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ショートレビュー「桜ノ雨・・・・・評価額1600円」
2016年03月07日 (月) | 編集 |
誰にでも、忘れられない歌がある。

最近流行り(なのか?)の部活もの。
もちろん昔からあるカテゴリだけど、ここ1年くらいは従来のスポーツ系ではなく、なぜかステージパフォーマンスの部活がやたら目立つ。
「幕が上がる」「くちびるに歌を」「心が叫びたがってるんだ。」そして本作。
テレビドラマを加えれば、「表参道高校合唱部!」もそうだ。
特に合唱部をモチーフにしたものは、上記の中だけで3本もある!
しかも全て主人公は女性である。
スポーツの様に、確立したルールの枠内で闘うのではなく、合唱や演劇は何をどうやるのかはより自由で、とどのつまりは自分自身の内面から湧き出す欲求の吐露だ。
その意味で、青春の葛藤をストレートに表現しやすいのかも知れない。
まあそれでも、似たモチーフの作品が何本も重なると食傷気味になりそうだが、これはなかなか良く出来ている。

ぶっちゃけ、世界観も物語も思いっきりありきたりで、未見性は皆無である。
舞台となるのは、海と山に囲まれた田舎の高校。
主人公の遠野未来は自分の気持ちを表現するのが苦手で、ちょっと優柔不断なところのある内向的な少女。
自分を変えたいと思って新入生の時に合唱部に入部したものの、結局何も変わらないまま2年生になった彼女が、1年生の指導係として初めて責任ある立場に立たされる。
とは言っても特別な事は起こらない。
合唱コンテストへ向けた数ヶ月間に、歌うことについて部の仲間たちと葛藤し、憧れのハル先輩への仄かな恋心に悩み、病気の母を思いやりながら少しだけ成長する。ただそれだけだ。
同じような映画は、たぶん世界中に何百本とあるだろう。
でも、この平凡な物語は観客を飽きさせない。
それは、ここに描かれている事、主人公の抱えている様々なモヤモヤが、誰の心にも残る青春の記憶と重なるからだ。

なぜ歌うのか、合唱によって表現したい気持ちの元になるのは何か。
口べたな未来は、自分の中にある感情をうまく言い表せない。
ハル先輩にも、お母さんにも、部の仲間たちにも色々伝えたい気持ちがあるのに、どうしても言葉を飲み込んでしまうのだ。
彼女にとって、合唱は歌詞にのせて素の自分をさらけ出し、人との繋がりを実感できる時間。
歌っている瞬間だけは、心の殻から抜け出せる。
だから歌いたいし、いつかはハル先輩の様に自分で歌を作りたい。
合唱、演劇、ミュージカルとステージパフォーマンスは数あれど、この根源的な自己表現への欲求がきちんと描かれている作品には、誰もが感じられる経験からくる説得力がある。

本作の元になったのは、数年前からネットで人気になった同タイトルのボカロ曲だという。
正直、全く知らなかったのだが、いかにも二十一世紀的な成り立ちとは対照的に、良い意味で古典的な青春映画の王道プロット。
クライマックス直前の主人公の変化は、シチュエーションからも唐突感があり、部員たちとのエピソードなどは描き足りない要素もある。
しかし、やはり曲が良いのだろうし、役者たちも練習を重ねたのだろう、合唱シーンの高揚が見事で、ここだけでも作品を成立させる力があり、感動的に見せ切った。
恋愛要素があまり前面に出ず、奥ゆかしいのも胸キュンで良い。
静かな青春の熱情を感じさせてくれる、リリカルな佳作である。

ちなみに主演の山本舞香はこれから化けそうな気がするが、最初出てきた時、二階堂ふみかと思った。
並べるとそんなでもないんだけど、顔の雰囲気がそっくりなんだろうな。
という事は、彼女は宮崎あおいとも似てるという事か。

本作のロケが行われた伊豆の、海と山に恵まれた風光明媚な風景は、日本人にとってどこか郷愁を感じさせる。
今回はこの地方の地酒、万代醸造の「純米吟醸 萬耀 」をチョイス。
静岡産の酒米・誉富士と静岡酵母で作られた、地元に拘った一本。
しっかりとした米の味わいと、ふくよかな吟醸香のバランスが良い。
豊かな海の幸を肴に飲みたい。

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コメント
この記事へのコメント
確かにちゃんと飽きずに見ていられるんですが、主人公が引きこもりに近くて、他者とあまり話をしないので、合唱部のメンバーが浮かび上がってこないとか、欠けている部分も多く気になりました。ちょっと共感性に頼りすぎている気がしてしまった。
2016/03/09(水) 08:28:14 | URL | ふじき78 #rOBHfPzg[ 編集]
こばんは
>ふじき78さん
確かにかぎりなく引きこもりなんだけど、一応最後に曲を作ったという点で一定の成長はしているかと。
完成度の高い映画じゃないんだけど、そこが一生懸命っぽくて好きなんですよ。
2016/03/16(水) 23:17:24 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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