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ジャングル・ブック・・・・・評価額1650円
2016年08月22日 (月) | 編集 |
都会の喧騒を忘れる、2時間たっぷりの森林浴。

いやー、トリップ感満点で実に楽しかった。
原作はラドヤード・キップリングが1894年に出版した小説で、ジャングルの奥地、動物たちの世界に暮らす人間の少年、モーグリの成長と冒険を描く。
動物園でもこんなにいっぺんには見られない、アニマルオールスターズは素晴らしいクオリティで描かれ、ジャングルから草原、古代遺跡まで詰め込まれた緑いっぱいの世界観は旅心を刺激する。
この夏、うだるようなテーマパークへ行きたくなく、海外旅行する時間もないけど、お手軽な非日常への逃避体験をしたい人には、本作は絶対のオススメだ。
もっとも、本作を観たら久々にディズニーランドのジャングル・クルーズに乗りたくなってしまったのだけど(笑
✳︎核心部分に触れています。

人間の少年、モーグリ(ニール・セディ)は物心ついた頃からジャングルで暮している。
育ての母は狼のラクシャ(ルピタ・ニョンゴ)で、彼女は黒豹のバギーラ(ベン・キングスレー)に赤ん坊だったモーグリを託されて以来、狼の群れの一員として育てているのだ。
だが、ある時ジャングルに現れた虎のシア・カーンは人間を敵視し、狼たちにモーグリを差し出すよう迫る。
危険を感じたラクシャとバギーラは、モーグリを本来の居場所である人間の世界に返すべく旅に出すのだが、復讐心に凝り固まったシア・カーンは納得せず、圧倒的な力で狼の群れを支配する。
その頃、バギーラとはぐれたモーグリは、熊のバルー(ビル・マーレイ)と出会い、ハチミツ取りに精を出す毎日を送りっている。
だが、人間の子の存在を知った類人猿の王、キング・ルーイ(クリストファー・ウォーケン)はジャングルを支配すべく「火」の秘密を求めてモーグリを誘拐するのだが・・・


端的に言えば、これは数奇な運命に導かれた少年モーグリが、ジャングルの一員として自分の居場所を見つけるまでの、波乱万丈の貴種流離譚だ。
原作は過去に複数回映像化されていて、ディズニー作品としては、ウォルト・ディズニーの遺作としても知られる、1967年のアニメーション映画の実写リメイクという位置付けとなる。
基本的には同じ話なのだけど、旧作はプロットを単純化した上でかなりコミカルな味付けがなされていて、明確にターゲットを若年層に絞った作り。
子供の頃に観た時はとても楽しかったけど、さすがに21世紀に実写で同じことをやっても説得力を持つとは思えない。
そこで本作は、旧作の主だった要素を維持した上でプロットをモダンに練り直し、傑作「ズートピア」にも通じる社会性を持たせることに成功している。

ジャングルで死んだ商人の子であるモーグリは、彼を拾った黒豹のバギーラによって、盟友の狼の群れに託され、愛情深い母狼のラクシャによって我が子として育てられている。
だが、動物たちの世界で絶対的な”異種”である人間の子供に対しては、仲間として接する者もいれば、ジャングルの脅威として敵視する者もいる。
その筆頭が、執拗にモーグリを付け狙う虎のシア・カーンだ。
実は彼こそがモーグリの実の親を殺した張本人でもあるのだが、その時に松明の炎によって顔に消えない傷を負わされ、人間に対する復讐心にとりつかれている。
そして、ジャングルの生態系の頂点に立つ最強の捕食者であるシア・カーンは、誰も力では逆らえないという状況を利用して、モーグリの居場所を奪う。
要するにこの物語は、コミュニテイを乗っ取った独裁者が、最も脆弱なマイノリティを迫害する構図を持っているのである。

不寛容と憎しみによって故郷を追われたモーグリはしかし、冒険の旅を通して寛容と献身によって様々な動物たちとの絆を育んでゆき、それはやがてシア・カーンに対する大きな武器となる。
マイノリティを不寛容から救うのは、自分自身の闘争の努力と、心あるマジョリティとの連帯だからだ。
同時に、物心ついた時から狼の一員として育てられたモーグリにとって、人生初めての旅は全く新しい価値観との出会いの機会ともなる。
リーダーに率いられた群で暮らす狼は、厳格な掟に従って生きているのだが、旅の途中で友達になる熊のバルーは規則に縛られない根っからの自由人。
歌が大好きなバルーは、狼の掟を復唱するモーグリに「That's not a song, that's propaganda.(そんなの歌じゃないよ。ただのプロパガンダだよ)」と諭す。
また虎をも傷つけた人間の持つ「炎」を欲する、規格外の巨大類人猿ギガントピテクス、キング・ルーイの支配する猿たちの世界は、文字通りオーウェルの描いた”ビッグブラザー”的社会であり、シア・カーンとは違った意味の独裁者だ。
冒険の旅は世界の多様性、自由の素晴らしさと抑圧の恐ろしさを、モーグリに体験として教えるのである。

原作は一応インドがモデルだが、映画の多種多様な動物の暮らす世界観は、アフリカから東南アジアに至る生態系をミックスした様な架空のジャングル
ギガントピテクスは絶滅種だし、現実世界では明らかに生息地域が違う動物たちもいる。
打ち捨てられた遺跡や村の人間を含め、本作の舞台が具体的にどこの国かを特定する描写はない。
バギーラにベン・キングスレー、バルーにビル・マーレイ、シア・カーンにはイドリス・エルバ、ラクシャにルピタ・ニョンゴと名優たちが演じる動物キャラはそれぞれしっかりキャラ立ちし、聞き応えあり。
なぜかサム・ライミがリス役で出てたり、マニアックな遊び心もある。

同じくイノシシ役で出演もしている監督は、安定のジョン・ファヴロー。
マーベルの「アイアンマン」シリーズで人気監督になったものの、本当に自分の作りたい作品をやりたいと巨額のオファーを蹴ってシリーズを降板。
雇われシェフがフードトラックを買って、自分の作りたい料理を追求する「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」は、多分にセルフパロディが入った佳作だった。
今回、自前のプロダクションとの共同制作という形でディズニー作品への帰還を果たした訳だが、適度な緩さ、もとい大らかさが観やすさにつながる持ち味は健在。
世界観の充実により異世界へのトリップ感は素晴らしく、アスペクト比がビスタサイズゆえIMAX3Dの没入度も最高だ。
作り込まれたシナリオは分かりやすくも大人の鑑賞に耐えうる深みを持ち、5歳の子供から付き添いのおじいちゃんおばあちゃんまで楽しめる内容は、夏休みに家族で観るのにぴったり。
ディズニーアニメの実写リメイクは、「シンデラ」に続いての大成功ではないか。

ただ、60年代末という時代にあって、人種差別的という批判を受けた旧作に対して、ポリティカルコレクトネスという意味ではほぼほぼパーフェクトに近い本作だが、悪役シア・カーンの最期に関しては、ある意味非常に従来のハリウッド的というか、ここだけが結局不寛容が解消されないまま残る。
本作と同じく、動物を擬人化しコミュニティのあり方を描いた「ズートピア」が、エンドクレジットで刑務所の中の”ある人"を映し出すことで社会的な不寛容の根深さ、難しさを描いていたのに対して、こちらはもう一歩掘り下げされてないなあと感じたのは、最近のディズニー・ピクサーのアニメーション作品が凄過ぎるゆえだろうか。
まあ、こちらも十分素晴らしい映画なんだけど。

今回は森林を舞台にした話なので、その名も「照葉樹林」という日本生まれの緑のカクテルをチョイス。
グリーンティーリキュール45ml、ウーロン茶適量を氷を入れたタンブラーに注ぎ、軽くステアする。
照葉樹林とは日本から東南アジアにかけて広がる常緑の森で、ここは同時にお茶の文化圏でもある。
お茶の風味が甘さを引き立て、食前酒にぴったり。
深い緑が涼しげな、夏らしいカクテルだ。

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