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ショートレビュー「裸足の季節・・・・・評価額1650円」
2016年05月25日 (水) | 編集 |
運命を切り開き、いま自由へと走り出す。

トルコの片田舎に暮らす、ソナイ、セルマ、エジェ、ヌル、ラーレの美しい五人姉妹。
10年前に事故で両親を亡くして以来、祖母のもとで育てられている。

学校の制服のまま海に入り、男の子たちに肩車して遊ぶような、フリーダムすぎる青春を謳歌していた彼女らは、ふとしたきっかけで古い因習に縛られた、自分たちの社会の正体を知る。

「ふしだらな娘たち」のレッテルと共に唐突に自由は奪われ、居心地の良かった自宅は監獄化。
学校には行かせてもらえず、地味な服を着せられて、“正しい”妻・母になるための教育だけを詰め込まれる。
窒息しそうな閉塞に反発すればするほどに、大人たちの抑圧は強度を増す。
携帯もパソコンも取り上げられ、窓には鉄格子が溶接され、ほとんど外に出ることも出来なくなる。
そして、一人また一人と好きでもない男と結婚させられるのである。
※以下、核心部分に触れています。


“昔から決まっていること”にただ従順な女たちと、女たちを支配することに慣れきった粗野な男たち。

若い姉妹は、大人社会の有無を言わさぬプレッシャーに翻弄され、バラバラにされてゆくのだが、彼女たちの中に因習に反発し密かに反乱を企てる者がいる。
トルコ出身でこれがデビュー作となるデニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督は、この映画の五人姉妹を五つの頭を持つ怪物になぞらえる。
物語の進行と共に、怪物は一つ、また一つと頭を落とされてゆく。
だが三つ目の頭を悲劇的に失った時、それまで虎視眈々と反撃の機会をうかがってきた最後の頭が、四つ目の頭を巻き込んで運命を変えるべく行動を起こす。

本作のストーリーテラーでもある、五女・ラーレは13歳。
聡明で大胆な彼女は、大人たちのバカバカしい価値観の押し付けを受け入れるふりをしつつ、密かにこの監獄の弱点を探り始める。
脱出の計画を練り、気付かれないよう少しずつ準備を進め、ひょんなことから知り合った青年には家を抜け出し車の運転を習う。
目指すは1000キロ離れた大都会、イスタンブール。
男たちの多くが武装し、いわゆる名誉殺人も起こり得る社会ゆえ、単なる家出ではすまない。
一度決断すれば、二度と戻れない命がけの逃避行になる。
エルギュヴェン監督は、ラーレとヌルの自由への危険な冒険をスリリングに描く。
理不尽な運命に懸命に抗う彼女らに、いつの間にかどっぷり感情移入。
ウォーレン・エリスのエモーショナルな音楽と、ダーヴッド・シザレ、エルシン・ギョクの透明感のあるカメラも印象的。


原題「Mustang」は野性の馬を意味する。
解き放たれた少女たちは、これからどうなるのか。
一筋縄ではいかない手強い人生が待っているのだろうけど、野性の馬力と反乱者の気骨があれば希望は見える。
女性蔑視というモチーフと、勇気あるものの抑圧からの解放というテーマはヘビーかつシリアスだが、テリングはリリカルでユーモラス。

自由で自立した人生を求める少女たちの旅立ちの物語は、ちょっとビターで爽やかな感動に満ちた快作である。


トルコは非常に豊かな飲酒文化を持つ国で、本作でもおっさんたちがガンガン飲みまくっていたが、日本でもおなじみのラクや各種ビール、ワインなども多く作られている。
今回は、オクズギョズという固有種を使い、黒海沿岸で醸造される「ディレン カルメン ロゼ」をチョイス。
美しい色合いのロゼワインだが、甘口ではなく飲みごたえはしっかりしていて、若干の渋みもあるのは、主人公のラーレのイメージだ。

しかし「裸足の季節」という邦題からは、私の世代はどうしても松田聖子のデビュー曲を連想してしまうので、なんかしっくりこないのだけど(笑

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コメント
この記事へのコメント
虐待
抑圧するおじの行為はいったい何なのだろう?
貞淑を求めるのは自らの不道徳の裏返し。
気付かない祖母もいかがなものかと思いました。
2016/05/26(木) 07:07:25 | URL | まっつぁんこ #L1vigvx6[ 編集]
こんばんは
>まっつぁんこさん
あのおじさんは小さな世界の支配者で、おばあちゃんたちはそんな世界にすっかり馴染んでしまって、疑念を持つという概念をなくしてしまったのでしょう。
往々にして女性に貞淑を求める社会ほど、性暴力がひどかったりしますものね。
2016/05/30(月) 22:54:49 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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裸足の季節@映画美学校試写室
2016/05/26(木) 07:01:13 | あーうぃ だにぇっと
トルコの大都会イスタンブールから1000km離れた、黒海沿岸の小さな村。 10年前に両親が亡くなり、長女ソナイ、次女セルマ、三女エジェ、四女ヌル、13歳の五女ラーレの5人姉妹は、祖母の下で育てられた。 下校途中、男子生徒と海で遊んだ彼女たちは祖母から折檻され、叔父エロルからも怒鳴られる。 以来、外出を禁じられた姉妹は花嫁修業をさせられ、次々と縁談が決まっていく…。 ヒューマンドラマ。
2016/05/28(土) 15:14:24 | 象のロケット
『裸足の季節』 を試写会で鑑賞しました。 可愛い5姉妹を見ているだけで満足なのであるが、内容は結構ツライ... 【ストーリー】  5人姉妹の末娘ラーレ(ギュネシ・シェンソイ)は、イスタンブールからおよそ1,000キロの場所にある小さな村で暮らしている。10年前に両親を亡くした姉妹たちは、祖母(ニハール・G・コルダス)に育てられる。長女ソナイ(イライダ・アクドアン)、次女セルマ(トゥーバ・...
2016/06/04(土) 23:03:57 | 気ままな映画生活 -適当なコメントですが、よければどうぞ!-
本作を鑑賞し終えた人の中にはこの作品に、感動や爽やかな余韻を感じる人も多いだろう。そのこと自体を批判するつもりは全くない。全くないのだが、私はとてもそんな気持ちにはなれない。10年前に両親を亡くした美しい五人姉妹、トルコの片田舎、風光明媚な海岸線、手の込んだ料理、清潔な寝具、そういうのを全て取っ払って考えてみよう。ただこの事実だけが浮かび上がる。「女」だというだけで、柵を張り巡らされた家の中...
2016/06/15(水) 12:34:27 | ここなつ映画レビュー
トルコを舞台に美しい5人姉妹の運命を描いた美しくも切ないドラマです。 予告編を観て、なんて無邪気に笑っているのだろうと一瞬で引き込まれてしまいました。 平和な家があっという間に牢獄へと変わってく展開に、胸が痛くなりました(T_T)
2016/06/26(日) 00:06:05 | とりあえず、コメントです
裸足の季節 '15:フランス=トルコ=ドイツ ◆原題:Mustang ◆監督:デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン ◆主演:ギュネシ・シェンソイ、ドア・ドゥウシル、トゥーバ・スングルオウル、エリット・イシジャン、イライダ・アクドアン、ニハル・コルダシュ、アイベルク・ペクジャン ◆STORY◆イスタンブールから1000km離れた黒海沿岸の小さな村。10年前に両親を亡くした美しい5...
2016/12/15(木) 21:35:02 | C’est joli ここちいい毎日を♪
「裸足の季節」(原題:Mustang)は、2015年公開のトルコ・フランス・ドイツ合作のドラマ映画です。デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督・共同脚本、ギュネシ・シェンソイらの出演で、...
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