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東京フィルメックス2016 まとめのショートショートレビュー
2016年11月29日 (火) | 編集 |
東京フィルメックス2016のつぶやきまとめ。
一番のお気に入りは、韓国のイ・ヒョンジュ監督による瑞々しい青春ラブストーリー「恋物語」。
正式公開されたら、是非また観たい。

バーニング・バード・・・・・評価額1550円
スリランカ内戦と言えば「ディーパンの闘い」が記憶に新しいが、これはいわば脱出出来なかったディーパンの、取り残された家族の物語だ。
密告により、政府に夫を殺された妻と八人の子供たち。
乳飲み子を抱えた妻は、何とか家族を支えようとするが、状況は悪化するばかり。
セーフティーネットなどという概念は無く、そもそも母子家庭が生きて行ける様に社会が出来てない。
過酷な労働、くり返される男たちの理不尽な暴力、そして村八分まで。
沸々と煮えたぎる静かな怒りが全編に渡って流れているから、あのラストしかないのだろう。
ただ、妻がなぜもとの土地で生きて行こうとするのかが今ひとつ分からない。
最初から一家でコロンボに出たら良いのにと思ってしまった。
夫の遺志を継ぐ以外に、何かスリランカ文化ならではの理由があるのかも知れないが、ならば少しでも言及が欲しかった。

よみがえりの樹・・・・・評価額1350円
現代中国の滅びゆく過疎の村。
10年前に死んだ妻の霊が息子に憑依し、嫁入りの時に植えた木を移してくれという。
舞台となってるのは監督の故郷で、聊斎志異が好きというだけあって、輪廻転生の物語は全体がフォークロアの様な独特のムードがある。
急速に発展する国の中で、忘却される村とそこに確かに暮らした人々が、幽霊となって自らの存在の証を残そうとする。
人間だけでなく、ヤギや犬やネズミたちも大きな時間の中で循環する魂。
いかにもアジア的なアニミズム世界観は、かなり好きな部類。
ただ、基本引きの長回しの画ばっかりなうえに、キャラクターの表情を描写するのを親の仇の様に嫌うので感情移入も出来ず、中盤からは少々退屈してしまった。
まあ感情ではなく、現象で描こうということなんだろうけど、テリングにはもう一工夫あっても良かったんじゃないか。

ザーヤンデルードの夜・・・・・・評価不能
大学教授の父と看護師の娘を軸に、イスラム革命の前・中・後を描く。
元々1990年に100分の作品として作られるも、当局の検閲によって37分カット。
その後上映禁止されネガが没収されたが、数年前に63分の版がイラン国外に持ち出された幻の映画。
大幅にぶった切られた上に、一部シーンでは音声まで消されていて、これはもう元々意図された映画とは言えないので、スコアは付けられない。
本作の辿った長いストーリーを含めて、1つの表現と捉えるべきだろう。
マフマフバルは、イスラム革命を挟んだ14年間でのイラン民衆の変化を見て、文化と政治と人々を描く作品として本作を企画。
監督はイランの人々に、自らを映し出す鏡を作ったそうだが、鏡に映った自分の姿を国家は気に入らず、破壊してしまったと言う訳だ。
独裁と検閲の恐ろしさを、リアルに実感させられると言う意味で貴重な作品。
タイトルのザーヤンデルード川に架かる、独特の構造を持つ橋が象徴的に使われていて、面白い効果を出している。
全長版が観たかった。

恋物語・・・・・評価額1650円
恋愛下手な女子美大生が、ひょんなことから出会った年下の彼女と恋に落ちる。
タイトルそのまま、ある恋の物語。
特に何か事件が起こる訳でもなく、二人が結ばれ、付き合い始めに盛り上がり、やがて少しずつすれ違い、お互いに葛藤を深めてゆく。
韓国はまだ同性愛にあまり寛容では無いというが、物語そのものは、どこにでもある恋人たちの風景。
でも二人の心の機微が繊細に描かれ、登場人物の一人ひとりがリアリティたっぷりに造形されているので、二人の恋の行方に全く目が離せない。
瑞々しい恋愛映画の秀作だ。
是非ぜひ、正式公開を望む!

苦い銭・・・・・評価額1550円
縫製産業の街、浙江省湖州に集う出稼ぎ労働者たちの世界を描くドキュメンタリー。
15で家を出て働きに出る少女、仕事がキツくて1週間で諦める者、作業が遅いとクビになる者、給料を払えと社長に絡む酔っ払いのおっさん。
十人十色、それぞれの出稼ぎ生活の日常を垣間見る。
好きなのは、全く噛み合ってない夫婦喧嘩と、酔っ払いのおっさんがちょい気があるっぽい女の子に何度も同じ事言って引かれるとこ。
おっさんがずーっと裁縫ハサミいじってて、酔っ払いに刃物はアブナイので、とりあえずハサミ置いとけと思った。
特に明確な主張がある訳じゃないけど、キャラが立っていて群像劇として秀逸。
彼らが働く工場は、日本基準なら全部ブラック企業だが、それなりにやりがいを感じて楽しんでいる者も、適応出来ずに去る者もいる。
登場人物それぞれの人生から、彼らを取り巻く社会のあり方を含めて、色々感じとれば良いと言うことだろう。
コピーブランド物はともかく、湖州で作られる服の一部は日本にも来てるんだろうなと思うと、妙な地続き感がある。
しかし王兵監督だから分かってたけど、今回も長いな。
演出の領域だから何とも言えないけど、「このカット、半分で良くない?」って所が多数。
163分を120分位にしてくれると、もっと観やすくなると思うんだが。

大樹は風を招く・・・・・評価額1650円
これは素晴らしい。
1997年、香港返還前夜。
新しい時代を迎える3人の伝説のヤクザの物語。
3人の監督が一人ずつキャラクターを担当しているのだけど、オムニバスではなくシームレスな作り。
演出の個性が、そのままキャラクターの個性になっているユニークなコンセプトだ。
強盗稼業から密輸業に転職するも、大陸の汚職官僚にキリキリ舞いさせられる者、大富豪を狙った誘拐を生業にする者、名前を変えて新たな仕事を狙う者。
しかし、彼らの一人が伝説の3人ヤクザを集めて、香港返還に合わせて大仕事をやろうと考えた事から運命が狂い始める。
これは香港返還という歴史的イベント、即ち"大樹"が招いた三つの小さな旋風の物語。
彼らは一瞬邂逅し、歴史の徒花として消える。
3人のヤクザ者は実在の人物らしい。
パワフルでどこか切ない、香港ノワール異色の快作。
こちらも正式公開を望みたい。

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