酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係なTBもお断りいたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション・・・・・評価額1700円
2015年11月29日 (日) | 編集 |
なぜ革命のアイコンは、誇り高きテロリストになったのか。

2012年に公開された第一作、「ハンガー・ゲーム」から続くシリーズ完結編。
独裁国家パネムと反乱軍の戦いはますます激化し、スノーを倒す最終決戦がクライマックスかと思いきや、映画は意外な方向へ舵を切る。
はたして、内戦の行き着く先はどこなのか、本当の敵は誰なのか。
そして主人公のカットニスが背負う事になる、予想だにしなかった過酷な宿命。
設定に似た部分のある「バトルロワイヤル」的な、色物っぽい入口からはこのヘビーなラストは想像出来なかった。
鋭い時代性を持つ、完結編に相応しい大変な力作である。
※核心部分に触れています。

コイン首相(ジュリアン・ムーア)率いる第13地区をはじめとする反乱軍は、ついにスノー大統領(ドナルド・サザーランド)が支配する首都キャピトルを包囲。
両軍の最終決戦は秒読み状態となるが、市街戦となれば多くの犠牲が出るのは確実。
本格的な戦いが始まる前に、スノーを暗殺する事が自分の使命だと考えたカットニス(ジェニファー・ローレンス)は、ゲイル(リアム・ヘムズワース)、フィニック(サム・クラフリン)、そして精神が不安定なままのピータ(ジョシュ・ハッチャ―ソン)らとキャピトルに侵入する。
だがそこは、無数のトラップが仕掛けられた死の迷宮。
スノーの企てた最後のハンガー・ゲームによって、一人また一人と仲間を失いながらも、カットニスはようやくスノーの宮殿にたどり着く。
だがそこで彼女を待ち受けていたのは、あまりにも残酷な運命だった・・・


私はハリウッド映画の最大の武器は、その敏感な時代感覚にあると思う。
オバマ政権の発足以降、アフロアメリカン現代史を描く作品が、ハリウッドのメインストリームに急激に増えた現象もやはり時代の空気。
本作の脚本家の一人であるダニー・ストロングの代表作、「大統領の執事の涙」もその一つである。
このシリーズの第一作が本国で公開されたのは、2012年3月。
プロダクション期間を考えれば半ば偶然、半ば必然なのだろうが、抑圧された独裁国家で、一人の少女の勇気が物言わぬ大衆を動かし、革命の火の手が上がるストーリーは、2010年に始まったチュニジアのジャスミン革命がアラブ世界全体へと広がった、いわゆる“アラブの春”を色濃く感じさせる内容だった。
そして革命を収束させるために、第二のハンガー・ゲームが開かれる「ハンガー・ゲーム2」、主人公のカットニスが大きな政治の渦に巻き込まれ、革命のアイコンである事を受け入れる「ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス」への流れは、大いなる混乱に陥った今の世界と奇妙にシンクロした展開を見せる。

ならば、シリーズ最終作となった「ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション」で描かれるのはなにか?
悪の独裁政権vs善なる反乱軍という、「スター・ウォーズ」的な勧善懲悪の図式に当てはめるなら、本作のクライマックスは当然スノー大統領率いる政権軍とカットニス率いる反乱軍の最終決戦となるべきだろう。
だが、そうはならない。
両軍の決戦は描かれないし、そもそも戦争の帰趨する先はカットニスがスノーの死の迷宮で悪戦苦闘している間に決まってしまい、彼女はその最終局面の悲劇を目撃するだけだ。
どこまで意図されたものかは分らないが、本作は現実の世界の縮図として、よりハードな方向へとゴールを定めるのである。

カットニスがスノーの宮殿で目撃したもの。
多くの非武装の避難民が保護を求めて集まり、けが人を助けるために反乱軍の救護隊も到着したその時、政権軍の爆撃機が市民もろとも攻撃するのである。
救護隊にいたカットニスの妹・プリムも巻き込まれて死亡し、多くの市民も犠牲となった。
キャピトルが陥落した後、囚われの身となったスノーは、カットニスに爆撃は反乱軍を率いるコイン首相の策略だと主張する。
市民をも犠牲に保身を図る男、という汚名をスノーに着せる事で人心を彼から引き離し、新政府の権力を迅速に握るためにコインが計画したという訳だ。
カットニスは当初信じないが、コインが虐げられてきた民衆の復讐心に応えるために、キャピトルの子どもたちを使って新たなハンガー・ゲームをやろうと提案した事で確信する。
コインは“戦争を終わらせる者”ではない。
彼女は単にスノーに代わる新しい独裁者であって、新たな抑圧とその先にある次なる戦争を引き起こす者なのである。

嘗てカットニスの見せた勇気と献身に触発され、マネシカケスの鳴き声の様に燃え広がった革命の炎のなか、彼女は戸惑いながらも抵抗のシンボルとしての自分を受け入れてきた。
だがその革命のゴールは、狡猾な権力によって乗っ取られつつある。
ここでカットニスは、自ら火をつけた戦いを終わらせるために、あえてテロリストと呼ばれる存在になることを選ぶのだ。
映画の中の戦争は、彼女が人知れず重過ぎる宿命を背負い、自らを犠牲にして寛容を引き入れる事で収束する。
しかし現実の世界にはスノーやコインはいても、残念ながらカットニスはいない。
憎しみの蓄積がある程度まで行くと、暴力の連鎖を止める事は非常に難しくなり、たとえ沈静化したように見えたとしても、心の奥底に燻る火種はアジテーターの言葉によって容易に燃え盛り、争いは鎮火と着火を繰り返し、永遠に終わらない。
皆薄々分っていることだが、もしも火種を絶やそうとするならば、一番手っ取り早いのは徹底的な破壊と殺戮によって、抵抗する心も手段も失わせることだろう。
古代のカルタゴ、新大陸の先住民、そして第二次世界大戦などのケースで、大破壊によって少なくとも一度は火種が消えたのは事実だ。
ところが相互確証破壊の時代となり、戦争にも人道が要求される世界で“圧倒的な暴力”による解決はもはや不可能。
結果的に、戦争が細く長く終わらないものになったのはなんとも皮肉である。
“戦争の終わらせ方”への切望こそ、この映画が映し出す今という時代の空気なのかもしれない。

今回は辛口の映画に甘口のカクテル。
弓の名手カットニスつながりで「ブルーアロー」をチョイス。
ドライジン20ml、コアントロー10ml、ブルーキュラソー 10ml、ライムジュース 10mlをシェイクしてグラスに注ぐ。
濃いターコイズブルーが美しく、スッキリと甘く飲みやすい。

ところでキャピトルの地下に巨大な柱が林立する地下神殿みたいな空間が出てくるのだけど、これはやはり日本の「首都圏外郭放水路」がモデルになっているのだろうか。

ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね




スポンサーサイト


コメント
この記事へのコメント
DNA
「残念ながらカットニスはいない」確かに
ホモサピエンスのDNAに組み込まれた戦争遺伝子の作用は人間が存在する限り続きます。
2015/11/30(月) 07:46:20 | URL | まっつぁんこ #L1vigvx6[ 編集]
こんばんは
>まっつぁんこさん
戦争遺伝子、あるんでしょうね。
伊藤計劃が「虐殺器官」で描いた凶暴性のスイッチは、案外簡単に入っちゃうのかもしれません。
2015/12/03(木) 23:41:50 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
原著を読んでいたので終焉は理解していましたが、それでも4回に分けた映画では今回がもっとも好きかも知れません。エフィーが言うlife of victorsの意味を十分に考えさせてくれたように思います。クライマックスを過ぎてからのカットニスと周辺の人々の描き方は小説に軍配が上がりますが、映画はそこにいたるカットニスたちを十分に描いてくれた用に思います。
2015/12/06(日) 19:18:48 | URL | さゆりん #mQop/nM.[ 編集]
こんばんは
>さゆりんさん
私は結局原作を読まないまま最後まで来たので、この終盤は意外性がありました。
安易なハッピーエンドに帰着しなくて良かった。
それまでのカットニスの葛藤を踏まえて、十分納得させてくれるオチのつけ方だと思います。
2015/12/08(火) 19:27:13 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
評価:★★★【3点】(F) 最後は(オールラストだよね?)そこそこまとめてくれてホッ!
2015/11/29(日) 23:51:45 | 映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ〜
ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション
2015/11/30(月) 07:41:04 | あーうぃ だにぇっと
スーザン・コリンズのベストセラー小説をオスカー女優ジェニファー・ローレンス主演で映画化した全米大ヒット作「ハンガー・ゲーム」シリーズの完結編。カットニス率いる第13地区の反乱軍は、スノー大統領が支配する独裁国家パネムとの最終戦争に突入。カットニスは、ゲイ...
2015/11/30(月) 16:32:08 | パピとママ映画のblog
JUGEMテーマ:映画館で観た映画    ◆  ハンガーゲーム シリーズ    前作が駄作だった訳が、今作を見て理解出来ました。   本当であるならば、前作と1本の映画として   見れば、納得のいくストーリーでした。 &nb...
2015/11/30(月) 20:14:08 | こみち
やっと終わったなぁ。
2015/11/30(月) 23:52:21 | だらだら無気力ブログ!
映画『ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション』最新映像 ☆・・・一作目・二作目の、主人公カットニㇲが参加することになる殺人サバイバル<ハンガーゲーム>は面白く、ジェニファー・ローレンスの魅力もあり、楽しんで見た。 <ハンガーゲーム>は、独裁国家...
2015/12/01(火) 12:33:46 | 『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭
カットニス率いる第13地区の反乱軍はついに、スノー大統領が支配する独裁国家との最終戦争に突入。 ゲイル、フィニック、そしてピータを従え、カットニスは、スノー大統領暗殺作戦を決行する。 しかし、カットニス抹殺の念に憑りつかれたスノーは、それを見越していたのだった…。 サバイバル・アクション第4弾。
2015/12/03(木) 10:15:46 | 象のロケット
「ハンガー・ゲーム」シリーズの最終作です。正直言ってこのシリーズが最初に公開され
2015/12/07(月) 21:11:31 | はらやんの映画徒然草
終わった。それほど感慨もなく。
2015/12/13(日) 08:17:07 | 或る日の出来事
「ハンガー・ゲーム」「ハンガー・ゲーム2」「ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス」に続くシリーズ完結編です。 ここまで来たら最後まで観なくちゃとチャレンジして来ました。 主役のジェニファー・ローレンスの背筋を伸ばしたカットニスの姿は圧倒的な存在感を放っていました。
2015/12/13(日) 18:06:46 | とりあえず、コメントです
【概略】 カットニス率いる第13地区の反乱軍はついに、スノー大統領が支配する独裁国家との最終戦争に突入した。ゲイル、フィニック、そしてピータを従え、カットニスはスノー暗殺作戦を決行。しかし一行は、死のトラップや無数の敵に直面する。それはまさにスノーが仕掛けた戦争という名のハンガー・ゲームだった…。 SFアクション ハンガー・ゲーム、ここに完結! はいはい、ここまで付き合...
2016/03/30(水) 13:58:36 | いやいやえん
THE HUNGER GAMES: MOCKINGJAY - PART 2 2015年 アメリカ 137分 アクション/アドベンチャー/SF 劇場公開(2015/11/20) 監督: フランシス・ローレンス 『ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス』 原作: スーザン・コリンズ『ハンガー・ゲーム3 マネシ...
2016/04/19(火) 17:34:45 | 銀幕大帝α