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ショートレビュー「月光・・・・・評価額1600円」
2016年06月30日 (木) | 編集 |
いつか、絶望を超えて。

作り手の想いが伝わる力作である。
レイプ被害に遭ったピアノ教師・カオリと、父親から性的虐待を受ける少女・ユウ。
彼女たちの孤独と絶望の連鎖と、微かな希望の物語
嘗て担当の教授と不倫関係になり、大学を追われたカオリは自宅マンションで細々とピアノ教室を開いている。
彼女の教え子であるユウの父親のトシオは、一見すると子煩悩に見えるが、我が子を虐待しているだけでなく、カオリをも誘い出して毒牙にかける嗜虐的性犯罪者、まさにクズである。
被害に遭ったことを誰にも言えず、誰も助けてくれず、同じ女性にすら分かってもらえない。
誰もがレイプ犯に見えパニックを起こす反面、性に傷つけられたのに性を求める。
自分でも止められない心の混乱と矛盾を抱え込み、過去の性犯罪被害を告白しても、むしろ耳を塞がれ傷を深める二次被害。
暴力の刃は、被害者の肉体にだけでなく、何度も何度もボロボロの心に振り下ろされるのである。
カオリとユウ、同じ男によって絶望のどん底に落とされた二人は、いつしかお互いの心に導かれるように距離を縮め、希望を取り戻すための共犯者となってゆく。

演技陣の覚悟も、作品の凄味に繋がっているのは間違いない。
レイプという性犯罪を直接的に描いていることは、賛否あるだろう。
だが本作の感想をあちこちで読んだが、描かなくても伝わるという意見には正直「本当に?分かったつもりになっているだけじゃなく?」と思う。
確かに直接的な描写を避けて、性暴力を描いた映画はたくさんある。
しかし別の手段で描いたとしたら、やはり観た人に伝わるイメージは異なったものになるのではないか。
少なくとも私はそう簡単にこれほどの痛みを想像できないし、本当のことは男女年齢を問わず、被害に遭った本人にしか分からないと思う。
そして本作は被害者に向けて作られた作品ではないだろう。
性犯罪を体験として知らない人に観てもらう作品だから、誤解から偏見を抱かせないために、間違った理解をされないために、痛みを痛みとして描かないと伝わらないことは間違いなくあるし、本作の場合は全て逃げずに描いて正解だった。

問われているのは、魂を殺された者を周りの人間はどう救済出来るのか、どうすれば被害者は再び前を向けるのかということである。
小澤雅人監督のことは、児童虐待をモチーフとした「風切羽~かざきりば~」で初めて知ったが、本作では筋立て・テリング共により洗練されている。
主人公のカオリを、一見男にだらしない性格に見えるように造形したのはなぜか。
登場人物の過去から丁寧に現在を導き出すことで、本人も意識していない負の連鎖を説得力をもって描写し、重層的なプロットを構成している。
ただ終盤の滝のシーンは、状況がシュール過ぎてやや浮いているというか、キャラの行動にリアリティを感じられなかった。
山奥でデッカいナイフ持った女に迫られたら、一目散に逃げ出すと思っちゃったよ。
ディテールには他にも何か所か疑問に思う所もあったのだが、全体としては非常によく考えて構成された作劇で、見応えは十分。
カオリが音楽家と言う設定を活かし、心象としての音楽・音響の演出も緻密だ。
必要なことはしっかり描写しつつも、劇中の幾つかの出来事は、あえて複数の解釈が可能なようにしてあるのも、観客の想像力を刺激する。
物語の終盤、ヒールの高いパンプスを好んでいたカオリが中性的な運動靴を買い、逆に彼女のパンプスを貰ったユウが、それまでの子供っぽい靴から履き替えるシーンは印象的だ。
女であることに感じる罪悪感と恐怖、女であることへの覚悟。
カオリもユウも女であることから逃げることは出来ず、心の傷を抱えながらも明日に向かって歩んでゆかねばならない。
たとえどんな残酷なことが起こったとしても、生きている限り人生はそこで終わりではないのだから。

今回は、踏みつけられた翼が再び羽ばたけるようにラム・ベースのカクテル「バーディ」をチョイス。
ホワイト・ラム36ml、オレンジ・キュラソー6ml、パイナップル・ジュース6ml、オレンジジュース6ml、グレナデン・シロップ6mlをシェイクしてグラスに注ぐ。
材料からも分かるようにフルーティで、グレナデン・シロップの甘みが全体をまとめ上げる。
オレンジの見た目も美しく、華やかなカクテルだ。

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