になぜ?彼女の友人たちが調べ始めるが、父親の言葉は奥歯に物が挟まったようで要領を得ず、婚約者の言葉も食い違う。
一体彼女に何が起こったのか?何が彼女を死に追いやったのか?
女性を抑圧するのは男とは限らない。
特に結婚に関しては、本人同士はどうでもいいと思っている事でも、ある層の人々にとっては物凄く重要だったりする。
イラン的、というより結婚を家と家の関係と捉える汎アジア的な話で、一昔前なら韓国あたりでも、もっと以前なら日本でもある程度リアリティのある話だったはず。
ファルハディに連なるイランの普通の人々ミステリだが、ファルハディ作品がどちらかというと事象の裏側にある深層心理に切り込んで行くのに対して、こちらは事象の元になった事象止まりで脚本のロジックも含めどストレート。
分かりやすいが、その分やや深みには欠ける。
例によって女優陣が美しく、特に花嫁とその妹役の人はすんごい美人。
パディントン・・・・・評価額1650円
待たされすぎて我慢できなくて観ちゃったよ。
ペルーの山奥からロンドンへやって来た、言葉を喋る子グマのパディントンが、安住の「家」を探して居候先のブラウンさん一家と大騒動を巻き起こす。
どこか「メリー・ポピンズ」を思わせる、とても暖かくて可笑しいブリティッシュファミリームービーだ。
主人公のパディントンはもちろんキュートだが、人間キャラもいい。
家族を愛するあまり石頭になってしまった父ヘンリーや、幼少期の心の傷からパディントンを狙うニコール・キッドマン演じる剥製師など、背景にあるのは父性のキーワード。
キッドマンは悪役やってる時、本当に楽しそう。
ブラウンさんの家の吹き抜けの壁画を、家族の心象のアニメーションにするなど、工夫が凝らされたビジュアルセンスも光る。
まあ緩いと言えば緩い話ではあるが、小さな子供にも安心して見せられ、大人は童心に帰って楽しめる秀作だ。
記事が気に入ったらクリックしてね
今年のハイライトはやはり息詰まる傑作「地雷と少年兵」で、日本公開が決まって本当によかった。
行き着くところまで行っちゃった巨匠たちの珍品と、若い作家のフレッシュな作品のコントラストが印象的。
何作かは後日ちゃんとしたレビューを書くと思います。
私の血に流れる血・・・・・評価額1300円
ベロッキオの新作はトリッキーな構造を持つ怪作。
司祭を誘惑し自殺に追い込んだことで、魔女の嫌疑をかけられ幽閉された修道女を巡る重厚な時代劇かと思いきや、中盤いきなり時代が同じ街の現代に飛ぶ。
一見時空を超えた因縁劇の様にも見える、現代のパートの位置付けがよく分からない。
現代パートでは、人間に混じってバンパイアとウワサされる一団が暮らしているのだけど、彼らが何のメタファーなのか、過去の出来事とどう繋がるのか不明瞭。
一応、過去と現代で俳優も多くは共通しているが、因縁話だとするとどの様に解釈しても二つの時代のキャラクター相関の整合性がとれない。
明らかに狙って観客を混乱させる作りには戸惑うばかり。
しかも、仮に現代パートを全部カットしても、過去パートだけでも話としては成立しちゃうしテーマらしきものも伝わるんだな。 現代パートの意図が不明のまま終わるので、全体解釈はお手上げ。
正直変な映画としか言いようがない。
地雷と少年兵・・・・・評価額1800円
戦争が終わっても、負の連鎖は止まらない。
第二次大戦後、デンマークはナチスが埋めた220万個もの地雷処理に、投降したドイツ軍人を徴用。
その多くが少年兵で、徴用された半数が死傷した。
この話は、デンマークでも殆ど知られてないという。
これは命懸けの任務につく少年兵部隊と、彼らの指揮官となるデンマーク軍人の物語。
濃密な時間を共有するうちに、彼らは次第に愛憎半ばする不思議な絆を育んでゆく。
モンスター=ナチスではない。
人は憎しみと言う燃料さえあれば、誰でも子供すら殺すモンスターに成り得る。
これも戦後70年の歴史再検証が生んだ作品だろうが、連合国側が自国のダークサイドを描く作品は珍しい。
真摯に作られた大変な力作だ。
実際にこの撮影準備中、現場の海岸で不発地雷が発見されたらしい。
「戦後」は永遠に終わらない。
コスモス・・・・・評価額1250円
ポルトガルの安宿屋を舞台に展開する、なんとも言葉では形容し難い作品。
これなんとなく天願大介監督の「なまず映画」に通じるものがある。
あの映画では登場人物が突然意味不明な言語を話し出し、コミュニケーションの断然がおこるが、こちらは喋っているのは普通の言語だけど、お互いが全然噛み合わない。
ここにあるのはタイトル通り、人間たちの織りなす混沌の宇宙。
全てが心象とも見えるし、あらゆる部分を暗喩と捉えることも出来る。
まあ形而上的な作品なので、何をどう解釈しても良いし、多分正解は無いのだろう。
とりあえず1時間くらいまでは、この訳の分からなさを結構楽しんだけど、さすがに終盤は飽きた。
ズラウスキはベロッキオより更にイカれてるわ。
レイジー・ヘイジー・クレイジー・・・・・評価額1650円
香港発、実話ベースの瑞々しい青春映画。
援交で稼ぎながら一人暮らしする女子高生のアリスと、活発な同級生クロエ、奥手のトレイシーが共同生活を始める。
新人女性監督の作品だけど、これは赤裸々過ぎて男には撮れる気がしない。
全くキャラクターの違う3人は、援交の是非や好きな人を巡って、反発したり共感したりしながら、青春の閉塞感に葛藤する。
制服がセーラー服だったり、やはりアジア映画のお隣感は、日本人にとって外国とは思えないリアリテイに通じるのだな。
主役の3人がびっくりする位に脱ぎまくるのだけど、監督の「女性が脱ぐのが濡れ場だけという映画界の慣習はおかしい。私たち女性がまず自分の体を受け入れなくては」という言葉に納得。
ちょっとだけエロい目で見てすみませんでした!( ;´Д`)
タンジェリン・・・・・評価額1600円
これは面白い。
LAのクリスマスイブ、トランスジェンダーの娼婦シンディが、恋人の浮気を知った事から物語が始まる。
シンディの親友、居場所不明の恋人、浮気相手の娼婦、タクシードライバーとその家族が次々にカオスな渦に巻き込まれ、最悪な1日を過ごすハメになる。
iPhone+アナモフィックレンズで撮影されたノイジーなシネスコ映像が、飛び交うお下品ワードと共に強烈なライブ感覚を作り出し、観客もまたシンディにLAの裏通りを引きずり回される感覚を味わう。
これは言わば、ラストでファンタジーに落とし込まないバージョンの「クラッシュ」と言えるかも知れない。
まあそれでも僅かな希望は感じさせるので、後味は悪くない。
ちなみに、タイトルはオレンジの品種であり暖色の種類。 甘くて強い、登場人物たちのメタファーになっている。
残穢 -住んではいけない部屋-・・・・・評価額1650円
誰もいない部屋に響く、奇妙な音から始まるミステリアスな怪奇譚。
これ面白いのは、竹内結子が好演する語り部のホラー作家が、心霊現象を全然信じていないこと。
彼女の超ローテンションの語りが、逆に作品世界にリアリテイを与えていて不気味。
ただコワイことはコワイが、ストーリーを進めるエネルギーはむしろある部屋の“穢れ”から時を遡り、その根源を探す謎解きへの興味。
「リング」などにも似た要素があったが、本作は竹内探偵と橋本愛演じる依頼人の久保さんの関連性も含め、ミステリ色が強い。
例えば「呪怨」の様に一軒の家の穢れに触れたら問答無用で死んじゃうのでは無く、一つの穢れが時間と人間を介して拡散して行くのは新しい。
恐怖心と好奇心の両方を満たしてくれる異色作で、自分の家の土地の過去を知りたくなる。
ガールズ・ハウス・・・・・評価額1600円
なるほどねえ「女の家」か。
結婚式直前に花嫁が死んだ。
幸せの絶頂になぜ?彼女の友人たちが調べ始めるが、父親の言葉は奥歯に物が挟まったようで要領を得ず、婚約者の言葉も食い違う。
一体彼女に何が起こったのか?何が彼女を死に追いやったのか?
女性を抑圧するのは男とは限らない。
特に結婚に関しては、本人同士はどうでもいいと思っている事でも、ある層の人々にとっては物凄く重要だったりする。
イラン的、というより結婚を家と家の関係と捉える汎アジア的な話で、一昔前なら韓国あたりでも、もっと以前なら日本でもある程度リアリティのある話だったはず。
ファルハディに連なるイランの普通の人々ミステリだが、ファルハディ作品がどちらかというと事象の裏側にある深層心理に切り込んで行くのに対して、こちらは事象の元になった事象止まりで脚本のロジックも含めどストレート。
分かりやすいが、その分やや深みには欠ける。
例によって女優陣が美しく、特に花嫁とその妹役の人はすんごい美人。
パディントン・・・・・評価額1650円
待たされすぎて我慢できなくて観ちゃったよ。
ペルーの山奥からロンドンへやって来た、言葉を喋る子グマのパディントンが、安住の「家」を探して居候先のブラウンさん一家と大騒動を巻き起こす。
どこか「メリー・ポピンズ」を思わせる、とても暖かくて可笑しいブリティッシュファミリームービーだ。
主人公のパディントンはもちろんキュートだが、人間キャラもいい。
家族を愛するあまり石頭になってしまった父ヘンリーや、幼少期の心の傷からパディントンを狙うニコール・キッドマン演じる剥製師など、背景にあるのは父性のキーワード。
キッドマンは悪役やってる時、本当に楽しそう。
ブラウンさんの家の吹き抜けの壁画を、家族の心象のアニメーションにするなど、工夫が凝らされたビジュアルセンスも光る。
まあ緩いと言えば緩い話ではあるが、小さな子供にも安心して見せられ、大人は童心に帰って楽しめる秀作だ。

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