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ショートレビュー「火の山のマリア・・・・・評価額1600円」
2016年02月18日 (木) | 編集 |
命が、胎動する大地。

メキシコの南にある中米の小国、グアテマラの火山地帯に広がる、先住民マヤ族の社会を舞台にしたハードなヒューマンドラマ。
監督のハイロ・ブスタマンテは幼少期をマヤの地で過ごし、ヨーロッパで映画制作を学んだグアテマラ人。
ほぼ映画産業が存在しない同国で、全くの素人を集めて映画制作のワークショップを開催しながら撮影にこぎつけたという労作である。
結果的にグアテマラ映画として初めて米アカデミー賞にエントリーを果たし、ベルリン国際映画祭では銀熊賞を受賞するなど、高い評価を受けた。

スペイン人が到達する以前、強大な文明を繁栄させたマヤの人々は、いまや幾つものエスニックグループに分かれ、主流であるスペイン語を話すメスティーソの影響を受けながら、独自の言語・文化を維持している。
荒々しい表情を見せるパカヤ火山の麓に暮らす17歳のマリアは、貧しい小作農の両親と三人家族。
小作農は作物が収穫できないと土地を追い出されてしまうが、大量発生した毒蛇の害に悩まされ、作付けは遅々として進まない。
そこで父親は、3人の子を男手一つで育てている地主のイグナシオに、マリアを嫁がせることを勝手に決めてしまう。
しかしマリアは、アメリカ行きの夢を語る地元のロクデナシ青年ペペに恋をしており、処女を捧げるも、彼はさっさと村から逃げ出す。
やがて置き去りにされたマリアの妊娠が発覚し、さあ大変となるのである。

物語の軸となるのは、マリアと彼女を守ろうとするタフな母親ファナとの関係だ。
娘の妊娠を知ると、最初はなんとかして堕胎させようとするのだが、様々なまじないも効果がない事を悟ると、「この子は生まれたがっている」と一転して出産に同意する。
だが、事態はそれで終わりとはいかない。
婚約破談の責任を感じて、土地から蛇を駆除しようとするマリアの受難から、グアテマラで横行する新生児の違法売買、マヤ語族とスペイン語のメスティーソの間の差別と断絶にまで物語は広がってゆくのである。
ブスタマンテ監督は、可能な限りマヤ族の現実を反映したと語っており、マリアの身に起こった事も実際の事件を基にしているという。

特徴的なのは、男尊女卑的な閉鎖社会の中で男たちの存在感の無さだ。
マリアとファナの母娘が極めて人間的で魅力的なキャラクターとして造形されているのに対して、男たちは誰もが類型的で無責任。
この辺りの対比的な描き方は、アメリカのアパラチア山脈に暮らす貧しいスコットランド系白人、ヒルビリーの社会を描いた名作、「ウィンターズ・ボーン」を思い出した。
あの映画でも、男たちは裏社会に生きる得体の知れない存在として描かれ、力強く物語を主導するのは覚悟を決めたパワフルな女たちだった。
どこの社会でも、良くも悪くも男たちは身軽で、女たちはどっしりと土地に根を下ろしている。
本作の舞台として象徴的に描かれるパカヤ火山は、時に厳しく荒れ狂い、時に豊穣の大地を生み出す母性のメタファー。
今は過酷な現実に翻弄されるマリアもファナも、その内面にマグマを胎動させ、噴火の時を待つ火山なのである。

今回は、マリア繋がりで、ジャマイカにルーツを持つコーヒーリキュールを使った「ティア・マリア・ミルク」をチョイス。
ティア・マリアとは「マリアおばさん」の意味で、17世紀の戦争からジャマイカに伝わるリキュールを守った女性の名前から取られている。
氷を入れたグラスにティア・マリア40ml、適量のミルクを加え、軽くステアする。
コーヒーのビターな味わいを、ミルクが優しく包み込む。
同じくコーヒーリキュールをベースとしたカルーアミルクと似ているが、こちらの方がコーヒーのテイストが強いのが特徴だ。

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南米の火山国グアテマラ。 17歳の先住民マヤ人の少女マリアは、借地で農業を営む両親と暮らしている。 経済的に行き詰った両親は、地主でコーヒー農園の主任であるイグナシオにマリアを嫁がせようとしていた。 ところが、マリアはコーヒー農園で働く青年ペペの子を身ごもってしまう。 ペペはマリアを置いて一人でアメリカへ行ってしまい、マリアと両親は途方に暮れるが…。 社会派ヒューマンドラマ。
2016/02/22(月) 11:49:21 | 象のロケット